転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

今回はかなり短いです。
あと次回もかなり短いです。


それでは、本編へどうぞ。




第39話 残酷で美しく

 

 

 

 

内から涌き出る怒りに身を任せて目の前のカリギュラと殺し合いを始めて数分が経過した。

 

 

既に今持てる力の全てを使って挑んでいるが、一向に倒れる気配すら見せない上に結合崩壊しやすい顔さえ一部が欠けたりヒビが入る程度で止まっている。唯一破壊できたのは右の仕込み刃1枚だけ。

 

対する此方は首と右の掌に新しく傷が出来て、此方も痛みは感じないが相も変わらず治りが遅い。

首に至ってはまぁまぁ深く入っているようで無理に動かすと首がもげそうな気がしなくもない──まぁ、そんなのは関係ないが。

 

 

自慢の剣捌きを2回も凌がれた事が効いたか。

向こうからは仕掛ける気は無いようで、先程から唸り声を発するだけだ。

ならこっちから仕掛けて強引に終わりに持ち込むしかない。そう決めるとレーザーを複数放ち、カリギュラがそれに対処している間に接近する。

シンプルだが、これが1番相手にとって接近を許しやすいようで直ぐに眼前まで移動することが出来る。

 

あらかた対処を終えたレーザーの危険度よりもこちらの方が高いと判断したか近づくこちらに向けてそのまま両腕の仕込み刃を降り下ろしてくるが、それを両腕の籠手で防ぎ、両腕が上がったことにより空いた横腹から翼を

伸ばして腹をかっ切る。

……ツクヨミを食べた性か、翼や両腕、そして尻尾がほんの少しだが伸縮する能力を得たようで、ある程度のリーチであれば補うことが出来るようである。

その為本来この距離なら浅くしか斬り込めないだろうが翼は見事にカリギュラの両横腹に食い込み、ここに来て始めてカリギュラが苦悶の声を上げる。

 

 

するとカリギュラが顔を上げて雷球を口から放ってきた。それを避けるために瞬時に翼を戻しながらそのまま後ろへ大きく跳躍、自分に迫ってきている雷球を同じく口から雷球を吐き出す。

赤と紫。2つの異なる色を持つ雷球は自分の前方でぶつかり合い2色の眩い光を放ち相殺される。

それの光に視界を奪われてしまい、一瞬だけ眼を細めながら両腕を交差させて奇襲に備える……が、その奇襲は来ることは無く。

自分が腕を退けるとそこに黒いカリギュラの姿は無く、焦り周囲を見渡す……が同じくその姿は見えず。すると自分の前方、より詳しく言うと斜め上だろうか、そこから先程聞いたうなり声が聞こえた。

 

そしてその声の方向へ顔を持ち上げた自分の視界に映ったのは、ビルの屋上へ佇みながら2つの紅蓮の眼差しをこちらに向けている黒いカリギュラが居た。

互いが互いを睨み付ける時間が続く……それは数秒の出来事だったが、自分にとっては数十分、数時間のようにも感じられた。

そんな睨み合いの末に先に動いたのは自分ではなく相手……何か未練がありげに背中を向け逃走を開始する。

勿論逃がす気は微塵もなく、翼を使い飛翔しようとすると

 

「……キュ……」

 

この世界に来て聞きなれた声が耳に聞こえた……いや、実際は発しておらず、自分の幻聴だったのかもしれないが。

直ぐ様追跡を中止しルインの元へ駆け寄る。

ルインの体に刻まれた切り傷は改めて見るとかなり深く、体の中央まで届いているようだった。

 

自分が近付いたのに気付いたのかルインが此方へ寄ろうと体を無理矢理動かそうとしたので、慌ててルインを掌に乗せそれを止める。

自身が自分の掌の上に居ることに気付いたのか、ルインが顔を上げて此方を見る……持ち上げるその行為すら今のルインにとって拷問に等しい苦痛を味わうのだろうか、その体は震えていて今にも事切れそうな程に弱々しかった。

 

「……キ…ュ」

 

掠れた声で何かを伝えようとするルイン。

こんな時ぐらい分かってやれば良いのに、自分にはルインの伝えたいことが分からなかった。

コレも自分のツケが回ってきたのか。

そんなことを考えるくらい自分は自責の念を感じていた。

 

「キュ……」

 

そんな中、ルインが再び動こうと体を起こし始める。しかし傷が深いのか浮くことすらできない。

いまだ何を伝えたいのか分かることが出来ない自分は、もしかしたらこれで分かるかもしれない……と、あの時と同じようにルインを自分の顔近くに寄せる。

 

すると本当に、本当に聞きなれた小さな声で。

 

 

 

 

 

 

 

 

最初、それを聞いた自分は気のせいかと己の耳を疑った。アラガミになった故に遂に可笑しくなったのか……と。

 

しかし、ルインを見れば此方に全てを任せると言ったようにもう動くことすらしない……いや、動けないと言った方がいいのかもしれない。

こうなれば最早消えていくのは時間の問題だ。

ならば自分がするべきなのは何なのか。

 

 

それはルインが最後に願ったであろう『願い』を叶えてやるのが、コイツを看取るであろう自分の責任なのかもしれない。

だが……本当にそうなのか?

今まで聞こえてきたルインの声は全て偽物で。

自分はありもしない声に慰められていたのでは?

 

そんな事が頭の中に思い浮かぶ……だが。

 

 

 

 

幻聴だったのかもしれない。

ルインにとって自分と共に居たのは己を守るためだけだったのかもしれない。

自分の考えが通じたのだって偶然が重なり続けた奇跡に近いものだったのかもしれない。

 

だが、本当に……本当にそうだったとしても、自分が救われたのは事実だ。

それだけは揺るがない、いや揺るぐわけにはいかない不変の事だ。

 

 

こんなのはエゴだ。

自分を慰めるだけの偽善でしかない。

アラガミにもなれず、かといって人としても生きることが出来ないただの出来損ない。

 

そんな自分だから出来ることなんだと、意思を汲み取る事をしない他のアラガミや、汲み取ることが出来ない人のどちらにも当てはまらない自分だからこそ。

 

 

 

 

 

 

動かないルインを両手で優しく包む。

もうこれ以上他の者に傷つけられないように。

 

 

静かに持ち上げていく。

その眠りを妨げぬように、そして自分の決意を揺るがさないように。

 

 

 

 

自分自身の口を開く。

 

 

そして、ルインを口の中に入れ捕食する。

 

 

 

 

 

 

捕食は経った数秒で終わった。

今までの神生で1番短い捕食だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………こんな時でも味を確かめようとする自分が嫌になりそうだ。

 

 

 

 

 

ルインは前世を含めて今まで食べた中で最高の味であり、同時にもう二度と口にしたくない味だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイン……意味、『廃墟』『廃止』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして──『破滅』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回も最後まで読んで頂き、有り難う御座います。

ルインの意味を間違えているとか言わないでくださいお願いします。

今回と次回で一先ずルインは退場することになります。
ぶっちゃけた話ルインが死ぬか死なないかは結構悩んでいて、あることが切っ掛けで死ぬルートへ突き進むことになりました。
もしifの物語を書くことになればルインが生きていた時の話も書いてみたいなーと思っています。


それでは、また次のお話で。

続編があるとしたらどれが良いでしょうか?

  • GE3編
  • IFストーリー編
  • レゾナントオプス編
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