ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 にっこにこにー、みんなー久しぶり。みんなのアイドルにこにーだよー。

 え? にこは前の話に一ミリも出てなかっただろ? ……うっさいわね、私だってもっと出番が欲しいのよ、だいたい―――

 って、もう尺がない!? ちょっと! まだ、にこの魅力をアピール……コホン、前回のあらすじが言えてないわよ。

 も、もういいってどういうことよ。ま、待っ―――プツン


やりたいの!

 今日は穂乃果たちの初ライブの日、僕は絵里に電話をかけてあることを頼もうと思っている。いまの時刻は朝七時……流石に起きてると思うけど……あ、繋がった。

 

「もしもし、絵里」

 

「もしもし、音也? どうしたの? こんな朝早くに」

 

 電話越しに絵里の少し困惑した声が聞こえる。

 

「ごめん、まだ寝てた?」

 

「いいえ、着替えてたところよ」

 

「ブフッ、そ、それは別に言わなくていいでしょ」

 

 思わず下着の絵里を想像してしまった。

 

「あら、普通に答えただけなのだけど」

 

 だが絵里は特に気にしていないようだ。あれだろうか? 文化の違いってやつだろうか? それとも絵里がそういうのに無頓着なだけ? 

 

「そ、そっか。……あー、それで絵里ちょっと頼みたいことがあって──―」

 

 用件だけ伝えてすぐに切る。朝だからあちらも忙しいだろうし……何より動揺してそれどころじゃなかった。まぁ、絵里は了承してくれたので、これでいいだろう。

 

 

 学校から帰って二時間ほど経った頃に絵里が来た。私服な辺り一度家に帰ったのだろう。まぁ、もう外も暗くなり始めているし、ついでに妹に事情を説明してきたのだろう。

 

 ちなみにこの間送って行った時に絵里の家にも行ったのだが、なんと絵里は妹と二人で暮らしていた。さすがにそれには驚いたものだ、しかも、その妹……なんと雪穂と同い年らしい。……なんかいつから二人暮らしとかいろいろ気になる所ができたけど……深くは聞いてない、なんとなく。

 

「絵里、頼んでいたものは?」

 

 絵里を家の中に入れて僕はそう尋ねた。

 

「大丈夫よ、ちゃんと撮ってきた」

 

 そう言って複数のビデオカメラを鞄から取り出す絵里。そう、僕は絵里にμ’sの初ライブを撮影を頼んでおいたのだった。

 

 しかし、てっきりスマホで撮影してくるものばかりと思っていたので驚いた。というか、このビデオカメラ、学校の備品らしい。勝手に持ち出してきたと言うが……怒られないのだろうか? しかも、三台ほど……というかSDカードとか入ってないの? このビデオカメラたち。わざわざ本体ごと持ってこなくても……

 

「まぁ、ありがとう……絵里、大丈夫?」

 

「ちょっと、ね」

 

「……そう」

 

 絵里の少し影を帯びた顔を見て心配するが絵里本人が大丈夫と言うから大丈夫だろう。多分原因はこの映像だと思うし。さすがにビデオカメラを持ってくるのに疲れたなら言うと思うし……

 

 絵里は話を変えるようにこんなことを聞いてきた。

 

「それで、これをどうするの?」

 

「編集してネットにあげる」

 

 それが僕が考えたこと、僕に出来ることだと思う。

 

「本人たちの知らないところで? それって犯罪じゃない?」

 

「……そうだね」

 

 絵里の言ってることは正論だ。これで穂乃果たちに訴えられても僕は弁解のしようがない。

 

「そうだねって……」

 

「でも、さ。これくらいやらないとダメなんだと思うんだ。穂乃果たちは今まで準備にいっぱいいっぱいでそこまで考えてなかったと思うし」

 

 多分もっと早めに僕が言っとけば良かったんだけど、思いついたのは昨日の夜だし、穂乃果たちにはパフォーマンスに集中して欲しかったから、取り敢えず今回は、穂乃果たちに言うのはやめておいた。

 

「せめて、穂乃果たちに言えば……」

 

「誰が撮ったの? って聞かれるからね、多分。言い訳を考える時間を編集する時間に回した方が効率的だと思ったんだ」

 

 ここで、絵里に頼んだ、なんて言ったらもっとややこしいことになると思う。まぁ、こんな言い訳をしているが、結局僕の考えであって、もっといい方法があると思うのだが。

 

「……そう、分かったわ。じゃあ、その編集作業手伝わせて」

 

 絵里は納得したように頷いてこう言う。果たして本当に納得できたのかは甚だ疑問だが。結構僕無茶苦茶なこと言ってる自覚あるんだけど。

 

「いいの? 確かに一人でやるよりは他の人の意見があった方がやりやすいけど……」

 

「いいの、せっかくここまで来たんだから」

 

 絵里はそう言ってウインクする。……こういう仕草を見るとよっぽど絵里の方がアイドルに向いてるように思える。

 

「ありがとう、よし、ささっと編集しちゃおう」

 

「ええ」

 

 

 まずは絵里に撮ってきて貰った映像を確認する。そこに映っていたのは殆ど人がいない中ライブをするμ’sだった。

 

「成る程、絵里が暗い顔をしてたのはこういうことね」

 

「そんなに顔に出てたかしら?」

 

「うん、結構分かりやすかったよ?」

 

 μ’sのライブ映像を確認後、絵里とそんな会話をする。

 

「音也はそうでもないわね」

 

「うん? ううん、僕も分かりやすい方だよ?」

 

「じゃあ、これを見ても大丈夫だったの?」

 

「うーん、大丈夫って訳じゃないけど……ある程度予想はしてたことだから」

 

「そうなの?」

 

「うん、だってμ’s知名度はほぼゼロだよ? 現実はこんなものだよ」

 

「それは分かるのだけど……」

 

「うん、まぁ、まったく期待してなかったって言ったら嘘になるけど……絵里に比べて期待値が低かっただけ」

 

 というか、こうなる事を予想しての対策だから……インターネット上なら誰かしらの目に止まるし、そこから広がる可能性もなくはない。まぁ、

 

 アンチが出る可能性もあるけど……それはしょうがない。インターネットとはそういうものだと思う。不特定多数の人物一人一人にその人の好き嫌いがある……それが本当に分かり合えることは、多分ない。というか、できたら世界は平和だ。戦争なんて起きない。

 

 と、今はどうでもいいな、こんな事。絵里は何かを考えるように下を向いている。

 

「そう、なの」

 

「うん……あれ? まだ続いてるじゃん、動画」

 

 タイムラインを確認するとまだ続いていることに気づく。

 

「あ、それは……」

 

 絵里が何かを言おうとするが時すでに遅し。再生してしまった。

 

『どうするの? 穂乃果』

 

 画面の中から絵里の声が聞こえる。

 

『え、絵里ちゃん!?』

 

 穂乃果を驚いている、他二人も同様だ。まさか絵里が来るとは思ってなかったのだろう。

 

『このまま続けるの? この状態で……』

 

 カメラは殆ど人のいない客席を映している。何人か見知った顔が見えたのだが……気のせいだろうか。

 

 穂乃果は海未とことりを見る。二人が頷いたのを確認して前を向く。

 

『……続けるよ!』

 

『え?』

 

 誰の声だっただろうか。不意を突かれたような声が響く。

 

『私、やりたいの、スクールアイドル。だから、続けるよ』

 

 僕が彼女たちに示した道を彼女たちは自らがやりたいと言ってくれている。改めて口に出してもらうと、安心する。

 

 それにしても……

 

「絵里、こんなこと言ってたの?」

 

「だ、だって可哀想だったから……」

 

「本当……過保護というか、なんというか……」

 

 穂乃果たちが絡み出すといつもの聡明さが発揮されにくくなる呪いにでもかかってるのかと疑いたくなる。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「僕に謝ってもしょうがないでしょ? まぁ、絵里が穂乃果たちのことを大切に思ってるのは伝わるけど……まぁ、今はそれは置いておいて、編集やっちゃおうか」

 

 いつまでも絵里をうちに居させる訳にはいかない。

 

「そ、そうね」

 

 絵里はまだ少し動じているが、編集してる内に落ち着くだろう。

 

「でも、思ったより編集しなくて良さそうなんだよね。するのは、カメラワークくらいかな。なんか照明とかも本格的だし」

 

「ええ、そういう裏方の仕事は穂乃果たちのクラスメイト三人で行っていたわ」

 

「三人でこれを? その人たち何者?」

 

 なんかもうその人たちに任せれば万事解決する気がしてきた。

 

 遠くない未来、この三人と一緒に裏方の仕事をすることになるとは、この時の音也の知る由もなかった。




 ……どうにか間に合いました。明日は本当に無理かもしれませんが。

 文字数も大分理想形……というか、これなら前回の話とくっつけちゃって良かったと今、考えてます……後の祭りとはこの事。修正はしませんが。


次回"自信を持って" 初ライブ後のみんなの様子は? ……そして迷う一年生組。
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