筆者「このコーナー、休んでいいですか?」
凛「ダメにゃ!」
筆者「ダメと言われて、はいそうですかと引き下がるほど真面目じゃねぇ」ダッ
凛「あっ逃げた! 待つにゃー!」
みたいな一幕があったとか、なかったとか……筆者の頭の中で。
一昨日、昨日と立て続けに我が家に訪ねて来た後輩‘s。そして、今日、またもや玄関のチャイムが鳴る。さて、ここまで言ったらお分かりだろう。
「……西木野さん」
「な、何よ、その顔は!」
キッとこちらを睨む西木野さん。僕は今嫌そうな顔をしているのだろう。別に嫌な訳じゃないが、なんとも言えぬ感情が顔に出てしまった。
「いや、えっと……スクールアイドルについてですか?」
「ぐっ……そ、その通りよ。小泉さんか星空さん辺りに聞いたわね?」
うん、昨日の凛よりは冷静だ。さすが天才と言った所か、花陽はまだしも凛のことは知らないはずだが……花陽と凛の仲が良いことからなんとなく予想したのだろうか?
「そうだよ。正確にはどっちからも聞いたんだけどね」
「そう、なの……」
西木野さんが少し引き気味に言う。なんなんだ一体。いや、引いている理由はなんとなく分かるが……この空気をどうしようかな。
「はぁ……取り敢えず中入って? 立ちっぱなしだと辛いでしょ? というか僕が辛いから、さ」
「そ、そうね。音也さんがどうしてもって言うなら……」
……ツンデレここに極まれりって感じだな。まぁ、それを予想しての言葉なわけだが。西木野さんを家の中に入れながらそんなことを考えていると、西木野さんが振り向き睨んでいることに気づいた。
「……なんか失礼なこと考えたでしょ?」
……考えが読まれてた。なんだ? この人は超能力者か? 僕の知り合いの女子って超能力者多くないか? いや、顔に出てただけかな? 本当に心読めるわけないし……
「……ごめんね」
一言謝って僕は玄関を閉める。最近、女性を家に入れることに躊躇いがなくなってきたのは、果たして良い変化なのだろうか?
「本当、音也さんと話してると調子狂うわ」
後ろから聞こえた言葉は無視した。なんとなく理由を聞いたところで、答えてくれなそうだったから。
「で? 西木野さんはなんでアイドルをやりたくないの?」
適当にお茶請けを用意しながら、ど直球で聞く。こんな感じのやり取りも既に三回目。僕は聖人君子でもないので、なんとなく面倒臭くなっていて、こんな雑な感じの聞き方になってしまった。
「え?」
当の本人である西木野さんは困惑している。まぁ、そりゃそうだ。いくらなんでも展開が早すぎる。というか、そういうことがすぐに言えるなら、相談なんてしなくても自己解決できるだろう。まぁ、個人差はあるだろうが。自分でもどうしていいかよく分からない。だから相談して自分の気持ちをはっきりさせていこうとするのだ。
「ごめんね、急すぎた。一昨日、昨日と同じようなことをしてるからちょっと雑になっているのかもしれない」
「あ、うん、それは、その……ごめんなさい」
僕の言葉の意味を理解した西木野さんは気まずそうに目を逸らした後、謝罪の言葉を述べる。……ざ、罪悪感がやばい。
「ご、ごめん。別に西木野さんを責めたわけじゃなくて……」
参った、どうしようか、うまい言葉が出てこない。西木野さんと僕はお互いに目を合わせようとせず、気まずい沈黙が流れる。僕は誰かと二人きりだとこういう状況になりやすいのだろうか?
「その……音也さん、前に私に言ってくれたわよね? 自分の気持ちをはっきりと伝えた方がいいって」
沈黙を破ったのは西木野さんだった。はっきり伝えた方がいい、そう言ったのは初めて西木野さんに出逢った時だったか。
「うん、言ったね。結構なブーメランだったけど……」
「ふふっ、そう言えばそうだったわね」
素直になれなかったのは僕も同じ。そのベクトルは違えど案外僕たちは本質的に似たもの同士なのかもしれない。
「……それで?」
「実はね、私今の自分の気持ちがよく分からないの。確かにアイドルとか、そういうものに偏見は無くなったと思うし、アイドルを一緒にやろうって誘われて悪い気はしなかった。でも、この気持ちが本当にアイドルをやりたいと思っている気持ちなのか私には分からないの」
「……ふふ」
「何笑ってるのよ」
「いや、ううん、ごめん。西木野さんもずいぶん素直になったなぁと思って」
「何よ、それ! 私はあなたに相談しに来ているんだから、私の状態をしっかり伝えないとあなたも困るでしょう!?」
まぁ、西木野さんの言い分も分かる。カウセリングなんかを受ける時は大体あちら側はこちらが話し出すまで待ってくれる。心理療法士の勉強をしてるわけではないから分からないが、自分の気持ちは口に出さないと伝わらないし、相手も分からない。だから相手が少しでも気持ちを落ち着けて、自分の気持ちを話せるように待っている。相手の気持ちが分からないとアドバイスもままならないから。
「うん、ごめんね。それで自分の気持ちが分からない、か。うーん、それは難しい問題だね。西木野さんの本当の気持ちは西木野さん自身しか分からないし、本来は僕がどうこう言える問題じゃない」
「やっぱり、そうよね」
「本来は、ね。これで突き離したら西木野さんは完全に無駄足じゃないか。だから、僕個人の意見だけでも聞いてって? というかそれが目的みたいなところあるでしょ?」
「……ええ、まぁ」
いくら自己評価が低い僕でも、わざわざうちに相談しにくるのだから、僕の意見を求めているのだろうということは分かる。ただ、僕の意見が役に立つかは分からないわけだが。
「と言ってもね……特に考えてないんだよね、言うこと」
「あ、あなた本人の前でよくそんなこと言えるわね」
「いや、失礼だとは分かってるんだけど……さすがにネタ切れだよ? 三日も同じような相談受けてると」
西木野さんは少し呆れた顔をするが、考えてみても欲しい。僕は三日連続で同じ悩みを聞いているのだ。そりゃあ、それぞれ原因とか細かい内容は異なるが、結局全員スクールアイドルをやるかやらないか、ということだ。
この道のプロ、それこそカウンセラーなどならまだしも、僕は少し捻くれた男子高校生だ。そんなにぽんぽん言葉は出てこないし、誰かのタメになるようなことは言えない。
「そ、それは……そうだけど」
かと言って西木野さんがせっかくここまで来てくれたのだ。さすがに何も言わず帰すほど僕のキモは座っていない。せめて、悩む理由が知りたいな。ちょっと強引にでも聞き出してみるか……
「……西木野さんは別にアイドルがやりたくないってわけじゃないんでしょ?」
「そうね、不本意だけど。悪くないとは思ってるわ」
ふむ、別に絶対やりたくないって感じでもないのか……
「じゃあ、後はきっかけさえあればいい……そうだ!」
「な、何? 急に大声を出して」
「あ、ごめん……ってそうじゃなくてさ。西木野さん」
「何?」
きっかけ……それだけなら僕でも作れる。成功するか失敗するかは……僕の日頃の行いによるが。
「西木野さんがスクールアイドル活動してる所、僕見たいな」
「……へ? ……あ、あなたは何を言ってるのよ!? バカなの!?」
僕の言った言葉の意味が分からず、最初は呆然としていた西木野さんだが、次第に僕の言葉の意味を理解して顔を赤くしていく西木野さん。
「いや、ラノベの主人公みたいなことを言ってみたんだけど……これ僕も恥ずかしいな……と、とにかく僕は西木野さんがスクールアイドルをやってる所を見たいの。だから……やってくれない? お願い!」
よく分からない空気が流れ続ける。なんでラノベの主人公たちはこういうことを恥ずかしげもなく言えるんだ? めちゃくちゃ恥ずかしいぞ、これ。
西木野さんもしばらくあらぬ方向を見ながらブツブツと何かを呟いていたが……やがて、キッとこちらを睨みながら言葉を紡ぐ。
「……しょ、しょうがないわね。あなたがそこまで言うなら考えてあげなくもないわ」
「ほ、本当!?」
「……でも、少し時間を頂戴。小泉さんと話しておきたいの」
小泉さん……花陽、か。
「うん、分かった……ねぇ? 聞いてもいい?」
「何よ?」
「花陽のこと、どう思ってるの? 西木野さんが花陽と仲良くなった経緯は花陽からある程度聞いたけど……」
「べ、別に仲良くなったわけじゃ……小泉さんは、なんというか、放って置けないのよ」
「あー、分からなくもない。保護欲を掻き立てられるとか、そんな感じでしょ?」
まさか答えてくれるとは思わなかったが、本当にそれだけの理由だろうか? もっと他の理由がある気がする。そんな疑問には彼女自身で答えてくれた。
「それに、あんな風に私に話しかけてくれる人、三人目だったから……」
「三人目?」
「小泉さんと高坂先輩と……後……」
僕の方をチラチラと見てくる西木野さん……ま、まさか……
「ぼ、僕?」
戸惑い気味な僕に西木野さんは頷き説明を続ける。
「ほとんどの人は、私のことを腫物に触るみたいな扱いをするの。私も勉強を第一にしてて、他の人と関わろうとしなかったし……余計に、ね」
「でも、いたでしょ? 西木野さんに関わろうとしてきた人だって」
「……私の性格よ? 自覚はあるわ、敵を作りやすいって」
西木野さんは自分の性格が面倒だと自覚があるらしい。客観的に自分を見る能力が高いのだろう。でも、だからこそ、プライドの高い西木野さんにはそんな自分を見るのは辛いのかもしれない。
「……まぁ、そうだね」
「だから、初めてだったの。好意を前面に押しつけてくる人も、気弱なのに私からすぐに離れない人も……私の面倒な部分を軽く笑って受け止めてくれる人も……」
「……嬉しかったの?」
「っ!? ……ええ、そうよ! 嬉しかったの! 悪い!?」
「悪くはないよ。だってほら、僕だって似たようなものだし……やっぱり僕たちは似たもの同士なのかもね、なんて」
「何よそれ、イミワカンナイ!」
おおっと、結構ガチ目に嫌そうな顔したぞ。西木野さん。そんなに僕と似ているのは嫌か。まぁ、そうやって嫌なことを嫌と言えた方が西木野さんらしい。
「ふふっ、いつもの西木野さんの調子が戻ってきたね。やっぱり西木野さんは少し気丈に振る舞う方がらしいね」
「……ホントになんなのよ」
「ううん、なんでもない。ちょっとだけ悪戯したくなっちゃったの」
西木野さんは声にならない悲鳴を上げて、バッと立ち上がりながらこう言った。
「──ーもう、帰るわ!」
「うん、気をつけてね」
帰ろうとする西木野さんにそう言うと、西木野さんは少しだけ振り向き……
「……今日はありがとう、音也さん」
僕は何も返事をしなかった。僕は果たして西木野さんの助けになれたのだろうか?
一年生三人組の相談を三日連続で受けた僕は、相談を受けるほど信用されているのだと思う。多分、きっと、メイビー……だけど、僕は分からないのだ。なぜ僕にそこまでの信頼を寄せてくれるのかが。
僕は人にどうこう言えるほど立派な人間じゃないのに……みんなに上から目線でいろいろ好き勝手言って……あーあ、変わってないなぁ、僕も。
チラッと窓から外を見ると、西木野さんの後ろ姿が見えた。その足取りは心なしか軽いように見える。まるで、翼を得たかのように……
そんな西木野さんとは裏腹に僕の心には重いものがのしかかっているようだ。僕はイカロスかな? そんなことを考えてしまうのだった。
「……本当に情緒不安定だなぁ、僕は」
そんな呟きは誰の耳にも届かなかった。
お久しぶりです、秋麦です。私のことは覚えていますか?
ここから先は今の作者の思いを綴るだけです。興味ない人は読まなくて結構です。
最近やることが増えてきて、まともに書けてないです。はぁ~……もう地の文いらないんじゃないかと最近思い始めました。実はこの作品地の文を結構省略しているんです。
私の作風は基本的に現実っぽい会話を意識してまして、"……"とか"あーうーん"みたいな言葉に詰まるような表現が多いのですが、これはそういう部分を意識してわざとやってます。
現実だと自分の言いたい事がなかなか出てこなかったり、言葉がどもったりすること多いですよね。特にプライベートとかだと。……私だけですか? まぁ、いいです。あ、この"まぁ"っていうのもよく使いますね。
でも、こういう現実だとよくあることを文字に出すと読みにくくなってしまうことは多いです。それでも私がこのスタンスを崩すことはないと思います。読みにくいなぁと思ってる方、申し訳ございません。
で、話は戻しまして……正直、台本形式にしてもいいかな? と思い始めてます。理由? 簡単です。会話が多いから、です。先程話したスタンスに関係していますが、この作品は一言二言の会話が多いのです。
ただ、作者の技術不足の面もあるでしょうが、一人だとなかなか上達しません。誰かアドバイスをくださいませんか? まぁ、それは置いておいて、地の文を省略してるのは短い会話とうまいこと釣り合わせようとするためです。細かく細かく状態を説明していくと、こんな風に会話も地の文も短い、読みにくい文が完成するわけですね。
音也一人だったら、正直地の文ばかりになります。このバランスの悪さよ……やっぱり私には向いてないのでしょうか?
と、愚痴ばかりですみません。次回もいつになるか分かりませんが、失踪はしないつもりです。自分で始めたからには最後まで責任を持ちます。
次回も読んでくださると嬉しいです。こんな面倒な作者ですみません。