ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 穂乃果はやっぱり勉強ができないことが分かった音也だった。


真の姫の如く

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 ある休日の午後、僕は近所の公園に来ていた。今日は一応クリスマスなのだが、午前はいつも通り、高坂家で朝ご飯を頂いた後、少し家事の手伝いをしてから家に帰り、花陽と凛の受験勉強を手伝っていたのだが、午後からは二人とも用事があると言うことで帰っていった。

 

 クリスマスということで穂乃果たちは何かするみたいだ。当然のように僕も誘われたのだが、どうも学校の友達とやるらしいので、そこに僕が行っても、と丁重に断らせてもらった。と、手持ち無沙汰になった僕は散歩がてらに公園に来たのだ。

 

 公園では子供たちが遊んでいる。そんな微笑ましいものを見ながらさっき自販機で買ったコーンポタージュでも飲みながらボッーとしようかとベンチに向かうと、そこにはすでに先客がいた。

 

 ……帰るか、そう思って踵を返した時、その先客が僕に向かって言った。

 

「座っていいですよ、隣」

 

 少し悩んだが結局はそのお言葉に甘えることにした。

 

「じゃあ、失礼します」

 

 気まずい空気が流れる。そんな僕らに目もくれず子供たちは走り回っている。まるで、あっちとこっちが別世界のようだ。

 

 そうえば隣の女性……あの子供たちのお母さん……じゃないよな、多分。気になって横を見ると、その子もこちらを見ていた。ただし、こちらの手元だが。

 

「コーンポタージュ飲みます?」

 

 彼女は僕が持っていたコーンポタージュを注視していた。飲みたいのかと思って聞いてみる。

 

「それ、コーンポタージュだったの?」

 

「知りませんか? 缶コーンポタージュ、僕は好きなんですけど」

 

「初めて見たわ」

 

 まぁ、確かにメジャーではないのかもしれない……売ってる自販機も体感少ないし。

 

「そうなんですか、それで飲みます?」

 

「え? いっ、いや、いいです」

 

 ……いいですって返事は結構困る、どっちか分からない時が多いから。僕自身も使っちゃうから人のことは言えないが。まぁ、大抵の場合は遠慮しますの意味なので、僕はそうですかと言って自分で飲み始めた。

 

 彼女は一旦はこちらを見るのをやめたものの、しばらくするとまたチラチラとこちらの手元を見始める。……視線が気になる。彼女に悪気はないのだろうが……

 

「……あの、やっぱり欲しいんですか? さすがにずっと見られてるのは、ちょっと……」

 

「あ、すみません」

 

 彼女は謝って顔をそらす。面倒だなぁ、飲みたいならそう言えばいいのに……やばい、ブーメランだ。

 

「えっと、もう一本買ってきますよ、待っててください」

 

「え? あ、あの」

 

 彼女は何か言いたそうにしていたが、こういう時は多少強引にした方がいいと穂乃果から学んだ。いい意味でも悪い意味でも穂乃果に影響されてるなぁ、僕。

 

 

「で、どうです? 缶コーンポタージュは」

 

「……美味しいわ」

 

 庶民の味は合わないと思ったのだが、そうでもないようだ。……先程、僕に

 

「お金、返さないと……あ、でも、今日はカードしか持ってなくて」

 

 と言った時は驚いた。いくら入ってるのかは知らないが、カードの実物を見せてもらった時、僕は彼女が相当なお嬢様であると考えた。だってゴールドカードって……

 

 まぁ、そんなことはさておき、彼女が嬉しそうだから、強引にでも行動してよかったと思える。

 

「それは良かったです」

 

「ありがと」

 

 彼女は照れくさそうに顔をそらしてお礼を言う。

 

「どういたしまして」

 

 ……会話が途切れる。元々僕が話すことが苦手なのに加え、相手も話すことが得意ではないようだ。

 

 沈黙を先に破ったのはあちら側だった。相手も気まずかったのだろう。

 

「ねぇ、あなたはどうしてここに来たの?」

 

 いつの間にか敬語もなくなってるし……元来敬語というものが苦手なタイプなのかもしれない。僕は別に気にしないから構わないが……周りの人物がそんな人たちばっかりだから。

 

「ただの暇つぶしです」

 

「そう」

 

 愛想なく相槌を打つ彼女。なんというか人によっては嫌いになりそうな子だな。僕は別に大丈夫だけど……でもそんな子がどうしてこんな場所に? ちょっと聞いてみるか。……不思議だ、僕はもう少し彼女と話してみたいと思い始めている。

 

「そう言うあなたは?」

 

「私? 私は、そうねぇ……」

 

 答えにくそうに顔を歪める彼女。これは悪いこと聞いたかな? 

 

「ああ、言いにくいことなら別に無理して言わなくても……」

 

「そういうわけじゃ……ただ家に居たくなかっただけ」

 

「……そう、ですか」

 

 家庭の事情か……僕はどう返事をすればいいのか分からず、ただそうとだけ返す。

 

「……理由は聞かないの?」

 

 彼女はそんなことを聞いてくる。……これって。

 

「聞いて欲しいんですか?」

 

「いや、別に……」

 

 自分の髪をクルクル弄りながらそんなことを言う彼女……なんか、聞いてほしそうな雰囲気だな。さっきのコーンポタージュの時もそうだったけど、素直じゃないというか……それに付き合う僕も随分と変わったなぁ。自分でそう思う。

 

「親と喧嘩でもした、とかですか?」

 

「喧嘩って程のことじゃないけど……」

 

「……それじゃあ」

 

 どうにも煮え切らない返答をする彼女……違うのかと思い他に思い浮かんだ原因を聞こうとしたとき、彼女が話し出した。

 

「親がね、オトノキに入れって言って勝手に進路決めちゃったの」

 

「……オトノキ?」

 

 意外な名詞が出てきて思わず聞き返してしまう。

 

「そう、知らない?」

 

「いや、知ってますし、知り合いがそこに通ってるので」

 

「そうなの……あそこの学園長がね私のママと知り合いらしくて、それで……」

 

 へぇ、彼女の母とことり母は知り合いなのか……意外な繋がりだなぁ。世界は広いようで狭いみたいだ。

 

「そうだったんですか。でも、そんなに嫌なんですか? オトノキに入るの」

 

「ううん、そうじゃないの。ただ……」

 

「ただ?」

 

 彼女は何かを考えるように空を見上げた後、僕にもやっと聞こえるような声量でこう言った。

 

「私の知らない所で勝手に私の進路を決められたのが……」

 

「成る程」

 

 納得できなかったんだな。しばらくの沈黙……そして、彼女は自嘲気味に笑いこう言った。

 

「……あなたに言っても仕方ないわよね」

 

「まぁ、そうですね。だけど誰かに話すだけでも楽になったりするものですよ?」

 

 恥ずかしながら経験談だ。誰かに自分の心情を吐露するのは、照れくさくもあり心地よくもある。彼女もその意見には同意なのか頷いている。

 

「そうね」

 

「さて、僕はそろそろ帰りますけど……最後に一つ」

 

 いつの間にか公園で遊んでいたはずの子供たちはみんな帰ってしまった。まぁ、もう冬だし日の入りが早いから早めに帰るように言われてるのだろう。だが、帰る前に彼女に一つ言っときたいことがある。

 

「え?」

 

 彼女は少し驚いた顔でこちらを見る。……その顔が少しあどけなく、小さな子供に話しかけているようで僕の口調は思わず素に戻る。

 

「親に自分の気持ちを正直に言ってみたら? 恥ずかしいだろうけどさ」

 

「……」

 

「まぁ、最後は自分で決めることですよ。僕なんかが言える立場でもないですけどね」

 

 そう締めくくって、公演を後にする。彼女は呆けたままだったが言葉は届いていると願いたい。……正直に、か。二、三ヶ月くらい前の僕に言ってあげたいな。本当、誰が言ってるんだか。

 

 そんな風に若干自虐気味な思考をしながら公園から出た所で後ろから彼女の声がした。

 

「さっきの缶コーンポタージュのお礼今度するから、この公園で」

 

 ──―だからまた会いに来て。そんな風に受け取れるのは僕の自惚れかな。……どうしよう、ただのキザ野郎だ、これ。でも、彼女はきっと遠まわしにそう言っている、そんな気がするのだ。

 

「……本当に素直じゃないですね」

 

「うるさいわね」

 

 ああやって、顔を赤くして否定するところを見るとあながち間違いでもないのかもしれない。

 

「気が向いたら、また来ますよ」

 

 名前も知らない彼女。まるでアニメから出てきたようなツンデレお姫様みたいだったなぁ。そんな失礼なことを考えながら僕は帰路につくのだった。

 




次回3月29日投稿予定。

 前回のラブライブIFが雑ですか? でも前回の内容ってこれぐらい薄いんですよね。

 それはさておき今回でやっと九人出すことができました。まぁ、この二人はまだお互いの名前を知らないんですけど……この話漫画二巻で真姫とにこが公園でおしるこ飲んでる場面と真姫と海未のsidを見て思いついたんですけど……ご都合主義が否めないです。

次回"変化"一体いつになったらスクールアイドルを始めるのだろうか……
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