ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 穂乃果が無事大会で優勝した次の日、音也は一人UTXを見に行く。そこで、不審者のような女性……にこと出会った。

 だが、にことはすぐに別れてしまう。もうにこと会うことはないだろうと考える音也だった。


なんでもない休日の朝

 もうすぐ冬休みに入る時期、世間ではクリスマスムードだ。この前までハロウィンハロウィン言ってたのに。で、クリスマスが終わったらすぐに正月モードになる。……年末は忙しないなぁ。

 

 ま、そんな世間には目もくれず僕は炬燵の上に置かれたプリントを見ていた。それは文理選択決定のプリントであった。来週の月曜日提出らしい。

 

「文理選択かぁ。まぁ、理系にするんですけど……」

 

 もともと理系にするのは決まっていた。別に理系教科は得意ではないのだが、好きではあるのだ。

 

 これは、僕の持論だが好きと得意は必ずしも一致はしないと思っている。実際僕は数学が好きだがテストで良い点が取れるか? と聞かれると微妙なところだ。

 

 と、ここまで考えてふと気になることができた。

 

「穂乃果……文理選択どうすんだろ? あるよね? オトノキにも」

  

 今日まで穂乃果と接してきて気づいたことの一つに穂乃果は勉強が嫌いであるということがある。海未曰くやればできるのに、とのことだ。たしか期末テストは赤点を取って補講が~とか嘆いてた。じゃあ、ちょっとは勉強すればいいのに、とか思うが。

 

 そんな穂乃果が文型にするのか、理系にするのか気になったのだ。特に理由はない。あえて言うなら好奇心だ。

 

「聞いてみるか、明日」

 

 明日は土曜日で剣道の大会が終わってからというもの穂乃果は燃え尽き症候群……もとい親しい者たち曰くいつもの穂乃果に戻ったらしい。つまり何が起きたかと言うと……

 

「明日は迎えにくるのかなぁ? まぁ来なくても、さっき帰りに明日の朝ご飯は穂乃果の家に来てね! とか言ってたからたぶん準備はされてるだろうし……行くかぁ」

 

 一人だと気まづいんだけどなぁ。でも、穂乃果が朝に来るのが稀になってきたし、来ないだろうなぁ。

 

 休日に部活とかないのか? って聞いたら、午後からだよ、って言われたし。たぶん午前は他の部活が武道場を使ってるんだろうなぁ、とか思ったものだ。

 

「まぁ、いいや。寝よう」

 

 

 ──―ピピピッ、ピピピッ

 

 ……やっぱり地獄だ。

 

「ふぁ~ぁ、眠い、寒い」

 

 もう本格的に冬だなぁ、朝寒くて起きれん。適当に着替えたりして出かける準備をする。もう最近、休日は七時半まで待って穂乃果が来なかったら穂むらに向かうことにしている。

 

 穂乃果の活動に合わせて家族の方もいろいろ時間を早めにしていたようだ。大会が終わってすぐの頃は、昨日誘われたのにいつもの時間に穂乃果が来ないなぁ、と思い七時くらいに高坂家に行ったら休日のためか穂乃果と雪穂は寝ているという状況に何度か遭遇した。

 

 一応穂乃果に誘われているという体で高坂家に行っているので穂乃果が起きてくるを待つのだが、大抵雪穂が先に起きてくる。それが大体七時半くらい。中学生にしては十分規則正しい生活だ。それに比べて穂乃果は八時半くらいに起きてくることが多かった。

 

 で、僕が待つというので穂乃果父母祖母も待ってくれて、雪穂もそれに準じて待ってくれて最終的に全員が揃うまで待つというのが定評化してしまった。

 

 穂乃果もそれが申し訳なく思ったのか休日でも比較的早起きをするようになったのだが、それでも雪穂と同じくらいに起きてくることが多かった。

 

 で、僕が早く向かうとある問題が起こった。それは、雪穂と穂乃果の寝起きが見れるということだ。あまりにも無防備な雪穂と穂乃果を最初見た時は不意打ちということもあり、あまりの恥ずかしさにしばらく雪穂と穂乃果が見れなかった。

 

 とまあ、こんな風なことがあってから最終的に休日は七時半くらいに家を出るのが丁度いいということで落ち着いた。

 

 ちなみに早く行って雪穂と穂乃果を待っているときは、穂乃果の祖母とお茶を飲んだり、朝の仕込みというものを手伝ったりして時間を使った。それもまあ楽しかったのだが、あくまで僕は部外者なので遠慮してしまうのだ。……朝ご飯頂いといて何を今更って感じではあるが、その辺は僕なりの線引きだ。

 

「お邪魔します」

 

 あ、後最近は裏口から出入りするようになった。ここの看板娘である雪穂や穂乃果、その友達としてある程度顔が知られてるであろう海未やことりならまだしも、僕一人で店側から裏に入っていくのはいろいろとまずいだろうと思ってのことだ。いや、実際は雪穂や穂乃果でもまずいのだろうが……

 

 とか、考えていたら穂乃果母が来た。

 

「おはようございます」

 

「はい、おはよう。もうご飯の支度できてるわよ。手洗ってきなさい」

 

「あっ、はい、了解です」

 

 もう、この家も慣れたものだ。手を洗って食卓に向かう。そこにはすでににみんな揃っていた。

 

「おはようございます」

 

「おはよー、音也くん」

 

「おはよう、お兄っ、……音也さん」

 

「おはよう、音也」

 

「……」

 

 穂乃果は相変わらずだ。雪穂は、うん、家族の前でお兄ちゃんって言いそうになるのは何回目だろうか? 恥ずかしいからやめてほしい。

 

 穂乃果祖母は僕を本当の孫のように接してくれている。穂乃果父も相変わらずだがこの家唯一の同性なので通じ合うところがあって最近は言いたいことが分かるようになってきた。

 

「さて、それじゃあ頂きましょうか。いただきます」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「……」

 

 こういうのって普通大黒柱であるはずの父親が言うものなのだろうが、この家では母親が言う。まあ、父親が父親なのでしょうがないと思うが。

 

 ただ、穂乃果父も和菓子のこととなると人が変わる。この前も厨房の方からバイトの人に向かって声を荒らげるのを耳にした。それくらい和菓子にかける情熱がすごいのだ。そういうところは尊敬できる。……いつもそれくらい喋ってくれよとも思ったが。

 

 今日も今日とて和食なメニューだ。ものすごく健康に良さそうであり、なおかつ美味しい。

 

 そんなご飯を食べながら僕は昨日考えていたことを穂乃果に聞いてみることにした。

 

「そういえば、穂乃果」

 

「んー、何?」

 

「オトノキも文理選択はあるの? それとも、もっと多く分かれてたりする?」

 

 学校によっては文系の中、理系の中でもいくつか別れている学校もある。

 

「音也くん、オトノキ人数少ないんだよ。穂乃果たちの学年は二クラスしかないし、そんなに分かれるわけないよ」

 

「そうだったね。でも文理選択はあるんでしょ?」

 

「うん、一応ね」

 

「穂乃果はどうするの?」

 

「私は文系だよ? 文型教科の方が得意だし」

 

「違うでしょ、お姉ちゃんは数学……というより算数が壊滅的にダメなだけでしょ」

 

「そんなに?」

 

「九九が言えたらすごい」

 

 こんな高校生リアルでいるんだな。初めて見たよ、うん。

 

「……穂乃果、強く生きて」

 

「えっ? どういう意味、それ」

 

「でも穂乃果って文型教科得意だったんだ、知らなかった」

 

「む、無視なの!? ……まぁいいけど。それで私が得意な教科の話だっけ? そうなんだよ、私文型教科は比較的得意なの」

 

「得意って言ってもねぇ」

 

「そうだねぇ」

 

 含みのある言い方をする穂乃果母と祖母。

 

「平均点に届く時があるってだけだよね、文型教科だけ」

 

 容赦なく姉を売る雪穂。

 

「もー、みんなひどいよ。そっ、そうだ、音也くんはどうなの? 文系? 理系?」

 

 あからさまに話をずらしてきたな。まぁ、いいけど。

 

「僕は理系だよ」

 

「へぇ、なんかイメージ通りだね」

 

「お姉ちゃん、良かったね。数学教えてもらいなよ」

 

 「いや、数学の前に算数でしょ?」

 

 まさか同級生に算数を教えることになるとは……

 

「だ、大丈夫だもん、海未ちゃんに教えてもらうから」

 

「結局教えてもらうんだね」

 

 呆れた顔をする雪穂。うん、それは僕も思った……あれ? 海未も文型なのか? 

 

「海未とことりも文型なの?」

 

「うん、そうだよ」

 

 と、いうことは……

 

「ふーん、じゃあ、クラスは一緒?」

 

「そうだよ」

 

「実は海未とことりが文型にしたから、穂乃果も文型にしたんでしょ?」

 

「そうだ……あっ、ち、違うよ。そうじゃないよ」

 

「やっぱり」

 

 僕は納得して頷く。そんな僕たちを見て雪穂が一言。

 

「すごい、誘導尋問だ」

 

「いや、尋問ではないから」

 

 尋問って言い方は誤解を生みかねない。せめて……あれ? なんて言えばいいんだろう。

 

「そもそも、穂乃果の本当に得意な教科って何?」

 

「露骨に話を逸らした……お姉ちゃんの得意教科かぁ……体育とか?」

 

「あー成る程、一応運動部だもんね」

 

 まぁ、確かに体育ができるのは素直にすごいと思う。と、それが納得できなかったのか穂乃果がこんなことを言う。

 

「び、美術だって得意だよ!」

 

「そうなの? あー、でもなんか分かるかも……」

 

 こういう子の感覚って侮れないんだよな……僕みたいに頭固いやつと違って。

 

「本当!?」

 

「うん、すごいと思うよ。僕は体育も美術もできないから」

 

「わーい、音也くんに褒められたー」

 

 単純だな、穂乃果は。手を上げて喜んでる。でも食事中は行儀は悪いからやめようか。そんな風に考えてると雪穂がハッと何かを閃いたかのような顔をする。

 

「分かった、尋問じゃなくて調教だ」

 

「それも違うから!」

 

 雪穂の言葉に異議を唱える。いや、調教とか本当にやばいから、穂乃果父がすごい形相で睨んでるから。

 

「ほ、穂乃果は僕の……友達だから」

 

 友達だと……思う。たまに犬に見えなくもない時はあるけど……

 

「すっごい絶妙な間があったよ!?」

 

 僕の言葉に穂乃果がこんなことを言う。ここで正直に言ったら、穂乃果父に怒られそうなので僕は誤魔化す。

 

「気にしないで」

 

「気になるよ!」

 

「それで穂乃果は──―」

 

「スルーなの!?」

 

 穂乃果の悲痛な叫びに笑いが起こる。なんでもない日のなんでもない出来事。こんな日々が僕を少しずつ変えているのではないかと僕は考えるのだった。 




次回3月28日21時投稿予定。

 この話、あまりメインストーリーと関係ないから投稿するか迷ったんですけど……結局投稿しました。

 筆者の偏見と独断でいくつかの話はサイドストーリーという形で不定期更新していくつもりです。こういう面倒な書き方しかできない私の技量不足をお許しください。

次回"真の姫の如く" 
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