更新が遅れてしまい本当に申し訳ありません。
本当は昨日投稿しようと思ったのですが、色々ありまして今日となりました。
今回は私の苦手な戦闘パート、しかもほぼ全てそれでございます。読みにくいとは思いますが、どうかご容赦くださいませ。
では、本編へどうぞ。
俺──八秦 ジンを含めた4名は『贖罪の街』で観測された強力なジャミング波が発生した場所に向かっていた。
その目的はこのジャミング波を発生させているとされている特務対象である謎のアラガミの調査、及びその素材の回収。
今はまだジャミング波の影響を受けておらず、榊博士が用意してくれた専用のナビが続いているが、それもいつまでも持つかは分からない以上、この特務に参加している4人全てがここら周辺の地理を頭に叩き込んできている。
緑化の進んだ月が煌々と輝く夜。
美しいと思う反面、それの美しさは俺たち人間を食い散らかし滅ぼそうとしたモノの副産物だと思うのと少しゾッとするものがある。
そんなことを考えながらバギーのハンドルを握っていると、助手席に座っているカエデが話しかけてきた。
「ジンさん……ちょっと妙だと思いませんか?」
「あん?何がだ」
別に移動中に不振な点は見受けられなかったし、そもそも特務事態情報が不明瞭なことも多い。
それに不振なアラガミに遭遇した訳じゃ……いや、そう言うことか。
「静かすぎるって言いたいのか」
俺の質問に対してカエデが返したのは小さな肯定の言葉と声量と同じく小さな頷きだった。
……確かにその通りかもしれない、普段はオペレーターの指示に従って移動するため基本アラガミとの遭遇は対象以外に無かったりすることが多い。しかし、『遭遇しない』だけであって『アラガミが居ない』と言うわけでは無い。
その為、どれだけ周囲に配慮しても予期せぬアラガミが乱入してくることだってある。
だが、今俺達が進んでいるルートも幾らナビのお陰でアラガミが居ない、もしくは少ないであろうルートを選んでいると言えどアラガミの気配が一向にしないのである。
まぁ、しないだけなら気配を消すことに長けたアラガミだっているだろうから気にはしないが、レーダに映ることすら無いのはちょいと異常である。
一度浮かんだ不安は消えることなく、その大きさを増している。先程までは何ともなかったこの静けさが、逆にこれから自分達が向かう場所の恐ろしさを警告しているような気がして寒気が走った。
そして、最悪な事にその不安は見事命中する。
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「グルウォォォォオオオオオオオオオオッ!!」
ジャミング波の影響が遂に及び、その機能を果たさなくなり、ただ耳障りな砂嵐を鳴らすナビの電源を切り、地図等によるアナログの方法で目的地へと向かっていた俺達の耳をつんざく様な咆哮が響いてきた。
俺達は互いに頷き合い、覚悟を決めるとその咆哮の発生源であろう場所へとバギーを走らせた。
そしてたどり着いた俺達がそこで見たのは、両腕に真紅の雷を纏い、地の底から発せられるような低い唸り声を上げる黒いカリギュラと──
「グルウゥゥゥゥギィアアアアア!!」
かつて俺が見た時とは違い、砕けた逆鱗からディアウス・ピターと形状が似ている禍々しい紫白の翼と紫色に輝く刺々しい天輪が産み出され、叫び声を上げる特異種であった。
聞くものに不快感を与えるような、耳を塞いでも聞こえてくる不協和音の叫び声は、獣というよりも何処か人の嘆きが混ざっているかのように感じた。
「お、おい……アイツは」
震えながら呟くのは実際に特異種と相対したロックヘッド……そう、ロックヘッドが合った時は分からないが、少なくとも俺の会った時の特異種から感じた印象とはかけ離れている。
前にあった特異種が理解が出来ない故の恐怖だったのに対して、今の特異種はまるで極東に伝わる悪鬼や修羅のそれである。
だが、それと同時に背中の天輪や紫白の翼などから恐怖の中に一抹の神々しさを感じる。
その姿はまさに荒ぶる神と言っても過言ではない。
特異種からある程度離れている俺達ですら恐怖で動けていないのだ、その特異種に直接相対しているあのカリギュラは恐怖という感情があるかは分からないが、確実に良くない何かを感じているだろう。
そして長く続くかと思えた硬直は予想よりも速く崩れ去った──特異種の攻撃によって。
「ギィルルルッ!」
特異種が背中の天輪から無数のオラクルのレーザーをカリギュラに向けて放つ。その軌道はサリエルが放つレーザーのように……いや、それよりも複雑な軌道を描きながら全方位からカリギュラを襲う。
しかし黒いカリギュラもただ黙って殺られるわけではなく、その両腕の巨大な仕込み刃を展開し、それを振るいほぼ全てのオラクルレーザーを弾き飛ばす。
ただ……カリギュラよりも特異種の方が1枚上手だったようで、カリギュラが刃を振るう中迷わず接近し素早く、正確に黒き竜帝の頭部目掛けて右の拳を付き出す。
そしてその拳は見事に顔面を捉え、黒き竜帝を後ろに仰け反らせるが、竜帝も負けじと右腕の仕込み刃を振るい特異種の首を掻き切ろうする。
本来であれば速度や2体の距離から考えて確実にダメージを通すであろうその刃は特異種の左手に刃を捕まれ、動きを止める。
手に深く刃が食い込んでいるのだろう、刃を握る手から鮮血が垂れているのが分かる。
だが次の瞬間、特異種の手から膨大な出力の炎が吹き出す。その炎は次第にカリギュラの刃を溶かしていき、黒き竜帝がそれに気づいた時には既に遅く、右腕の3枚連なる仕込み刃の内、1番前方の巨大な刃が真ん中から溶断される。
瞬時にその場から距離を置いた竜帝に見向きもせずに特異種は溶断された刃を躊躇うことなく噛み砕き、己の腹の中に納める。
そして未だに刃を展開させているカリギュラに向かい一直線に走り出す。
突然向かってきた相手に一瞬動きが止まるも、直ぐ様仕込み刃で応戦しようとするカリギュラ。
しかし、その刃は再び防がれる事となる……ただし、今度は手ではなく背部から生えているその翼で。
見た目はかの帝王と色意外は同様の翼に思えたそれは竜帝が誇る刃と同等の硬さを誇っているようでその翼を使い竜帝へと剣撃を仕掛ける。
そこからはただ、無限とも言える切り合いが続いた。
特異種が翼を振るえば、それをカリギュラが受け止め、逆にカリギュラが刃を振り下ろせば、特異種の翼がそれを受け止める。
切る、防ぐ。切る、防ぐ。切る、防ぐ……。
言葉で表せば同じ行動だが、その実は一つ一つが己の死に繋がるであろう瀬戸際の攻防。
刃と刃がぶつかる硬質な音が月明かりに照らされた世界に響きわたる。
そして永遠に続くと思われたその切り合いにも終わりが見えてきたようだ。
考えて見て欲しい。腕と一体化し振るう刃と、それ自体が独自に動き、体を静止しても動かすことの出来る刃であればどちらが有利になるだろうか。
次第にカリギュラが生物故にスタミナが切れてきたのか動きが少しづつ鈍くなり押され始める。そして一瞬出来たがら空きの胴体に特異種の下から拳を決められて怯んだ所を蹴り飛ばされ、俺達が居るビル群の壁へ叩きつけた。
「中型ならまだしも大型をひと蹴りで……!?」
「おいおい、どんな馬鹿力だよ……ッ!」
愕然とした声でレオンとロックヘッドが呟く。
俺やカエデの内心を代弁してくれた二人を尻目にこちら側へゆったりと向き直るその姿は何かに取りつかれた悪鬼そのものに思えてくる。
そして倒れた竜帝サマが起き上がろうとした時、それを許さないように両手に紫色の冷気を纏うと、それを地面に叩き付ける。
叩きつけた所を起点として無数の三角錐型の氷柱が発生しそれらが段々と大きさを増して黒いカリギュラへと迫る。
しかし黒いカリギュラは欠損したとは言え、依然その大きさを誇る仕込み刃を展開させ迫り来る氷柱を全て砕き切る。そしてブースターを起動させあっという間に特異種へと接近し、その刃を振るう。
それは見事に特異種の首の根本に食い込み刃が血で濡れるが直後特異種の拳が黒いカリギュラの顔面を再び捉え、体をよろめかす。
よろめいた隙に首に食い込む刃から逃れ、足払いを仕掛けて転ばせる。カリギュラが転び地面に伏せる数秒の滞空時に再度蹴りを決めて同じように吹き飛ばす。
今度はより力を込めていたのか、それとも二度の衝撃に耐えれなかったのか、カリギュラがぶつかったビルがガラガラと音を立てながら崩れていき、砂煙が辺りを覆う。
俺達は目を腕で隠し、逃れたが……。
砂煙が晴れた時、そこには特異種の姿はいなかった。
「何処に行きやがった?」
周囲を見渡して見るがその姿らしき影は見当たらない……逃走したかと考えたその時、カエデが叫ぶ。
「上です!!」
カエデのその言葉に弾かれるように上を向くと、そこには月の光を背中に受けながら背中にあったはずの天輪を頭上高くに昇らせ、その天輪を包むかのように翼を展開し夜空に浮かぶ特異種の姿があった。
「グギィオオアアアアアアアア!!」
そう叫ぶと天輪と翼が同時に薄紫色に輝き始める。
何が起こるかは分からない……だが、これから行われる事がかなりヤバイ事だというのは長年の直感で分かった。
そう思った時、俺は既に叫んでいた。
「逃げろぉぉぉぉぉッ!!」
俺がそう叫び、其れに弾かれるように全員がその場から離れるのと輝きを増した特異種の翼と天輪から大量のオラクル弾が地上のカリギュラが居たであろう箇所周辺へ放たれたのはほぼ同時だった。
暴力的なまでの密度を誇るオラクル弾の嵐が逃げる俺達すら許さぬように降り注ぐ。
その雨は約20秒も続き、止んだときには辺り一体がオラクルの雨粒によって良ければ蜂の巣、悪ければ原型を留めないレベルまで破壊されていた。
その中心地域にいれば間違いなく死が待っているだろうオラクルの雨。されどその雨が降り止んだ瞬間夜空へ浮かぶ特異種へ向かって飛び込む黒い影。
「……あの中でも生きていたんですか?」
カエデが信じれない、と言ったように震えた声でそう呟く。それは両腕に巨大な刃を持ち竜帝の名を関するアラガミのカリギュラ。
白と黒。相反する存在が空中であるにも関わらず再び切って防いでの切り合いを始めている。
その光景は何人たりとも邪魔するものを許しはしないと言った、1つの神話に例えれるような恐ろしくも見る者を色んな意味で釘付けにするであろうもの。
そこには俺達が介入する余地は無く、また介入しようとすればきっとすぐに死んでしまうだろう。
「……今すぐ帰還するぞ」
俺のその呟きに反論する声はなく、俺達は目標を達成することが出来ぬまま極東支部へと戻ることになった。
今回も最後まで読んで頂き本当に有り難う御座います。
黒いカリギュラと紅蓮のオロチがタッグを組んだミッションという地獄レベルの難しさを誇るであろうDLミッションとか来ませんかね?
皆さんは苦手なアラガミとかミッションはありましたか?私は基本全部苦手ですが、GE3でいうと今はドローミが大の苦手です。
それでは、また次のお話で。
続編があるとしたらどれが良いでしょうか?
-
GE3編
-
IFストーリー編
-
レゾナントオプス編