木ノ葉教育戦国時代   作:宝石マニア

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サスケ君視点です

青春ってよく分かんないですねー。
部活終わりのような雰囲気を目指したのですが。


13 夏の庭

9月3日 16:01

 ヤマト上忍と霧島ユタカ上忍による壮絶なしごきを終え、オレを含めた2年A組とB組のやつらは水分補給用のそれぞれの水筒を手にグラウンドに転がっていた。元気一杯なのはナルト位じゃないか?あいつは人柱力なのも影響しているだろうが、桁違いのスタミナの持ち主だ。うずまき一族は封印術に優れた、莫大なチャクラ量と生命力を誇る家系。千手一族とは遠縁だと聞く。千手といえば初代火影と二代目火影の生まれた家系だ。ヤマト上忍は「流石に少し疲れたな、みんな強くなった」と言うが、オレからすれば余裕綽々に見える。凄まじいスタミナを誇っていたという初代火影と同じ術を使うだけあって体力とチャクラ量が豊富なんだろうと思う。流石あのカカシの後輩だ。まだ勝てる気が全然していない。兄さんに勝つにはヤマト上忍、シスイ、そしてカカシをクリアしていかなければならない。まだ道は遠い。見上げる初秋の空は高く、時間の流れの速さを感じる。兄さんとシスイが14歳だった時、二人はきっとオレよりもずっと強かっただろう。だが、才能の差だとかそういった言葉を言い訳にしたくはない。いくらオレが兄さんたちに才能で劣っていたとしても、オレを天才だと信じて応援してくれる者たちがいるから頑張れる。

 

 B組のやつらが固まっているあたりに視線をやると、オカヤが地面に寝そべったまま笑顔で手を振ってきた。オレもそれに振り返すと、ヤツは何故か匍匐前進でこっちに来やがった。正直笑いが込み上げてくるから止めろと言うのに、瞬く間にヤツはオレの目の前で両手で頬杖をついていた。

ナルトとキバが爆笑している。

 

「よっ、サスケ君!」

 

「相変わらず元気だな、オカヤ」

 

 雨上がりの泥濘のせいでドロドロのベタベタになったTシャツは元が何色だったのか分からない。そんな姿でにじり寄ってきたオカヤだが、割と元気そうだ。B組の方を見ると、比較的厳格なA組とは雰囲気がだいぶ違って民間人学校を思わせる。A組のクラスメイト達はオレを含めてプライドが高い者が多い。負けず嫌いで、競い合う事を好む。だが何か予測不能な事が起こると、ポッキリと折れてしまいそうな危うさも同時に秘めている。対してB組は忍者とは思えぬほど穏やかな者たちばかりで、無駄な競い合いを好まない。しかし実際のところは芯が強く、見た目の印象では測れない強さを持っている。このように対照的な2クラスだから、一緒に訓練をすると新たな気付きがある。またA組は体術や剣術に優れていて、B組は全体に幻術が巧い傾向がある。想像力がたくましく、芸術系の同好会活動が活発だ。

 

「サスケ君って鹿島の居住地に行った事あるか?あったらどんなとこか教えて欲しい」

 

「ある。諏訪よりはもう少し・・・、派手だったな。【諏訪お断り】の店ばかりだった」

 

「ヒエ!ちょっと用事が出来そうで怖くてさ・・・、ありがとな」

 

 疲れが抜けてきたオレは立ち上がってみると、学校指定の修行着上下が泥で汚れていた。学校指定の修行着を日常使いする者は多い。オレたちの学年色は深紅だ。ジャージは上下共に濃紺で、肩から腕にかけて2本の学年色のラインが入っている。ハーフパンツと長ズボンの二種が用意されており自由に選んでいい。上着の下に着る夏用の半袖シャツは里からの共通の支給品で、木ノ葉隠れのマークが向かって右側に刺繍されている。オレも寮での部屋着にしている、何だかんだいって使い勝手が良い一着。

 

(・・・合同洗濯場に重曹はあったか?漬け置き洗いでもするか)

 

 寮生活は基本的に2人部屋、中等部3年生からは1人部屋だ。食事は出るが、その他は忍という職業的な理由から一人暮らし同然である。ナルトが自来也師と里外に出ている時のオレは一人暮らしだ。そういった状態だと、自然に洗濯方法に詳しくなる。金を出せば洗濯して貰えるが、将来に備えて出来る限り節約する方が良いと兄さんから日頃から言い聞かせられているので自分でやる事にしている。それに、家事を担うバランスを妻だけに重くするような勝手な夫にはなりたくないしな。

 

「A組、B組、集合。ホームルームをしたら解散だよ。明日からも頑張ろう」

 

 ヤマト上忍の声が掛ったので、オレは怒られたくないので急ぎ足で整列のためA組の集まる場へと向かった。クラス委員長のサクラが号令を掛け、『気を付け』の基本姿勢を取る。手首を身体側に密着させ、両足の踵もまた密着させて爪先を60度に開く。教官達はこれを『不動の姿勢』と呼んでいる。そのあとは『休め』、『整列休め』、『挙手敬礼』、『方向転換、前身』へと続く。列ごとに『前進』『止まれ』。意味が無いようでこれらには意味があると言っていたのは、現役部隊に復帰し装備庁の調達部長になった扇城トオル上忍だ。上の空になっているのが誰なのかがすぐに判り、意外と便利なんだと。

 体に動きが染み付いているので、号令を掛けられるだけで勝手に動けるようになっているオレは試しに鹿島ライカを観察してみた。成程、本当に分かり易い。隣にいる日向ヒナタと比べると、全く動きにキレがない。普段ならば率先して「みんなちゃんとやって!」という彼女が、今日は何故だかダラダラ見える。

 

 9月から中忍になった奴らはあと2日間、学校で過ごす事になっているがオレたちはもうそれぞれ帰宅しても良い。一度実家に寄ってから寮に帰る。兄さんにこの二日間にあった事を話したいのもあるが、義姉さんと来年生まれる甥っ子か姪っ子にも会いたい。生まれる前の赤ん坊は外界の音が聞こえていると小耳に挟んだ。今から英才教育すればオレにべったりになってくれるだろうか?帰る準備をしてから香燐と合流し、学校まで迎えに来てくれるというシスイとも一緒に行こうと思う。

 

                       ☆★☆

 

 女子達の間で話題になったようで、当初からの予定であるサクラと香燐、日向ヒナタのほか山中いのもオレの実家に顔を出した。いのは妊婦にお勧めだという芳香の小さな鉢植えを持ってきた。イズミ義姉さんは嬉しそうにそれを受け取り、それをそっと縁側に置いた。香燐は夕飯を作るのを手伝っていくというので、サクラもそうすると言った。今日の夕食は兄さん特製の蕎麦。以前食べさせて貰って以来、オレはすっかり兄さんが打った蕎麦の虜になった。兄さんはもし忍を引退したら蕎麦屋になると言っている。

 兄さんと義姉さんとシスイにこの二日間の出来事を話したいだけ話し、夕飯の蕎麦を皆で食べた。香燐は水月と重吾とチームを組む事になったと報告してきて、シスイは「環境が変わると戸惑うが、ストレスを感じたらすぐ親しい人に相談すること」とアドバイスした。当たり前の事だが、忘れがちな心構えだ。カカシの父親であるサクモ氏が自刃されて以来、この里ではメンタルケアの重要性と任務におけるルールの適用方の議論がなされた。仲間の命と任務、どちらを優先するか。任務が入ってくるごとに専門部署が優先順位を決定し、その上で誓約書を書かせて任務に行かせる。普通に考えて「里人は全員家族」という言葉を優先して仲間を助けて任務失敗だと文句を言われ、任務を優先して仲間が死ねばそれはそれで文句を言われる。たまったモンじゃない。少しずつだがルールの欠陥を埋めようとする動きがある。

 

 使っていないテーブルを持ってきてどうにか9人で食卓を囲む。いのは兄さんが打った蕎麦を父親が土産物として持ってきてそれが家族で好評らしく、とても喜んでくれた。兄さんは時折、家を訪ねてくる日向一族や奈良一族などの当主たちに土産物として手作りの蕎麦を渡している。兄さんは木ノ葉の名門旧家の当主達から非常に評判が良い。その要因の一つとして、兄さんが彼らの胃袋を掴んでいるからじゃないかとオレは思っている。

 

「そうだ。茹でていない蕎麦が余っていてね、みなさんお土産に持って行ってくれないだろうか?」

 

女子達がわぁ、と嬉し気な声を上げた。オレは蕎麦を包むための袋を用意する。兄さんは笑顔だ。

ストレス解消がてら、わざと大量に作っているんだろうが。オレは知ってる。兄さんの癒しは義姉さんだ。だが連日の任務―――星宮カガセについての情報収集だろう、で本当は疲れている。いくら家に帰って癒しそのものである義姉さんがいても、癒えない疲れはある。疲れにも色々種類ってものがある。

 

「兄さん、オレたちはそろそろ帰る。明日また来るな」

 

「分かった。明日はオレもオフだから修行を見よう」

 

「ありがとう、兄さん」

 

 兄さんと拳を突き合わせた午後7時、これにて休日前の夜はそれぞれ帰宅となった。サクラは学校用のリュックに入れていた布袋に大量の蕎麦を入れ、満足げだ。いのとヒナタは「父が喜ぶ!」と言っている

香燐は途中で養父母である移住してきたうずまき一族の老夫婦と会ったため彼女はシスイを連れ、早々にそちらへと行った。冷蔵庫が小さいと言っていたので、あの一家は1週間ほど蕎麦を食べ続けるだろう。

 

 最近修行がどうだとか、どんなデートプランを立てているだとか、そういった取り留めもない雑談をしながら歩く。普段かなりきつい修行を課せられている分、こういった時間が取れると嬉しくなる。表面には出さないが。ナルトは天龍湖の塩羊羹の話をしてきた。日向一族のために買っていったところ、非常に気に入ってくれたという。甘いものが大好きな兄さんも「美味い」と言っていたな。てっきり天龍湖の周辺限定品かとばかり思っていたが、諏訪軍団の居住地区では普通に販売されていたので驚いた。

 天龍湖での任務で感じた事だが、扇城タイキはオレが思っていたよりもずっと強かった。写輪眼を開眼済みであり、かなりの使い手だったのが印象的だった。扇城が写輪眼開眼者を公表する理由と、公にされる使い手の基準について。本家の人間は公表され、そうではない人間は登録こそするが秘匿される。扇城ハズキは扇城一族当主・扇城マサキの孫であるので公表されていた。【本家】という血筋の枠組みでも当主の座とはあまり関係が無い扇城タイキは公表する対象ではなかったのだ。

 

「あっ、タイキ兄ちゃんだってばよ。タイキ兄ちゃ~ん!」

 

 隣にいたナルトが突然、丁度頭に浮かんでいた人物の名を呼んでそちらへと走っていった。不思議なもので、こういう事はたまに起こる。誰にでも。タイキはナルトを見るなり少し笑顔になり、「何日ぶりだろうな」と言った。ナルトはタイキが割と好きみたいだ。というよりも好きになったんだろう。

 

「学校帰りか。懐かしいな、その指定リュック」

 

「タイキ兄ちゃんはどこの学校だったんだ?」

 

「俺は北部だった。まだ写輪眼が無かったからかな」

 

「じゃ、青いライン入ったやつだったんだな!」

 

今日はタイキは非番らしい。手に持ち帰り用の焼き鳥を持ち、布製の手提げには牛乳が数本入っている。

手裏剣ホルスターも額当てもなく、完全にリラックスした様子だ。

 

「サスケは少し夏バテ気味か」

 

「そうでもない」

 

「俺には分かる。ちゃんと水分とって早く寝ろよ」

 

「・・・分かった」

 

タイキはオレの額に指で触れると、トントンと優しく叩いた。イタチ兄さんのように、いや、かなり違うがタイキは一緒に暮らしていた頃に似たような仕草をせがむとやってくれた。2年半振りだろうか。

 

「ナルトも寝る前に水分摂れよ。今日はやたらと蒸し暑い」

 

またな、と。タイキはオレたちに背中を向け一人暮らしをしているアパートの方へと歩いていった。

 

「またな、タイキ兄ちゃん!」

 

「タイキも体調に気を付けろー」

 

「はいはい。またな~」

 

 心配してくる本人が一番自分自身を疎かにする。タイキは初めて会った日からそういう感じのヤツだ。

悪夢に魘されるオレと向き合うため連日心理学や精神医学の勉強をし、そのせいで寝不足になって倒れた程にはオレの事を気に掛けてくれた。今のオレがあるのはタイキがあったからだと言っても過言ではない。兄さんはそんなタイキに深く感謝していた。うちは一族の術が書かれた書物を探し、カカシに相談し、オレがそれらを学ぶ手はずを整えてくれた。『お前が継承するのを止めた瞬間が本当の滅亡だぞ』と言っていた。

 

改めて一緒に出掛けるのも良いかもしれないな。忍になってからそういう機会が一切無かった。

そう思いながら、オレとナルトはタイキの背中を人波に紛れてしまうまで見送った。

 

 

                     ★★★

 

―――今度一緒に改めてゆっくり話す機会が作れたらいい。

 

その小さな、何気ない願いは朝が来ると共に打ち砕かれた。永遠に。

 

 オレの前にいるのは警務隊の制服姿のシスイと扇城ハズキ、そして普段着の扇城マサキの3人だ。一様に沈んだ顔をして、なかなか言葉が出てこない。そして遂にハズキが口を開いた。

 

「タイキさんが昨晩・・・、何者かによって両眼を抉られた状態で殺害されているのが発見されました」

 

―――扇城一族の中忍が一人、路地裏で両眼を抉られた状態で惨殺されているのが発見された。ドッグタグにある忍者登録番号から扇城タイキと断定され、死因は出血性ショックとみられる。扇城タイキ中忍は写輪眼の使い手であり、犯人は写輪眼を求めて犯行に及んだと遺体の状態から推定される。目撃者によれば昨晩19:20分頃には市街地で知人と談笑している姿が見られたという。犯人は未だ里内に潜伏しているとみられ・・・。

 

 報告を扇城ハズキから聞いた瞬間、頭が真っ白になった。ハズキは警務隊の一員として表情を変えぬよう懸命だったが、オレが思わず涙を流した瞬間に堰を切ったように泣きだした。そして「ごめんなさい」と言って席を外した。初めてこういう業務をさせたとシスイは言った。両親が九尾の事件で死亡しているタイキは濃く血の繋がった親戚こそいるが、両親がいない。扇城マサキに育てられた、扇城マサキの息子と兄弟同然という立ち位置だった。それは今まで知らなかった。語ろうとしなかったからだ。

 

 

                     ★★★

『鹿島ライカの憂鬱②』

 

 三嶋アザミはからかっても無視してくるから、つまんない。毎日がそれの繰り返しだった。アマツ君とカガセさんはその度に「やめなよ」と私を止めてきた。だからその通りにはしてたんだけど、あたしはそれなりに楽しい日々を送ってきた。そんな日々の中であたしが思ったのは、三嶋アザミは忍者に向いてないんじゃないかっていうコト。負けず嫌いとは程遠い性格で、勝負事に全然関心がない。負けたい、勝ちたくないっていう気持ちが一切感じられないタイプ。あのオカヤやミサキ、ハズキでさえももう少しはそういう気持ちが感じられるのに。あたしたちはいわゆる強い忍者を出している名門旧家の生まれで、三嶋に関しては総鎮守という二つ名で知られる晶遁がある。つまり、力を持って生まれてきた。力を持つからには力に責任を持つべきであって、その力を行使する義務があるとあたしたち鹿島と香取は考えている。気弱な日向ヒナタちゃんでもそれをよく分かってる。憎き諏訪でもそう。なのに、なのに!

 

 あの子はそんな素振りを見せず、ダラダラとヌルい毎日を送っていた。イライラするほど不器用で、得意苦手が激しくて、それを改善しようとしない。なのに、得意な事だけはバッチリ成果を出してくる。手足を動かすのと同じくらいチャクラコントロールが上手なのと、それに伴って上手な幻術。人文地理と歴史、国際理解の知識が深く、根っからの文系。なのに印を結ぶのがヘタで苦手で、数字にすっごく弱い。

 そして何よりもあたしがあの子を苦手な理由が、もう一つ。あの子は三嶋の家から何一つ期待されていない。期待されていないのに愛されていて、ワケが解らなかった。あたしの家族はあたしにいつも期待してくれていて、頑張れば頑張るほど愛情みたいなものが深まっているように感じた。血継限界も発動せず、成績も低空飛行で。なのに、あの子は無条件に愛されている。愛されているのに、いつも遠い場所ばかり見ていた。それと、命に対する執着が薄いのかしら。要領が悪いからすぐ死んじゃいそうだって思った。あの子、明らかに生きたいという感情が薄い。三嶋氏族は体がとても頑丈。怪我が治り易いからかしら?むしろ死にたがり。人間を基本的に信頼していない。あんなに温厚で素晴らしい御一家に生まれて無償の愛を受けて育っておきながら、どうやったらあんな人間不信になれるのか分からなかった。流石のあたしでも同期が将来死ぬのはゴメンよ。苦手だけど死ね、とまでは思ってなかったから。だからあたしはアザミに対し、「やめちゃえば?」と毎日伝えていた。だって、持たぬ者を守るのは持っている者の義務。あたしなりの正義感というか、美学みたいなもの。あたしにとって三嶋アザミは”守る”対象へと変わっていった。

もっちろん、表立ってアピールなんてしないけど!?

 

 あたしたちが8歳になる年の夏、うちは一族のほぼ全員とアマツ君のご両親が殺されるという惨劇が起こった。うちは一族はクーデーターを企ててるって、前から言われていた。鹿島の宿敵・星宮一族とはこの件に関しては意見が合い、監視を続けていた。カガセさんとアマツ君のご両親は特にうちはに対する疑いが深く、二人に「あまりうちはと過剰に関わらないように」と言っていた。けど、あたしに対しては本当に素晴らしいお二人だった。監視対象はうちはだけじゃない。うちはの庶家である扇城(せんじょう)もだ。表面上は互いに我関せずという風を装っていても、本当は血がうちはを愛せと言っていたんじゃない?忍界大戦中は扇城の皆さん、うちはの人たちを庇って戦死された方が沢山いたそうだから。その頃も扇城トオルさんとマサキさんがよくうちはの敷地に行っては、何かしているようだったし。うちははともかく、まさか、カガセさんとアマツ君のご両親とお姉さんまで犠牲になるとは少しも予想していなかった。その犯人はよりにもよってカガセさんかイタチさん。二人のどちらか、あるいは二人はうちはだけではなく婚儀の話をするためそちらに出かけていた星ノ宮神社の宮司夫妻まで惨殺した。まったく、意味不明だった。そこからは何故か定期的に星宮一族の人々が不審な事件で死んでいくし、陰謀ってヤツを感じたわ。

 

 アマツ君とサスケ君の証言から、犯人は二人に絞られた。それぞれの兄であるカガセさん、またはイタチさん。どちらも血筋の関係で写輪眼を開眼していた、若手の中では双璧をなす天才だった。二人はそれぞれ違う光景を見ていたみたい。三代目様は言った。『犯人は特定できていない』、と。

 二人は共通の親戚である扇城一族へと引き取られ、メンタルヘルスに強い関心がある扇城トオルCEO夫妻主導のカウンセリングなどを受けた。サスケ君にはタイキさんっていう扇城の静かなお兄さんが、アマツ君にはにこやかで温厚なハルキさんがついた。無表情だった二人にそれぞれ表情が戻ったけど、見ている方向は全然違ってた。サスケ君は復讐心よりも探求心に燃えて、アマツ君は「カガセに復讐してやる!」と言い出した。その頃から里内では【イタチが犯人だろうが、おそらく二人で一緒にやった】という世論が高まってきた。同時に二人の成績や成長スピードも差が出てきて、サスケ君は次席だけどアマツ君が次席を大きく引き離した圧倒的な首席、というのがいつもの成績発表の風景になった。身長差もそうだったわね。

 

 同時にアマツ君は三嶋アザミたち、おっとりした旧家の御令嬢と御曹司を毛嫌いするようになった。あの子たちは実家が太いし、無条件に愛されているし。何よりも人生をナメてるように見えたからかしら。アマツ君はあまりも可哀想なことに、引き取られた扇城家での扱いが微妙だった。上手く意志の疎通が取れず、よく言い争いになった。忙しい扇城トオルと意見が噛み合わなくて苦しいって、泣きそうになってた。でもアマツ君に寄り添っていたのが、扇城ハルキさん。はたけカカシ上忍から弟子入りを断られてしまったから代わりにハルキさんが修行をつけていたそうよ。アマツ君に修行をつけて成績を向上させ、更には里の『ちょっと言えない部署』にいるという志村さんという人とも知り合いらしく二人を上手く引き合わせた。あたしとフツミ君とハヅチ君に対しても指導をして下さった。あたしとアマツ君がより仲良くなったのを見た鹿島の人たちは、あたしの許嫁をカガセさんからアマツ君へと変更した。

 

 誤算だったのは、アマツ君があたしの癖が移ったのかアザミ達に「ざぁこ!」って言葉で力の差を教えてあげるようになってしまったこと。そして、三嶋アザミはいくら私が距離を置いていてもビジネスライクだけど普通に接してくれるということ。どんだけ精神年齢高いのよって思った。

 

 そしてあたしたちは初等部を卒業し、直轄校または忍軍附属の教育機関である中学校へと散り散りになった。あたしが『冷血女』アザミを苦手にしているからって、勝手にイジメをしていたざこざこ共は木ノ葉隠れの忍者に相応しくないって判定されて忍者になる道を閉ざされた。そりゃそうに決まってんじゃん。そんな事も分からないやつらには力を振るう資格すら無いってこと。どんな教育受けてきたのかしら?

 アザミたち御令嬢と御曹司たちは直轄校ではなく忍軍附属の中学校へと行った。直轄校はエリートの集まり。いくら名家の出身でも、自分の力量をちゃんと分かっていないと。

お兄ちゃんたちも言ってたけど、直轄校を無礼るなってね!!諏訪軍団の子の多くが附属中学校行き。

あいつらの血継限界が覚醒するきっかけを知らないけど、力は有効活用すべきだと思った。

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