三代目火影、猿飛ヒルゼン殉職
風影 羅砂 重体
このニュースは忍界を駆け巡り、その中心地である木ノ葉隠れは喪に服している。
相手からは『木ノ葉崩し』、そして忍軍から見て『木ノ葉崩し防衛線』。
この作戦は中忍選抜試験の少し前に情報部隊によって察知され、怪しまれないよう試験は中止せず戦力を分断するため写輪眼の持ち主が出場する『交流戦』開催で妨害工作が進行されていた。この作戦以前より、かつて里を抜けた三代目火影の弟子の一人だった大蛇丸は暁の一員としてマークされていた。一人の優秀な二重スパイの活躍により作戦は看破されていたハズだったのだが。実際に阻止作戦を進行していくと、戦場の霧は思っていた以上に濃くて深かった。まだまだ改善するべき点が木ノ葉忍軍中央情報隊には沢山あったのだ。しかし音隠れと砂隠れの忍者による侵攻作戦の阻止は容易いものだった。一瞬にして戦時フォーメーションに切り替わり、けが人こそ出たが一般市民の死者と重体は出なかった。
また、風影の暗殺阻止そのものは成功した。緊急展開部隊を里外のロイヤルレイクホテル周辺に展開し、暗殺を防いだが風影自身は重体で集中治療室に入っている。どうにか命の危機を脱したものの、急変する可能性が高いので予断ならない。
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忍者アカデミーを医療忍者訓練生として中等部を卒業し、既に『校医アシスタント』という職を持つ高等科の中忍として第1部隊で勤務していた先輩である薬師カブトが拘束されたが暗部隊員に怪我を負わせて里外に逃走。俺たち学生は誰もが驚愕を隠せなかった。元々里がマークしていたが、実力を隠していたカブト先輩は拘束するために用意されていた戦力を凌駕する力を発揮して逃げたという。オレたちからすれば、小学校時代にあった忍者アカデミーの見学会で案内してくれた親切なメガネの先輩なのだ。驚くしかない。普段ならばオレたち学生の間では裏切り者のニュースで持ち切りになるんだろうが、それよりも重苦しいニュースが俺たちには伸し掛かっている。
三代目火影、猿飛ヒルゼン――火影のじっちゃんが大蛇丸というヤツの両腕を封印して命を落とした。
初代と二代目火影を穢土転生で蘇らせた大蛇丸は自来也師匠の元チームメイトにして、伝説の三忍の一人。じっちゃんは火影二人と自分の弟子一人を相手取って戦ったのだ。じっちゃんがもう”いない”というのは悲しくて言葉にし切れないけど、こうやって悲しめるという事は俺は”生きている”という事だから。
オレたち学生は正装である学校の制服姿でじっちゃんの葬儀に参列後、実家が壊れてしまったといった理由があるヤツ以外はまっすぐ寮に帰る事になった。オレ・サスケ・サクラちゃんの3人はというと、病院に入院している我愛羅のところだ。アザミが行くという、怪我をしているフウレン先生のお見舞いも一緒にこなす。
中忍選抜試験で観戦がてら呪印を刻まれたアマツを監視中だったカカシ先生だったが、突然始まった木ノ葉崩しに一瞬アマツを見失ってしまった。アカデミーに入ってから、まるで強くなる代償の如くどんどん精神状態が悪化していったアマツは何というか、いつも「認めて欲しい」と言っていた。もともとアマツは自分を認めてもらえるチャンスだと意気込んでいた交流戦に出場できなくなり、機嫌が悪かった。アマツはたまたま近くにいた大名の一人を守った事から戦闘に参加し、結果、我愛羅を暴走させた。
我愛羅は何故かオレの名前を呼び、助けれくれと叫んでいた。カカシ先生の指示に従い、オレたちは我愛羅を追った。途中でシノとも合流し、アマツのチームメイトである鹿島ライカと宗像ミサキも参戦し、対峙したのは里の中でも緑が深いエリア。我愛羅のお姉さんであるテマリさんとお兄さん、カンクロウさんが涙ながらに「あの子を助けてくれ」と言っていた。二人とも大した怪我じゃなくて本当に良かったけど、怪我をしていた。我愛羅は噂通りとんでもなく強かったから、俺は九喇嘛に戦闘をナビゲーションしてもらった。サクラちゃんのパンチが攻撃に邪魔になる木々を薙ぎ払い、その間を縫ってサスケの千鳥が炸裂した。テマリさんたちもサポートしてくれた。怪我をすればミサキが手当てしてくれたし、ヒナタ、キバ、ライカをアタッカーにして、シノとシカマル、いのがサポートをして音隠れの忍者を相手していた。少し遅れて我愛羅を追ってきたアマツはというと、ライカが不意打ちで攻撃して仕留めそうになったんだけど。1年生の学年上位勢ぞろいでの戦闘を続け、我愛羅が微妙に落ち着く気配を見せた時。あろう事かアマツが起き上がった。
チームメイトである鹿島ライカと香取フツミは責任を感じたらしく、俺たちに我愛羅の対処を任せてアマツの相手をすると言い出した。しかし、アマツの戦闘力はおそらく1年生どころか学生の中でも規格外だ。呪印が暴走しはじめ、ソレがアマツの体を覆いはじめた時。サスケはそちらに気をとられかけた。
ご丁寧にアマツはサスケに「俺と戦え」と指名を飛ばしてきたので、親切なサスケはそれを受けてやった。そうこうしているうちに、色々頑張ったオレたちは我愛羅を止めた。砂と音による木ノ葉崩しもいつの間にか終わっていて、三代目火影・猿飛ヒルゼンの訃報が届いてきた。
オレは目の前が真っ暗になった。
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我愛羅と病室で短い会話を交わし、拳を合わせ違う里の忍者の友達ができた。一人目は元霧隠れの白。どうやら我愛羅の父親である四代目風影、羅砂さんは状態がとても安定してきたらしい。一安心ということで俺と我愛羅は安堵のため息をもらし、テマリさんが売店で買ってきて病室に置いてあったチョコレートを一緒に食べた。これからの我愛羅の処遇はまだ分からない。でも、あの外交任務で我愛羅が見せてくれた笑顔を目撃して風影は何か考える事があったようだからそこまで悪くはないと信じたい。眠れないからとりあえず寝転がっているという我愛羅のベッドサイドには父親としての風影からの手紙があったから。それに、尾獣との関係も最初ほどは悪くないみたいだ。サスケは我愛羅と沢山話したがったが、看護師さんがそろそろ時間だと言うので軽く唇を尖らせつつもそれに従った。サクラちゃんは我愛羅に「どこか痛い場所とか違和感はない?」と優しく声をかけていた。面会時間が過ぎて病室から締め出されると、オレたちは病院を後にして、帰りが遅くなる申請を既に出してあるので安心して学校へと戻った。
明日、五代目火影に誰が就任するかの通達がある。候補は伝説の三忍の一人でオレの師匠、エロせんに・・・、自来也師匠。もう一人はサクラちゃんの師匠であり、医療忍者候補生課程を統括するばっちゃ・・・、いや、綱手様。自来也師匠と出会った時、そのつながりでタイミングが色々とばっちり重なって知り合いになった。最後の一人は上忍の志村ダンゾウという人。三代目のじっちゃんの同期らしい。俺、その人の事を知ってる。じっちゃんが生きていた時、じっちゃんの家で夜に会話しているのを見た。俺に対し、学校はどうだとか成績はどうだとか。そういった事を聞いてきて、表面上は普通に良い人かなと思ったけど。俺の直感が何というか、あまり仲良くしたくないと思った。物悲しくてドロドロした雰囲気を感じる人だったってばよ。どうして俺が上忍の人たちしか知り得ぬことを知っているのかと言うと、噂話からだ。以前から任務を受けるため受付に行くと、たまに上忍や特別上忍の人たちが雑談しているからだ。
「お前たち、もう遅いから就寝しろ~」
談話室で3人ぼーっとしていると、すっかり元気そうなアザミとミサキの2人を連れたカカシ先生がやってきた。1年生でいうカカシ先生、アスマ先生、紅先生、アンコ先生、エビス先生、月光ハヤテ先生といった合計6人の上忍または特別上忍の先生方はメンターという立場にある。その下に30人の学生が1個小隊としている。任務の際、先生方は必要に応じてスリーマンセル(班)、分隊といった少人数に分けるなどして行き先を決める。
「三嶋さんはもう大丈夫なの?昨日ずいぶんと消耗してたけど」
「大丈夫。寝ればすぐ戻るから」
「貴方ってすごく燃費の良いチャクラなのね。そういうタイプの人もいて驚いたわ」
「三嶋一族とその系統はみんなそうだよ。三嶋はもちろん諏訪も、守矢も」
女子同士で手を握り合い、ぶんぶん振っているサクラちゃんとアザミ。ヒナタとも同じ事してたな。アザミは幻術耐性が高く、カカシ先生が『幻術タイプ』と評するほど。けれどチャクラの性質が陽ではなく『陰』に偏って強いから、医療忍者には向いていないらしい。そんなアザミは稗田ミサキ、諏訪オカヤのチームメイトで普段から忍軍附属東部中学校の教育隊に所属して任務に当たっている。
アザミたちのチャクラは陰の性質だから、精神とか想像力とか、そういう力がものをいう。オレたちからすれば大人びていて冷静沈着な、カカシ先生たち大人とも対等の会話ができるインテリトリオだけど東部忍軍中学校では異質な存在らしい。三人そろって虐められていて、普段から反射神経の訓練と称して民間人からボールをぶつけられたり、トラップを仕掛けられてボロボロになっている。3人は弓道部の所属だ。そこでも性格のヤベぇ女の先輩に『血継限界(笑)』と馬鹿にされ、精神的にボロボロ状態。オレもフウレン先生に相談し、フウレン先生も頑張ったんだけど。アザミたちの同級生は全員、アザミたち『第77班』の敵。先生たちにいい顔をするため、アザミたちを平気でスケープゴートにするヤバいヤツ揃い。まさに全員悪人!
そんな地獄で過ごすアザミたちは精神力が鍛えられているし、1学期が終わる時点で『中等部卒業程度試験』に揃って合格するほど知識が多い。報告書を書くのがずば抜けて上手だし、精神状態がボロボロで得意苦手が激しい以外は幻術の素質タップリなスリーマンセルになっていた。
普段いつも偉そうにいじめてくる民間人の同級生と先輩たちが『助けて』と訴えてくるのを見て、第77班は何を感じたんだろうか。三人が揃って血継限界をほぼ同時に発動した。ミサキの喉は音波攻撃と幻術に特化していて、『止まれ』と叫べば聞いた者は極短時間の幻術がかかって足止めされる。オカヤは氷と刃を放ち、水蒸気を凍らせて真夏なのに細氷(ダイヤモンドダスト)を会場にいる者たちに見せた。アザミは何故か晶遁ではなく、諏訪先輩と同じ氷遁を発動させた。オカヤは分かるけど、不思議だった。母方の曾祖母って人が、諏訪軍団で土遁を扱う守矢氏族出身だって聞いてたけど。そちらにも氷遁の遺伝子ってヤツが入ってたんだろうか?遺伝子は不思議が多い。隔世遺伝とか、血液型とか、知らないとトラブルが起こる時もあるっていうし。じゃあ、正体不明なアザミの父ちゃんは諏訪軍団の人なんだろうって思った。
「ミサキ君。貴方も明らかに疲れてるわよ。あまり寝てないんじゃない?」
「うん・・・、寝られてない。ありがとう春野さん」
稗田ミサキは声を使って幻術を掛ける血継限界を持つ、3人兄弟の3男坊だ。兄ちゃんが2人いるんだけど、うち1人は3年生の稗田フタミ先輩。フタミ先輩はバリバリの武闘派、フタミ先輩より2つ上のカズキさんは更に更に武闘派。背が高くてイケメンで強くて、かっこいい先輩の一人だってばよ。武闘派な兄ちゃん達とは対照的に、ミサキは医療忍者養成課程にいるだけあって頭脳派。顔はよく似ているけど、中身は全然違う。そんなミサキたち稗田三兄弟は、技を不用意に出さないよう首に封印術式を刻んだおそろいの勾玉チョーカーを付けている。
猿田氏族の稗田という家は、大昔から芸能とりわけ音楽にまつわる家業を守ってきた。しかし戦国時代末期に村が焼け、住んでいた集落がある山が初代火影様とうちはマダラの戦いによって地形を変えられて滅亡してしまった。以後、猿田氏族で丸ごと里に移住してきて芸能を司る神社を再興した。だから、初代様に関しては里に受け入れてくれた感謝と山を吹っ飛ばされた悲しみが半分半分くらいらしい。
ミサキは中忍選抜試験の日、アザミたちと共にスタジアムでの作戦に参加していた。カカシ先生の指揮下に入り、覚醒したばかりの血継限界を最大限に活用して。稗田一族の作詞作曲チームが作曲した歌詞を使ってアザミとオカヤの戦闘支援を行っていた。声が枯れるまで戦い抜き、兄ちゃん達にのど飴をうがい薬を押し付けられてたな。忍軍医療部が処方したヤツだから、オーダーメイドじゃないけど効果が高かったらしい。手違いでエナジードリンクを3本飲まされて昨晩はヘロヘロだった。
「あの・・・、みんな。ばあ様がお菓子焼いたから食べて」
アザミが先ほどから持っていた袋から、三角形の包みを俺たちに渡してきた。
「・・・ありがと、アザミ。また明日な」
「うん」
「おやすみ、みんな」
「また明日」
アザミから手渡されたものは、俺とサクラちゃんには林檎パイ。甘いものが基本好きではないサスケにはキッシュだった。キッシュは甘くないパイの一種で、ほうれんそうとかベーコンが入っている。夜10時にもなるけど、お腹がすいていたので迷わず口に入れた。美味しかった。
サクラちゃんは「どうしよ、食欲に負けちゃう」と言いながらも完食。明日の午前中に終業式があり、午後から夏休みが開始される。
予定よりも半日早く俺たち学生忍者は夏季休暇を迎えることになった。
☆★☆
『五代目火影の座には初代様の孫娘であり、医療忍術のスペシャリストである綱手様が就任される事に決定しました!拍手!!』
ワーイ、パチパチ! おめでとう綱手様!!俺ら学生の頭の中は空元気だ。
講義室内では張りのある大きな声で三嶋フウレン先生は俺たち学生に呼び掛けていたけど、先生は俺たちスリーマンセルを午後一番に執務室へと呼びだした。建物の外ではセミがミンミンミーンと能天気に鳴いている。うるせぇ、とか、これまでは思ってたけど。センチメンタルな気持ちになっている俺ににとっては、「あいつら頑張って生きてるんだな。生きてるって素晴らしいな」と思うようになった。
「彼女は今現在、里内にいない」
「ええー!?」
サクラちゃんを横目で見ると、俺たちの中では一番驚いている。
「だから、君たちに任務を依頼したい。綱手様の居場所は判明してる。短冊街だ」
「・・・どうして俺たちなんですか?」
「良い質問だね、サスケ君。まずナルト君の師匠は自来也君、サクラちゃんの師匠は綱手様だから、かな。ナルト君は久々に師匠に会いたいっていってたから良いかなって。それにサクラちゃんは彼女の弟子の一人だから、帰ってきてくれる交渉に乗ってくれやすいかなって。最後にサスケ君には、どうしても会って欲しい人たちがそこにいるから。びっくりすると思うよ?楽しみに待っててね!」
任務名:五代目火影・綱手姫の里帰還要請 任務ランク:C
任務先:短冊街
任務内容:綱手姫の五代目火影就任に伴う里帰還要請の書類を届ける、および帰還時の同行
参加者:カカシ小隊 第7班 うずまきナルト うちはサスケ 春野サクラ(医)
指揮官 自来也
服装指定:一般学生の夏休みを思わせるもの
備考:任務以外の時間には修行のほか課題、観光を行ってもよい
節度を持って行動すること!
★★★
『星宮アマツの野望』
かつて、戦国時代に千手と共に名を馳せた瞳術使いの忍一族”うちは”。俺、星宮アマツはそんな一族から『弱者』として切り捨てられた者が立ち上げた職人一族の血を引く女性から生まれた。戦国時代。それは強者のみが認められる時代だった。現在よりも女性の忍者が少なく、代わりに裏方として戦場にいく男たちを支えて分業してきた。人間には色々な得意苦手がある訳で、その点に関しては男女関係ないと俺は思っている。
うちは一族には戦国時代から里創設期にかけ、マダラという歴代最強クラスの頭領がいた。マダラは初代火影である千手柱間とライバル関係にあり、様々な事情から一族内で信頼を失い、里を抜けた末に終末の谷で千手柱間に殺された。
その男にかつて、母方の扇城は見捨てられたのだ。
扇城一族は今でこそ扇やうちわを生産する職人を束ねる世界的大企業だが、里が創設されて民間人が集まってくるまではうちは一族が用いる武器の整備や生産を担っていた。戦うと弱いのは先祖たちも承知した上で、それでも庇護してくれる本家に報いようと努力したのに。俺たちは本家に存在をちゃんと認めてもらいたかった!戦国時代だから、武器を整備するには戦場まで随行しなければいけない長期遠征も当然ある。そんな時だったのだ。うちはマダラを総大将とし、千手一族とその連合氏族と戦った時のこと。非戦闘員とはいえ、戦場に随行する扇城一族の人間は戦場にギリギリ出せる程度の修行を受けることが必須だった。戦場にいるから、攻撃される可能性がある。これを分かった上で、俺の曾祖父や高祖父たちは随行した。当然攻撃されてしまうワケで、動けなくなるような怪我をする事だって覚悟していた。当時の親族の誰かが怪我をして足手まといになってしまった事をきっかけに、扇城はうちは一族の中から居場所を無くした。その少しあとに二つの氏族は同盟を結び、初代火影である千手柱間が里を興した。扇城一族は色々あったけど他業種の職人集団とは仲良くしていたから、知らん顔をして里の職人として里に住み着いた。
これが、職人集団であり企業である『扇城一族』の成り立ちだ。
中でも忍者としての才能がマシな奴は写輪眼を開眼する可能性がそれなりにある事が判明し、戦場に随行していた。
職人としての一派はその後、忍との兼業をしてきた。本家筋は今でもかなりの確率で写輪眼が出る。忍の才能自体は高い。うちは以下だが、精神的には落ち着いている。木ノ葉隠れからしたら、写輪眼持ちを最前線で運用できて万々歳。
一族の者が働く工場には古い『打倒マダラ』と書いた紙が貼ってある。多くの人たちはソレを会社が公表している『マ 真面目を馬鹿にすること』『ダ ダラダラすること』『ラ 楽ばかり求める事』の略だと思っているが違う。
本当は、うちはマダラがずっと許せなかったから。
扇城一族は忍界大戦中、警務隊を任せられているうちはの代わりに前線に少数のうちはの者と共に出ていた。似通った容姿で騙し、写輪眼の幻術で精いっぱいの努力をし、里の仲間たちが突き進む道を開拓して死んでいった。星宮の本家筋もそうだ。写輪眼を片目だけ発現した者が相当数いた。前線でのうちはを庇った戦死は当時は名誉だったんだが、後の滅亡によって俺たち扇城と扇城と婚姻を結んだ星宮一族は無駄死にだったんじゃないかと思うようになった。
8歳の時にサスケと一緒に『うちは事件』に居合わせ、俺は写輪眼を開眼した。うちは一族が滅亡するまで、うちは一族頭領であるフガクさんとその長男であるイタチさんは両親と折り合いが悪い俺によく関わってくれた。姓も違うのに。
うちはの頭領一家から、どのくらいのレベルかは分からないが、俺は愛されていたと思う。そう思いたい。俺はイタチさんと頭領夫妻から褒められたかった。俺が次男であるサスケよりもずっと褒められたかった。
オレは元々、忍者一族である扇城本家のくのいちである『魔眼のアズサ』こと扇城アズサと、『幻惑のユウセイ』と呼ばれた鹿島の宿敵で里中から危険視されて一部からは迫害を受ける星宮一族の生き残りである星宮ユウセイとの間に生まれた。子供を2人作っておいて愛人関係だったらしい。兄カガセは5つ上で、もういない。母はオレを出産して亡くなり、父は九尾事件で死んだ。それで、祭祀を司る星ノ宮神社に代々奉職する星宮本家に引き取られて育った。星宮の両親は元忍者だが業界にトラウマがあるらしく、年齢の離れた『姉』と『両親』は忍者を目指す俺と兄に忍者を諦めさせようとした。そんな両親でもやはり、死ぬと悲しいもので俺は写輪眼を開眼した。星宮本家は全滅したため、代わりに本家筋の分家筆頭格の家庭が宮司をする事になった。しかし忍者が苦手なのは同じなようで、忍術に関する道具や巻物を俺に全部押し付けてきた。存分に有効活用させて貰ったが。
俺とサスケとイズミさんは世界的企業『扇城屋』のCEO一家に引き取られた。不安定なオレに対し、CEO夫妻は無理して忍者を目指さなくても良いと言った。サスケは一度忍者を諦めそうになったが、教育係にして世話係の扇城タイキと接するうちにまた忍者になろうと決めていた。はたけカカシの影響もある。
オレについたのは、扇城ハルキ。鹿島と扇城の血を引く写輪眼開眼者で、星宮出身の母親に育てられたという背景を持っていた。だからか、オレにとっては最高の理解者だった。修行を見てくれて、オレをサスケよりも強くしてくれた。CEO夫妻と話すのが苦手だったので、代わりに伝えてくれたりもした。だから彼には心から感謝している。そしてもう一つ、扇城ハルキは知り合いを紹介してくれる事になった。
フガクさんたちが死んで、しかもはたけカカシが弟子にしてくれず、無力さに絶望して泣いていた俺に関心を持ってくれた『根』のトップ、志村ダンゾウ上忍だ。どうやら、忍者一族としての星宮と昔から交流があったらしい。それに、オレには父方由来で志村一族の血が流れているそうだった。だからオレに親近感を持ち、剣術を鍛えてくれた。ハルキと一緒に、オレを強くしてくれた。
オレが兄カガセへの復讐に燃えるのを、CEO夫妻もタイキも、はたけカカシすら止めようとしてきた。被害者であるサスケとイズミさん、星宮一族の者たちでさえ止めようとした。班員だったアザミとミサキも、『アマツ君のやり方、間違ってるよ!』と言ってくる。オレは力を求めていた。あの双璧をなす天才・星宮カガセ、うちはイタチを相手取って戦って勝てるような強さを。
CEOも、里も、俺の想いを知ろうとさえしてくれない。
でもダンゾウさんは違ったし、CEOも俺をほめてくれた。
俺にはもう、ダンゾウさん直属の暗部としての内定が出てる。大変だった修行の成果だ!!
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俺が通い、卒業したのは忍者養成を主な目的とした木ノ葉忍軍火影直轄忍者アカデミー。男子部と女子部がある。初等部は教育制度改革時に設立された学校で、うちはが滅亡する前には迫害がないという事でうちはの男児も通ってきていた。仲のいいクラスメイトに神社の息子である稗田ミサキがいて、俺のチームメイトになった。当然サスケもいたが、俺とサスケは顔が少し似ているからかなり仲が良かったと思う。うちはが滅亡する位まではいつも一緒に遊んでいたし、右隣にサスケ、左隣にミサキ、真ん中に俺という組み合わせで昼食を食べていた位だ。ミサキはチャクラの扱いが繊細で上手い。しかも幻術をかける声の血継限界を持っている名家の生まれ。併設校に、女子部。そちらには日向一族・山中一族といった名門旧家の女子が在籍していて、小学校時代は俺のチームメイトだった紅一点の三嶋アザミもいた。アザミはチャクラの燃費がずば抜けて良いという特長を持っていた。彼女は少しも冗談を言わない所が良い子だ。祖父は三嶋フウレン特別上忍。女だから次期頭領ではないとはいえ、男系家系には少ない女子だからとても大切にされていた。器用で頭脳派の精神医学系医療忍者を志すミサキ、決してバカではないけど不器用ゆえに脳筋戦法になるしかないアザミ。二人は家で厳しく英才教育されていて寝不足な俺に対していつも優しい言葉をかけてくれた。サスケも俺も、イタチさんという共通の人に憧れを抱いていた。
俺たちが低学年じゃなくなった学年の年、うちは一族が何者かによって殺されてから俺の世界は色を変えた。カガセ兄さんとイタチさんは里を抜け、CEOは『君は忍者にならなくてもいい』とか言い出した。以来俺は扇城一家とサスケに苛つきっぱなしだ。メンタルケアを受け、俺と同じかそれ以上に「イタチさんに復讐してやる」と息巻いていたハズのサスケはすっかり丸くなってしまったからだ。同時にはたけカカシという伝説的に強い上忍が師匠になって、俺も弟子入りを志願したけど「二人に一気はちょっと無理」と断られてしまった。そんな時だった。俺の世話をしてくれていた扇城ハルキの知り合い、ダンゾウさんが泣いていた俺に声をかけ、修行をつけて下さるようになったのは。
俺は感情を殺す方法を教わったけど、ダンゾウさんは他の暗部と同様にしなくて良いと言った。何故なら、暗部が全員そうだったら誰が暗部なのかすぐに分かってしまうから『少し違うタイプ』の人材を用意すべきだからだという。ダンゾウさんも手練れだから、俺につけてくれる修行は相当厳しいものだった。俺はサスケよりも優れているけど、申し訳ないが作戦上サスケの次席につけるポジションを保ってくれないかとダンゾウさんは言った。俺がサスケに複雑な感情を持っている事も気づいていて、いずれ解放しても良いからアカデミーに入学するまでサスケと親友関係を続けろと言った。そして、同時に人柱力のナルトや稀少血継限界を持つアザミ・ミサキとは仲良くし続けろと言った。
作戦を遂行するためなら、感情を殺せる。
俺はやってやろうと決めた。
初等部を次席で卒業したあと、俺はサスケ達と同じ直轄アカデミーの中等部たる中央忍者学園に入学した。入学すこし前、俺はダンゾウさんと一対一で話した。最初に、これから俺は下忍になるのだから、ダンゾウさんを『志村上忍』と呼ぶように言われた。それは当たり前のことだ。二つ目は、俺には心のまま生きて欲しいということ。三つ目が、俺にうちはサスケの様子を記録する業務を申し付けるということ。この時点で俺の心は踊っていた。そして四つ目。俺に、イタチさんのように『里外任務』を依頼するということ。大蛇丸という伝説の三忍の一人が暁という組織にいるから、彼のもとへ行って強くなれと。それもまた作戦のうち、里はちゃんと分かっていると。俺は機密に触れていることに驚いたと同時に、嬉しかった。CEOもダンゾウさんと話し、俺がダンゾウさんと交友関係がある事に対して何故か激怒していた。
アカデミー入学後、俺ははたけカカシが率いる1年生の訓練小隊に配属された。サスケ、春野、うずまきのスリーマンセルが7班。俺、鹿島ライカ、香取フツミが4班。俺は様子を見て、心に中の鬱憤を解放してサスケに対する接し方を変えた。サスケは悲しそうだったし、ライカとミサキは俺を諭そうとしてきた。俺のチームメイトは、お前ら本当は成人してんのか?と言いたいくらいに精神年齢がやたらと高い。のほほんと修行しているサスケに対し、俺のイライラは最高潮に達した。うずまきナルトは元気一杯な良いヤツだし、春野サクラは優秀な医療忍者候補生。4班と7班は少し似ている。サスケを突き放す態度を取っていると、訓練小隊の隊長であるカカシは流石に困っていた。もっと困れよ!と俺はムキになった。
そして、時を同じくして俺は『親友だった』二人に苛つきはじめた。
アザミは流石にもっと戦えると思っていた。だって稀少な血継限界・晶遁を持つ『血晶のフウレン』の孫娘だ。アザミは晶遁を使えなくて、俺はアザミを学校合同演習で「使えねぇ」「ざぁこ!」と罵った。成績時代は優秀だ。数字に弱いが文系分野はすげぇ賢い。チャクラコントロールは抜群で幻術に優れ、忍具が苦手で忍術は平凡だが、体術は結構強い。不器用過ぎて印を結ぶのが苦手過ぎる。で、眼が死んでいる。昔は本当に仲が良かったと思う。大人びていて、達観していて、星宮家で上手くやれない俺の話をいつも聞いてくれていた。何より蜻蛉取りが上手かった。
俺がどんなに責めても目が死んでいるのは変わらず、事務的な優しい態度を少しも変えない。少しきつく言うと過呼吸を起こすし、パニック障害があって忍者が務まるのかと言うと完全に目から光が失われた。それでも、表面上はとても優しい女だった。地味すぎるほど地味なメガネっ子だが豊満でスタイルが良いし、何だか母性を感じる。許嫁の鹿島ライカが鮮やかに咲き誇る大輪の花ならば、三嶋アザミは湿原に咲くたおやかな薊の花。しかし棘があり、俺はとても美しいと思う。まるで遊歩道から手を伸ばしても取れない場所にある野生の花。
次にミサキ。血継限界で写輪眼ほどではないが幻術に特化していながら、それを戦闘に生かそうとせず後方支援で終わらせようとしている。それが、俺にとっては納得いかなかった。それにクラスが違うアザミばかり庇う。しばらくするとミサキも目が死んでくるし、しきりに俺にカルシウム摂取を奨めてくるようになった。やがては俺を可哀そうな子扱いするようになって、通院まで進めてくるようになった。
俺を怒らせたのはこの言葉だ。「写輪眼は脳に負担がかかるから一度診てもらおうよ」と。でも、優秀で優しくて『使える』ヤツだし。星宮一族の側からは薄く血が繋がった親戚ではあるから、思い入れがあって、仲良くしていきたいと思ってる。
最後に鹿島ライカ。
ライカは諏訪とライバル関係にある鹿島氏族頭領の年が離れた異母妹で、ツインテールがよく似合う優秀な美しいくのいちだ。強力な雷遁を扱い、印も得意で身体能力も高い。メスゴリラとか言われるが、そこが俺は美しいと思っている。物凄く気が強いし、すぐ「ざぁこ!」とか言うが口癖なんだろうな。実力と美しさ愛らしさがあるから許されるんだろう。俺も許しているが。
訓練に学校生活に、任務に、俺たちは駆け抜けてきた。そしてようやく、俺に出番らしい出番が巡ってきた。ロイヤルレイクホテルでの外交任務の時、大蛇丸が俺に呪印を刻む。それが俺の力となり、大蛇丸の目印になるとダンゾウさんは言った。
俺の事を見てくれない、サスケばかりを見るヤツらに証明してやりたい。
協力してくれる人が、応援してくれる人が俺にはいるのだ。
志村ダンゾウ上忍、伝説の三忍の一人である大蛇丸。そして養父であるCEO。
それまでは精々俺に掻き乱されろよ三嶋アザミ、そしてうちはサスケ!
あとカカシも!
あ、稗田だけはずっと笑っていて欲しいな・・・。マイベストフレンドだもん。
そう思っていた時期が、俺にもありました。
木ノ葉崩し作戦に関わる風影を暗殺して成り代わるタイミングを大蛇丸は失い、ヤケクソ状態で大蛇丸が変装している間に改めてロイヤルレイクホテル襲撃が行われた。時を同じくして大蛇丸の配下という保健室の先生をする医療忍者、薬師カブト中忍が一度捕まった。が、逃走。三代目火影である猿飛ヒルゼンの殺害には成功したが、大蛇丸は両腕を封印された。
俺は呪印の事でカカシにソレを封じる術式を書かれたが、その時にも色々あった。というより呪印があんな刻まれたら気絶する感じのヤツだと俺は知らなかった。最初のプランでは呪印を悟られないまま里に帰ろうと思ってたんだが。気絶したまま里に連れ帰られ、気づけば上半身裸でカカシに椅子に縛り付けられていた。だからふざけて「術式展開でもしてみろよ」と言ったら、結構ノリが良いヤツはニヤリと笑って封印術式を重ね掛けしはじめた。そして俺はまた気絶し、すっかりカカシの監視下に置かれてしまった。
中忍選抜試験の途中、ついに木ノ葉崩しが始まった。大蛇丸は結界を張り、三代目を相手取って戦い始めた。スタジアムには幻術がかけられたが、大蛇丸はこの里の忍者の能力を見誤っていたようだった。極端に幻術耐性が低い者以外、ほとんどが幻術返しですぐ目覚めて戦時編成に移行。予想以上に多くの音隠れの手駒である忍者を殺されるか戦闘不能にされ、スタジアムで木ノ葉隠れに歯向かえる者は結界を張る4人と大蛇丸、そして穢土転生された初代と二代目火影だけになってしまった。
俺はというと、攻撃が当たりそうになっていた富豪を助けたことをきっかけに我愛羅という砂隠れの人柱力を追跡することになってしまった。本当ならばスタジアムで俺を連れて行ってくれる予定だったんだが、仕方ない。怪しまれない行動に努めようと、俺が我愛羅を挑発したのも悪いしと、森へと誘い込んだ。後から追尾してきたライカとミサキ、フツミ。ミサキは相変わらず目が死んでいたが、俺はかまわず我愛羅と交戦する事にした。しかしライカは心を乱して隙を作る作戦なのか、俺をひたすら煽るような言葉遣いで話しかけてきた。いつもは愛らしいのに妙にムカついた。
ナルトたちスリーマンセルに加え、奈良シカマルと日向ヒナタの班が俺と我愛羅を止めるために追跡してきやがった。スタジアムの方では三嶋の禍々しいチャクラを感じるし、呪印の暴走が始まって苦しいし、散々だった。だけど。それも強くなるための苦しみ。どうせなら力を試してみようと思った俺は、サスケに「俺を止めてみろよ」と挑発した。結果、雷遁の『千鳥』というカカシと同じ技をかましてきやがった!
気付けばカカシの監督によって再び拘束され、中央病院のベッドに寝かされていた。
心配げに見てきたのは”湿原の花”アザミ、”最上級の牡丹”であるライカ。
そして、マイベストフレンドであるミサキ。サスケと春野もいたが、俺は春野はともかくサスケを無視してやった。お前なんか大っ嫌いだ!!
アマツは手のひらで転がされているだけです。
サスケにはなれません。
どんどん彼の手段とか目的がこんがらがっていくのを感じ取って下さったら幸いです。
次回から数話に渡り、『俺たちの夏休み』編が始まります。
サスケが少し救われると思います。
コロナの都合でバイトが週3になるので書き進みやすくなります。
前向きに・・・