ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 ホワイトデー、バレンタインで貰った分を皆に返そうとクッキーを作った音也はいろんな人にクッキーを配り歩く。

 その先に待つ地獄うぃ知らずに……まぁ、希をからかって怒らせただけだけど。




春休みの勉強会

 春休みに突入した。当然のように宿題はある。というかすごく多かった。まぁ、春休みなんてものは学生の特権だからなぁ、世間は普通に仕事だしそれに比べればマシな方かと納得している。

 

 で、穂乃果に、オトノキでも春休みの宿題が出たか、って聞いたら出たと言う。そして、なぜかそのまま勉強会することになったのだが……

 

「なんで毎回、男子は僕だけなのかな?」

 

 家が近いこともあり一番最初に来た穂乃果に来るメンバー聞いて僕はパソコンから目を離しこう言った。

 

 それに対して穂乃果は炬燵でのんびりしながら言い訳をした。

 

「だって、海未ちゃんがあんまり男の子が多いと嫌だって言うから……」

 

「だったら、僕抜きでやればいいじゃん!」

 

「えー、音也くんの家でやるから誘わざるを得ないじゃん?」

 

 そう、この状況から察せる通り、実は勉強会は僕の家でやることになっているのだ。

 

「だったら、僕の家を以外でやればいいじゃん! なんで僕の家でやる前提なのさ!?」

 

「うん? だって音也くんの家って娯楽になるもの少ないから勉強が捗るし、行くとお菓子が出るじゃん、しかも和菓子じゃない!」

 

「おい、後半が本音だろ! 絶対」

 

 しかも、娯楽なら沢山あるよ、押入れの中に……見えないところにあるからって意味だと思うけど。

 

「いいじゃん、減るもんじゃないし」

 

「減るよ! 具体的に僕の所持金が!」

 

「もう、文句ばっかりだなぁ。嫌なの?」

 

「いっ、嫌ってわけじゃないけど……」

 

「じゃあ、いいよね」

 

 ダメだ。勝てる気がしない。穂乃果って普段は馬鹿っぽいのに、たまにものすごく口が達者になるんだよなぁ。いや、僕が穂乃果に弱いだけかな? 

 

「……分かったよ、降参だ」

 

 ──────ピンポーン

 

 と、ちょうど来たみたいだ。時計を確認すると、今は大体午後一時くらい。約束してた時間通りか。

 

「はーい」

 

 なぜか穂乃果が出て行った。というか、動くの早過ぎ! いや、僕が少し遅かっただけか。そんなことを思ってる間に三人入って来た。

 

「いらっしゃーい、座って座って」

 

「なぜそれを穂乃果が言う……まぁ、いいや。こんにちは、海未、ことり、それに絵里」

 

 ここは穂乃果の家なのか? まぁ、大体は穂乃果だから、で説明がつく。……考えるのを放棄したとも言うが。まぁ、そんなことは置いておいて、三人はそれぞれ僕の挨拶に答えてくれた。

 

「はい、こんにちは、音也」

 

「こんにちは、音也くん」

 

「こんにちは、音也。ここに来るのも久しぶりね」

 

 うん、やっぱり異性ばっかりだと気まずいよな。まぁ、今更か。

 

 三人を炬燵に座らせて僕は言う。ちなみに座布団は来る前用意しておいた。

 

「さて、じゃあ四人で頑張ってね。僕は適当にパソコン見てるけど」

 

「あれ? 音也くんは宿題しないの?」

 

 ことりがそんなことを聞いてくる。うん、まぁ、勉強会という名目で来てるわけだから、疑問に思うのも当然か。だが、僕は……

 

「終わった」

 

「早!」

 

 穂乃果が目を見開き驚く。

 

「まぁ、学校の休み時間とかにちょくちょく進めてたし、二月後半あたりから自習の授業が多かったからね」

 

「じゃあ、なんで勉強会やるなんて言ったの!?」

 

「勉強会やるって言ったのは穂乃果でしょ!? 僕の話も聞かずに……」

 

 今の突っ込みは理不尽すぎやしないか!? というか言おうとしたのに話を聞かなかったのは穂乃果だ。

 

 そんな風に思っていると海未が助け舟を出してくれた。海だけに舟を出すってか……ごめん。

 

「どうせ、また穂乃果が無理やり始めたことでしょう?」

 

「うっ……そ、それは……」

 

 絵里も追い打ちをかける。

 

「穂乃果? あんまり音也に迷惑かけちゃダメよ?」

 

「うー、ごめんなさーい」

 

 穂乃果が涙目になり謝ってくる。……こういうのに僕は弱いんだよな。

 

「いや、まぁ、その、あれね。僕も言い過ぎたよ、うん。穂乃果は僕の為を思って言ってくれたんでしょ?」

 

「お、音也くん!」

 

 思わぬところからの助け舟にパーっと顔を輝かせる穂乃果。だが、この助け舟を快く思わない人が若干二名ほどいた。というか助け舟を出しすぎだな。出しすぎて沈没しそう。

 

「音也? 変な慰めは穂乃果の為になりません。こういう時は、ビシッと言うべきです」

 

「そうねぇ、穂乃果は周りを巻き込んで何かを始めるから、周りが被害を被ることが多いのよねぇ」

 

「うわーん、ことりちゃーん」

 

「よしよし」

 

 ことりに泣きつく穂乃果。ことりは穂乃果の頭を撫でる。……尊い……とまた、変な所に行きかけた。

 

「そうやって、ことりはすぐに穂乃果を甘やかすんですから」

 

 海未はその様子を見てことりに苦言を漏らす。うん、結局いつもの感じだ。というか……

 

「あのさ、勉強しないの?」

 

 僕の質問には絵里が答えてくれた。

 

「まぁ、当初の目的はそれだったわけだけど……これじゃあね」

 

「結局うちに何しに来たの? ……ああ、穂乃果はお菓子をたかりに来たんだったっけ」

 

 さっき自分で言ってたし。すると、そんな僕の言葉に反応して穂乃果は、バッと体を起こして反論する。

 

「ち、違うよ。ちゃんと勉強するよ」

 

「お、復活した。それじゃ、頑張って。あ、穂乃果はもし分からないところあれば、僕が教えるから。海未もことりも絵里もとりあえずは自分のを終わらせちゃって」

 

「それはありがたいです」

 

「そうね、穂乃果に教えてばっかりで自分の分が終わらなかったじゃ意味ないものね」

 

「わ、私そんなに聞かないよ!?」

 

「えー? そうかなぁ?」

 

「こ、ことりちゃんまでー」

 

 ことりに言われたらもう救いようがないな。

 

「悔しかったら自分で全部解いてみれば? 一年生の復習みたいな内容でしょ? 宿題って」

 

「そうですね」

 

「じゃあ、一回は習ったってことだよ、穂乃果。授業中に寝てなければの話だけどね」

 

「あ、あははー」

 

 穂乃果の乾いた笑い。これにはことりと絵里も苦笑い、海未に至ってはこめかみを押さえている。うん、これは授業中寝てますね。

 

「はぁ~、とにかくやってみたら?」

 

「う、うん」

 

 

 というわけで、数分後。穂乃果から名前を呼ばれる。

 

「音也くーん」

 

「早いね……数学?」

 

 穂乃果は数学のテキストを開いている。……一問は解けてる。

 

「うん、これどうやってやるの?」

 

「これ? うーん、どう教えたものか……あーっと、平面における直線の方程式って言って伝わる?」

 

「……ううん、分かんない」

 

「だよねぇ……取り敢えず公式を暗記しないとね、そこからだよ」

 

「う、うん」

 

「今回は使う公式を教えちゃうけど、この問題はこの公式を使うんだ。この公式に見覚えは?」

 

「あるような、無いような……」

 

「うん、まぁ、頑張れ。で、この公式の理屈とか説明しても穂乃果には意味ないだろうから、使い方だけ説明しちゃうと、この数値をここに入れてこっちの数値をここに入れて計算すると……」

 

「おー、なるほどー」

 

「次の問題も同じ公式を使う問題みたいだし、こっちは自分でやってみて」

 

「うん、分かった」

 

 そう言って次の問題を解いていく穂乃果。結構スラスラ解けてるし、間違ってもいない。

 

「そうそう、そんな感じ。やっぱり海未が言ってた通りやればできるじゃん。なんでやらないのか……」

 

「えへへ」

 

「笑って誤魔化すなっ! まぁ、勉強が嫌いなのは分かるけどさ」

 

「そうだよね!」

 

「でも、それで勉強せずに赤点取ったりしてたら意味ないよね?」

 

「うっ……」

 

「というわけで、はい次の問題に行こうか」

 

「……はーい」

 

 うん、素直だ。と、ここでことりからも呼ばれる。

 

「音也くーん、ここ分かるー?」

 

「ことりはなんの教科? ……化学基礎? あれ? 文型にしたんだよね? 文型でも化学基礎使うの?」

 

「うん」

 

「へぇー、学校によって色々あるんだなぁ。それで、これは……ああ、物質量の計算か、面倒だよね、ここ。僕も最初はmolってなんだよって状態だったよ」

 

「うん、この辺が良く分からなくて……」

 

「うーん、僕は感覚で掴んだからなぁ、この辺は。とりあえずこの辺の公式は覚えてるよね?」

 

「うん、でもどこで公式を使えばいいか分からなくて……」

 

「ああ、それなら問題文のこの部分がヒントになってて……」

 

 説明を聞きながら頷くことり。うん、こっちも素直だ。いいよな、分かろうとする意欲があるだけで十分だ。

 

「なるほどー。分かったよ、音也くん。ありがとう」

 

 ことりはそう言って次の問題の進んでいく。と、その様子を見ていた絵里が話しかけてくる。

 

「音也って意外に頭いいのね」

 

「というか、オトノキの問題は基礎が多いから僕でもなんとかなるって状態だね」

 

 というか、応用だったらあんなに簡単に教えれない……僕も頭を抱えることになる。

 

「つまり、簡単ってこと?」

 

「まぁ、端的に言えば……あ、僕の春休みの課題解いてみる? 絵里は理型だったよね?」

 

「……それは挑戦状ということかしら?」

 

 僕の言葉になぜか絵里の目に闘志が宿る。

 

「え? あ、そういう意味で言ったんじゃないんだけど……」

 

「取り敢えず見せてもらおうかしら?」

 

「あ、うん。これが数学ね」

 

 そう言って春休み用の先生お手製のテキストを渡す。答えは別にノートに解いてあるのでテキストは真っさらだ。

 

「……あら、もうこんな所の内容まで行ってるのね」

 

 絵里はテキストをパラパラ捲りながらそんなことを言う。

 

「うん、あの学校そこそこ偏差値高い進学校だから、授業進行のペースが早いんだよね」

 

「へぇ、確かに応用が多いけれど……まぁ九割くらいは解けそうね」

 

 絵里は少し自慢げにそう言う。うん、やっぱり絵里は頭がいいみたいだ。天才か秀才かは知らないが、僕が結構時間をかけた問題たちをものの数秒で解けそうって言えるのだから

 

「……流石ですねー」

 

「ふふん。でもまぁ、オトノキの問題のレベルは確かに音也の学校のレベルに比べたら低いわね」

 

 褒められて嬉しかったのか得意げに笑う絵里。

 

「……分かってくれたようで何よりだよ」

 

 なんというか頭はいいんだろうけど……たまに見るこういう少し子供っぽい所で……いや可愛いからいいのだが。

 

「というか絵里は終わったの? 宿題」

 

「ええ、私も元々あと少しだったし……」

 

「そうなんだ……あ、それじゃあみんなの勉強見るの頼んでいい?」

 

「ええ、構わないけど……何かあるの?」

 

「うん? ご所望のお菓子と飲み物をね」

 

「お菓子!」

 

 バンと机を叩きながら立ち上がる穂乃果。

 

「……穂乃果、迷惑です」

 

「あ、ごめん」

 

 普通に海未に怒られている。

 

「そうだに、穂乃果。しっかり勉強しないとお菓子はないだに」

 

「だ、ダニ!? ダニがどうしたの!?」

 

 思わず方言が出てしまって、絵里が過剰反応している……というか、絵里勘違いしてるよな。

 

「ごめん絵里、今のは方言……だにって言うのは、~だよ、みたいな意味で使われるの」

 

「あ、ああ、方言ね。虫の方かと勘違いしてたわ」

 

 ……そういうことね。~だに、~だら、は同じくらい無意識に使っちゃうんだよな。出来るだけ方言は出さないように意識しないとな。伝わらないことが多いし。

 

「うーん、どうすれば方言が出ないように出来るかなぁ?」

 

「別にいいんじゃない? そのままで」

 

 僕の言葉に穂乃果がそんなことを言う。

 

「そう?」

 

 お菓子と飲み物を準備しながら穂乃果に聞き返す。

 

「うん、だって音也くんが方言を使うのはある程度打ち解けた証だと思うから」

 

「そうかなぁ?」

 

「それに私はもう慣れちゃったもん。音也くんが方言使うの」

 

「そっかぁ」

 

 まぁ、穂乃果がそう言うなら、方言を使わないように敢えて意識することもないかな。

 

「と、はい、お菓子と飲み物……カルピスで良かった?」

 

 取り敢えずお菓子はポテチとトッポを持ってきてみた。カルピスは原液を水で割るタイプだ。

 

「何これ?」

 

 絵里がトッポを見て驚いている。……知らないのか、トッポ。

 

「──────ハ、ハラショー」

 

 そして食べてすごい目を輝かせている。……あ、そういえばチョコが好きなんだっけ? 絵里。というかハラショーってどういう意味? 多分ロシア語? 

 

「音也くんは……また炭酸割りで飲んでるの?」

 

 僕の手元を見たことりはそんな風に聞いてくるので、絵里を凝視していた僕は我に返って質問に答える。

 

「うん、カルピスソーダって炭酸弱くてねぇ、自分で割れるのは……いいよね」

 

「そもそも、なぜ炭酸などというものが好きなのか理解できません」

 

「あー、海未はそう言うよね、やっぱり」

 

 海未、炭酸が嫌いだもんな。……取り敢えず僕のやること終わったし、後は絵里に任せようかな。そう思いパソコンの前に座る。

 

「さ、頑張ってね。僕も勉強するから」

 

「あれ? 音也くん、さっき宿題終わったって……」

 

「プログラムの勉強だよ」

 

「あ、うん、ガンバッテー」

 

 もう後のことは絵里に任せて僕は僕で自分のことをやらせてもらう。というか元々今日はこれをするつもりだったのに、誰かさんが急に勉強会するなんて言い出すから……まぁ、プログラムの勉強なんて独学だとあんまり意味ないって聞くけど、やらないよりはマシかな? っていうのと、半分趣味でやってる。

 

「ほら、穂乃果、宿題なんて音也がやってることよりはマシでしょ? しっかりやりなさい」

 

 僕をダシにする絵里。いや、まぁ、そうだけど……

 

「そうだね、頑張るよ」

 

 穂乃果がやる気になってるならいいや。

 

 その日は結局、夕方までずっと勉強していたのだった。なんだかんだ文句を言いながらも楽しかったとだけ言っておく。




次回"新学期"4月11日投稿予定。やっと第二章突入です。

 勉強……勝手な解釈が入りました。というかこの辺を詳しく語る作品って少ないですよね。まぁ、読む側にとってはつまらなくなる場合が多いですしね。

 ちなみに穂乃果たちが文型、絵里が理系だろうと設定したのは、それぞれの得意教科から勝手に考えました。なんとなくイメージと違うという方、申し訳ございません。
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