ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 お互いに自己紹介をしながら帰る音也たち。

 そんな中、音也が一人暮らしでこっちには知り合いがいないから寂しいという心情を吐露したことで、穂乃果はもう私たち友達だよと音也を元気付けようとする。

 音也は嬉しいような恥ずかしいようなと思いながら、やっぱり穂乃果はすごいなと感じるのだった。


友達

 あの後、僕の部屋の位置だけ見て彼女たちは帰っていった。果たして部屋の位置を教える必要があったのか疑問に思うところだが……

 

 彼女たちが帰るときには送って行こうとも思ったが、急に男が女の子の家に行くのは色々とまずいだろうということでやめておいた。というか、それで勘違いさせて、説明する勇気が僕にはない。

 

 今は家の中で部屋着に着替えてパソコンの前でゆっくりしているところだ。

 

 それにしても、なんか色々あったな。

 

「……楽しかったな」

 

 人生ってつまらないとか言っていた奴はどこ行ったと突っ込まれるかもしれないが、久しぶりだった、楽しいと思えたのは。まぁ、ただ単に僕がクラスメイトとの間に壁を作っていただけかもしれないが。

 

 しょうがないじゃないか、大学とかならまだしも、高校なんてまだ知り合いが多いのだ。そりゃ、クラス内でグループもできるってもんだよ。その中に入って行けって? ……無理だよ。話しかけられるならまだしも話しかけるのは。

 

 しかし、クラスで一人でいるのは僕だけじゃない。もう一人いる。そう、ちょうど今日休んでいた女子だ。でも、何か彼女近づきがたい雰囲気があるんだよなぁ。

 

 駄目だ。こんなことばっかり考えてるとまた落ち込むだけだ。他のこと考えよう。

 

「自転車……どうしようかなぁ」

 

 自分でもパンクくらいだったら直そうと思えば直せるけど、面倒くさい。普通に修理に持って行くのが最善かな。

 

 どこに行こうか? この辺に一番近いところは、たしか自転車専門店があるはずだけど、ちょっと高いんだよな。個人営業だからか知らないけど。となると、その次に近いのは、ショッピングモール横の全国チェーンの店か。まぁ、そこでいっか。明日は休日だし、時間はある。

 

 明日の予定は決まったし、とりあえず……

 

「晩御飯は……肉野菜炒めでいっか」

 

 そう言いながらキッチンに向かう。このアパート、安い割には意外に広かったりする。所謂、1Kという奴だ。部屋が何畳だったかは覚えてはいないが収納などにも困らず、住みやすい。大家さんの青木小母さんには感謝だ。

 

 さて、肉野菜炒めだが、野菜と肉を適当に切ってフライパンで炒めるだけで、ある程度栄養の取れるご飯のおかずになる、ある意味で僕が一番好きな料理だ。 具材や味付けのアレンジも簡単であり、すぐに出来るのも魅力的だ。

 

 ちなみに、豚肉、人参、キャベツ、ピーマン、椎茸を焼肉のたれで炒めるのが僕の中での肉野菜炒めのデフォルトだ。いやー、焼肉のたれはまじで万能調味料だと個人的には思ってる。今回作るのもこれでいいか。

 

 そうして、そこそこ手際よく料理していく。

 

 僕自身、食にはあまり興味がなく、食べれればいいやっていう感性の持ち主だから料理はそんなに練習してないし、一日で一回しか食べないこともある。 まぁ、凝った料理ができないってだけで、簡単なのはできる。

 

 そんなこんなでご飯ができた。部屋の真ん中に置いてあるちゃぶ台にご飯を持って行く。

 

「いただきます」

 

 毎回この時間は寂しく感じる。この家にテレビはないのでテレビを見ながら、という訳にもいかない。その内に食べながらゲームする癖がついてしまった。

 

 本当は行儀が悪いんだけど、一人のときしかやってないので許してほしい。……誰に許しを請うているんだろうか?

 

 よし、今日のデイリーはこれで終わりっと。

 

「ご馳走さまでした」

 

 同時に食べ終わる。さっさと洗い物をしてすぐに寝る準備をする。

 

 お風呂なんてものはない、出来るだけ家賃が安いところを選んだ結果だ。その分部屋は広くなったが。何でこんな有料物件が余っていたのか知らないが、まぁ、そこは運がよかった。今の時代お風呂がないと嫌という人も多いのかもしれない。

 

 そもそも、僕は身だしなみをそんなに気にしないタイプだから、お風呂がなくても体を拭く程度でいい。 近くに銭湯もあるから、週に何回かはそこに行く。

 

 寝る準備ができた。といっても、押入れから布団を出すだけだが。

 

 僕は基本的に敷布団派である。ベットは嵩張るし、あるだけで部屋が狭く感じる、圧迫感がすごい。

 

 敷布団なら畳んで押入れの中に置いておけばその分スペースができて、部屋が広く見える。さっき言った通り収納には困らない、押入れが意外に広いのだ。まだまだ、空きがある。

 

 とまあ、これは建前であり、本当は実家ではずっと敷布団で、旅行先のホテルで初めてベットで寝た時、ベットから落ちたのが、軽いトラウマになっているだけなのだが。

 

 あの時は異常に寝相が悪かった。今はそうでもないから、ベットから落ちることはないが、それでもどちらか選べるなら、断然僕は敷布団を選ぶ。

 

 ただいまの時刻はちょうど二十時を回ったところだ。

 

 寝るのには少し早い。かといって、宿題なんかやる気にならないし……

 

「プログラムの勉強でもするか? いや、それもなぁ……。ssでも読み漁るか」

 

 布団に入りながらノートパソコンを起動する。ちなみにこの家にはノートパソコンとデスクトップパソコンが一台ずつある。

 

 小学生の頃、自分用のパソコンを買ってもらって以来、僕は徐々にパソコンが友達みたいな寂しい奴になっていた。

 

 パソコンがあれば、色々なことができた。だから興味を持ったことは何でもやった。

 

 最初は動画を見るだけだった。その内ゲームをするようになり、フリーソフトの存在を知り、ゲームや動画、音楽を自分で作り始めた。

 

 お金を使わず色々なことができるから、お金を浪費することも少なくなり、貯金が貯まっていった。

 

 有料ソフトでも買おうかな? とも思ったりしたが、結局はフリーソフトで大体のことができるからなぁと、お金を使うこともなかった。

 

 まとめると、パソコンとネットは偉大ということだ。

 

 こんなことを一人で考えてるから、パソコンが友達のヤベー奴みたいになるのだけど、一人でこうやって空に語りかけるのはもはや癖だ。

 

 そりゃあ、中学まではある程度友達って呼べる人はいたし、これでも中学はバレーボール部だった。だから、仲間って呼べる存在もいた。

 

 けれど、こっちには知り合いが誰もいない。唯一僕を知っているのは、このパソコンだけだった。……こうやって被害者ぶってるけど、結局は僕に勇気がなかっただけなんだよな。

 

 でも、こんな僕にも、友達だって言ってくれる人がいた。彼女はどんな気持ちであの言葉を放ったのだろう。

 

 僕は彼女たちと友達になろうなんて思って話してなかった……はずだ。でも、あんな短い間だけどいつの間にか、彼女たちと少し親しくなった気がする。要因は果たして僕にあるのか、彼女、高坂さんにあるのか。

 

「あれ? でも、彼女たちに寂しいって言っちゃった僕が一番の原因?」

 

 そう呟きながら、パソコンをシャットダウンし布団に潜り込む。

 

 自分で言っておいて訳が分からなくなってきた。何か考えてることが支離滅裂な気がする。あぁ、でもきっと僕は怖いんだ、新しい友達ができたことが。何で怖いのかは分からないけど。だから、こうやって色々考えちゃう。

 

 けれど、友達ってそんな理論的に説明できるものじゃないんだよね。だから、僕はこう考えることにした。考えることを放棄したとも言う。

 

 新しい友達ができて嬉しい、と。

 

 ついさっきまで友達を作ろうともしてなかった奴が何言ってるんだ、と自嘲気味に笑う。

 

 ああ、でも一つ問題がある。

 

「彼女たちの連絡先も知らないんだけど、また会えるかなぁ?」

 

 そんなことを心配しながらいつの間にか意識は闇の中へと落ちていった。

 

 それが杞憂であったと知ったのは、僕が目覚めて少し経った後だった。




次回は2月2日21時投稿予定です。

パソコンとネットは偉大です。

後、タイトルがアニメの12話と同じですけどあんまし関係ないです。というか、アニメのタイトルって平仮名で“ともだち”ですし。
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