この里には下忍候補者を育てるための忍者アカデミーが4つある。
まず1年間で下忍になるのは、13歳になる子供だけで1080人。卒業すると、うち上位900人が正規部隊へ。残り180人が予備役となる。これは最初から振り分けが決まっている訳ではなくて、成績で決定される。
里の人口のうち、約7割が民間人で残り3割が忍者だ。だから、1080人学生がいたら、3割が忍者家庭の出身。それに準じた人数がまかなえるよう、アカデミーが存在している。
まず1校目。火影直轄アカデミー『木ノ葉忍軍中等・高等忍術専門学校』、通称・直轄アカデミーだ。この学校は血継限界・秘伝家系出身者、トップ成績を持つ一般出身者が通う。
2校目から6校目は『木ノ葉忍軍中等・高等学校』といい、1校につき180人づつ一般家庭出身者が入れられる。成績順といっても受験結果だけではなく、学校での態度や性格も考慮されるので希望通りにならない事がそれなりにあるらしいってばよ。でも、入ってみると居心地が良くて驚くというのが、知り合いのお兄さんの感想。東西南北で校名が決まっている。上忍師はつかないが各学年ごとに『訓練監督』が決まっていて、中忍選抜試験の傘下は訓練監督が名前を上忍師代わりに書いてくれる。
しかし、直轄アカデミー進学予定者にも絶対避けられないものがある。
『受験戦争』だ。だから2~4校目である『忍軍中学』へ行く子はかなり忙しい日々を卒業式後に迎える事になる。
スケジュールはこうだ。
3月上旬に2~4校目に行く子は『受験週間』に入り、翌週頭に学校に関しての合格発表。その週半ばに卒業式がある。
卒業式が終わった翌週になると、各学校で『面接週間』が始まる。
『面接』。それは入学後に誰とスリーマンセルを組むか、何組に入るのか、どんな先生がつくのか。それを決める目的で実施される。面接官によっては幻術を掛けてきたり、スゴいらしいと噂だ。だから、オレはそれがめっちゃ怖い!
1月上旬
学校で一斉に行われた下忍認定試験に不合格だった。オレは朝、じっちゃんの前でテストを行って下忍として直接認めてもらった。イルカ先生はまだ知らない。コレは上忍と暗部の人たち、それからオレだけが知っている作戦だから。
校庭では合格した子たちが、保護者や親から祝福されているのを黙って見ていた。民間出身の優等生の保護者の中には、オレが嫌いな人が沢山いる。その人たちがオレの陰口を叩くのを見るのはイヤだ。サスケたち同級生はオレを不安げに見ている。
そうしていると、アマツが一人合格証明書を片手に走ってきた。
「ナルト、大丈夫か?もしかして、身体の調子悪かったのか・・・?」
アマツは優しい。サスケが扇城屋CEOとその奥さんから頭を撫でられているから抜けてこられないのを見て一人、オレのところに来てくれた。
「アマツ・・・、オレはもう大丈夫だってばよ。オレ、芸術系に力を入れてる私立に行かせてもらえる事になったんだ!」
「それは良かった!でも、無理すんなよ。あ、父さんとアキラが呼んでるから行くな。また明日!」
「ありがとうアマツ。また明日な!」
オレは校庭のブランコの上で、わざと寂しそうな振る舞いをする。サスケとサクラちゃん、ヒナタが気にかけてくれるので申し訳が無いけど。コレも『作戦』のうち。里を狙う人がいるらしく、そいつに関係する重大任務の先兵にオレは選ばれた。
だから、やるしかない。オレはみんなの役に立ちたいから。
「やぁ、ナルト君。随分と難しい顔をしているね」
「あ・・・、ミズキ先生」
ミズキ先生は表向き優しい。他の先生がいない時を狙って陰口を言ってくる保護者がいても、いつも庇ってくれる。他の生徒にも慕われていて、よく相談に乗ったり放課後に勉強を教えているのを見る。オレの事情についても理解してくれている人の一人だと、オレは思う。でも、何だか違和感を感じるんだよな、この先生について。
俺はミズキ先生に、推薦についての相談をした。この違和感の正体が解る気がして。
もちろん、コレも作戦のうち。ミズキ先生の真意が知りたかったのもある。
「君に、とっておきの方法を教えよう」
火影のじっちゃん家にある、『封印の書』を盗んでこい、だって!?ハァ!?やるわけねーだろ!!何たくらんでんのかオレたちにはとっくにバレバレだぜ。
オレはわざとしおらしい態度を取り、空元気っぽい笑顔を浮かべながら「わかったってばよ!」と答えた。オレは大急ぎでわざと学校の敷地内から駆け出すと、じっちゃんの家へと直行して非番だったアスマさんに報告した。その報告はすぐさまじっちゃんへと伝達され、オレはじっちゃんの執務室へと通された。そこには数人の暗部隊員が控えているようで、姿は見えないけど気配で理解した。
「流石じゃナルト!!」
予想以上の反応をしたじっちゃんは暗部の人たちを呼びつけると、ミズキを捕まえてこいと指示をした。オレはイルカ先生と合流し、作戦通り、演技指導通りの行動でミズキ中忍と対峙する。緊張しているが、上手くいくような気がしている。
「ふぅ・・・、危なかったわい。本物の巻物には禁術が書かれておる。ナルト、お主は里を守ったのじゃ。お主は儂の誇りだ」
「やったってばよ!イェーイ!!」
次の日、登校したオレは帰り際に教頭先生から校長室に呼び出された。昨日のミズキ先生の企みがどうなったかの結果を聞くために。このアカデミー初等部の校長先生という人物は前線を退いた特別上忍で、校長先生という立場上から俺に対して露骨に嫌な態度は取ってこなかった。だからフウレン先生が微妙な目線を向けている。代わりにそっけなくて、無関心で、できるだけ関わらないようにしてきたタイプの人だった。しかし今、校長先生は別人のような眼差しで俺を見ている。
「本当に、済まなかった・・・。私は教育者ではあったが、君自身を一度も見ようとしてこなかった。君の中に封印されているものばかりを見て、あの日から先に進めなかった。君は昨日、ミズキ先生の悪事を恐れず正直に火影様に報告したね?私は火影様からそれを聞き、目が覚めたんだ」
校長先生はミズキ中忍の裏切りを看破する作戦について何も知らないから、オレが「良い事」をしたと思ってる。それがなんか申し訳ないけど、まぁ、認めてくれる人が増えたから良いとする。イルカ先生も、初めて任務に参加したオレを労ってくれて今夜は一楽でラーメンを食べることが決まったのがうれしい。イルカ先生は任務で怪我をしたけど、毎日ちゃんと消毒して背中の傷保護シートを取り換えれば大丈夫。
良かったってばよ!!
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木ノ葉火影直轄アカデミー 初等部 『卒業式』
「これが最後の一枚でーす!ハイチーズ!!」
写真屋さんがボタンを押して、オレたち直轄アカデミー初等部卒業生はピースサインを作った。さようなら、初等部。
オレに優しい時間をありがとうってばよ!!
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そんなこんなでオレは、クラス分け面接の日を迎えたのであった!
3月中旬
会場は中等部校舎の一室で、3対3の『口述試験及び面接』が行われる。同じ会場にいるのは、うちはサスケ・奈良シカマル・秋道チョウジ・油女シノ・犬塚キバ、そして星宮アマツ。それからオレ、うずまきナルト。今日は男子ばかりの日らしいから女子はいない。この学校に行くから誰もが合格だけど、学校の特性上、こういう試験をしっかりやって忠誠心とか、そういう部分を見たいんだろうとオレは思った。
「サスケ。お前は優秀だし、首席だし、絶対同じチームって信じてるぜ」
「ありがとう、アマツ。一緒にうちはを復興しような!ナルトも手伝ってくれると言っていたんだ。俺たちなら絶対に出来る!」
サスケとアマツは仲がいい。サスケはうちは一族が混血のイズミ姉ちゃんを残して滅亡して以来、星宮一族の忍者をやっていない扇とうちわメーカー『扇城(せんじょう)屋』を経営する親戚である扇城一族の当主の里子にされて育った。当主はサスケにいろいろなメンタルケアを施したので、事件当時の『復讐者』って感じの目をしなくなった。アマツとサスケは同じ人の家で育ってきていた兄弟みたいなものだ。
アマツは、自分はサスケとイズミ姉ちゃんを『失われた一族の生き残り』にしないために手伝える数少ない人間なんだと笑顔で言う。アマツには星宮社家(分家)出身のくのいち、またはイズミ姉ちゃんが結婚相手になるという運命がある。でも、好きな人と結婚できないのって辛くないのかな?もしオレが同じ立場だったら、好きな人と結ばれるためどこまでも藻掻くし抵抗すると思うぜ。
口述試験の時事問題に備え、メモ帳を読んでいると俺が面接室から名前を呼ばれた。俺と一緒に呼ばれたのはサスケとアマツ。俺は今日、いつものオレンジをした私服ではない。イルカ先生と校長先生にアドバイスを受け、ブレザーを古着で一着購入した。かなり安くて、別に良いものではないくらいだが、小遣いを貯金しているオレにはちょうどいい。
オレが面接室に入ると、面接官が3人いた。向かって左からはたけカカシ上忍、マイト・ガイ上忍、そして森乃イビキ特別上忍。クール系イケメン、暑苦しい人、拷問尋問部隊出身の怖い人。オレは戦々恐々で今にも震えだしそうなのを堪え、練習通り出身校と名前を言い、指示通り椅子に座った。
「まずは俺からいい?」
銀髪の教師、サスケから聞いている噂のエリート忍者のはたけ上忍が小さく挙手して話しかけてきた。俺たちは「はい」と答えた。知り合い同士だけど、今日は知り合いじゃない振りをする。
「君たちは人を殺すことについてどう考えている?」
嫌な汗がダラダラ零れてきたが、俺はあらかじめ予想して練っておいた答えを絞り出すように答えた。頭の中が真っ白で、アマツの答え方は流石だなとか。サスケの考えは筋が通っているな、とか。そんな事を思いながらバクバクしながら次の質問を待っていた。
永遠に続くと思われた面接時間は気づけば終わっていて、俺たち3人はそろって全身汗まみれだった。アマツの手は汗だらけで、サスケも似たような状態だった。どんな風に答えたかなんて、覚えていない。優等生の二人もそうだった。
「・・・あれは本当に面接か?尋問じゃないのか!?」
「さっさと学生会館に行こうぜ・・・、二人とも」
「もう勘弁だってばよ・・・」
同じ恐怖を味わって、何だか不思議な連帯感を味わったオレたちは第1部隊アカデミーの学生会館にあるカフェレストランへと向かった。たまには一楽じゃないラーメンを試してみるのも良いかもしれないぜ。ココ、担々麺あるらしいし。きょうは土曜日だから、休日の「先輩方」にも会えるかもしれないしな。
☆★☆
昨日、クラス分けと班が発表された。オレはA組で、担任は初等部から持ち上がりでイルカ先生になった。上忍師はサスケの師匠、はたけカカシ上忍。同じ班になったのは、サスケとサクラちゃん。優秀な二人に挟まれ、正直すっげー不安。オレは学校から送られてきた『寮生活のしおり』を手に非番だったアスマさんと、同じく春休みに入った木ノ葉丸、何故か家庭教師であるエビス特別上忍もついてきて一緒に買い物をした。楽しかったってばよ。一楽のラーメンが最高だけど、たまにはショッピングセンターの『ヤガスキラーメン』も結構いいモンだなって思った。
そこではフウレン先生とアザミ、アザミの従弟で同い年のトウヤがヤガスキラーメンを食べていた。一杯32両の安い部類のラーメンだけど、アザミたち三嶋一族が里に移住してくる前に住んでいた戦国時代の土地では伝統的な味らしい。アザミはジャンクフードと言っていたが、その通りに3分くらいで出てきた。ちょっと驚いた。
オレは買い物中、じっちゃんが毎月くれているお小遣いを貯めて瑠璃(ラピスラズリ)のペンダントを買った。ヒナタが生まれた12月の宝石だ。フウレン先生は晶遁を扱うから宝石や鉱石に詳しくて、オレくらいの年齢の子がプレゼントで買いやすい値段の半貴石(いし)を教えてくれたんだ。オレはちょっと照れたけど、何とか買えた。もっと大人になったら半貴石じゃなくて『貴石』をプレゼントしたい。
それを手に、オレはヒナタと約束した公園へと向かった。
「ヒナタぁ!!」
オレは公園で待ち合わせをしていたヒナタに駆け寄った。
公園には今、実質的に二人きり。
さすがに他の一般人の親子連れがそこらじゅうで遊んでるけど。
「ナ、ナルト君、どうしたの?」
卒業式を終えたオレたちは公園で待ち合わせをしていた。
どうしてもヒナタに伝えたい事があったんだ。それは”これから”の話。
ヒナタはオレに落ち着いてベンチに座ろうと言うと、チョコレートブラウニーをくれた。ヒナタの手作りみたいだ。きっと、付き人のお姉さんや妹さんと一緒に作ったんだろうな。前クッキーをくれた時、一緒に作ったって言ってたし。
「あのね。私とキバ君・シノ君がスリーマンセルに決まったの。それでね、父上が・・・」
「どうだったんだってばよ・・・?」
「父上がね、おめでとうって!」
ヒナタは父親と複雑な関係だ。だから心配していたんだけど、心配が杞憂で良かった。ヒナタは父親から貰ったというスクールバッグを見せてくれた。家紋が刺繍されて入っていて、糸のツヤからしてかなり良いやつだと思った。
「ナルト君は、誰とチームになったの?」
「サスケとサクラちゃん!A組で成績最下位のオレと、男女首席の二人だからバランス良いってばよ」
「ナルト君と同じチームがあの二人で良かった・・・。それからね、ナルト君。どうして私を公園に呼び出したの・・・?」
そうだ、そうだったってばよ!
「実はな、オレ。ずっとヒナタのことが大好きで・・・」
公園が夕暮れでオレンジ色に染まる中、オレはヒナタにプロポーズした。
「大人になったらオレのお嫁さんになって下さい!」、と。
指輪だと学生にはかさばるから、渡したのはペンダント。
ヒナタはそれをそっと受け取って開封し、そのラベンダーを思わせる白い瞳に涙を溜めながら「私なんかで、いいの?」と言った。
オレはヒナタの細い首にペンダントをかけながら、「ヒナタがいいんだってばよ」と返した。
三嶋アザミ→前世は大卒(地方Fラン文系私立卒業、宗教哲学系)
地頭は悪くないのだが得意苦手が異常に激しく(LD)、通知表に1と5が共存するタイプの中学生時代を過ごしていた。そのせいで地元の県下トップクラスのアホ馬鹿ヤンキー不良高校しか行き場がなく、入学後は天才扱い。しかし耐え切れず転校後、命からがら大学進学という陰鬱な過去がある。
図形は一切読み取れないし、暗号は呪文にしか見えない。ただ、地理学と歴史学、国語”だけ”はトップクラスの偏差値をしていた、まるでダメなお姉さん。ちなみに英語は長文が文字として認識できず、単語”だけ”は得意。喋るという分野だけが突出していた。幼少期から無駄に忍者に詳しい。先祖は美濃と信州由来の奥三河出身、九州。
好きな流派は甲賀流、マダラ様と初代様の意味深な関係性を推す腐女子(おとめ)。
奥三河のまるでダメなOL・滝川薊子(たきかわ けいこ)が正体である。
先祖は伴氏とか、設楽氏とか、滝川氏とか、そちらに繋がっているらしい田舎民。