ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIFの後にあったかもしれない展開


一年組がアニメ四話のようにμ'sに入った後の朝練

真姫「そういえば、花陽も凛も音也さんとは知り合いなのね」

凛「え!? 真姫ちゃん、音也先輩を知ってたの!?」

花陽「私は音也先輩に聞いてたから……」

真姫「二人は音也さんと付き合い長いわけ?」

花陽「うーん、まだ半年も経ってないかな? 初めて会ったのは去年の秋ごろだったし……」

凛「うんうん、穂乃果先輩の紹介だったよねー」

真姫「へぇー、穂乃果先輩の……」

凛「そういえば、真姫ちゃんはどうやって音也先輩と知り合ったにゃ?」

花陽「あ、それは私も気になるかな」

真姫「へ? ……言わない」

凛「えー? なんでにゃー」

真姫「言わないったら、言わない!」

しばらくこんな会話が続いたとか続いてないとか……


練習場所 前編

「──ーん……ふぁ~。あれ? 今何時?」

 

 パッと枕元に置いてあるスマホを見ると四時……通りで目覚ましが鳴った覚えがないはずだ。

 

 理由は分からないが朝特別に早く起きてしまうことはよくあるだろう。そういう時は大方休日で二度寝に入るのだが、今日は生憎の休日。二度寝をして一時間くらいで起きられるほど僕も器用じゃないので、重い身体と目蓋を上げることにした。

 

「ふぁ~、ねむ……」

 

 自然と出る欠伸と愚痴。しょうがない眠いものは眠いのだから。昨日はやることがあって、結局寝たのは地球が一周を終える……いや、始めるのか? ……まぁ、とにかく日が変わる少し前だ。

 

 のそのそと布団をたたみ、着替える。時間は有り余っているから急ぐこともない。が、ここまでゆっくり準備しても時間は余る。そもそも、身嗜みに気を使うような人間じゃないので、準備するようなこともほとんど無いのだ。

 

「まだ四時半かぁ……ゲームしてたら寝落ちしそうだし、掃除でもしようかなぁ」

 

 すぐにでも出かけられるように準備し終わり、手持ち無沙汰になった僕は、やることもない……わけではないが、どれもやってるうちに寝てしまいそうなので、体を動かすことをしようと考えて、掃除することにした。

 

 と言っても、毎日欠かさず日課として掃除はしているので、特別汚れているということもない。適当に雑巾掛けしていたら、三十分もかからずに大方終えてしまった。

 

 掃除に終わりはないとは言うが、平日の早朝からそんな本気を出すようなことでもないと思い、適当な所で切り上げたのだが……時計を確認すると短針はまだ数字の五を指すか指さないかという位置である。

 

「いっそのこと早めに学校に向おうかな? 朝練してる部活の影響で学校開いてるかもしれないし……あっ!」

 

 本当に暇になってきて、早めに学校に行って学校で寝てやろうか、と不真面目なことを考え出した直後、あることを思い出す。

 

 そういえば、朝練を神田神宮でやっているという話は穂乃果たちから聞いていたが、全然顔出したことなかったな。折角なら見学しに行こうかな、とここまで考えて、今日は練習がないと言う可能性もあることに気付いた。

 

 今から電話とかで聞いてもいいが、もし今日が練習無しの日でゆっくり寝ていたら悪い。まぁ、どうせ時間はあるのだ。減るのは僕の体力と睡眠時間くらいで、遅刻して内申点を減らすなんてことはないだろう。

 

 そんなわけで、僕はとりあえず、神田神宮に行ってみることにした。朝ご飯は……どっかで買って行こう。

 

 

 歩きながら、どうでもいい思考にふける。こういう時間も随分と久しぶりだ。必要のあることを考えるのは大変だが、無駄なことを無駄に考えるのは無駄に好きだったりする。無駄に無駄が多いな。……こんな感じに本当にどうでもいい思考だ。

 

 神田明神は東側から行った場合、そこそこ長い階段を登らなければその本殿を拝むことはできない。明神男坂などと呼ばれているらしいが、地元だともっと長い階段なんて日常茶飯事みたいなものだったし、何より道が舗装されてるのだ。地元だと砂利道ばかりで、疲れやすかった。そう考えると尚更楽に思える。……少なくとも久能山を東照宮本殿まで駆け登るよりはマシだ。最悪南側から行けばいいし……やらないが。

 

 自宅からの距離も遠くはないが、そこそこ歩く場所にあり、軽い運動をする程度だったら行くだけで充分だ。十分くらいで行けるから充分……なんでもない。実際、神田明神までは徒歩で十分ちょっと、と言った所だ。学校の方向はまた別だが、さして問題ないだろう。何度も言うように時間はある。

 

 学校に着いていなきゃいけない時間は八時半。今の時間は五時ちょい過ぎ。約三時間は自由という計算だ。

 

 と、考えている間に着いたようだ。姿は見えないが聞き覚えのある複数の声が聞こえる。朝からよくやるなぁ、なんて呑気なことを考えながらゆっくり階段を上る。一段上がるたびに大きくなる声……ほとんどは海未の声だ。

 

 上り終わり境内の中へ踏み入れると彼女らが練習しているのが見えた。だが彼女たちはこちらに気づいていないようだ。特段気付かれるようなことはしていないし、彼女たちもそれだけ集中して練習している証拠だろう。

 

 まだ朝早いこともあり、周りに人はほとんどいない。宮司さんも朝だけは使っていいと許しているそうだ。結構街中にあることもあってか、この神田明神は毎日そこそこ人がいる。こんな早朝じゃなければ、迷惑極まりないだろう。

 

 そんなことを考えて彼女らの練習を見ていたのだが、不意に後ろに気配を感じた。悪寒とも言えるだろう。

 

「うら若き女子高生の練習風景を覗き見する不審者……かと思えば音也くんやん、どうしたん?」

 

 振り向くと特徴的な紫髪をポニーテールに纏めた巫女服の女性が箒をこちらに突きつけている所だった。笑っているが目が笑ってない、返答次第では僕の人生がお笑いものになってしまうだろう。

 

「えーっと……暇つぶし?」

 

「……やっぱり警察に──ー」

 

「わー、待ってー! 今のなしー!」

 

 本当に洒落にならなそうだったので慌てて大声を出す。そうなると当然目立つわけで、練習をしていた彼女らに気付かれてしまった。

 

「あれ? 音也くんだ! どうしたの? 音也くん」

 

 真っ先に反応したのは穂乃果。後ろから聞こえる穂乃果を呼び止める声にも意を介さず、こちら走ってくる。橙色のサイドポニーを揺らしながら、軽やかに走る穂乃果。先ほどまで練習をしていたこともあり、汗によって服が張り付いている。なんというか……色香が出てる。

 

「暇を持て余したから、練習を見学しに来たんだ。迷惑だったかな?」

 

「ううん、そんなことないよ! 音也くんが見ててくれるど、いつも以上に気合いが入るからね。頑張ろうって思えるの!」

 

「そ、そう……」

 

 尻尾があればブンブン振っているだろう、それくらい穂乃果は嬉しそうな笑顔を見せてくれる。その勢いに圧倒された僕は軽く引き気味に苦笑いを浮かべる。

 

「穂乃果! 練習の途中に抜け出すのはやめてください」

 

「海未ちゃん! 音也くん、今日は練習見てってくれるって! 頑張らなきゃ!」

 

「え? はい、そうです。だから途中で抜け出すのは……」

 

 海未が言い終わる前に練習に戻る穂乃果。全然人の話を聞いてない。海未も穂乃果のテンションの上がりように終始気圧されていた。今も呆気に取られて、口が半開きだ。

 

 あっちにいる四人も唖然としているが、僕と目が合うと笑顔を返してくれる。さすがに穂乃果のように走ってきたりはしない。というか、一層やる気を出した穂乃果に振り回されている。

 

 パッと海未の方に目を向けると、未だに状況が飲み込めていないのか固まっている。

 

「あの、海未? ごめんね、僕のせいで」

 

「……ハッ! い、いえ、音也のせいではありません。むしろ来てくださってありがとうございます」

 

「うん、まぁ、気まぐれなんだけどね。だから、感謝されるとなんか変な感じ……」

 

「音也が見てると皆さんモチベーションが上がるみたいなんです。穂乃果なんかは特に顕著ですね。いるだけでいい、というのもおかしな話ですが……皆さん音也を頼りにしているのですよ。音也にはいろいろ助けられてますからね」

 

「いや、むしろ助けてもらっているのは僕の方で……でも、そっか。だったら僕ももう少し顔を出すようにするよ」

 

「はい、お願いしますね」

 

 そう言って練習に戻って行く海未。その後ろ姿を見ながら、また考えてしまう。なんだ? この好感度の上がり方……これ、なんてギャルゲ? そんな不謹慎なことを考えてしまうほどに、好感度が上がってるような気がする。

 

 性格上、好感度は上がってるからと言って、ひゃっほう可愛い女の子たちに囲まれて幸せだぜー、と楽観視はできない。どちらかと言うと、本当に本心か? と疑ってかかってしまうのだが……彼女たちがそんな裏表のある性格には思えない。

 

 まぁ、これで裏切られたら僕の見る目がなかったということだろう。その時は甘んじて受け入れるさ。幸せな夢を見せてくれてありがとう、と。……まぁ、受け入れると言っておきながらその時になったら結局、精神的に辛くなって引きこもるかもしれないが。

 

「……僕は彼女たちに依存してるのかなぁ?」

 

「共依存やない?」

 

「ひゃあ!? の、希!? 今までどこにいたの!?」

 

 穂乃果と話し始めてから全く気配を感じさせなかった希が、急に後ろから話しかけてきたものだから、驚いて変な声が出てしまった。そんな僕を見て希は、悪戯に成功したとでも言いたげにニヤニヤしている。

 

「どこって……隠れてたんよ。折角の美少女たちとの時間を堪能できるように」

 

「……それはいらないお節介だよ。えーっと、それで、共依存って? 彼女たちも僕に依存しているってこと? そうには思えないけど……いや、西木野さんだったら思い当たる節あるけど」

 

「……私から言えたことじゃないけど、皆何かしら裏があるんや。心の弱み、とでも言ったところか」

 

「心の……弱み……」

 

 心の弱み……自分の心の弱みは分かっている。西木野さんも同じような感じだろう。でも他は? 確かに彼女たちにも心の弱みがあるのかもしれないが、僕に依存する理由がわからない。例えば花陽と凛なんかは、むしろその二人で依存しているようにも見えなくもない。

 

「もう一つ……音也くんが男の子っていうのもあると思うんやけどね」

 

「……珍しいから? それだけで?」

 

 確かに女子校の大半に生徒には同い年の男性と関わる機会なんてほとんどないだろうから男と関わることが珍しいというのもあるかもしれないが、それが信用に繋がる理由が分からない。

 

「音也くんも鈍いなぁ。分かるやろ? 年頃の男女が依存し合う関係……」

 

「……い、いやいや、それこそありえないよ。確かに僕は彼女たちに……って何言わせるの!?」

 

「……今のは音也くんが勝手に自爆しただけやん」

 

「うっ……そ、それでも……」

 

 確かに僕は彼女たちが友人としてなら好きだ。だが、愛しているかと言われればまた別の話。今までそういう話を聞くことはあったが体験することははなかったから、よく分からないのだ。でも、悪くないとは思っている。僕もちょろい男だ。少しチヤホヤされたくらいで、ときめいてしまう。

 

 そんな感じで自問自答している途中、何かを言ったのは分かるが何を言ったのか分からないくらいの声の大きさで希が言う。

 

「……冗談や」

 

「へっ?」

 

「冗談やって言ったの。ウチに彼女たちの気持ちなんて分からんしな。でも、音也くんの反応を見る限り脈アリ、やな」

 

「……絶対仕返ししてやる」

 

 ニヤニヤしている希の顔を見て、いつか絶対仕返ししてやると心に誓ったのだった。

 

 

 一時間過ぎた頃、希は先の上がっとるよ。と言って帰ってしまった。……よく考えたら今日は平日だよな? そんな早朝からお手伝いをしてるのか? そんなことを思いもしたが深く考えないことにした。

 

 僕はずっと彼女たち──μ'sの練習を見ていた。六人になったことで、チームという感じが出てきたように思える。今までは友達同士の集まりという感じだったが、西木野さんが入ったおかげで良い感じの雰囲気になっている。

 

 それにしても、よく考えたら僕は今、まだまだ素人とは言え、アイドルの練習を間近で見ているんだよな。そう思うとなんだかすごいことをしている気分になってきた。と、もうすぐ終わりかな? ……どうやら、みんなで最後に合わせて終わるみたいだ。

 

 六人になってから少し経つが、もう素人から見れば十分と言える完成度だ。パフォーマンスのレベルも段々と上がってきて、僕は彼女たちにアドバイスできるような立場ではなくなってきたのかもしれない。そんなことを考えながら僕は彼女たちを見ているのだった。




ども、秋麦です。

今回の話は前後編に分かれてしまいました。まぁ、タイトルから察する人もいるかもしれませんが、ニコ襲来は近いですね。

割と今回はちょうどいい感じの長さにできたのではないでしょうか? 内容は置いておいて。……毎回これくらい書ければなぁ、と思うのですが。というか、やっぱり前書きの台本形式の方が書きやすい気がします。あっれぇ~?

ああ、後いろいろと地理設定がごちゃごちゃになっていまして、ノンフィクションをフィクションに落とし込むのって難しいですね、やっぱり。分かっていたつもりでしたが、あくまで"つもり"でした。もしかしたら過去の話も見直さなきゃいけなくなるかも……ただでさえ伏線管理やら矛盾点やらが豊富なのに……うぅ……うにゃあ~!

まぁ、はい。私の問題なのでね。皆さんはお気になさらず、楽しんでいただけるとありがたいです。……もちろんアドバイスとかはいつでも待ってますよ?
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