木ノ葉教育戦国時代   作:宝石マニア

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ヒナタヤバイ


8 俺たちの7月

 第1部隊の交流戦出場者は1年生から扇城アマツ、鹿島ライカ。2年生は日向ネジ先輩、テンテン先輩。3年生からは諏訪先輩、八坂先輩。ちなみに1年生の補欠はサスケとヒナタ。ヒナタは補欠ということで、一生懸命に修行をしてきた。ヒナタは最近、八卦三十二掌・八卦空掌・柔歩双獅拳・八卦空壁掌・八卦双獅子崩拳という何やら漢字が難しい術を習得した。日向一族出身の若夫婦である、夫妻はどちらも医療忍者。医療忍者だから、同じく医療忍者を志すヒナタを劇的に成長させた。だからオレ的にはヒナタこそが1年生女子最強だと思うんだけど、鹿島ライカはヒナタの弱点が妹のハナビだと知っているからハナビに変化して動揺を狙い、勝利した。アザミが前に言っていた『卑劣のライカ』の意味が分かった。今、ヒナタは八卦掌・回天という日向一族の巻物で見つけた術を身に付けようと努力している。

 

 

 

 

                 ☆★☆

 オレたちの7月はとても忙しかった。6月半ばに波の国から帰ってきたと思ったら夏休みが始まって、オレは自来也先生がいないのでカカシ先生と三代目のじっちゃんについて修行と任務を頑張った。Dランク任務では別クラスであるアザミの班と一緒になったりして、かなり楽しかった。アザミがいるのは東部忍軍中学校だ。血継限界を発現していないから、普通校らしい。ヒナタたち、シマカルたちとも一緒に任務や合同演習をした。もちろんネジ先輩達とも。きつかったけど、楽しかった。カカシ先生じゃない先生たち――紅先生、アスマ先生、マイト・ガイ先生と、部隊長シャッフル任務もやった。これは紅先生のアイデアだったし、とても勉強になった。

 

6月最終週になると、カカシ先生も忙しくなったのでカカシ先生たち上忍師担当者じゃない人を部隊長にして任務に行った。

 

オレはこれまで直轄アカデミー初等部にいた時、学校の外にいる大人たちがとても怖かった。もちろん優しくて分け隔てなく接してくれる大人たちもいたけど、大部分は俺が『九尾の化身』『九尾そのもの』という認識が抜けていなかった。いくら火影のじっちゃん達が頑張ってくれても、大人たちは怖いままだった。学生忍者として任務に週1くらいで出ていたけれど、隊長はカカシ先生という俺に理解がある人。固定された『メンター』という役割で、カカシ先生は俺とサスケ、サクラちゃんを見守り色々な忍者としての知恵や経験を教えてくれる。そんなカカシ先生はオレに言ったのだ。

 

「ちょっとした独り立ちだよ」、と。

 

その言葉の意味がオレには分からなかったけど、任務についてのシフト表と”担当者”の名前がカカシ先生ではないという事実を見てようやく理解した。まだ差別とか迫害とか残っているかもしれないけど、オレはオレだけで何とかスリーマンセルの一員として頑張れると信じて貰えているのだろう。

 

すごく、嬉しかった。

 

 

 

 ドキドキしながらサクラちゃんとサスケと一緒に待ち合わせに行った時、オレはびっくりした。かつて俺に厳しい目を向け、いちいちカチンとくるような事を言ってきていた正直苦手なベテラン中忍から謝罪されたのだ。彼には同い年の息子がいて、息子さんは中央忍軍中学校に在籍している。放課後の忍軍属小学校用学童保育で一緒だった息子さんの方は俺と別に仲が悪いわけでも、良いわけでもなく、普通の衝突しないクラスメイトといった関係だった。

 

 彼は俺に「これまで君が”得体のしれない何か”を封印されている普通の少年だという認識がなく、九尾と同一視していたことを謝罪したい」と言った。学校を訪れていたフウレン先生は俺たちスリーマンセルが任務に行く寸前、「里の雰囲気が変わったよ」と教えてくれていた。あと、第4部隊でイルカ先生が担任するクラスにいるアザミも元気いっぱいだと。あまり会えなくても、友達が元気だと嬉しいってばよ!

 

 理由は知っている。里で流行している週刊少年誌で連載されている漫画で取り扱うテーマの幾つかは、『理不尽に立ち向かう』『自分の中に封じられた異物』『責任のありか』『得体のしれない”何か”』なのだ。学校関係なく、アカデミー内のPX(売店)には毎週のように漫画雑誌が並ぶ。その掲載されている漫画を読むため、最初は学生達のみならず教員や校内で働く用務員、調理師までもが列をなして週刊少年誌を求めた。今ではその事態をただ事ではないと里の教育部門が認識したのか、毎週月曜日になると本が欲しい人のためチェックをつける紙がそれぞれの学年やクラスの教室に回ってくるようになった。

 

 その週刊少年誌は最近、俺たちスリーマンセルのうち誰かが持ち回りで購入して回し読みしている。ある漫画についてサクラちゃんは「このカカシ先生みたいな銀髪のイケメン最強先生、結構好きね」と言う。サスケは「式神か・・・、俺も口寄せの術を身に付けたい」と言う。俺は「術も大事だけど、やっぱり最終的には物理で殴るのが良さそうだってばよ」と思った。カカシ先生は多忙なので、「俺、コミックス派だからネタバレ禁止!」と毎週のように釘をさすような事ばかり口にする。そして、カカシ先生は前よりも露骨にモテモテになった。まぁ、そうだろうな。自称”文学少女”のアザミも一度任務で一緒になったカカシ先生の事をガン見してるし、そういうことなんだろうな。アザミの男キャラを見る目線は捻じれてるし歪んでいる。

 

 

 2週間のうち、1度イルカ先生の部下として任務に行った。イルカ先生は他校の子たちとの交流が好きみたいで、アザミも一緒にその任務へと赴いた。アザミはイルカ先生に懐いている。学校でいじめられているみたいで、真面目に取り合ってくれる先生を尊敬してる。だから、その任務では諜報が得意なアザミは裏方で頑張っていた。

いつも優しいイルカ先生だけど、任務の都合で奉公人役である俺たちにパワハラ上司のフリをした時は迫力満点だった。先生的には思うところがあったみたいで、8月になったらみんなでバーベキューでもしようと申し出てくれた。イルカ先生と遊びに行くのはラーメン屋一楽以外では初めてで、すごい楽しみだったばよ!

 

 

                ☆★☆

 

 

 「マンガの力ってすげー!」と言いながら結構キラキラした5週間を過ごした俺にも、『6大忍者アカデミー交流戦』の『サポーター』としての出番が迫ってきている。相変わらずヒナタは大技の習得に余念が無いし、サスケはオレに千鳥と螺旋丸のぶつけ合いを挑んでくる。サクラちゃんはチャクラメスでの戦闘方法アイデアをマンガから探そうとしていて、それはオレも同じ。マンガって、一応火の国内でしか流通してないヤツがいっぱいあって、そこからアイデアを貰うのもアリだと思う。

 アザミは、夏休みに行われるらしい同じ趣味の人たちが集まる”夏祭り”に向けて何やら準備している。日々眠そうなアザミは「寝不足のせいで存在しない記憶が見える」と言いながら『ネタ帳』を手放さない。早く作業終わらせて寝ろよ!!

っていうか、何の祭り何だろうか。アザミは秘密だって言ってたけど、気になる。

どうやら里内のどこかが貸し切り会場らしいけど、何やるんだろう。

 

 

 

 

 7月最後の土曜日、俺たちは里の市街にある大人数が収まる講堂にいた。1年生全1080人と教師陣がまるまる収まるように設計された講堂の名前は『火の国 木ノ葉国防記念文化会館』。こうして忍者アカデミーの合同行事にだけではなく、申請を出せば民間学校や民間人も使用できる多目的ホールの集合体である。中には大ホール/小ホール、会議室、講義室、和室、リハーサル室、展示室、図書館、そして1ブロック離れて体育館がある。組織が再編された時、記念して建造された。立地しているのは公立と私立の民間人学校、国立附属一貫校がある文教地区といわれるエリア。地価が高いとか、家賃が高いとか、カフェのコーヒー一杯の値段が高いとかいう、ハイソな界隈。

 

 

「1年生のみんな!交流戦の日付をずらした意図に気づいている人もいるだろうが、僕、火の国国防省・教育部門顧問の三嶋フウレン特別上忍から説明しよう」

 

男性忍者としては小柄な、忍者とは思えない雰囲気の壮年の特別上忍の声はよく通る。

 

「明日から中忍試験本戦の受験者とその関係者、大名たちがどんどんこの隠れ里に入ってくる。つまり、警戒レベルを上から2番目にまで引き上げる。試験の前日までね。当日になったら最高レベルになるから、今日はまず当日の装備について話そう!」

 

 服装は夏の常装に加え、常装で出来る最大限の武装。学生忍者からすれば支給されている常装用ポーチとホルスターの中でも、最大容量の収納が可能なものを用意すればいいということ。普段は滅多に使わないそれらの出番という事で、入れる忍具のウエイトと量について考え直さないといけなくなった。

 

装備について一通り先生は話し終えると、一度背中を向けて水を飲んだ。そしてまた話し始めた。

 

「これは本戦がこの里で行われるにあたり、里内に確実に入ってきているスパイ達を分散させるために同じ日に交流戦を行うんだ。確実に何かが起こる事は確かだ。指揮命令は学生忍者用1号!学校に教員として所属する上忍を指揮官とし、里の治安を乱す者と戦闘する可能性が高い。心してかかるようにね!!」

 

 

「「「ハイ!!!」」」

 

「良い返事だね!」

 

 

こうして、俺たちの7月は終わった。

 

 

 

 

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