木ノ葉教育戦国時代   作:宝石マニア

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ただいまを贈る、夏にしよう。
 出典:カルピス ブランド100周年


俺たちの夏休み その② 昼下がりの昼ドラ!

8月 第二土曜日

 

 ようやく面会が可能になって、俺・サクラちゃんの7班とアザミ・ミサキの『元4班』はサスケとイタチさんのお見舞いに行く事にした。俺はサクラちゃんと一緒に、アザミとミサキは二人でそれぞれお土産を買って持ち寄った。なぜなら、一緒に行くとお土産のバラエティーがなくなってしまうから。以前よりサスケは俺たちに対して何も聞いていないのにイタチさんについて熱く語るからイタチさんが甘いものが好きだとよく知ってる。

 

 

 俺とサクラちゃんはサスケのため、お煎餅詰め合わせを選んで購入した。アザミとミサキはイタチさんのため、オレンジピール入りのチョコレートとかいうお洒落なやつを買ってきていた。全員が私服で、そんな恰好で集まるのは久々だと笑いあった。

 

病室の前にやってくると、名札にちゃんと『うちはサスケ 様』とある。さっきカカシ先生のところに先に行ってきたけど、先生も元気そうだった。げっそりした表情ではあったけれど。

 

声を潜めながら、ドアをノックして一言。

 

「入るってばよ~!」

 

「・・・いいぞ!」

 

アレ、思ったより元気そうな声。

サクラちゃんの表情が明るくなった。ミサキもニコニコしている。

 

目の手術だからもっと大変な事になっていると思ったけど、包帯もなにも無いのは綱手のばっちゃんの腕前がすごかったからだろう。

 

「コレ、お土産だってばよ。お煎餅」

 

「ありがとうナルト、サクラ」

 

眼球を入れ替えるという大規模な手術という事は、サスケの瞳にあるのはイタチさんの瞳という事になる。前と違うような、同じような。

 

「何だか力が漲っているんだ。生命力を感じるような」

 

「良かったじゃないの、サスケ君。点滴かしら、それとも病院食のお陰?」

 

二人がラブラブしている間、ミサキはサスケの部屋に足りないものは無いか見渡している。すると。部屋に入った時には気づかなかったが培養液の入ったボトルがベッドサイドに置いてあった。そして、どんな処置をしたのか書いてある紙も。

 

「・・・へぇ、ふむふむ。ドナー(父 F)との眼球交換移植、か。実兄のIは急遽里に戻ってきた親族のSと交換。大成功、良かったね!当初の予定が変わったんだね。それで、この万華鏡写輪眼は?」

 

「それは?」

 

「母さん」

 

満面の笑みを浮かべ、サスケは眼球の浮かぶボトルを俺たちに見せてきた。

 

「これから悪用されないような処置をした上で、里内の秘密の保管庫に入れられる事になっているんだ。だから、その前に母さんと話しておきたくて・・・」

 

流石のサクラちゃんでも眉を一瞬しかめ、ミサキはちょっと引いている。

俺はちょっと驚いた。サスケがあまりにも子供みたいな表情をしていたから。

 

「良いんじゃない?」

 

でも、アザミは別に引いている様子はない。

元々アザミの死生観とか感覚は他のヤツらと微妙に違うからな、いつもの事だ。

 

「それから・・・、柱間(ハシラマ)細胞の移植って、まさか」

 

「柱間?初代様の名前よね。教科書で習う、色々と桁違いな木遁使いの!」

 

「そんな凄いモノが保存してある事に驚いたよ。一体誰の発案なんだ・・・」

 

ミサキは頭を抱えていて、アザミはそんな友人に対して「逆に怖い」と言っている。ライカは鹿島一族当主に呼び戻され、アマツは未だに入院中だからだ。

この”元”4班は物事に対して動じている姿を見た事がない。初等部にいた頃、アマツ・ミサキ・アザミはチームメイトだった。ミサキはいつも冷静沈着で真面目、だけどジョークも言うタイプ。アザミは割とちゃらんぽらんだけど冗談を言わず、諜報関係の時以外は嘘をつかない。バランスが取れている。

 

「楽しそうなところに水を差すのは悪いが・・・、三嶋。お前に聞きたい事がある」

 

「お前って言わないで」

 

アザミは呼び捨てされる事には最近慣れてきているけど、目上の人以外にお前呼ばわりされるのを極端に嫌がる。それは昔からのコダワリというヤツで、オレはそうでもないけど初めて同じ学校になったサスケはまだそんなアザミに慣れていないようだ。その代わり、アザミは誰に対しても大体丁寧な対応をしている。

 

「悪い。三嶋は写輪眼についてどこまで知っている?それから晶遁についても気になる」

 

「そうそう、そうだったってばよ。俺も知りたかったんだ!」

 

「それは・・・、私も話さないといけないとは思ってた。でも、写輪眼の事はイタチさんからまず聞くべき。けど、どうして情報をつかんでいるのかと晶遁については話せる。祖父から許可は貰っているから」

 

 三嶋一族は諏訪軍団と同盟関係を結んできたけど、諏訪軍団は鹿島一族からの監視が厳しかったから防衛戦しか戦国時代末期まで許されなかったそう。だから代わりに遠縁の親戚でもある『山の総鎮守』こと三嶋一族が諏訪軍団が外に攻め込む際の戦力となり、動いてきたらしい。三嶋一族の特徴は強靭な精神からくるチャクラの重要度と、圧倒的な燃費の良さ、反射神経、耳の良さ。自然界の全てが結晶を構成する原料というから、傍から見たら無限大にも思えただろうな。

 

 

 

「・・・精神的なショックで覚醒、ね。陰の性質って、そういう傾向があるのかしら。普段と違うチャクラの放出がトリガーとなって体に影響を及ぼすそうだけど」

 

「俺もそんな気がするぞ。写輪眼の歴史を顧みてみれば、正しいと思う」

 

サクラちゃんとサスケは陰の性質について話している。

 

「そういえば。三嶋一族以外の晶遁ってどこなの?」

 

「あと一人だけになってしまわれたけど、里内に紅蓮さんという女性が住んでる。あちらの方が有名だよ。三嶋と諏訪は社家の防衛力として引きこもってた一族だから」

 

 

「遺伝子の組み合わせで出る血継限界というと、扇城と似てるな」

 

サスケが頬杖をつきながらモゴモゴ言った。口からキャンディーの棒が出てる。

甘いものが苦手だけど、鬼鮫さんから貰ったから食べているそうだ。

 

「そうだね。私は割と彼らの事情は知ってるから、アマツ君の事でどうしても気になる事項があれば聞いて欲しい。力になれたらいいけど」

 

「じゃあさ、じゃあさ。扇城一族のなりたちを教えてくれってばよ!!」

 

「分かった。任せて」

 

 うちは一族の中でも写輪眼を開眼できない”落ちこぼれ”扱いされた、とある男。戦場に出す資格などお前に無いと切り捨てられた男は人一倍器用だったので、一族が使う武器などの整備を請け負うようになった。その途中で扇を製造するノウハウが培われ、やがて名門職人一族の跡取り娘と結婚して『扇城(せんじょう)』一族と名乗るようになった。うちはの男と跡取り娘から生まれた扇城一族はうちはと寄り添うように歴史を駆け抜けていった。一族の者は器用ゆえに何でもできたし、写輪眼がなかなか出ない代わりなのか精神的にはとても安定していた。うちはの落ちこぼれといっても武器専門家だから忍具の達人だったようだし、うちはに生まれてさえいなければ器用な忍一族として名前が通っていたかもしれない。

 

 しかし、精神が比較的安定していてなんでもできる一族の便利屋的立場になってしまった扇城一族には新たな試練が戦国時代中期あたりから課せられるようになった。うちは一族は特殊なチャクラによって写輪眼を開眼させるため、精神に異常をきたす者が多いとされる。便利屋扱いされた扇城一族は、うちはから出た精神的にイケナイ感じになっちゃった女性を押し付けられた。それから投降してきた一族から娘を和解の印に差し出されるとき、いつもイッちゃった精神状態の姫様ばかり貰った。扇城一族も一枚岩じゃない。だから扇城本家ほど『うちは』の血が濃い代わりに、精神状態がめちゃくちゃだったり、日常生活も儘ならないほど躁と鬱状態を交互に繰り返したり、または人格障害だったり、二重人格だったり、異常に好戦的だったりするそう。でも適度に薄いという分家はそうでもなく、思い込みが激しい部分はあるけど全体的に優秀らしい。それにイケメン美女揃いとして、「美人がみたけりゃ扇城」という言葉が作られたレベルだ。

 

俺の脳裏にアマツが浮かんだ。アマツって、どこの系統に生まれたんだろうか。

 

「あの・・・、変な事聞いていい?」

 

サクラちゃんが遠慮した感じの声で聞いた。

 

「なんでも」

 

「アマツ君って、扇城の本家筋なの?」

 

「そうだよ。うちはの他、戦闘民族で知られる『かぐや』の血が混じってる。でも野風ちゃんと微風ちゃん、他の先輩方は違う。でも正直・・・、血が濃すぎるかな。だから里の医療部は外部の人と結婚する事を薦めている。聞いてくれないけどね」

 

俺はアマツのほか、野風や微風、二・三年生の先輩方、それから里立アカデミーの訓練部隊にいる扇城出身者の顔を思い浮かべる。何だか最近変なアマツはともかく、他はちゃんとした人たちだ。きょうだいが多く、入院したりしている家族がいるって学校行事の時に言ってたっけ。

 

「うちは君」

 

「なんだ?」

 

「魔眼のアズサって、知ってる?」

 

アザミがそう言うとサスケは飛びあがった。

 

「・・・し、知っているが」

 

「アマツの母上殿」

 

「・・・ヒッ!!!」

 

取り乱したサスケに、サクラちゃんが戸惑っている。

 

「・・・扇城アズサは扇城で初めて万華鏡写輪眼を開眼した、上忍のくのいち。俺の父親も彼女について昔話していたし、墓参りをしていたが。恐ろしいエピソードばかりある女性だ。別名『クレイジーサイコ姫』。俺一家はそうとは思わなかったが、『うちはマダラの再来』とか『女版うちはマダラ』と呼ぶほど強かったそうだ。見た目も似ていたという。話を聞いた分では『うちはマダラ』のような芸術性を俺は感じなかった。うちはマダラの一部のエピソードしか知らない者たちがそう言っているだけだと思ったな。だが・・・、強くて最高に狂気的である事に変わりがない。アイツの父親、星宮ユウセイ上忍は里にいると恐怖を思い起こさせるという理由で里外での長期任務に就いていた。自刃されたが。まさか・・・、『魔眼のアズサ』がアマツの母親だったとは知らなかった。強いのも何故だか納得した。誤解して貰いたくないが、俺は扇城アズサの狂気に取り乱したんじゃない。9歳のころCEOがあまりにも恐ろしく戦場での姿について語るものだから、反射的にああなってしまうんだ」

 

サスケは話を始めた。『魔眼のアズサ』と温厚な星宮ユウセイ上忍の伝説的な狂気的『恋物語』を。サクラちゃんの喉がゴクリと音を立てた。女の子は恋バナ大好きな子が多いけどさ、あんま良い予感がしないってばよ!

 

 星宮ユウセイ上忍には幼少期から忍者にならない予定の許嫁がいた。そして異性だがライバルであり将来の戦友にもなるだろう幼馴染、扇城アズサがいた。どちらも血縁者であるが、それなりに血が遠いため色々な意味で安心できる間柄だったらしい。ミョウケン上忍は5つ年上の許嫁をとても愛していて、将来は結婚する気マンマン。一方でアズサ上忍とは性別を超えた友情を築き、もう一人の扇城一族の人と一緒にスリーマンセルを組んでいたそうだ。しかし時代は第3次忍界大戦。扇城一族の仲間が敵の毒がついた武器で傷ついて倒れた挙句、アズサに「お前に殺して欲しい」と言った。仲間であり、同じ血を引く同胞を亡くしたアズサは万華鏡写輪眼を開眼した。昔から一緒だったユウセイ上忍はとても優しい人物だそうだ。ユウセイ上忍は息絶えた仲間を背負い、戦場から連れて帰った。それがきっかけとなりアズサ上忍は『魔眼のアズサ』という異名を手にし、同時に仲間を介錯したアズサ上忍を糾弾しないミョウケン上忍に『堕ちて』しまった。戦場で尋常じゃないストレスに晒されたからか、脳から異常なチャクラが大量放出したからか、戦闘狂ではあるが理性的な女性だったアズサ上忍は狂気を芽生えさせた。

 アズサ上忍は昔からユウセイ上忍を愛していた。将来は結婚したいくらい好きだけど、出来ないから仲間として最大限に役立ちたいと望んでいた。戦時下だから好きな人は18歳になってすぐ結婚し、自分は『戦闘狂』として仲間から恐れられつつ戦場に立つ日々。アズサ上忍はユウセイ上忍を里内で常に居場所を把握出来るようにし、ついに犯行に及んだ。色々と限界だったらしい。ミョウケン上忍の奥さんから関係を疑われ、けっこう酷い事を言われていたそうだし。第一子であるカガセさんが生まれたのは、そんな時だったそう。カガセさんはアズサ上忍の秘密の子だたった。

 

 『13歳が聞くには早すぎる』手段で遺伝子を手に入れ、ユウセイ上忍の2人目の子供を妊娠すると戦時中にも関わらず彼女は里抜けを計った。しかしユウセイ上忍は追跡と結界術・封印術が上手。ユウセイ上忍はアズサ上忍を眠らせると里に連れて帰り、仲間としては愛してるので出来る限りの弁護を行った。結果彼女は患者として病院に厳重な幽閉をされてそこでアマツを産み、自刃した。

 

「・・・アズサさんのクレイジー要素って、どこかしら。今のところは彼女がかわいそうな女性にしか見えないのだけど」

 

「・・・最初はユウセイ上忍の奥さんから関係を疑われて嫌がらせをされていたらしいが、突如、彼女は持っている知識や技術を使って反撃を始めた。俺も最初はアズサ上忍がかわいそうだと思っていたが、元諜報員と現役戦忍の報復合戦は凄まじかったそうだ。結局、アズサ上忍は彼女自身が潰れる寸前に奥さんの精神を壊すことに成功したようだ。それまでには奥さんの昔の勤務態度だとか、隠していた恋愛遍歴・性的な遍歴まで全てを白日のもとに晒した。彼女がクレイジーと呼ばれる所以は、この徹底具合から。何故サイコと言われるかというと、彼女自身が奥さんを壊したのに、奥さんが壊れた事を悲しむユウセイ上忍を全力で慰めていたところだな。犯人から直接慰められていたんだ。それに、どこに行ってもアズサ上忍が自然な感じでいたらしい。そしてユウセイ上忍は『物理的に慰められた結果』第一子を授かった。そして、アマツを授かったのは回復してきた奥さんにカガセさんの存在がバレてから。白黒つければ良いのに、ユウセイ上忍は曖昧なままだった。」

 

「それでも、アズサ上忍はユウセイ上忍を一番愛していたのね」

 

「・・・結局ユウセイ上忍がド最低じゃんか」

 

「そうらしい。俺には理解できないが・・・、自分に隠れて許嫁が奔放すぎる生活を送っていた事実でさえも愛してしまえるタイプだったんだろうとCEOは言っていたが。やっぱり理解できない。過去の事かもしれないが、『アイツは戦場だから遊んでもバレない』なんて言う女性には同じ立場なら幻滅するだろう・・・」

 

扇風機からの風が生ぬるい。オレはふと外を眺めた。

 

夏の昼下がり、病室からは湧きあがる積乱雲と青空がきらめいて見えた。

短い命を謳歌するように鳴くセミたち、じりじりとアスファルトとコンクリートを焦がすような太陽。

 

ああ、夏だ。もうすぐお盆。じっちゃん、亡くなってすぐだけど魂だけでも帰ってきてくれるかな?

 

「て、天気予報でも見ようよ!もうすぐ花火大会があるし、ね!!」

 

気分を変えようとしたのか、ミサキが付けたテレビから聞こえてきたのは。

 

『この泥棒猫!阿婆擦れ!!』

 

上品な女性が派手な女性の頬をビンタしながら叫ぶ。

 

『あの人が愛してるのは私!あんたは政略結婚のおかざり妻なの!!』

 

派手な女性は上品な女性に掴みかかり、その長い髪を引っ張った。

 

『やめないか!』

 

そしてマヌケに登場する、空気の読めない渦中の男。

 

 

―――タイミングが悪すぎるってばよ。

 

(だな)

 

九喇嘛も同意見のようだ。

 

 

 

 

 

                ☆★☆

『うちはサスケの救済』

 

 どんな昼ドラも走って逃げていくようなドロドロ話をしていた病室にはもう、友人たちはいない。そろそろ時間だからと帰ってしまい、夏のかたむいてきた日差しが差し込むだけ。蝉の種類もアブラゼミからヒグラシへと切り替わり、8月半ばだというのに既に晩夏の気配が漂うようになってきた。

 

 俺、うちはサスケは閉じた自分の瞼に触れる。眼窩に収まっているのは父。うちはフガクの両眼。俺が今現在、重度の胃潰瘍で手術をして入院している兄から聞いたのは『あの夜』の事だった。兄と一緒にいた男、干柿鬼鮫は起き上がろうとする兄に対し、「お体に障りますよ」と優しく気遣っていた。犯罪組織かもしれないけど、暁にも優しい人はいるんだなと驚いた。何だか和気藹々とした空気が流れていて、まるで学校の先輩後輩のよう。実際、兄は鬼鮫を『先輩』と呼んでいた。

どういうつながりなんだろうか。

 

 任務に訪れた短冊街にて、俺はうちはの血を引く16人の子供たちと出会った。今はもう懐かしい顔立ちをした子供たちを見ているとやはり、今は里で力を持っている扇城/星宮一族とは違う雰囲気だなと思った。短冊街に来てから2日ほど、俺たちは五代目火影となる綱手様に会えなかった。シズネさんとトントンはいたが。でも用事が終わればすぐ来られるという事で、俺たちは3人で自来也様とシズネさんに修行を見て貰っていた。俺が教わっていたのは、ナルトが使う技である螺旋丸のチャクラコントロールを応用したトレーニング方法だった。ナルトはというと、螺旋丸の応用技をどこまでできるようになったか自来也様に披露していた。サクラはシズネさんに医療忍術とソレを応用した攻撃を学んでいた。シズネさんは上忍だ。上忍だから、穏やかなお姉さんといった印象とは違って相当な手練れのはず。俺も医療忍術の知識が欲しいと思った。短冊城は、伝説の三忍だったが里抜けをした大蛇丸という男によって壊された。

折角の文化財を!と、この話を病室で聞いた三嶋と稗田は相当怒っていたな。

あの二人は大の歴史好きだ。

 

 

 

 

 俺は明日日曜の昼過ぎに退院できる事になっている。でも兄――イタチ兄さんはまだ。最近は民間医療において技術の発達によって腹腔鏡も胃潰瘍の手術に用いられるようになり、昔よりも随分と負担が減ったそうだ。だが、医療忍術のチャクラメスを用いればもっと負担が軽い。俺は入院着の濃紺の浴衣姿で、衛生隊員が兄さんが今起きているというので病室を訪ねることにした。

 

「眠れないのか?サスケ」

 

「そうだ、よ。兄さんは、無理しないで寝てて」

 

そう言ってくれた兄さんの顔はまだまだ青白い。腕には点滴が突き刺さっていて、鉄分と栄養を補給しているようだ。ベッドサイドテーブルの上に、その旨を説明するプリントが置いてあった。

 

「ありがとう。まるで小学生の頃みたいだな」

 

 兄さんはこれからどうなるのだろう?と、俺は何故か聞けなかった。兄さんは犯罪者だ。暁という集団の一員で、忍界中から恐れられる程の。

 

「そうか。俺がこれからどうなるか知りたいんだな?」

 

「そうだよ。知りたいよ」

 

ベッドサイドに置いてあるパイプ椅子に腰かけ、持ってきた砂糖なしミルクティーをテーブルに置く。

 

「・・・お前には伝える許可を頂いているから、伝えておく。俺は一族を殺していない。だから里に戻り、あとは自来也様配下の諜報部隊『極光(きょっこう)』が任務を続行する」

 

「じゃあ、兄さんは味方なんだな。ずっと里にいるの?」

 

「そうだ。あと、扇城一族と星宮一族には注意しろ」

 

「皆彼らには気を付けろと言う・・・」

 

 これからは出来る限りシスイと共に里に留まると兄さんは言った。嬉しかった。あと、体が動くようになったら修行をつけてくれるという。俺はもっと強くならないといけない。兄さんの真実を里中に明かせるようになって、一族の名誉を復興できるまで。兄さんと肩を並べ、天国の両親が褒めてくれるくらいに強く。父さんと母さんは生前、兄さんを優しい子だと言っているのを聞いた。心からそう思う。

これから闇がだんだんと暴かれていくかもしれないが、強く気持ちを持て。

自分は自分だと、兄さんは俺に言った。

 

それから、土産物のオレンジピールチョコレートに向かって視線が時折向いていた。

兄さんは甘いものが大好きだからな。

 

 

「食べる?稗田たちが持ってきた」

 

「貰おうか」

 

(兄さんは変わったようで変わっていない。俺が兄さんがやっていない事を受け入れたことも、復讐心を持っていないことも、少し驚いてはいたけど受け入れてくれた。)

 

 

 知らないうちに蒔かれていた種が16も芽吹き、里に戻ってきた今。

失ったものは大きいけれど、俺たちが昔の悪かった部分を改善して再興していくという余地があるから気持ちだけは自由だ。『身内に敵がいる。常に備えよ』と、兄さんは暗号を書いた石をくれた。里は一つの家族だと、歴代の火影たちは言った。里結成前の血塗られた歴史は知っている。だからこそ今の平和はとても愛おしい。家族を疑いたくない。でも、なあなあは良くないと歴史は言う。理想を語るのも良いけど、俺たちは忍者だ。有事の際に国が振り下ろす拳そのもの。昔とは忍者もあり方が変わったのだ。傭兵組織ではなく、国に奉仕する軍事力として。

うちはもまた、国の力の一つ。

上下関係など今や無意味なんだ。

 

 




扇城アズサ 上忍 『魔眼のアズサ』
169センチ 55キロ Rh+AO型

星宮ユウセイ 上忍 『惑い星のユウセイ』
175センチ 68キロ Rh+AO型
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