転校生来たる・・・!
全員が1回目の試合を終えると、休憩をおいて2回目の試合が始まる。トーナメントだから当たり前だが。この中忍選抜試験は試合に勝つことも大事だが、『資質を見せる』ことが一番のテーマ。そのため、この時点で棄権するのも選択肢の一つ。派手に激しく戦闘していたサクラちゃんは棄権を選択した。でも、彼女をとがめる者は誰もいない。既に中忍になった先輩方の中にも、棄権という選択肢を選んで合格した人がいるからだ。
2回目の試合
対戦表
うずまきナルト vs 日向ヒナタ
奈良シカマル vs うちはサスケ
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うずまきナルト vs 日向ヒナタ
大好きな姉が、可愛い娘が、孫が心配なんだろう。日向一族の皆さんが両手を祈るように重ね、ヒナタちゃんとナルト君の試合を見守っている。ヒナタちゃんは彼氏でもあるナルト君が相手でやりにくいだろうが、対戦表が出た今も棄権しようとしなかった。ネジ君はそれを観客席から心配げに見守っている。
ヒナタちゃんは白眼を全開で、出方を窺っているナルト君とは対照的に積極的に仕掛けていった。ヒナタちゃんの内気さや大人しさをしっている私たち同級生はきっと全員が息をのんだだろう。ナルト君もヒナタちゃんの仕掛けてくる柔拳に対し、手を抜かず本気をぶつけているのが分かる。柔拳の掌底だけではなく蹴り技も使って、二人は高度な体術での戦闘を続ける。途中ヒナタちゃんの勝機が幾つかちらついたが、決着がついた。
スタミナで圧倒的な優位を取るうずまきナルトの勝利だ。
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奈良シカマル vs うちはサスケ
シカマル君は「めんどくせぇヤツが相手だな」と嫌がりながらも、先ほどのサスケ君vsライカの戦いによって変わった地形と倒木を生かして秘伝技を仕掛けた。サスケ君はサスケ君で、シカマル君の影真似の術で影を捉えられないよう必死に動いていたように見えた。自然現象や太陽の傾きを計算した動きに「まさかの奈良シカマルの勝利か?」というムードが観客席側に漂ってきた位だ。だが、そこは圧倒的戦闘力のうちはサスケ。見事なまでの高速移動と体術のゴリ押しでシカマル君を降参させてしまった。
た
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うずまきナルト vs うちはサスケ
最終戦にたどり着く頃には、太陽が傾きかけていた。寒くなってきたから帰る民間人が続出するかと思っていたら、意外とそうでもない事に驚いている。会場の四方に篝火が焚かれ、火のゆらめきが何とも表現しにくい雰囲気を演出しはじめた。イレギュラーのない中忍試験の穏やかさに私は拍子抜けした。観客として砂隠れの我愛羅君が姉兄と共に観客席にいる。テマリさんの隣にシカマル君がちゃっかり居て微笑ましい。
ここからはもう、壮絶だった。写輪眼と強い精神力、剣術と体術、螺旋丸と千鳥のぶつかり合い。観客たちは声を上げるのも忘れ、戦いの進行を見守っている。いや、見守る事しかできない。ヒナタちゃんもサクラちゃんも言葉が一言も出ず、いのちゃんはサイ君とそっと手を握り合っていた。いのちゃんの父親はそれに気づいているようだが、空気を読む事にしたのか無言だ。後でサイ君はどうなるかな?
ようやく訪れた静寂の末に、二人は同時に地面に倒れた。
「引分け、引分けです!」
審判が思い出したかのように叫んだ。瞬間、会場からは途端に拍手が響き渡った。
誰も座っている者がいない程のスタンディングオベーション。もちろん、私たちも拍手していた。
飛び降りていったカカシ先生が二人を抱き起こし、サクラちゃんもやってきて肩を組んだ。
マイト・ガイ上忍が「あれこそ青春だ!」と貰い泣きしはじめた。
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中忍選抜試験本戦が終わってから丁度2週間。試験が終わって警備任務が解散になってから、祖父と共にある氏族の集会場に呼び出されて後見人だという男性と引き合わされてから2週間。その男性は私がよく知る顔であると同時に、祖父にとっては教え子だった。亡き母チルヤよりも12歳下で、氷遁を行使する旧家出身の上忍。
『後見人』は生前の叔父と同じ顔をした、『串刺し公』こと諏訪ヤシマ上忍だった。
木ノ葉崩しが行われた前回の中忍試験の時、そこそこ戦えると判断された下忍が選抜されて動員されたのはまだ記憶に新しい。そのメンバーに私は選ばれて、第77班は初陣を踏んだ。精神的に衝撃を受けると血継限界が発現するという共通点を持った第77班は無事に血に流れる力を目覚めさせた。声をトリガーとする幻術に特化したミサキ君、氷遁を受け継ぐオカヤ君、そして晶遁を使う三嶋アザミのはずだった。
氷遁にはコツがいるので、実は精神的なショックは全く関係がない。三嶋の晶遁について祖父は「精神的ショックが原因だよ」と幼少期から私に言ってきたが、一言でいえばウソだった。私の父が誰なのか見当がついていて、それを確かめるべく私を進んで危険へと飛び込ませていったと祖父は言った。実は冒険心が強い祖父の影響なのか、私は生前からアドレナリンジャンキーと言われるほど危険なアトラクションを好んでいた。チャクラで身体強化が出来るようになるため、戦国時代の残滓が残った時代に少年時代を過ごした忍界に転生してきた祖父は私に相当ハードなチャクラコントロールの訓練を課していた。父親についての確信があったからこそ、我が子を崖から突き落とす親ライオンのように私を血継限界や秘伝家系の子供たちが集められる直轄アカデミーではない学校に入れた。
教育者である祖父は基本的に、教え子や子供が傷つくような教育の現場を心の底から嫌っている。しかし忍界に転生し、再び孫として生まれてきた父親不明の孫にとっての最善がハードモードの環境に放り込むことだった。私は順調に、下手をすれば生前以上に精神状態が闇堕ちしていった。生前も大概だったが。
祖父は孫の父親として諏訪の男を候補に挙げて観察していると当てはまったのが、生前の父親と同じ人。生前の父はなんと、妊娠した母を捨ててトンズラ。
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あのスタジアムで氷遁を覚醒させた私はイレギュラーな存在かつ、諏訪からすれば放っておけない対象だった。放置すれば、貴重な遺伝子が他家にばらまかれるのだ。血友病と同じ遺伝形式を取っているようで、『患者』は確実に保因者の娘と患者である息子を産む。諏訪軍団において、そういった女性は大切にされて次世代の母親、つまり母体となった。私もおそらくその目的で養成されるのだろう。
モヤモヤが止まらない。
「ハードな人間関係の学校に放り込んだ挙句、適切な時期に適切な忍術の訓練を積んでもらう機会をおじいちゃんはアザミちゃんに逃がさせてしまった・・・。もっと向こうと話し合っておけば良かったね」
頭を垂れて謝罪する祖父の手に握られているのは、三嶋から諏訪に向けた書簡である。それを私に渡して、あちらの頭領に受け取ってもらうよう言った。あと祖母から持たされたのは手土産として菓子詰め合わせ。
これから私は父方の姓を貰い、あちらの家に入る。父と叔父はなんと現当主の”叔父”であるらしい。ということは生前の滝川家には養子入りでもしていたのだろうか。ますますわからない。
「・・・頑張ってね。嫌な事があったらすぐおじいちゃんに言うんだよ。一族郎党で奇襲してやるからね」
「おじいさま・・・」
秋の雨が降りしきる中、父親代わりの後見人から差し出された傘には氷の結晶を思わせる梶の葉に足が4つ付いた家紋。顔を上げれば、生前は初恋の人だった尊敬する叔父と同じ顔と心を持った人。
「行こうか、アザミちゃん」
生前と同じように叔父は人懐こく笑うと、祖父に会釈してから私の手を引いて歩きだした。ああ、やっぱり叔父さんは世界一かっこいい!