木ノ葉教育戦国時代   作:宝石マニア

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そろそろ夏休みが終わり、新学期に突入します


俺たちの夏休み その④ 逆光!

 日焼けしなくて赤くなって痛くなるだけの夏の日差しに照らされている私は春野サクラ。バッチリUVカットの日焼け止めを塗り、麦わら帽子を被り、集合した先は『うちは一族の居住エリア』。手にも母が持たせてくれたUVカット仕様のアームカバーをつけ、虫よけスプレーを全身に振りかけて。準備万端だ。

 

「サスケくーん!」

 

サスケ君がかつて住んでいたという家の前で呼ぶと、サスケ君がドアを開けてくれた。

 

「サクラか。暑い中来てくれてありがとう」

 

 まずはお茶でも飲めと、サスケ君が私にキンキンに冷えた麦茶をくれた。

サスケ君は制服姿のいつもとは違い、ハーフパンツに”うちは”がいつも着ているあの独特の家紋がついた上着を着ている。もう来ていたらしいナルトが台所から、短冊街での任務の帰りに救助したイタチさんと共にスイカを手にして顔を出した。それから、あの大きい人。鮫成分高めの男性、干柿鬼鮫さん。彼はイタチさんの体調を気遣って室温と湿度に注意を配っている。

 

「サクラちゃ~ん、スイカだってばよ!」

 

「ありがとう、ナルト。これ頂くわね」

 

ナルトが持っていたお盆から一番小さなスイカを貰った。甘くて良いスイカだ。

 

「サクラさん。俺からも来てくれてありがとう」

 

「イタチさんまで・・・」

 

すっかり元気になったイタチさんは手術を必要とするほどの重篤な胃潰瘍も治り、瞳も馴染み、初代火影様から採取されて培養された細胞も根付いたらしい。最初に会った時には不健康そうで心配だったけど、今では色白は色白でも健康的な印象。

 

「日焼け止めいります?」

 

「使わせてもらおうか」

 

鬼鮫さんが扇風機を付けた。この人って本当に犯罪組織の一員なのかしら?

サメ成分多めなだけで、普通に面倒見の良い人って感じしかしないわ。

 

 

 

 

 

 本日の目的。それは綱手様から依頼された『任務』。これから何が起こるか分からないという事から、昔あの事件から放棄される形となっていた居住地から資料や武器を手に入れること。あのままで放置しておくのは危険だと、幼かった私もうすうす思っていた。それはサスケ君がまだ幼く、イタチさんは里を抜けていたから権利の関係が色々と複雑で手が付けられなかったらしい。三代目様も、先代である二代目様がうちはに対して行った政策を間近で見て聞いたから悩んでいたのだと思う。

 イタチさんが(色々あったけど)里に帰還して手を加える事を許可し、これまで仮の管理人だった扇城一族が『取り壊す』という選択をしたから、この住宅街に手を付けられるようになった。もうすぐいの達、シノ達別の班もやってくる予定。サスケ君は私に実家を見せてイタチさんと会わせたいという事で、約束よりも1時間ほど早く呼んでくれた。ナルトまで一緒だとは流石に思わなかったけど!

イタチさんはこれから変化をして、『学芸員の内田さん』として参加をする。イタチさんはまるで博士のように幅広く深い知識を持っている。本物の研究者みたいに。

 

 

 

「よし、カカシ小隊は全員揃ったな。これから打ち合わせをしたのち、作業に入る!」

 

「「了解!!!」」

 

 カカシ先生以下30人の小隊のほか、残り5つの小隊もここには集まっている。なんてったって、物凄く広い面積の場所を相手にするのだ。つまり180人、入院中の扇城アマツを除いて179人。第1部隊アカデミーの1年全員が来ている。

ナルトのように影分身が使える子ばかりじゃない。

 

 

 

 

 サスケ君は時折涙ぐみながら、イタチさんはそんな学生に寄り添う親切な学芸員を装いながら、サスケ君が生まれ育った本家の厳重な鍵の向こう側を探索している。私たちはというと、重要な歴史書の整理だ。かつての戦国時代の流れ、戦国時代にうちはの人たちがしていた服装、装備品、戦いの指南書、忍術の巻物たち。これらはカカシ先生やアスマ先生たちのような忍軍司令部から信頼されている上忍の人たちによって精査され、やがて木ノ葉忍軍全員の強さへと繋がっていく大事な品々。その辺りにあるのは収容前に読んでみて良いと学芸員の内田さん――イタチさんが言うので、私はうちはの頭脳派な人が分析して書き記した、初代火影様vsうちはマダラという里抜けして里を襲った抜け忍との戦いの本を手に取った。

 

「・・・ハァ!?何よ、何なの!?」

 

 超絶巨大な観音様を木遁で出す、初代火影様の技。その攻撃はうちはマダラと彼が口寄せした須佐能乎(スサノオ)なる技を纏わせた九尾の妖狐を、打ち倒したという。もっと遡れば、うちはマダラの華麗なる格闘戦、写輪眼の怖さ、それらが図解付きで載っていた。話はズレるがうちはマダラ、震えるほどのイケメンである。

 

「ちょっと、もう・・・、ヤダぁ」

 

 あまりにもレベルが高く、残酷な時代。一人一人のレベルが段違い。同世代らしき人に関する記録もまた、私は自分がとても情けなく思えるほどに。強すぎた。

 

「ど、どうしたのよサクラ!」

 

「私達さぁ・・・、こんなんで忍者名乗って良いのかなぁ」

 

あまりの情報量に、頭がグルグル廻っている。こういうのは良くない。

良くないって分かっているけれど!今すぐ修行したくなってきた。

 

「分かる、分かるわよ・・・!私も別の読んだけど、昔の人たち、強すぎて」

 

ヒナタも同意見なようで、うちはの人が日向一族について書いた本を抱きしめながら頷いている。ヒナタは日向一族の嫡子だから、昔から強くなりたいと言っていた。

 

「蘇ってこられたらぜってー勝てねぇよ、あの人たちはよ」

 

「最悪の事態を予測するのは良い事だと思うぞ、キバ」

 

「私たち、どうしたら・・・」

 

キバ・シノ・ヒナタの三人は腕を組み、考えている。

 

「もし蘇ったら、つったって。それ程の使い手が存在する事実がネックだな」

 

「伝説の三人の一人、大蛇丸・・・」

 

「いつか僕たち猪鹿蝶トリオも対抗できるかな?」

 

周りを見渡してみれば、同級生たちの殆どが同じ状態になって膝を抱えていた。

 

「お前ら、何してんだ?」

 

サスケ君の声にそちらを見れば、逆光に照らされたその姿があった。

その背中には刀が二本あって、うちは一族の持ち物だとすぐに分かって。

あまりにもしっくりきているから。うちは一族の人たちは資料によれば、刀の扱いがとても上手だったようだ。これからサスケ君は剣術を学び始めるのだろう。新しい力を手にしたその姿が夏空のように光って見えて、私は思わず目を擦った。

 

「ちょっとね。昔の記録があまりにも刺激的で驚いてたんだ」

 

同じ医療忍者養成課程のミサキ君が、いつも通り余裕そうな声でサスケ君にそう返した。ミサキ君はとても優秀だ。皆がイメージする医療忍術ではなく、喉に宿る血継限界による幻術によって戦い、心を癒す。尋問にも使える技でもあるから、それを生かそうと頑張っている。三嶋アザミちゃんの親友の男の子だ。

 

「そうだな。本当に、強いヤツばっかりが記録の中にいる」

 

でも、それはもう過去の話じゃない。これから教育部隊によって内容を検証・精査されてから、現代のものとして私たち世代の忍軍に戦闘技術や知恵として受け継がれていくものでもある。

 

「だが、これから蘇る。≪俺たち≫戦国時代を生き抜いた”うちは”の先人の知恵が里に何かを齎(もたら)してくれると俺は信じている」

 

 

 

 人は二度死ぬといわれている。一度目は肉体の死、二度目は忘れさられる事。サスケ君がご両親や一族の人々を亡くしたのは、今から5年くらい前の事だった。三代目様の死後、木ノ葉では情報開示のルールの関係で『うちは問題』について明かされる事が決定している。ずっと本当の事を知りたがっていた人たちもいたと思う。もちろん、あの事件について明かすのはまだまだ早いらしい。だから、初代様から三代目様の時代にかけての真実だ。本当はこんな事、一介の下忍でしかも13歳の学生である私が知る事じゃない。でもイタチさんは私に対し、「知っておいて欲しい」と言って教えてくれた。だから、私はうちはがどうして里の隅に追いやられてしまったり、警務隊をしていたり、迫害されたりした理由をもう知ってる。

本当はイタチさんが一族を殺害していない事実も、これから発表されるだろう衝撃の事実も、既に知ってる。里が一度はひっくり返りそうな事実だった。

 

 

 おそらく、このうちは居住区探索任務もそれにまつわる事だろう。サスケ君は私を家まで送ってくれて、両親はそれに驚いていて。でも、全く悪い反応じゃなかった。父は名家の生まれじゃないけど忍者で、母は一般人。私は別に忍者にならないといけない立場ではなかった。友達がみんなそういう立場にあるから流されてなった訳じゃない。春野家は忍者を出してはいるけど普通の家で、別にどうしても継承しないといけないものがある訳でもない。でも今日、サスケ君たちとうちは一族の住んでいた家々を整理していて分かった気がする。受け継ぐことの意味とか理由とか、喜びとかを。サスケ君は一族の人々が使っていた武器などを探し出して、学芸員の内田さん・・・じゃなくてイタチさんと一緒にダンボールに詰めていた。

同じ血を引く人たちの足跡を辿るように歩き回り、そこらじゅうを見ていた。お煎餅屋さんのレシピを見つけて涙を流し、料理同好会の女の子たちが「新学期に再現してみるね!」と言ってた。

サスケ君の口からは「シスイさん」だとか、後は聞き取れなかったけど、沢山の名前が零れていた。そこにいないけど、『いる』んだって思った。サスケ君はそんな人たちの存在を取り戻すように一軒づつめぐり、必要な品を家ごとに詰めていった。

 

 

夕焼けの中で話した事を私は反芻した。

 

『素敵な剣ね。何ていうの?』

 

『資料によれば、アメノハバキリ。こちらはフツノミタマというらしい』

 

『でも、錆びてるわね・・・』

 

『大丈夫だ。研ぎ直せばいい。俺もどちらかを使うだろうが、16人の子供たちの誰かが使うかもしれないしな。整備は万全にしておきたい』

 

 サスケ君は何だか短冊街以来、前よりも永遠を信じるようになったと思う。

単なるカンだけど。

お盆の前後にお墓で会った時もそうだったけど、笑顔が何だか柔らかくなった。

あまり怒らない方だとはいっても、やっぱり事件の事が心に闇の帳を下ろしていたんだろう。

イタチさんと再会した事でそれが消え去って、お盆にイタチさんとお墓参りをして、迎え火と送り火もして。送り火の帰り道の『振り返っちゃいけない』ルールもちゃんと守っていた。これまでも夏、サスケ君は何度も振り返っていた。何かしらの理由をつけながら、何度も何度も。無意識だなと思っていた。

 

 

本当の意味でサスケ君は前を向けるようになったって事だと、私は密かに思っている。

 

そういえば、今日は8月16日。山で大きな送り火が焚かれる事になっている。

だったら!サスケ君は本当に親族の方々に会えていたのかもしれない。

 

 

医療忍者の私がこんな事を言うのはなんだけど。

 

 

科学じゃ説明出来ない事って、絶対ある!

 

 

 




『頭脳派なうちはの人』=絵が上手で文才がある転生者です
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