ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 穂乃果たちの紹介で絵里と知り合った音也。

 一緒に帰りながら親睦を深め、最終的に絵里を家に招待することになったのだった。


小鳥は寂しいと死んじゃう動物?

 とある平日、学校が終わり清掃も終わったので帰ろうかと思って荷物を持つと、ポケットからスマホの着信音が聞こえた。

 

 穂乃果かな? そう思ってスマホを見ると差出人はことりであった。

 

「……ことり?」

 

 どうしたんだろうか? 疑問に思いながらメールの内容を見ると一緒に帰ろう? と書いてあるだけだ。

 

 まぁ、特に断る理由もないし別にいいのだが……穂乃果と海未はいないのか? いや、まぁ前みたいに二人きりだとちょっと……みたいな感じではなくなってきたのだが、ことり二人だけっていうのは初めてな気がする。

 

「まぁ、取り敢えず会ってみれば、分かるよね」

 

 僕はことりに、いいよ、とだけ返してことりと合流するために早足に校舎を後にした。

 

 

 数分後、ことりと合流する。やっぱりことり一人だった。

 

「穂乃果と海未は?」

 

「今日も部活……」

 

 なぜか寂しそうに答えることり。本当にどうしたんだろうか? 

 

「あー、えーっと、その……そ、そうだ、少し寄り道して行く?」

 

 気まずい雰囲気が辺りに流れる。その雰囲気に耐え切れず僕はそう提案する。

 

「え?」

 

 ことりは目を見開いてこっちを見ている。さすがに急だったかな? 

 

「お、お腹空いてるとネガティブになるってどっかの誰かも言ってたよ?」

 

 なんとなく恥ずかしくなってよく分からない言い訳をする。というか、どっかの誰かって誰だよ。

 

「……ふふっ、ありがと、音也くん。でも大丈夫……」

 

 僕の気持ちを察してか、お礼を言ってくることり。しかし、やんわり断られる。

 

「本当に?」 

 

「本当に」

 

「そう……でも」

 

 ことりは大丈夫と言っているがなんとなく心配だ。僕の反応にことりは少し考えた後こんなことを言う。

 

「じゃあ、音也くん少し聞いてもらっていいかな?」

 

「……うん」

 

 僕に何ができるは分からない、だが聞くだけならできる。

 

「私ね、穂乃果ちゃんと海未ちゃん……二人が部活ある時はね、一人で被服室にいて二人が来るまで待ってるか、一人で帰ってたの……」

 

「え?」

 

 ことりの予想外の言葉に僕は固まる。だが、下を向いて話していたことりはそんな僕に気づかず、話を進める。

 

「別に毎回ってわけじゃないよ? 二人以外にも仲のいい子はいるし……時々はその子たちとも遊んだりしてた」

 

「……」

 

「今まではその事に何も感じてなかった……ううん、感じてなかったって言うと嘘になる。でも、耐えれた」

 

「どういう……」

 

 ことりの言葉の真意が分からず聞き返す。

 

「初めて会った時、音也くん、言ったよね? 寂しいって」

 

 急に僕のほうを向くことり。僕は動揺する。

 

「う、うん」

 

「私もね、寂しくなちゃったの。なんだか無性に」

 

「……え?」

 

「穂乃果ちゃんと海未ちゃんが頑張ってる時に、私は何をやってるんだろうって……」

 

「……ことり」

 

 何を言えばいいのか分からず、ただことりの名前を呼ぶことしかできない僕。

 

「ごめんね、なんだかことりもよく分からないの。今までは特になんとも思わなかったことが全部仲間はずれにされてるように思えちゃって……」

 

「ごめん、僕のせい、だね」

 

 どうしてこうなったのかは分からない。人の心は複雑怪奇とはこのことだ。ことりの気持ちはことり本人にしか分からない。だがことりの発言から、きっと僕にも原因があるのだろう。

 

「ううん、違う、そうじゃないの。そうじゃないのに……」

 

 ことりは僕の言葉を否定しながら首を振る。その声は震えている。……駄目だ、二人して落ち込んでいたら……何か言わなければ。

 

「ことり……僕が言うのもなんだか変だけど……ことりは一人じゃないよ?」

 

「……」

 

 ことりは目に涙を浮かべながらこちらを見る。

 

「穂乃果と海未は確かに同じ部活をやってて、一緒にいる時間が長いから、ことりにとっては二人が遠くに並んでいるように見えてるのかもしれない。でも、きっと二人にとってはことりも横にいるはずだよ?」

 

「音也、くん」

 

「なんて、ごめん。ちょっと恥ずかしいこと言っちゃった」

 

「ううん、ありがと、音也くん。少し元気が出てきたよ」

 

「それなら良かった……それと」

 

「?」

 

 ことりはちょこんと首をかしげる。

 

「ことりの周りには穂乃果と海未だけじゃないでしょ? ……ごめん、やっぱりなんでもない」

 

 どこかからお前が言うなって声が聞こえる。あー、恥ずかしい。

 

「ふふっ、自分で言ってて照れてたら意味ないよ、音也くん」

 

 ことりに笑顔が戻ってくる。それだけ確認して顔をそらす……やっぱり僕にこういうのは向いてないと思う。

 

「あー、うん、そのー」

 

「そうだよね、音也くんもいるもんね」

 

「……そういうこと」

 

 ことりはすっかりいつもの調子を取り戻したようだ。それなら良かったけど……

 

「ねぇ、音也くん」

 

「何?」

 

 そう言ってことりの方を向く。

 

「これからもたまにでいいから一緒に帰ってくれる?」

 

「……うん、それくらいなら」

 

「ありがとう、音也くん」

 

 

 それからは普通に家に帰った。ことりは多分大丈夫だろう。

 

 家でパソコンの画面を見ながら僕は考える。

 

 やっぱり人それぞれ悩みがあるんだろう。本人にしか分からないような悩みが。だが、それを誰かに言うだけでも楽になるのは知っている。

 

 さっきこういうのは向いてないって思ったばかりだけど、彼女たちの為にこういう役回りになるのも悪くないのかもしれない。……頼ってもらえるのも嬉しいし。

 

 僕はやっぱり安い男なのかもしれない。そう自分で思うのだった。




次回は3月20日21時投稿予定です。

 まず始めに、海未、誕生日おめでとうございます。

 さて、今回は短めですね。ちょっとした日常の一幕って感じです。

 自分で読み返して分かったんですけど、この作品って音也以外の心情描写が少なくて音也以外がどう考えてるのかが分かりずらいんですよね。一人称の小説だとありがちなんですけど、私にはそれを補う技術がないので、別視点の話を書こうと思ってます。……多分、きっと。

次回"幸薄い希"お楽しみに。
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