ラブライブ!IF ~少年と少女たちの物語~   作:秋麦沈初

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前回のラブライブIF

 穂乃果と一緒にショッピングモールに来ていた音也は穂乃果との雑談で話題が出たことりについて失礼な考察を始める。

 そこに偶然にもことりが現れる。

 見事に考えていたことがことりにばれた音也は、罰としてお昼を奢ることになったのだった。


マネキンの気持ち

 結局あの後、デザートの追加注文で手を打たせてもらった。お昼だけで二千円近く使うことになるとは思わなかった。でも、それで許してくれるあたり、やっぱりことりは優しいと思う。普通だったら嫌われてもおかしくないと思う。

 

「それで、ことりはなんでここに来たの?」

 

 お昼ご飯を食べ終わり、店を出てショッピングモールを適当にぶらついている時、僕はことりにそんなことを聞いた。 僕と穂乃果の目的はさっきの食事中に話した。しかし、ことりの目的は聞いていない。

 

「ことりの? ……ことりはねぇ、服を見に来たの」

 

「服? へぇ、女子って感じだね」

 

 所謂、休日にショッピングというやつだろうか? うーん、僕のイメージって偏ってるのかな?

 

「別に買いに来たわけじゃないんだよ?」

 

 と、まるで僕の心を読んだかのように、ことりが返事をしてきた。

 

「どういうこと?」

 

 買う以外に服を見る目的って何だろうか? という疑問には、穂乃果が答えてくれた。

 

「ことりちゃんはね、自分でお洋服を作るんだよ。だから、その為にいろんなお洋服を見て勉強してるんだって。すごいよね~」

 

「自分で……作る……その発想はなかった。すごい、すごいじゃん、ことり!」

 

 僕は服の裾を直したりする程度簡単なものしかできない。それも結構時間がかかったりする。服を作ろうだなんて、思ったらどれだけの時間がかかることか。

 

「それほどでも無いよ~。えへへ」

 

 本人は照れているのか、謙遜している。しかし、ことりの、なんというかこの、ポワポワ~っとした雰囲気はなんだろうか。なんか穂乃果とは違う意味で流されそうになるんだよな。

 

 

 そんなことを考えているうちにあるお店の前に着いた。これは……所謂レディース専門店というやつだろうか。……ここに入れ、と?

 

「……僕は店の前で待ってるよ」

 

 この雰囲気は無理だ。そう思って二人に提案したのだが……

 

「え~、音也くん、一緒に行かないの~?」

 

「せっかくの両手に花だよ、音也くん。楽しまなきゃ」

 

 と言われてしまった。いや、穂乃果は純粋に残念がっているように見えるが、ことりは絶対遊んでやがる。しかも、わざわざ穂乃果には聞こえないように言いやがって。

 

 しかし、このままでは、レディース専門店の前で、女の子二人と言い合う若い男という構図が出来上がってしまう。それは非常にまずい。あらぬ誤解を招きかねない。

 

 二人の思惑は違えど、僕が一緒に店に入って欲しいだけみたいだし、その意見を曲げる気もないらしい。

 

 ……頑固というか、なんというか。ここは僕が譲るしかないみたいだ。というか、穂乃果たちと知り合ってから、ずっと押し負けてる気がする。

 

 腹をくくるか。

 

「分かった。降参だよ、一緒に中に入ればいいんでしょ?」

 

「本当に? やったー! やったね、ことりちゃん」

 

「うん、良かったね。穂乃果ちゃん」

 

 穂乃果がことりに抱きついている。よく人前でそんなことができるな。たった二日だけど、もう穂乃果がどんな人物か大体分かった気がするぞ。……今時こんな子がよく育ったもんだなと子供ながらに思う。

 

 そして、中に入ってみると、案の定というか女性ばかりだ。男性がいたとしても、女性の付き添い……というか主にカップルだと思われる人たちだった。気まずいぞ。……そうだ、こういう時は別のことを考えよう。

 

 さっきの二人……可愛い女の子同士が抱き合ってるのを見ていると、なんか新しい性癖に目覚めそうだな。……流石に失礼だが、女の子同士って尊いな。

 

 とか、現実逃避している間に何故か穂乃果着せ替え人形と化してる。

 

「穂乃果ちゃん、可愛い~」

 

「ことりちゃん、今日は音也くんいるから、流石に恥ずかしいんだけど」

 

「え~、大丈夫だよ。音也くんもいろんな穂乃果ちゃんが見れて、嬉しそうだよ」

 

 なんかすごい会話をしてるぞ。一体何が大丈夫なのだろうか。というか、その言い方だと僕が変態に聞こえるからやめていただきたい。そう思って、ことりに文句を言おうと、ことりの方を向くと、ことりがこっちを見てニコニコしてる。

 

「音也くんも、なんか言ってあげなよ。穂乃果ちゃん、どう?」

 

「へっ?」

 

 今のは、僕と穂乃果どっちの声だっただろうか。まさか、感想を求められるとは。しかも、穂乃果の。そこは普通私の服どう? って感じじゃないのか。

 

 確かにさっき同じようなことしたけど、今度は知り合いが目の前にいる中でやるのか? ……いや、もうこうなったらヤケだ。

 

「えーっと、あの、すごく似合ってると思います。可愛いですよ」

 

「あー、えーっと、ありがとうございます」

 

 敬語になってしまった。恥ずかしすぎだろ、これ。ことりは相変わらずニコニコしてるし、穂乃果も照れちゃってるしで、もう収拾つかないぞ。

 

「二人とも、可愛いなぁ~」

 

 ことりがそんなことを言った。コイツ絶対楽しんでる。

 

「もう僕外にいるね!」

 

 その場の空気に耐えられなくて、僕は逃げた。穂乃果もことりも特に止めることはなかった。

 

 

 その後どうにか落ち着いた頃、二人が店から出てきた。穂乃果も通常通りに戻っている。よし、もう大丈夫だ。

 

「次は、どうする?」

 

 そう二人に問いかける。すると真っ先にことりが答えた。

 

「実はもう一つ行きたい店があるの。ちょうど音也くんもいるし、いいよね?」

 

 ちょうどって何だろう? なんか嫌な予感がするぞ……

 

「私はどこでもいいよ。二人と一緒なら」

 

 穂乃果は相変わらずだ。ここで僕が反対しても、結局押し負けるし、まぁ、いっか。

 

「いいよ。どこに行くの?」

 

「それは、秘密」

 

 秘密にする必要あるのか? そんなことを思いつつ、たどり着いたのは、メンズ服専門店だった。まさか、これは……そう思ってことりを見る。

 

「一回、男の人の服も見てみたかったの。今日は音也くんがいるから、大丈夫だよね」

 

 ですよねー。

 

「僕、ちょっと用事思い出して……」

 

「そんな言い訳通じると思ってるの? さっきいいよって言ったよね?」

 

 ことりが物凄い怖いんですけど……いや、でも、さっきの穂乃果の惨状を見ちゃうとどうにも気が乗らない。ここは、穂乃果に助けを求めて……

 

「音也くん。嘘は良くないよ。それに穂乃果も音也くんが色々着てるところ見たいし」

 

 僕の味方はいないようだ。くそ、万事休すか。

 

「分かったよ、もう好きにしてくれ。僕なんかでモデルになるか分からないけど」

 

「大丈夫だよ~、音也くんかっこいいからね~」

 

「ふぇ!? あっ、ありがと……」

 

 まさか、ことりにそんなこと言われるとは思ってなかったから、油断していた。いい加減驚くと、ふぇ!? って驚く癖を直したい。男の僕がやっても需要ないだろ。絶対気持ち悪がられる。

 

 ……まぁ、お世辞だとしても、女の子にかっこいいと言われるのは嬉しいものだな。

 

 

 その後、僕は着せ替え人形にされ、マネキンの気持ちってこうなのかなぁと現実逃避していた。あんなに試着をしたのはいつぶりだろうか。というか、人生初かもしれない。それくらい試着をした。

 

「次はあっちだね」

 

 そう言って他の服屋に連れていかれた時はマジかよとも思ったが、途中から僕も結構楽しんでいた。たまにことり自身も試着していたが、やっぱりことりも穂乃果とは違う可愛さがあった。恥ずかしいので本人には言ってないが。

 

 そんな感じで最終的には大手全国チェーンの服屋さんに寄って、そこでも穂乃果と僕が着せ替え人形になったが、今は試着会も一段落して適当にぶらついている所だ。

 

「いやー、それにしても、音也くん細いねぇ。ことりちゃんと同じくらい?」

 

「いや、ここまで細くはない……よね?」

 

「え~、でも、まさかレディースのズボンが履けるとは……」

 

 それには、僕も驚いた。まだ履けたのかレディースのズボン。 中学のころは、メンズのズボンだとベルトがないと落ちてしまうからベルトがなくても履けるレディースのズボンを履いていた。子供用だと今度は丈が足りなくなるし。ベルト付けろよって? ……面倒じゃん。

 

「ちゃんと食べてるの?」

 

 穂乃果が心配そうに聞いてくる。

 

「食べてる、とは言い難いけど……」

 

 面倒で食事抜きとかよくある。今日だって穂乃果が来なかったら朝ご飯を抜く気満々だったし。

 

「ダメだよ、音也くん。ご飯はしっかり食べないと。朝昼夜、栄養をしっかり摂らないと病気になっちゃうぞ~」

 

 母親みたいなことを言う穂乃果にことりが突っ込みを入れる。

 

「穂乃果ちゃんも、お昼はランチパックばっかりだから、あんまり人のこと言えないよね」

 

「しょうがないじゃん、美味しいんだもん、パン」

 

「穂乃果はパン派なの?」

 

 和菓子屋の娘だからご飯派なイメージあるんだけど……

 

「ううん、そういう訳ではないんだけど、家だとご飯しか出ないから」

 

「なるほど、そういうこと。和菓子屋だからこそって感じだね」

 

 逆に家じゃあんまり食べれないからこそ、パンが食べたくなるのか。

 

「あれ? 音也くん、穂乃果ちゃんの家知ってるの?」

 

 ことりが不思議そうに聞いてくる。……そういえば、説明してなかったな。

 

「今日は穂乃果に家で朝ご飯を頂いたんだ」

 

「そうそう、音也くんってば、泣いて喜んでくれたんだよ」

 

「そっ、その話はやめてくれ。恥ずかしいから」

 

「やーん、可愛い~」

 

 ことりが頬に手を添えながらやんやん首を振っている。くそ、穂乃果め、余計なことを。絶対に知られてはいけない人に知られたよ。

 

 これからは、ことりにはできるだけ弱点を見せないように心がけよう、うん。……無理だと思うけど。




次回は2月28日21時投稿予定です。

 女子と遊ぶって実際どんな感じなんでしょう? 私は中学になってからは一度も女子と遊んだことがない男なのでこの話を執筆するのは結構苦労しました。

 結局はあくまで自分の妄想の産物なんだからと結論付けて、ラノベとかでありがちな展開になってしまいましたが。

 ちなみにレディースのズボンの件ですが、私自身の話です。私ガリガリなのでレディースのズボンがぴったしなんですよね。それを見た親にだいぶ驚かれたのは今でも覚えています。
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