1週間続いた春季定期訓練のうち、1日目は中忍選抜試験の出場権を奪い合う鈴取り合戦。結局のところ、オレたち首席ドベ混成スリーマンセルが2番手で、1番手がアマツ達。
翌日である2日目になると、先生は俺たちに忍界大戦での記録をホワイトボードに書きながら、辛そうだけど仲間を亡くした時の話をしてくれた。片方だけしか瞳は見えなかったけど、心なしか涙の膜が張っていたように見えた。サスケはそんな師匠の姿に戸惑いつつも、カカシ先生が『英雄だ』と称える人物が『うちは』の姓を持っている事実に感動していた。3日目には、その状況で自分ならどうするかを学校内にある小型演習場で実演を兼ねて議論しつつ実戦演習をした。その翌日はまた講義、翌々日は実戦と、ためになる訓練の繰り返しだった。あまりのショックに泣き出すスカウト人材の女子もいたけれど、カカシ先生は「今のうちに沢山泣いとくんだよ」と言っていた。サスケはそんな師匠を見て「気持ち悪いくらい優しいな」とか言ってた。
春季定期訓練が終わると、アカデミーでいう『普通の生活』というものが始まった。一年生が春季定例訓練で幻術を題材にしていた間、2年生は『水上チャクラ歩行訓練』。1年生で習得した筈の水上歩行の技術を大幅に向上させれるが死ぬほどキツい訓練だと、日向ネジ先輩が言っていた。1週間振りに顔を合わせた日向ネジ先輩は多少ピリピリした雰囲気を纏っていたものの、1週間前とほとんど同じだった。日向先輩はヒナタを嫌っているけど、男女の学生は学年が違えば食堂で一瞬位しか顔を合わせないので何も起こらない。訓練で何か思うところがあったのか、日向先輩は少しだけ、俺に日向宗家についての話をしてくれた。宗家と分家の関係、簡単な歴史、軋轢。これまでヒナタから聞いた事があったが、分家の当事者から聞くのはなんだか新鮮だった。もし俺が火影になれたなら、こういう憎しみを次世代まで引っ張るような真似はさせたくないと思った。そうすればヒナタも妹も、ネジも、日向一族の分家も宗家も関係なく笑い合えるようになれるだろうと願っている。
5月に入ると、ゴールデンウィークがやってきた。2・3年の先輩方は実家に帰れるけど、オレたち1年生にはまだそんな権利がない。だから、特に何も言うことはなかった。6月になったら、2週間にも渡る初の3学年合同長期訓練が行われると決まっているからだ。所属する学生部隊で異なっているが、オレたちの今年の行き先は『波の国』になった。波の国から帰ってからは、2か月半の夏休みがやってくる。夏休みには任務に修行だけではなく、家族と過ごす時間が得られる。
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この学校には『学生隊』という部隊が存在している。この学校は現場指揮官を育てるために存在していることから部隊運営について学ぶために設置されている。1部隊につき、1学年30人。つまり6部隊あって、中でも第1部隊には名門旧家の子供たちが集められている。うちはサスケと日向ヒナタは勿論、猪鹿蝶の3家、犬塚家・油女家からも。扇城家と星宮家も『”準”血継限界』という扱い。そういった一族や家系出身者じゃない者は全員が全員、とびぬけて優秀な学生たち。その最たる例だと俺が思うのが、二年次から医療忍者課程に入るだろうといわれている春野サクラちゃんだ。サクラちゃんは父親こそ中忍である忍者家庭出身だが、そのチャクラコントロールや知識は幼少期から英才教育を受けてきた奴らを上回る実力がある。どうして俺がいるのかというと、俺は人柱力だからだ。人柱力は国ごとのパワーバランスに関わる、戦争への抑止力のような存在だ。後から聞いた事だが自来也先生の意見もあり、人柱力として力を制御する方法を学ぶべきだとして優等生と選ばれし血統の持ち主が揃う第1部隊に配属されたようだ。
サクラちゃんの言う”班”とは、戦闘訓練や野外訓練を行う際に組まれるスリーマンセルの事だ。俺たちからすれば、6月の2週間を一緒に過ごすだけではなく、卒業後もしばらくは一緒に任務をこなす可能性が高い者たち。頭が良くて強くてかわいいサクラちゃんは男子からの人気が高く、彼女と同じ班になりたいヤツが大勢いる。以外にもサスケの親戚、星宮アマツもそうだ。一方、男子で一番の成績であるサスケは名門旧家出身/血継限界持ち/イケメン/成績優秀と女子に好かれる要素ばかり持っているが男子からのサクラちゃん人気とは対照的に人気がない。オシャレ禁止な国立アカデミーを受けて合格するような女子たちは現実的な性格の持ち主ぞろいで、流行に流されるような子はほとんど見かけない。
オレたち1年生の1週間のうち、金曜日の1日は任務だ。木曜には野外訓練と戦闘訓練でしっかり集団戦と個人戦を叩き込まれ、火曜日と水曜日には習熟度別に忍術・体術・幻術・忍具の実技授業を受ける。月曜日は国語・数学・理科・社会の、毎週末に出されるレポートについて説明を受けるスクーリングデー。実は通信制なのだ、オレたちの受けている主要四科目って。月火の午後は軍事史基礎だとか軍事基礎といった授業がある。
ちなみに、ヒナタやいのといった血継限界や秘伝を伝える子たちの為に里が選定した一族内でも『中立的』『公平な視点の持ち主』『教え方が上手』といった構成員が講師として雇われる。ヒナタの他に白眼の持ち主はネジ先輩のほか、あと10人くらい3学年合わせていたっけ。
オレたちが受けていた5月のカリキュラムは、水の国や波の国といった水場が多い場所での戦闘に的を絞ったもの。カリキュラムの中には『砂漠地帯』『森林地帯』『火山地帯』など、学年が上がるごとにレベルが上がるけど気象条件や地形に合わせた戦闘の指導が書かれている。だから、忍術の授業で受けたチャクラコントロールでは徹底的に水面歩行術を訓練された。かなりのスパルタで、オレとサスケがいる上級クラスでは垂直崖登りまでさせられて大変だった。なんでも、初代火影様とうちはマダラが行っていた由緒正しい訓練だとか。本当かなぁ。
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なかなか大変だった5月のカリキュラムを無事に終了し、オレたち第1部隊の1年生は第1部隊用のブリーフィングルームにいた。ここブリーフィングルームはこれまで1年生には開放されていなかった。初めての任務兼長期訓練に向かうため、その準備をひとまず終えたから開放されたようだってばよ。オレ、結構頑張ったんだぜ!
カカシ先生から、今回の『任務』について説明を受けた。波の国で大きな橋を建築している男性、タズナ氏が護衛任務を里に依頼してきたが怪しい点があった。彼は全く国の現状について言及しなかったため、任務を聞く担当者が既に木ノ葉隠れがつかんでいる情報を話して真実かどうか問い合わせたのだ。結果、国に住む当事者から国の現状を聞くことが出来た。そして、何だか色々あってアカデミーの学生が現役部隊と共に任務として随行し、1週間の実戦研修を行うこととなった。
「こちらが、タズナ氏だ。総員起立、挨拶!」
はたけ上忍の命令通り立ち上がると、酔いどれの壮年男性が部屋から入ってきた。
「なんだ、制服着たガキばっかじゃねーか・・・!」
ちょっとムカっときたけど、オレは怒らない。
後で絶対後悔させてやるからな!!