ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 穂乃果たちを家に上げる音也。鍋を作りながら、穂乃果たちといろいろ話し更に親睦を深める。

 同じ釜の飯を食うという状況で音也は彼女たちと出遭った奇跡をご飯と一緒に噛み締めるのであった。

 


廃校

 その後、受験勉強があるという花陽と凛は帰って行った。

 

 呼び捨てなのは本人たちの希望だ。後輩なのにさん付けはおかしいとのことだ。 うーん、そんなことはないと思うのだが、大方穂乃果とことりは呼び捨てなのに、ということだろう。実際海未にはそう言われた。

 

 海未も門限があるからと帰った。まぁ、なんだかんだ言ってもう八時だし、ちゃんとした説明も親にしていないのだろう。ことりの方もそんな感じで帰って行った。そして、穂乃果はなぜか僕の家でくつろいでいた。

 

 僕は後片付けをしながら、穂乃果に聞く。

 

「穂乃果は帰らないの?」

 

「ねえ、音也くん」

 

「何?」

 

「もう寂しくない?」

 

 穂乃果の優しげな声。ああ、穂乃果はきっと僕のことをずっと気にしてくれていたんだな。本当にありがたくて、涙が出そうだ。

 

「……そうだね。こういうことがこれからも続くなら、もう寂しくないんじゃないかな」

 

 これじゃあ、まるで僕がまた誘って欲しいと言ってるようなものじゃないか。

 

「そっか、じゃあ、また明日も朝迎えにくるね」

 

「……ありがとう」

 

 その後、後片付けが終わり、僕は買っておいたシュークリームを穂乃果の前にコーヒー牛乳と一緒に出す。穂乃果がコーヒーが大丈夫か分からなかったので、とりあえず甘めにした。僕はブラック派だ。

 

 穂乃果は一度は遠慮したが、僕からのちょっとしたお礼だよと言って納得してもらった。そんな穂乃果と食後のデザートを食べているとき、穂乃果がこんなことを言い出した。

 

「音也くん」

 

「どうしたの?」

 

「大好きなものが無くなっちゃうってなった時音也くんならどうする?」

 

 質問の意図が読めない。が、ここは正直に答えておくか。

 

「僕が? ……多分、諦めちゃうかな」

 

「そうなの?」

 

 穂乃果は驚いた顔をする。

 

「僕は何かをしようとする勇気がないんだ。だから、僕には無理だって思って諦める。いや、周りに流される。結局それが一番楽だし、日本人はそういう人が多いんだ。僕の偏見かもしれないけどね」

 

「そっか」

 

「急にどうしたの? 穂乃果」

 

「実はね……」

 

 穂乃果が説明するに、音ノ木坂学院は今廃校の危機らしい。

 

 どうもUTX学院に生徒を取られ、オトノキの入学希望者がどんどん減っているらしい。オトノキが大好きな穂乃果はそれをどうにかしたいと言う。

 

「それで、剣道で優勝して話題になればどうにかなると思ってると」

 

「うん、でも実はちょっと不安で」

 

「不安って?」

 

「もうすぐ大会だからかな、色々考えちゃうんだよね」

 

 寂しそうに笑う穂乃果。つまり、穂乃果は少々ネガティブになってる訳だ。

 

「穂乃果らしくないね」

 

「えっ?」

 

 穂乃果は予想外のことを言われたかのように目を見開く。

 

「まだ、会って二日目だけど、穂乃果がどんな人物か僕なりに分かってるつもりだよ? ……穂乃果」

 

「なっ、何?」

 

 穂乃果の動揺したような反応。うん、こんなこと言うのはそれこそ僕らしくないけど……

 

「とりあえず勝て。優勝するんでしょ? 考えるのはその後で。どんな結果になったって僕がまた一緒考えてあげるから」

 

 あの穂乃果がせっかく僕にこんなことを話してくれたんだ。僕だって何かしてあげたい。

 

「そう、そうだね。取り敢えず優勝しないとどうなるか分からないもんね。……よし、そうと決まったら、明日からまた頑張るぞー、オー」

 

 穂乃果を僕の言葉に最初こそポカンとしていたが、段々と笑顔になって明るい穂乃果に戻っていった。

 

「それでこそ、穂乃果だよ」

 

「ごめんね、急に」

 

「大丈夫。多分穂乃果はポジティブだからこそ、そういう抱えきれない不安を一回持つと一気に落ち込むんだと思う。だから、たまには弱音を吐いていいんだよ。僕は聞くことくらいしかできないけど」

 

 今まで失敗してこなかった人がたった一回の失敗で挫折する、なんて話を聞いたことがあるが、穂乃果もそんな感じなんじゃないだろうか? あくまで僕の考えであってそれが合ってるとは限らないが。

 

「ううん、ありがとう」

 

 そう言った穂乃果の顔が僕にはどうにも照れくさくて見れなかった。

 

 ……こういう時は別のことを考えよう。

 

「……廃校か、女子校も大変だなぁ」

 

「あれ、オトノキが女子校だって言ったっけ?」

 

 穂乃果が僕にこんなことを聞いてきた。どうやら口の出ていたようだ。

 

「いや、だってこの辺の学校は調べたからね。受験の前に」

 

「へぇー、この辺に来たかったってこと?」

 

「そうだよ」

 

 そう、親の教育方針で一人暮らしをすることになった際、一人暮らしができるならどこに言ってもいいといわれたので、この辺に狙いを定めたのだ。本当に親には感謝している。

 

「なんで?」

 

 首を傾げる穂乃果。改めて聞かれるとちょっと……

 

「……引かない?」

 

「うん」

 

「アキバが近いから」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

 僕の答えに穂乃果は特に驚いたりすることも、軽蔑することもなく、ただ淡々と反応した。予想外の反応に逆に僕が驚いてしまう。

 

「あれ? それだけ?」

 

「うん、秋葉原が近くにあるからここに来たんでしょ」

 

「うっ、うん」

 

「音也くん、ゲームとかアニメが好きなんでしょ? だから、アキバに来たかったとかじゃないの?」

 

 穂乃果の言葉に僕は動揺した。

 

「なっ、なんでそれを」

 

「押入れの中」

 

「あっ!」

 

 そういえば、押入れの中にゲームとかラノベをしまってあるんだ。しまった、座布団の近くにもあったけ、忘れてた。というか、分かってて聞いてたな? 穂乃果。

 

 ……でも穂乃果が僕みたいな人に偏見がない人で良かった。

 

「それに、誰も言わないようにしてたけど、あんな大きなパソコンがあるんだよ。なんとなーくそんな人なんだなぁって予想がつくよ」

 

 そんな人って、どんな人だろう? まぁ、確かにこのデスクトップパソコン……トリプルスクリーンだし、目立つよね。

 

「……まぁ、そうかな?」

 

「そうだよ。ノートパソコンくらいしか持ってない穂乃果には詳しくは分からないけど、それ結構高そうだし、多分みんな変なことして壊しちゃいけないと思って遠慮してたよ?」

 

「あー、ごめん。デスクトップパソコンは動かすの面倒だから」

 

 僕が謝ると穂乃果は首を振る。

 

「ううん、急に押しかけたの私たちだもん。私こそごめんね、邪魔だったみたいな言い方して」

 

「まぁ、次があったら善処するよ」

 

 自分で言っといてあれだけど……善処するって、殆どやらないって意味だよね。政治家とかがよく使うイメージだ。

 

「ちなみに聞いてもいい?」

 

「何?」

 

「それ、いくら?」

 

 穂乃果はパソコンを指でさしながら聞いてくる。

 

「うーん、これ自作PCだから高性能の割には意外と安上がりなんだよね。パーツも探し回ったし。でも、完全に一からだったし、周りの周辺機器もあるから……十万円くらいはかかってるんじゃないかな、多分」

 

「……安上がり?」

 

 僕の言葉に穂乃果は一瞬固まり、こちらを向いて聞き返してくる。心なしか穂乃果の顔が青くなってる気が……

 

「まぁ、これぐらいの性能のパソコンしては、ね」

 

「……下手に触らなくて良かったよ」

 

 穂乃果が胸をなでおろす。まぁ、確かにもし壊しても彼女たちが弁償代を払えるとは思えない。もしかしたら払えるかもしれないが、この反応を見る限り穂乃果は払えないだろうな。

 

 ……ふむ、大分話がずれている気がする。いったん戻すか。

 

「そういえば、オトノキって国立だよね? 国立音之木坂学院っていう名前だし」

 

「名前はね」

 

 僕の質問に穂乃果はこんな回答をする。

 

「どういうこと?」

 

「さぁ?」

 

 よく分からなかったから聞き返すと、穂乃果も首を傾げている。

 

「さぁ? って……」

 

 なんでだよ。自分で言っといて分からないのかよ。そんな風に思っていると、穂乃果がこんなことを言う。

 

「うーん、私も良く分かってないんだけど、オトノキって名前には国立って入ってるけど実際は私立みたいだってお母さんが言ってたし」

 

「はっ?」

 

 余計に分からない。……ちょっと調べてみるか。そんな風に思ってパソコンの前に座ると、穂乃果はさらに続ける。

 

「例えば、ことりちゃんのママはオトノキの学院長なの」

 

「いや、それは別に普通だと思うけど……」

 

 いわゆる校長という役職と一緒じゃないのか? いや、穂乃果がこう言うからには違うのか? やばい、混乱してきた。

 

「そうなの? 私もよく分からないや」

 

「そっか。僕もよく分からないけど……あ、出てきた。ふーん、国じゃなくて学校法人が運営してるのか」

 

 検索してもよく分からない。学校法人が関わってるってことは私立みたいなものだけど……学費は公立とあんまり変わらないみたいだし。そんな風にパソコンを見ていると穂乃果が横に来てこんな風に聞いてきた。

 

「そういえば、なんでそんなことを聞いたの?」

 

「いや、なんで学費の安そうなオトノキには人があまり来ないのかと思ったんだけど……都会に住んでるからお金持ちが多いのかな?」

 

「どうなのかなー。難しいことは分からないや」

 

 難しい、か? やっぱり、穂乃果って……

 

「……穂乃果、入学試験とかはどうしたの?」

 

「うん? 海未ちゃんちことりちゃんと一緒に頑張って勉強して入ったよ。先生には絶対入れないとか言われてたけど、頑張ればなんとかなるもんだよ」

 

 笑顔でそんな風に言う穂乃果。穂乃果は考えてるのか考えてないのかよく分からん。そう感じた一幕だった。

 

 

 その後、穂乃果も帰り一人になるといつも通りパソコンをいじりながゆったりしていたが、ふと部屋を見回すといつもより部屋が広く感じた。

 

「こんなに広かったっけ、部屋」

 

 あっという間の一日だった。休日に誰かと遊ぶのなんていつぶりか。

 

「廃校かぁ……」

 

 僕には分からない話だ。そもそも僕は学校自体そんなに好きじゃないし、僕はここの人間じゃない。これで実家の方の母校がとかだったら、まだ分かるのだが……

 

 でも、穂乃果は僕に弱音を吐くぐらい頑張って廃校の危機を乗り越えようとしてる。僕にはあんなにも頑張れることがあるだろうか? 

 

「僕の方も少し協力してみようかな?」

 

 要するに、オトノキになくてUTXにあるものを見つければいいのだ。しかし、どちらも女子校であるから、僕には分からないこともある。

 

「隣の女子に聞くかなぁ……」

 

 確か名前は佐々木響子だったかな? 現代文の授業中にでも聞くかな。あの授業だったら隣の人と話す口実ができるし、彼女も確か現代文の授業中は寝るタイプだったはずだ。いや、そもそも、現代文の授業真面目に受けてる人っているのか?  

 

 休み時間に聞けばって? そんな度胸があったら友達できてるよ。誰に言い訳してるんだろ。……でも僕も頑張らなきゃ、穂乃果を見てそう思った。

 

「まあ、どっちにしろ明後日か。明日はどうしようかな」

 

 と言っても、朝は予定が決まってるようなものだ。……多分。

 

「もうこんな時間か、寝よう」

 

 いつも通りに寝る支度をして、布団に潜り込む。今日はちょっと寒いなぁ。

 

「そろそろ毛布も出すかな」

 

 そんなことを思いながら、意識を手放した。




次回は3月6日投稿予定です。

 今日は上原歩夢さんの誕生日なんですよね、おめでとうございます。

 さて今回の話ですが……こんなの穂乃果じゃないと思った方、すみません。私の作品の穂乃果はこんな感じでいきます。

 まぁ、言い訳させてもらいますと……この作品題名にIFと書いてありますので。この言い訳は駄目ですね、大体の事柄に通用しちゃいます。
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