転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

今回は考察回……というか、説明回?みたいな感じになっています。
はい、いつもの安定ガバガバな知識と妄想披露会です。

色々と面倒くさいと思いますが、どうかお付き合いくださいませ……。


では、本編へどうぞ。





第41話 仕組まれ芽吹いた新星の種

 

 

 

 

眩い光が差し込み目を覚ます。

 

外に出て見れば太陽はもう空の頂上付近まで昇りかけており、自分がどれだけ寝坊しているのかを自覚する。

前までは目覚まし時計の代わりをしてくれる奴が居たんだが、今はもういない。

 

だから改めて自分で起きれるようにならなければな……と心の中で意気込みつつ、餌を探しに『贖罪の街』の外へと向かった。

 

 

 

 

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心の中に残った言い表し辛い感情を吐き出すように目の前のアラガミ──ガルムへと攻撃を仕掛ける。

ガルムはガントレットから爆破などを繰り返して避け続けるが、その避ける先々に氷の槍を無数に出現させ続けているため、段々とその体に傷が増えていく。

 

 

そうこうしている内に、ずっと守るだけではジリ貧だと判断したのだろう。ガルムが一転してこちらに飛びかかって来た。

右前足のガントレットによる強烈な一撃が自分の顔面を襲う──なんてことはなく、その一撃を左腕でいなしながら懐に潜り込み、ガラ空きの顎に掌底を入れる。

 

見事に決まった為にガルムは一瞬ふらつき、そこを逃さずに左腕に作った氷剣を喉元に差し込み、そこにオラクルを流し込み氷の刃をガルムの体内で急速に巨大化&展開。

数秒も経たぬ内にガルムあちこちから氷剣が体内を食い破って突き出してくる──これは実体を持つ氷だからこそ出きる技で、炎や雷だと何故か体内を焼いたりすることしか出来ない……まぁ、それでも十分殺傷能力は高いが。

 

体内を氷剣で破壊し尽くされたガルムはそのままぐったりと倒れ、己の命の炎が消えたことを自分に教える。

 

 

本来なら背中の翼やらを使えば良いのだが、生憎今の自分にはそれが出来ない。

何故かというと壊れたはずの逆鱗が再生しており、翼と天輪が消えて、その代わりに再びマントが生えているのだ。これも無駄に高い再生能力の影響なのかもしれない。

 

更に言えば、この逆鱗は自分の意思で破壊することが出きるんだと思う……いや、思うというよりも直感が近いのだろうか?体内のオラクルを逆鱗に集中させ、内側から爆発し、破壊する。

こうすることで人為的に逆鱗を破壊し、あの翼と天輪を出現させることが出来るようになったみたいだ……多分。

 

 

ただ、解放した後に自分がどうなるかは分かっておらず、恐らくは活性化と言うように怒りに支配とまでは行かないが、怒りが沸き上がって破壊衝動が抑えきれなくなる可能性が高い……何よりも逆鱗が任意的に破壊された時のトリガーが自分の怒りだったのだから。

殺意の波動に目覚めた何処かの格闘家もこんな感覚だったのだろうか──?

 

 

まぁ、そんなことは今は重要ではない。今重要なのは目の前のガルム(こいつ)だ。そして自分はそのガルムを躊躇うことなく、一心不乱に口に運び続けた。

そしてあっという間に全てを腹の中に納め、新たな獲物を探しに再び足を進める。

 

 

 

他の場所に行こうとした時に首を捻りすぎたのか、カリギュラにつけられた傷が痛みだす。

あのカリギュラに付けられた首の傷はまだ治っておらず、無理に動かそうとすると傷が余計に悪化しそうなので少しだけ控えている。

掌と腹に受けた傷は完治はしているものの、その傷跡が残っており奴の攻撃の凄まじさを教えてくれる。

 

 

この傷は教訓だ。

忘れはしないだろう……いや、忘れない。

 

 

 

もっと、もっと強くならなければ…………。

その思いだけが、ただただ強くなっていった。

 

 

 

 

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「成る程……そういうことか」

 

自身のラボにて無数の資料を広げたペイラー・榊は崩れていないにも関わらず眼鏡を直し、額から垂れてきていた汗をハンカチで拭いた。

 

そこには特務対象となっていた謎のアラガミこと黒いカリギュラの存在。そしてそのカリギュラと戦闘をしていた特異種の変化に関する報告書があげられていた。

 

 

先の調査で強力なジャミング波は黒いカリギュラが放つ特有の偏食場だと判明した……非常に厄介だが、それに関してはまだ良い、問題はそのカリギュラが持つかもしれないもう1つの能力だ。

 

あの黒いカリギュラに襲われ、命を落としたでろう3人の神機使いを弔った後に彼らの神機を詳しく解析した……すると見事に一刀両断された神機の切断面からある事が分かった。

 

 

その切断面に位置するオラクル細胞が『死にかけている』のだ。

説明するならば、オラクル細胞自身の活動を抑えるという言うよりかはその機能をほぼ無くしている。

これによりここの切断面のオラクル細胞は軒並み再利用不可になっており、ブレードなどの単体ならまだしも神機の内1つは神機自体が真っ二つに切断されている。

つまり、神機が文字通り『殺されかけた』。

 

今はまだ不明なことが多いが、この綺麗な断面からして炎などを使い溶断する特異種ではなく、鋭利な刃を持つ黒いカリギュラの方が、襲撃された当時の状況的に犯人である確率は遥かに高いだろう。

 

 

つまり、黒いカリギュラにはこの『オラクル細胞を殺す事が出来るオラクル細胞』……名付けるなら(キラー)ーオラクル細胞とでも言うべきものが備わっているということになる。

それが肉体全域に渡って存在しているのか、それともカリギュラ特有の仕込み刃や手足の爪や牙などの鋭利な部分にしか存在しないのかは分からないが、どのみちオラクル細胞を投与した神機使いや人工アラガミに近い神機を武器とし対抗する我々人類からしてみれば、かなり恐ろしい相手であることには代わりない。

 

第一種接触禁忌種であるスサノヲは「神機使い殺し」の異名を持っているが、この黒いカリギュラの方が遥かに「神機使い殺し」に近しい力を持っている。

ただ、特異種とも戦っている所をみると神機を偏食するなどの傾向は見られない為、神機使いのみを狙っていると言うわけではないようだ。

 

 

Kーオラクル細胞についての詳細な事はまだまだ不明だが、ひとまずそのような能力があるという事、そしてそれを振るう相手の正体を知ることが出来ただけでもかなりの収穫だ。

知らずに対策するよりも知っていて対策をする方が幾分かはマシになる……今回の場合はその特性的に本当に雀の涙程しか意味をなさないかもしれないが。

 

 

 

 

「それに……本当に厄介なのはこっちの方かも知れないしね」

 

机の一角に一纏めにしておいた資料の束を手に取りながら、榊はそう一人呟く。

その束の一番上には最新の報告書──つまり、黒いカリギュラと戦っていた際に見受けられた特異種についての特徴等が記載されていた。

 

その報告書に書かれていた情報は榊自身が理解したくないと思いながら何度も確認しながら見たものだから、今更そこに書かれている事が変わっているなんて夢みたいなことは起こらない。

 

 

『特異種が変化していた』

 

 

まずはこの一文だ。

続きの文によればまずヴァジュラ神属に共通するマントが消失していること、そして背部の逆鱗と呼ばれる部位が破損しており、そこからディアウス・ピターのものに酷似した白い翼と禍々しい天輪がマントの代わりに造り出されていた……とある。

 

そして2枚目は各々が描いた特異種の姿がある。

ジン以外の3人の絵は比較的分かりやすく、特にロックヘッドの特異種は本物を見続けて模写したかのような精度の高さだ。

翼に関しては確かにこの絵を見る限り、ディアウス・ピターのものと酷似……いや、確実に同じであろう。

それよりも気になるのは天輪の方で、榊はこの天輪を何処かで見た覚えがあるような気がしていた。

 

暫く自分の記憶と格闘し続ける中、ようやくそれに該当する記憶の引き出しを見つけることに成功し、それと同時に冷や汗が頬を垂れる。

 

 

その天輪は見覚えがある……いや、エイジス事件の際に『彼』と直接対峙した人物であればその天輪は誰もが見覚えがあるだろう。

アルダノーヴァ。始めて観測された終末捕食の際にその終末捕食のトリガーかつキーとなる巨大アラガミ『ノヴァ』を守護するためにある人物が造り出した人造のアラガミ。

 

そのアラガミが持つ天輪に似ている……いや、寧ろアルダノーヴァよりも禍々しくなっている。

 

 

──天輪は過去2回起きている終末捕食に関わるアラガミに見られた特徴であり、まず1回目は先に話したアルダノーヴァ。次にノヴァの残滓が集まり生まれたアリウスノーヴァ。こちらにも天輪のようなものが見受けられており、大きさ的には彼方よりでは無いが形状でいうなら幾分かはアリウスの方が似ている。

 

さて、この2体はオラクル細胞の再結合作用により再びそっくりそのままの姿や能力を持ったまま出現し、新たなアラガミとして定着していたのだが、ここ1年以上の間その姿を見せていないのである。

最初は数の減少による発見が少なくなったのか……とも思ったが、今ではハッキリそうではないと自身は断言できると思っている。

 

 

特異種が出現し、そして本格的に活動を開始したために姿を模倣しただけのこの2種類のアラガミは必要なくなったのではないだろうか?

そう考える榊は少し背中に寒気を感じる。まるでこれはアラガミという生物自体が特異種を完全なる『第3のノヴァ』へと生まれ変わらせようとしているようではないか?

 

もしかしたら、ただの偶然に偶然が重なっただけなのかもしれない。だが、そうだとしても段々と危険が迫って来ている事に代わりはない。

 

 

ブラッドからはジュリウスが脱退し、結果的に4名となってしまった。戦力は大幅にダウンし、何よりも空気が重くなっていっている……。

今もマルドゥークの捜索は続いているが、それも見つかるかは怪しい。

本来ならば見つかるか怪しいマルドゥークを追うよりも、確実に近くに潜む危険である特異種を処理する方が良いのではないのか……と、考える自分がいる。

 

だが、彼らの気持ちを分からない自分ではないし、何よりもロミオは極東支部に根付き過ぎた。

今ではあまり関わりのなかったジン達でさえ協力的になっている。

 

 

今自分に出来ることは特異種及び黒いカリギュラについての解析等しかない。

ならばそれを続けるだけだ。いずれ彼らが戦うであろう存在……その時のために少しでも有利になるように情報を束ね、攻略の糸口を見つけなければ。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

「ふふ……」

 

妖しい声が室内に響く。

声以外に聞こえるのは機械が鳴らす電子音とモニターに映し出された映像から流れる音声のみ。

 

その映像を恍惚の表情で眺めるのは、金の髪を持つ青き眼の女性。

何を思い映像を見ているのか、それは彼女自身にしか……いや、彼女自身も分からないのかもしれない。

そんな中、再び己以外が居ない空間で彼女は一人呟く。

 

 

「まさか、ここまで早く成長するなんて……」

 

 

驚きに満ちた台詞だが、その内容に反し浮かべているのは驚愕ではなく微笑み。

 

「一生懸命『アレ』を育てた甲斐がありましたね……言うことを聞かずに脱走した時は失敗かと思いましたが、これはこれで良いでしょう」

 

そんなことよりも、と彼女は再びモニターを見続ける。そこに映るのは漆黒の竜帝と怒り狂う紫白の真竜。

その映像を繰り返し、繰り返し眺めながら満足げに笑みを浮かべた後に口を開く。

 

「私のジュリウスと、貴方様……どちらがお早いか競争ですね」

 

そう彼女は恋する乙女のように頬を染めながら、空に翼を広げながら雄叫びをあげる紫白を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





今回も最後まで読んで頂き、有り難う御座います。

最近見事に本編から脱線していってる気がします……まぁオリアラガミを主人公にしている時点で仕方ないのは仕方ないんですけどね……。

最後の人物の口調が難しくて難しくて……というか、そもそも原作キャラの台詞っぽくするのかなり難しいです……。
なんか個人的に納得がいっても、改めてみると「あれ?なんか違うくない?」となります……。


ではまた、次のお話で。

続編があるとしたらどれが良いでしょうか?

  • GE3編
  • IFストーリー編
  • レゾナントオプス編
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