転生アラガミの日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

最近花粉症のせいなのかくしゃみと鼻水、涙が止まらない地獄を味わっています。
早く終わって欲しいこの季節……と思いながらも庭にある桜の気が満開なるのはいつ見ても綺麗なものだなぁ……と思うので終わって欲しくなかったりもします。

みなさんはどうでしょうかね?



では、本編へどうぞ。




第43話 肥大化する偽意

 

 

神機を取り込む事を決め、それを実際に行動に移してから数日が過ぎた。

あの後もアラガミと遺された神機を探しつつ、自身の体で実験を行っていたら、以下のことが判明した。

 

 

まず1つ目、自分の腕部はもはや完全に作り替えられているようで、その部位に徹するオラクル細胞の『在り方』を分解・再構築する指令を出すと、自分の思考する状態を内包されているオラクル細胞の量で再現可能な範囲の再現をする。

 

これは神機に体が慣れた時に既に試したことで、後に神機の銃形態を再現しようとしたら1つ問題が発生した。

外見は銃形態を模倣出来たとしても、中の構造を再現できておらず、オラクル弾を放つことができなかったのである。

ええ……ここで綺麗にそんなのを再現するのですか……と、思ってしまったのは仕方ないと思う。

自分は神機の種類についてはある程度知識があるとは言っても銃の構造は勿論、神機についての細かい仕組みなんかは知るわけがないド素人となので、再現なんて専門の人の手助けがあっても出切るかどうか怪しい。

 

と言うことなので、今のところは近接武器と盾の形を再現するだけに限る……まぁ、今は盾を時間を掛けてわざわざ作り出すことに意味を感じないので作らないが。

 

 

次に2つ目、先程言ったオラクル細胞を分解・再構築出来るのは自分の一部……より正確に言うならば、金色の筋繊維の様な部位しか変化させることできないと言うこと。

 

まだまだ取り込む数が少ないのか、それとも何処かで自分の原型を保たねばならないという考えが無意識で腕全体の変化を防いでいるのか。

どちらかの可能性もあるし、それ以外の可能性だって十二分にあり得る。まぁ、先程も言ったが自分は神機の専門家ではないから分かる訳がないのだから、考えるだけ無駄な事かもしれないが。

 

 

 

 

さて、神機を食らっていて思ったのだが。

量が少ない、圧倒的に足りない。

今も神機集めに勤しんでいるのだが、最初に食べた時にも部分的なモノとは言え、そこそこの量を捕食したと思うのだが、それでも再現できたのは神機のショートブレードにすら満たない可能性のあるちっぽけなもの。

 

あの量を捕食してあのサイズなら、同じ量を再び捕食したとしてもショートブレードよりも全長が大きい武器が作れるだけだ……勿論それは手のみを変化させた場合の話なので、腕ごと変化させればその限りではないが。

 

 

 

 

それよりも……無理だとは分かっていはいるが、安定する神機の供給源を確保したいところだ。

今は神機の欠片でさえも欲しい……が、欠片を食ったところでそれの効果が雀の涙程しか……いや、もしからしたらそれ以下しか得られないのだ。

 

出来ればなるべく多くの種類、そして量を欲するのだが、如何せん神機は人に合わせて作られた為に小さい。

一番効率良く手に入るのは極東支部を襲って神機保管庫の神機を全てを食べるのが思い付くのだが、これをすると自分の印象は完全に地に堕ちる上に極東支部の戦力が大幅にダウンする。

それに極東支部の神機使いと戦わなければいけないのはこちらの命が脅かされるので完全に却下だ。

 

 

……なんかいっそのことアラガミ専用の神機とか作られてないのだろうか。

 

そうありもしない考えをしていると……ふと、自分の頭にあるものがよぎった。

 

 

 

 

……ん?アラガミ専用の神機?

 

 

 

 

………………………………

…………………………

……………………

………………

 

 

 

 

…神機兵の武器を捕食すれば良いのではないか?

 

 

自分で思考するとかなりヤバイ考えだというのが分かる。そもそも神機兵というのは神機のオラクル細胞制御機構とかなんかを応用して作られた人工のアラガミだった筈……、ならその武器も神機ないし、その技術作られている可能性は大いにあるのではないだろうか?

現に銃形態に変形し、オラクル弾を放っているのだから、自分の仮説は間違っていないと思う。

 

 

それに無人の神機兵なら躊躇いなく襲える。

勿論、有人であれば襲いはしない。

 

 

 

それに、今後赤い雨の影響を受けて暴走した赤い神機兵が出てくれば、ソイツらを襲って人助けもできる……まさに一石二鳥ではないか。

しかし、無人の神機兵と明確に主人公達が敵対するのはマルドゥークとの決着を終えた後になる……。

そしてその後に暴走神機兵が現れる。

 

まぁ、その時には既に神機を作れる程になっておかなければならないのだが……。

 

 

 

 

 

 

うーむ、やはり今の自分に出来ることは欲張らず、地道に神機を集めるしか無いのだろうか?

 

 

 

ため息をつきながら今日もまた神機を集めることにするのだった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

極東支部がその異変に気付いたのはつい数日前の事だった。

 

切欠は任務に出ていたとある神機使いの一言。

 

「最近のこじん見つからないな……」

 

本人からすればただの日常会話だったのだろう。しかし、それを気に止めた同じチームの一人が報告書に記載したのだ。

 

それは勿論局長であるペイラー・榊の目に止まることになる。

最初は単に好奇心だった。

しかし、その好奇心のお陰で極東支部はその以上を発見することができたのだろう。

 

 

各地域での『遺された神機』……通称のこじんの回収量を改めて調べ直したのだ。

するとどうだ、まず真っ先に『贖罪の街』での遺された神機の回収が激減し、それから派生するように少しづつ周辺地域での遺された神機の回収数が減っているのだ。

 

 

 

単に見つかってないだけだ……以前の自分ならそう判断することも出来ただろう。しかし、『贖罪の街』はハンニバル特異種の根城になっているとして候補に上がっており、決してこの遺された神機の回収数の減少が偶然だと判断することは今のペイラー・榊には出来なかった。

 

故に榊は考える。

特異種は一体何を目的に行動しているのか。

前回観測された黒いカリギュラとの戦闘時に凶暴化していたが、それ以来特異種らしき影を見ていないのだ……いや、発見できていないといった方が正しいか。

 

 

『贖罪の街』及び特異種の姿が見受けられた各地域で、特異種を見つけようと観測しているのだが、そのどれにもかかる気配がないのだ。

その為、ペイラーは1つの仮説を立てた。

 

それは黒いカリギュラとの戦闘を観察した際の報告書に書かれていたことだが、特異種はカリギュラの仕込み刃を溶断し、それを捕食したのだ。

 

 

……黒いカリギュラは強力なジャミングを行う偏食場を作り出していた。

もし、一部をあの特異種が捕食し、その偏食場の力を少しでも受け継いでいるとしたら。

黒いカリギュラはその強力過ぎるジャミング故に自身の居場所を特定されてしまうという欠点があった。しかし、特異種は手に入れた能力をそのまま使用するのではなく、自身の扱いやすいように作り替えてしまう……例を上げるなら、感応種のイェン・ツィーの感応能力の上位版としか思えないような独自の偏食場がそうだ。

 

もしこれを用いてジャミングを自身の姿をレーダーから己の身を隠す光学迷彩……より寄せるなら過去に存在したチャフというレーダーによる探知を妨害する偏食場ないし能力を手に入れたとすれば合点がいく。

 

 

 

 

これによって特異種はレーダーに見つかることなく遺された神機を探し回ることが出来るようになるわけだ。

 

しかし、特異種が何故遺された神機を探しているのか……そこが気になる。

もし仮に神機自体が欲しいのであれば神機使いを襲えば良い。今の特異種の力であればそれは比較的容易だろう。

しかし、それをしないということは別のところに目的があると考えるべきか。

 

だとすれば未だに神機使いを驚異に感じており、仕方なく破片とは言え歴とした神機ではある遺された神機を探し回っている……か?

 

 

そして最初に戻るが何故神機を欲するかだ。

現状の特異種に我々が対抗できる術はほぼ無いに等しい。あるにはあるが、それは極東支部に所属する有力な神機使いを総動員しての討伐任務になるだろう。

そうすれば必然的に極東支部の防御は手薄になりアラガミの侵入を許し…………て……?

 

 

 

 

 

……まさか、特異種はこれを狙っていた?

我々が遺された神機の異様な回収数に気付く。そしてその一番回収数が少なくなっているのは自分の住みかとされる『贖罪の街』。

ならば自分が関わっているだろうかもしれない……と、自分を知るものなら考えられるだろう。

そこで自分が姿を現して我々は討伐するために人員を総動員させる。少なくとも隊長格の人物は極東支部からほぼ居なくなるだろう。

そこを襲撃し、神機保管庫にある大量の神機を手に入れる……完璧ではないが筋が通っているのではないだろうか?

 

 

そして、そこまでして神機にこだわる理由だが……もし、もしも仮に我々が特異種を討伐するためには今現在極東支部に不在の『彼ら』を呼ぶことが一番安全で確実な方法だ。

 

となると奴は彼らとの戦いを想定して少しでも神機に対する耐性を付けようとしている可能性があるということでないのか?

 

 

いや……彼らの中の一人の神機にはかつてノヴァだったシオ君を捕食し、白く変化したモノがある。

もしかして、奴はその事を知っていた?

ならば間接的とは言えシオ君を捕食することでその力を得てノヴァへと近づこうとしていた?

それとも因縁があるとされるリンドウ君との戦いに備えるために?

 

 

どれだけ考えてもこれだ!というものが出てこない。それだけ特異種というアラガミが異質であり異常なのだ。

ただ、ペイラーは1つだけ。本当に己しか抱いていないであろう弱々しい希望的すぎる考えを持っている。

 

 

 

それが、果たして真実なのかどうかは本人しか分からないし、確かめようもない。

 

ただ、運命の時は刻一刻と迫っている。

 

 

その事実だけは確かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き、本当に有り難う御座います

博士の予想は当たっているところもあるんですが、外れることの方が多い……私の世界線の博士は少し妄想癖が強いようです。

他の作品もあるので週2投稿くらいで行こうかなーと思っているのですが、それすら出来るか怪しいですね……今書いてる奴の原作設定が練られ過ぎてて難しいんですじゃあ……。
泣き言を言っても仕方ないのですが、こればっかりはどうしようもないですね……六導玲霞さん(ボソッ



それではまた、次のお話で。

続編があるとしたらどれが良いでしょうか?

  • GE3編
  • IFストーリー編
  • レゾナントオプス編

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