三人でスクールアイドルをやることになった私たち。だけど、考えなきゃいけないことが山盛りだった。
最初にグループの名前を決めようとしたんだけど……私たち全員全然思いつかない。頼みの音也くんも……
「……純真たるマーメイド……とか、翼を求めし天使たち……とか」
あんまりにも酷……アイドルっぽくなかった。
そこで私は学校で募集することに……そして決まった名前は……
「あ、見つけた。これでしょ? μ'sってやつ」
「分かってるよ……あ、これだね、ふーん、ギリシャ神話の九柱の音楽の女神のことなんだ。それは、知らなんだ、これ考えた人は相当な博識だと思うよ」
μ's、こんないい名前を考えてくれた人に感謝しないと。
とりあえず一つは問題解決。でもまだまだ問題は山積み、頑張らないと!
「音也くん作曲か振り付け、できる?」
夜、穂乃果から電話が掛かってきた。そして第一声がこれである。つい一昨日くらいにグループ名について聞かれたばかりなのだが……展開が早いな。
「何? 随分と急だね? でも今回の件も無理。僕みたいに独学で音楽に手を出してる人より、まず、しっかり音楽をやってきた人を探した方がいいよ。振り付けに至っては手を出したこともないし……というか急にどうしたの?」
一応 趣味の延長でいろいろ曲は作ったりしてるがあくまで独学……振り付けなんてもってのほかだ。僕はあくまで、アニメとかの振り付けを覚えて踊るくらいしかできない。
「うん? 学校でね、自分たちの歌が欲しいって話になって……でもそっかぁ、ことりちゃんは衣装作り頼んでるし海未ちゃんは歌詞作り、穂乃果は応援だしなぁ」
応援って……物凄い突っ込みたい衝動に駆られるが面倒なことになる気がしたのでやめておく。
「……それで当てはあるの?」
「うーん、学校で探してみるね」
「そっか。頑張って」
「うん、応援してね」
そう言って通話を切る。これが後にあの問題に繋がるのだが、それは別の話。
翌日の夜、またもや穂乃果から電話がかかってくる。
「もしもし、音也くん……」
「今度はどうしたの?」
何処と無く元気が無いような声。本当にどうしたのだろうか?
「……断られた」
「何を?」
「曲作り……」
「ああ、結局ダメだったんだ」
それだけでいろいろ察する、学校で探した結果理想の人は見つけたのだろう。が、曲作りを頼んだ所断られた、と。
「うん、西木野真姫さんっていう一年生の子なんだけど……」
「へぇ、それでどうするの?」
「うん、もう一回頼んでみようと思う」
「……だと思った」
穂乃果が一回で諦めるような人じゃないことはもう重々承知している。一度落ち込んでもすぐに切り替えられるのは穂乃果の凄いところだと思う。
「だって西木野さんってば、すごいんだよ──ー」
西木野さんが如何にすごいか、熱烈に説明する穂乃果。まぁ、穂乃果がその西木野さんと言う人にどれだけ作曲してもらいたいかは、良く分かった。
それにしても……西木野……どこかで聞いた覚えが……後で調べてみるか。
「──ーだからね、私どうしても西木野さんに作曲してもらいたいの!」
「そっか。程々に、ね?」
「うん」
そう言って通話を切る。絶対にその西木野さんは迷惑してると思うが、僕にあの穂乃果がは止められない。……穂乃果に目を付けられたのが運の尽きだなと思う。
「音也くーん、おはよう」
「……おはよう」
「あ、音也、おはようございます」
「音也くん、おはよう」
僕は久し振りに神田明神で朝練やると聞いて早朝から神田明神にいた。だからと言って早く寝たわけではないので凄く眠い。
「あ、そうだ音也くん、出来たよ私たちの──ーμ’sの曲」
が、穂乃果の報告で一気に目が覚めた。そうか、西木野さんはやってくれたか。数日前に西木野さんと話して僕からもある程度の説得を試みてみたが、僕の言葉は西木野さんの心に響いていたんだな、なんて。
「さっそく、三人で歌ってみたんだけど……聞きたい?」
「うん、聞きたい」
「ふっふっふ、そう言うと思って……この音楽プレーヤーの中に入ってまーす」
スマホではなくあえて音楽プレーヤーに入れてるのは訳があるのだろうか? それはさておき、早く聞かせてくれないだろうか。
「穂乃果ちゃん、音也くんが待ちきれないって顔してるよ?」
「そ、そんなことないよ!」
「そっか、そっか。それで、どっちから聞きたい?」
「どっちから? ……え? もしかして二曲あるの!? ……頑張ったね、海未」
それは知らなかった。そうか、二曲も作ってたのか。大変だっただろうな……海未と西木野さん。
「そうです、頑張りました、本当に。最初は二人とも歌詞作り手伝ってくれるって言ってたのに最終的には私一人で作詞したんですよ!? ことりはしょうがないとしても……穂乃果」
もう、泣いてるのか怒ってるのか分からない海未。というか、顔! 絶対人前でしちゃいけない顔になってる。
「……次から言ってくれれば僕も手伝うよ。だから、元気出して?」
「ほ、本当ですか!?」
「う、うん」
「ありがとう、ありがとうございます……」
地獄で救いの手が差し伸ばされたみたいな反応をする海未。そんなに大変だったのか。そんな海未を見て穂乃果は居心地悪そうだ。
「と、とりあえずこっちから聞いてもらおうかな!」
話を変えるようにそんなことを言う穂乃果。居心地悪いのは分かるが海未を見てみろ。すごい形相で睨んでるぞ。
「……穂乃果……少しあちらに行きましょうか?」
「や、やだなぁ、海未ちゃん。そんなに眉間に皺を寄せてたらすぐに老け──―」
「ほーのーかー?」
「……はい、分かりました」
音楽プレーヤーを僕に渡して神社の裏に消えてゆく二人。横を見るとことりと目が合った。苦笑いすることり。……ほっとこう。
「……二曲、"START:DASH!! " と"ススメ→トゥモロウ"か」
「うん、まずは"ススメ→トゥモロウ" から聞いてほしいかな?」
「ことりがそう言うなら……」
理由は知らないが"ススメ→トゥモロウ"から聞いてほしいというのでそうする。イヤホンを付けて……再生っと。
そして、僕はこの二曲を聞いて穂乃果の言うとおり、西木野さんに頼んで正解だったと感じるのだった。
この辺時系列がバラバラになってしまって分かりにくくなってしまってすみません。一つのテーマを一話にまとめた結果こうなってしまいました。
で、そのせいで話しの長さの起伏激しくなって……私もまだまだですね。もっと上手く書きたいです。
次回"自分に正直に" 遂にあの公園で逢った女性の名前が……一体何木野さんなんでしょう(すっとぼけ