ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 一緒に出かけることになった音也と穂乃果。

 そんな中、音也はどうしてそんなに親切にしてくれるのか問う。

 その質問に穂乃果は「私たちは音也くんのことが好きになったの。なんとなく、感覚的に」と答える。

 その言葉に音也は無性に恥ずかしくなるのだった。


トサカが先か、ことりが先か

 自転車を預けた後、穂乃果と一緒にショッピングモールを適当に歩いていた。

 

 いつもは一人なのに、誰かと一緒だと思うと違和感がある。それが女の子だというから尚更だ。

 

 そういえば、女の子って服とかが好きそうなイメージがあるけど、穂乃果はどうなのだろう?

 

「ねぇ、穂乃果はさぁ」

 

「んー、なーに?」

 

「服とかファッションに興味はないの?」

 

「あー、……私の服見てどう思う?」

 

 え? なんだろう? その質問……これは所謂 "どう? 似合ってるかな? "というやつだろうか?

 

 いや、落ち着け、話の展開的にそれはない。かといって他になんて言えばいいかなんて分からないし、取り敢えず、褒めるしかないかな。

 

「えーっと、可愛いと思うけど」

 

「あっ、うん、ありがと……ってそういうことじゃなくてさ、あんまりオシャレに気を遣ってないの、穂乃果」

 

 ああ、そういうことか。ん? じゃあ今、すごい恥ずかしい返事したんじゃ……

 

「そっ、そんなこと言ったら、僕だってそういうことは全然だよ」

 

 というか、ファッションセンスなんてものが皆無の僕にはそういう質問をされてもチンプンカンプンだ。実際僕は服には着れればいいやって思ってるタチだ。あえていうなら、黒や白、紺色などの地味な服しか着ない。

 

「……じゃあ、穂乃果たち似た者同士だね」

 

「……そうだね」

 

 こんなことで似ていてもなぁ、と思う。ちょっと周りの空気が暗くなる。

 

 穂乃果も気まずくなったのか話題を変えるように、こんなことを聞いてくる。

 

「そういえば、音也くんはよく来るの? ここ」

 

「実はあんまり。なんとなくこういう場所に来たいって思う時があって、それで」

 

 まだ、穂乃果たちと出逢う前、寂しくて、人がいる場所に行きたいなぁって思って来るのだが、余計に孤独感が増すという本末転倒なことをしていた。その時のことを思い出して少し心が痛くなったが、穂乃果に心配かけないようにうまく隠した。

 

 穂乃果は僕のちょっとした気持ちの変動には気づかず、話を続ける。

 

「へぇ~、穂乃果もこういう場所に自分からはあんまり来ないんだ。いっつも、ことりちゃんに連れて来られるの」

 

「ことりって確か……あの髪型がトサカの?」

 

「あぁ、やっぱり、ことりちゃんのイメージってそうなんだ」

 

 南ことりさん、髪型がとても印象的だったので覚えてる。あのトカサは一体なんなんだろうか? いやリボンでうまいことあの髪型にしてるのは分かるが、何であの髪型にしたんだ? というか、あのトサカに、ことりという名前から、失礼だけど、どうしても鶏を連想してしまう。

 

「あの、トカサって一体なんなの?」

 

「それが、穂乃果にもよく分からないの。子供の頃からあの髪型なんだけど……寝るときもあの髪型だし」

 

「はっ? リボンなしで!?」

 

「そうなの、しかも実はことりちゃんのお母さんもあの髪型なの」

 

「そっ、そうなんだ。……不思議だね、それは。癖毛にしても特徴的過ぎるでしょ」

 

 それじゃあ、あの髪型は遺伝だったりするのだろうか。いや、だったら最初にあの髪型になったのはいつの世代なのか、という疑問が。

 

 まさか、突然変異した先祖代々続く由緒正しい家系だったりするのか? じゃあ、あの名前も実は伝統? 鳥に関係することを名前に入れなきゃいけないとか。

 

 あっ、もしかしたら、名前に鳥に関係することを入れる伝統が先にあって、後付けであの髪型にする伝統が生まれ、最終的にあの髪型が自然な状態になったのかも。

 

「ねぇ、音也くん……」

 

「あっ、ごめん」

 

 いかん、つい妄想が働いていつのまにか南さんが由緒正しい家系のお嬢様になっていた。なんか支離滅裂な考えだったし。でも今みたいな起源がどっちなのか、みたいな話どっかで聞いたような……

 

「……鶏が先か、卵が先か、だったかな?」

 

「誰が鶏だってー?」

 

「それは、もちろん南さんのことだけど……えっ?」

 

 今後ろから聞こえてた声は穂乃果じゃない。穂乃果は今僕の横にいる、その顔は僕を哀れんでるように見える。

 

 そして、さっきの声、ものすごく聞き覚えのある声だ、そう、ちょうど昨日聞いたような……

 

 嫌な予感がして、ギギギッとブリキ人形のように振り向く。

 

「こんにちは、穂乃果ちゃん、音也くん」

 

 そこのいたのは案の定、南ことりさんだった。

 

 

 

 僕は、今カフェで自責の念にかられている。やっぱり人が嫌がるようなことは言うものじゃないな。流石にデリカシーがなかった。

 

「あの、音也くん。本当に私も頼んでいいの? 今月やばい、とか言ってた気がするけど?」

 

「いや、大丈夫だよ。もうこの際、一人分も二人分も一緒だよ。それに元々、穂乃果と遊ぶ気で準備してきたから、気にしないで」

 

 申し訳なさそうに聞いてくる穂乃果に僕がそう言うと、穂乃果はパァっと笑顔になった。 

 

「そっか、じゃあ遠慮なく頼んじゃうね」

 

「そうだよ、悪い子にはキチンとお仕置きしなきゃ」

 

 そう、僕は今、お仕置きという名目で、お昼ご飯を奢らされている。

 

 いや、さっきはマジで肝を冷やした。昨日見たときは、なんとなくふんわりした印象だった南さんだが、こういう人ほど怒ると怖いとは本当だったのか。

 

 笑顔のまま、ただただ同じことを言うのだ。

 

「なんか言うことはあるかな? あるよね?」

 

 と。なんかを言わなければと、取り敢えず謝り倒した。

 

 それが良かったのか、南さんは、

 

「じゃあ、もうお昼時だし、お昼奢って?」

 

 と言って恐らく、許してくれたわけだが……やっぱり、あの髪型は気になる。直接聞いてみるか。

 

「あの、南さん」

 

「ことり」

 

「へっ?」

 

「穂乃果ちゃんのことは呼び捨てでタメ口なのに、私には他人行儀みたいで嫌だなー」

 

 ……穂乃果の時もそうだったけど、名前で呼ばれることに抵抗はないのだろうか? いや、この場合、僕が名前を呼ぶことに抵抗があるのか? だったら、開き直ったほうがいいかもしれない。

 

「えーっと、じゃあ、ことり。これでいい?」

 

「うん。それでどうしたの? 音也くん」

 

「いや、あの、その髪型ってさ……」

 

「音也くん」

 

「なっ、何かな?」

 

 あっ、これダメなパターンだ。

 

「世の中にはね、知らなくていいことがあるんだよ?」

 

「アッハイ、ワカリマシター」

 

 怖すぎる。今一瞬後ろに鬼が見えたぞ。

 

 もう、これからことりに髪の話を振るのはやめよう。 そう心に誓った一日だった。




次回は2月24日21時投稿予定です。

私立大学に無事合格していたので投稿ペースを速めようと思います。公立は受けないので……

まぁ、そんな私の事情はさておき、今回の話は決してことりを貶めているわけではありませんが、もしそのように受け取り不快に感じた方がいましたら大変申し訳ございませんでした。……私毎回ここで何かしら謝ってますね。

ただ、ラブライブのアニメ第十話を見ていた際、みんなで寝るシーンでことりはリボンもないのにあの髪型だったのが未だに謎です。

ああ、それと女性の方には髪を縛ったまま寝る方もいるのでしょうか? 同シーンで穂乃果が髪を縛ったままだったので不思議だったんです。
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