【この物語でのニーサンたちの立場】
うちは一族→現代社会に転生してから忍界に戻った魂が多く、今回は扇城(せんじょう)という里との橋渡しになってくれるコミュ力高めの分家が存在しているため、里との関係は良好。流石に九尾事件の時には疑いを持たれたが、転生者仲間(扇城・三嶋・諏訪・霧島)たちの助けによって信頼を取り戻す。前世ではエリート警官一族。事件は現場で起こっているんだ!警務隊は天職!警務隊サイコー!!!実は暗部にも人材を送っているが、根とは関係なし。前世を顧みて静かに人生を閉じたかった。
シスイの自殺(死の偽装)→前世と何もかも違うけど、写輪眼自体は狙われているからほとぼりが冷めるまで姿を隠す事を勧められて実行した(うちは一族にはまだ生き残りがいる?)。その方法は滝に身を投げての自殺。うっかりハズキに見られた。
何かが起こるのか戦々恐々としていたら、何故か前世の長野で顔見知りだった星宮(星野)一族の同い年が前々世のシスイと同じような状況で死亡。
フガクパパとミコトママ→忍界から長野県長野市の警察一族に、またいとこ同士として転生し普通に恋して結婚。一族の統制が驚く程取れている上に穏健で、里の隅に追いやられて監視下に置かれているにも関わらず、ほとんど千手相手に反感を持っていない姿に感動。だが流石に警務隊しか職業選択の自由が無いことを悲しみ、里に対して段階を踏んだ正式な訴えを起こす事に決定。そのため他転生者氏族の助けを借りようとしていたが、鹿島たちから目をつけられて”勝手に”監視化に置かれる。ちなみに諏訪軍団の者達とは前世長野時代から顔見知り同士。
ニーサン→最初の忍界とは違い、天才には天才だがあまり突出しないよう控え目に巧妙に実力を隠して生きてきた。どこかの恵まれし子らの学園の教授みたいな学長がいる『ギフテッド忍者学園(廃止済)』に在籍していた普通の天才少年。今世下忍になった年齢は10歳、中忍になったのは12歳。暗部には入ったが根とは無関係で、別にイタチが最初ではない。親友で兄貴分のシスイも優秀だがあえて突出しすぎず普通の天才として生きていたが、怪しい状況で死んだのは兄貴分ではなく違う者だった。ちなみにトビには無視された。しかし対策と警戒は怠らない。
ニーサンの立ち位置には星宮カガセ、兄貴分のところには星宮キラ、弟さんのところには星宮アマツ。「立ち位置がァ、立ち位置が入れ変わっている!!」
鹿島ライカ・香取フツミ・静織ハヅチの3人が音隠れによって連れ去られ、一晩が過ぎた。名家の子供3人が連れ去られたこの事件は思わぬ方向に波及し、里内ではその話で持ち切りだった。里と良好な関係を築いていたうちは一族を滅亡に追い込んだあの事件の核心に迫れる【鹿島文書】の存在が明らかになり、オレも昔から気になっていたうちはに対する危険度評価の不自然な推移についての疑問も解決しそうだ。あの事件が起こった頃、うちは一族は里に対して職業選択の自由を求める訴えを起こしていた。殆どの里人はうちはが警務隊(厳密には暗部も)以外の職に就く事に対して支持をしてくれていた。ちなみにカカシの班員だったオビト中忍が亡くなる少し前から事件の直前あたりが一番うちはに対する風当たりが強かった。話を聞くだけでも苛立つほどの扱いの悪さで、里もうちはを厳しく監視していた。痛くない腹を探られる、とでも表現すれば良いのだろうか?信頼を取り戻したと思えば、すぐにそれが覆されるの繰り返し。両親も一族の皆も疲れ果てていた。あまりにも不自然で、オレは子供心に裏で何かが悪い事をしているんだと口には出さなかったが認識していた。
あの事件後に扇城に引き取られたオレは、それはもう厳重な保護とメンタルケアを受けた。『勉強や修行を無理し過ぎてはいけない』と言われ、努力はしていたが心が折れない事を条件に学生生活を送っていた。弟子入りした師匠のカカシも「今は大人に頼ってよ」と言うので、カカシが組んだ「成長期対応修行スケジュール」に従って修行を行ってきた。身体がまだ完成していないので、無理をすれば体に毒になる。そのため、オレは無理して『一番』を目指さなかった。勿論勉学は全力でやった。しかし、それは同じ場所で一緒に家族を亡くした星宮アマツから見たら腹立たしいものだった。アマツはハルキと共に全力で修行していた。怪我も多く、その度にイライラしていたように見えた。毎学期ある考査の時、座学はサクラに譲ったが総合点が常に一番だった。オレは別にくやしくなかった。当時はその時に出来る最大限をこなしていたので、まだまだ本番じゃないというカカシの考えを理解していたからだ。だからこそ初等部卒業前に千鳥を習得出来た。ひたすらチャクラのコントロールを特訓され、適切な食生活をし、よく眠り、とにかく健康に気を遣って過ごしてきた。健全な精神は健全な肉体に宿る。それを実感した。ハルキを挟んで扇城夫妻と話すと話がこんがらかるので、オレは苦手だが二人と直接対話する事にしていた。途中でそれも面倒で嫌になったのが今でも悔やまれる。そんなオレに亡きタイキはいつも一緒にいてくれた。
そんなオレだったが、『復讐心』がゼロだった訳ではなかった。いくら外野が無駄口を叩こうと、オレは兄さんの涙を覚えていた。オレを庇い立つ隙のない姿と、オレの心を守るために見せてくれた幻術を。兄さんが悪くないとオレは最初から確信していたんだ。あまりにも不確かな事が多すぎて、オレは犯人捜しをする事を一度心の隅へと追いやった。だから兄さんが犯人だという世論や風潮に対して怒りを覚えたし、その苛立ちを修行に向けた事は数知れず。修行の強度を上げるゴーサインがカカシから出された瞬間から、やり場のない感情はそちらへと向いた。兄さんと死んだはずのシスイが里に帰ってくるまでは、言葉にできない苛立ちを修行に注ぎこんでいた。オレとは違ってしっかりと形になった復讐心を持っていたアマツは里を抜けた。「もっと強くなってカガセとイタチをぶっ殺してやる!」と告げて。アマツは色々とタイミングが合わず、兄さんが犯人じゃないと知る事なくいなくなった。
今年度4月1日付で中忍になって以来、色々な事があった。任務の依頼人の星宮兄妹との出会いと星宮邸の遺品整理、デタラメな日記、兄さんの結婚、兄妹の突然の死、経営陣の座から引きずり降ろされた扇城と騙されていたオレ、そしてカガセについての新たなる情報。頭がグルグルと回るほどめぐるましく、任務と修業の忙しさにわざと流されながら過ぎていく日々。『星宮』という差別と迫害を受ける一族の歴史と実情に触れ、感情に動かされ、時に情報に翻弄されてきた。その陰にちらほらと見える正義感に満ちた名門氏族・鹿島の名。ちらかっていた断片が結びつき、正しい場所に適切に配置され、続々と情報が脳内で完結へと向かって奔る。それが生みだした興奮はオレの脳を灼き、まるでカフェインを摂取し過ぎた時のように睡眠を妨げた。
午後からの任務に安心して浅い眠りから醒めると、疲れ切った顔をした兄さんが学生寮を尋ねてきていた。オレは氷水で顔を洗い、仮眠の予定をメモ帳から確認しながら兄さんと共にある場所へと向かう。暗い色合いの服装を指定され、到着したのは忍軍の医療施設にある検死を待つ遺体が安置された場所。暗部の隊員が何人も警戒のために立っており、物々しい雰囲気を放っている。安置台には一人の年配の男があった。B組の同期と少し似た声をした暗部隊員が「コイツは鹿島ダンゾウだ」と説明してきた。兄さんがオレに見せたい遺体は1体だけではないらしい。他の隊員が冷蔵庫になっている引き出しを計15も開け、それぞれ解説してきた。兄さんは神妙な顔をして腕を組み、それを聞いている。
隊員たちの中に一人、見慣れた体格の者が混じっている。まさかとは思ったがオレは黙っていた。
「サスケ・・・。彼らは任務として命じられてオレたちが殺した」
凍てついた空気の中、時間が止まったような気がした。
「俺たちが暗部から完全に足を洗う最後の任務だ。これで君らの復讐の9割は成ったってトコで合ってるかね、イタチ君」
不意に同期と声が似た暗部が兄さんの名を呼ぶので、そちらを見るとその暗部隊員は面を外して遺体安置台の空いた部分に置いた。硬そうな跳ね返る黒髪にきりりと上がった眉、切れ長な瞼と切れ込んだ目尻が特徴的な三十代前半ほどの色白な男。その顔立ちと雰囲気には見覚えがあった。
「そうですね、藤森上忍。貴方も似たようなものでしょう?」
「ああ。諏訪軍団も色々あるワケで・・・、ようやく念願叶ったりだ」
隣のクラスであるB組に所属する諏訪の分家に生まれた氷遁使い、藤森フウロの父親だ。フウロがいつもヒモ親父だの何だのぼやいていた、年上で資産のある家庭の令嬢である母親に養われているらしい謎多き父親。一度出くわした事があるが競馬で負けたと言ってフウロに脛を蹴られていた。
「サスケ、こちらは藤森ミヤマ上忍だ。フウロ君の父親でもある」
「・・・おはようございます」
戸惑いながら挨拶すると、藤森ミヤマ上忍は端正な顔に笑顔を浮かべて握手のため手を伸ばしてきた。よくよく観察すると、他の誰かにも似ている。そちらは女子な上に地味なおとなしいタイプだったが、顔のパーツ配置が似ているのか。そいつの顔を思い出した。あいつは目の前で同じ任務の仲間が連れ去られ、残った仲間も両眼を抉ろられそうになり、口封じのために殺されかけていた。心が壊れていないだろうか?
「それで、何故貴方たちは鹿島の上層部を任務で殺したんだ?」
オレの声が反響し、また室内の時間が止まった。背後で扉を開ける音がしたかと思えば、コツコツと音を立ててこちらの方へと歩み寄ってきた。この気配、五代目か。
「ありがとう、臨時小隊。ここからは私が説明しよう」
ナルトよりも淡い金色の髪を低い位置で二つに縛った、豊満な胸元を晒す伝説の三忍の紅一点・千手綱手。階級としては上忍で、去年の夏に五代目火影に就任した史上初の女性火影である。彼女は兄さんと藤森ミヤマ上忍を含むほとんどの隊員を一人を除き下がらせ、オレに顔を向けた。
「鹿島ダンゾウは先代である鹿島ヒタチの代より星宮・諏訪軍団、そしてうちはと扇城に対して常に強い猜疑心を抱いてきた。だが、それは単なる恐怖からきた疑心暗鬼でしかなかった。彼らは信仰に生きて政治から遠ざかる事が苦痛ではない諏訪軍団はともかく、政治的な野心が”人並み”にあった星宮と扇城に対して警戒心を持っていた。鹿島は昔から里と火影に対する忠誠心が強く、常に役立ちたいという発言を繰り返してきた」
「里に対して危害を及ぼす可能性が高い奴らを結婚で結び付けたんだろ?」
「よく分かっているな、その通りだ。結果として宿敵だった星宮はカガセとアマツ、そして二人の父親ユウセイ上忍のような写輪眼持ちの星宮を生み出した。3人が生まれるまでも勿論写輪眼の使用者は沢山出ていた。鹿島は星宮を『いつか何かをやらかす』という見方で常に見てきた。が、星宮は何もやらかさなかった。だが疑いは晴れず、遂に・・・」
「星宮に対して警戒心を持たせるために自作自演でもしたのか?」
「正解だ」
五代目火影はオレの頭を優しく撫でてきた。ほんの少しだけ母さんを思い出した。
「行動を起こさせるため、里に対する脅威を証明するため、鹿島は星宮に官民双方から圧力をかけてきた。私が幼い時には既にそんな状態だったな・・・。鹿島と星宮を同じ部隊で前線に配置した時の異常な星宮の死亡率が忘れられなかった。民間でも彼らは扇城屋以外での働き口がなく、自営をしてもすぐ潰された。やはり星宮はそれでも鹿島が言う脅威にはならなかった。忍として、忍軍と契約する会社の社員として、とてもよく働いてくれた。だが・・・、長く悪い扱いを受け続けていると段々とフラストレーションがたまるのは当たり前の事だ。それで、星宮は何をしたと思う?」
「シスイと同じ万華鏡写輪眼、別天神を戦場で開眼した者がいる事に気付いてそれを待遇改善に利用しようと考えた。あくまで武力ではなく、交渉が上手くいなかった時の最終手段、保険として。話し合いで解決しようとしていた。忍として万華鏡写輪眼を使えば一族そのものが潰されかねない。だからアマツとカガセを民間人に留めさせようとして、あの一家は喧嘩が絶えなかった。里に対して鹿島は緻密すぎる星宮の存在しない悪事を報告し続けた。それをオレたちの両親は警務隊員の目から見ておかしいと思い、職業選択の自由を求める訴えを起こす時一緒に里に抗議しようと決めた。ここからは兄さんの話だが・・・、うちはを脅威の対象として再評価し、里と上手くやれていた筈のうちは脅威論を提出した。それが【鹿島文書】か」
「その通り。・・・残念ながらご意見番の三人はそれを信じてしまった。星宮カガセは純粋に里と星宮の間に正常な関係が築かれる事を望み、星宮とは無関係であるうちはを滅ぼす任務を受けた。そうすれば待遇が改善できると信じて、里のためになると考えて。アマツとカガセの養父母と義姉は何故ついでに殺されたと思う?」
「・・・星宮に対する【逆らったらこうなるぞ】という見せしめ」
五代目火影は無言で頷いた。
「で、今この安置所で死体になってんのは実体の無い脅威論を使ってうちはを滅ぼさせた張本人たちって事か」
もう一度彼女は頷いた。結われた長い髪が布地に擦れる音だけが室内に反響した。
「鹿島ダンゾウを殺しても、残った者達に影響が残っている筈だ」
「・・・その事なんだが、ハルキが万華鏡写輪眼を失明と里への贖罪を引き換えに使用して解決を図った」
五代目火影は話を続けた。ハルキの実父は鹿島ダンゾウの側近、実母は扇城一族の手練れの婚期を逃して焦っていた一人娘。5歳になるまで鹿島で育ったらしいが、氏族間の友好を図るために扇城と星宮の夫婦のもとへ養子に出された。理由は不明だが何故か扇城一族に本家よりもずっと高頻度で出現する万華鏡写輪眼、シスイと同じ『別天神』。ハルキも扇城一族の親から受け継いだ写輪眼がまさに別天神だったという。ハルキは生まれる前から星宮一族に対する工作活動のために期待されて鹿島ダンゾウの一番の側近の息子として生まれ、工作技術を物心がつく前から叩き込まれて育った。キツい幻術を利用して写輪眼を開眼したのが僅か5歳の頃。続いて何度も親族が星宮に皆殺しにされる幻術を見せられて万華鏡写輪眼を入手。星宮がどれだけ卑劣でいつ裏切るか分からない輩なのか、異常なのか、そういった趣旨の思想教育を受けて育った。そして、星宮に対する工作活動が『里のため』に繋がると信じ込まされていた。所属は鹿島の私設部隊。里の中枢に関われる上忍ではなく、見過ごされやすい中忍達からなる工作活動を主任務とする非公式な組織。私設部隊は常に星宮や諏訪軍団が『怪しい行動』をしないか監視し、相手方が怪しい事を考えていると『思い込んで』いた。故にノルマのようなものがあったらしい。それが構成員たちにとって悪事をでっち上げる必要を突き付けた。そうやっているうちに、自分がついた嘘を本当だと信じ込むようになった構成員たち。自作自演の工作こそが組織の常識となっていて、里の仲間の不当な扱いに憤って解決を手伝おうとしたうちはもまた里に提出された【鹿島文書】の犠牲となった。鹿島から見た里への脅威度でいえば、星宮がよりうちはよりも危険だという見方だった。そこで鹿島はうちはを滅ぼすよう誘導する事に成功し、星宮に対して【見せしめ】の意味でカガセにうちはを殺させた。
「五代目。ハルキはこれからどうなるんだ・・・?」
「勿論罪を償ってもらうが、ハルキの場合は里に対する功労が大きい。本当の危機を幾つも迅速に報告してくれた実績があり、今回の反省と本人のやる気によっては上忍にした上で再び里のために働いてもらいたいと考えている。甘いと思うかもしれないが・・・、あとはイタチとシスイ、そしてお前次第だな」
「・・・ハルキがどれだけに里を思って行動してきたかは理解した。オレ個人としては、日向の呪印のようなものを刻んだ上でうちはと扇城に保存された写輪眼を”貸与”し、怪しい動きをすればすぐ処断、といった形ならば大丈夫だと思う」
五代目火影は茶色の瞳を数度瞬かせると、その目元に優しい笑みを浮かべた。
「やはり兄弟だ。お前たちは全く同じ意見を言うんだね。思ったよりすぐ解決しそうで良かったよ」
「それから、オレはハルキにアマツについての話を聞きたい。オレはアマツと同い年で同期だが、アイツの事をほとんど知らない。もしも音隠れの一員としてアイツが何かアクションを起こした時、どういう風に行動してくるのかを思うとハルキの力がどうしても必要になる」
「安心しな。ハルキはお前たちに何もかも話してくれるつもりだ。それに、里の為にいつでも死ぬと言い切る程には覚悟が出来ている。そんな事はさせないが・・・、これからは何でも相談できる相手が増えるかもしれん。ま、気を楽にして会いな。お前が思っているより本来のハルキは穏やかな性格で、何より若いヤツに何かを教える事が大好きだ」
★★★
失明したハルキとの対話、扇城タイキから摘出されていた万華鏡写輪眼移植手術と検査、上忍への昇格。それらに並行したハルキの申し出による個人的復讐を兼ねた鹿島ライカの叔母との離婚手続き、上忍昇格。ハルキは鹿島の父親を持っているため、鹿島としての自分を取り戻した上で鹿島を修正しようとした。ハルキの精神的な覚醒のきっかけとなったのは、隠れて仲良くしていた星宮スバルたち兄妹を口止めと見せしめとして殺せと命じられて実行した時だったらしい。それを思いついたのが、私設部隊で工作活動をしていた鹿島ライカの母方祖父だった。比較的近い血縁者だったタイキから『別天神』を宿した万華鏡写輪眼を『星宮一族を従わせるため』に両眼を抉って口止めするため殺害し、スペアにするため保有していた。タイキが万華鏡写輪眼を開眼したのは、うちは一族の民間人の片思い中だった女性を事件で亡くしたからだ。結ばれなかったが、本当に愛していたんだろう。その後に以前から言い寄られてきていたライカの叔母を紹介され、命令に従って結婚、という流れだ。失った鹿島姓を取り戻すためだけに。
オレたちがハルキと改めて対話してから1週間があっとういう間に経過した。残暑で茹だるような時期は気付けば過ぎて、昼夜の寒暖差がより激しくなってきて街を行く人々の装いに変化が僅かに表れだした。オレはこの1週間の間にも修行と任務を相変わらず続けていた。昨日は額を地面にこすりつけてハルキはナルトとサクラに告白と深い謝罪をし、左胸に刻んだ呪印を制御するための印を教えた。ナルトとサクラは星宮兄妹とタイキを殺したのがハルキだと知って当然怒りを露わにしたが、その覚悟と里への純粋な忠誠心に心を打たれて手を差し伸べた。タイキの瞳が移植された双眸をじっと見つめてから、握手をし合った。
あの五代目火影の命令による初の里内における粛清は、逆にこれまで初の女性火影として心配していた者達を驚かせ彼女の支持率の上昇をもたらした。鹿島と星宮の両頭領がが互いの家紋がはためく旗の前で握手し、若い世代同士の強い結びつきと友情を予感させた。鹿島ライカの異母兄である鹿島ライウ上忍が暫定ではなく頭領として確定した。香取と静織でも、それぞれの老いた頭領は息子たちではなく孫世代に頭領の座を譲り渡した。長い間動きが無いまま次期頭領という立場に縛られてきた香取と静織の新頭領の父親たちは肩の荷が下りたように安堵した表情を見せ、息子や娘たちの補佐役として生き生きとした顔で過ごしている。新たな星宮の次期当主である19歳の上忍、星宮キラと鹿島ライウの従妹である鹿島レイラの婚約が決まった。因縁にまみれていた氏族間において、それまで互いに言い出せなかった両片思いの成就。なんともロマンチックで美しい結果だろうか。サクラたち女子はその話題で持ちきりだ。
名前の由来~八ヶ岳周辺の地名と植物
諏訪ヤシマ、アザミ=八島ヶ原湿原、湿原に咲く花①
藤森ミヤマ、フウロ=蝶々深山、湿原に咲く花②