メロンさんにネズさんにマリィちゃんに一杯出てきます(嬉しい
ジムリーグ開催の少し前から物語が始まります。
オリキャラ有りですので、それでも良いという方はよろしくお願い致します。
……ポケモンの出番はまだですかねー?
第一話 キルクスタウン ジムチャレンジ開始前
一人の青年が、メロンから蹴り出され、雪の降る町の道端に転がる。
「そんな馬鹿に育てた覚えはないよ! 頭冷やしな!」
売り言葉に買い言葉か、青年が蹴り出した相手に吠える。青年の持ち物だろうか、サングラスも一緒に道ばたに放り投げられる。
「いってぇな糞ババア! ふざけやがって、もう出てってやるからな!」
壁に一発蹴りを入れる青年。
「その口の利き方はなんだい!? まともになるまで、敷居をくぐらせないからね!」
乱暴に扉は閉められ、吐く息は白く、次第に体温が奪われていく。兎にも角にも、このまま座っていては、凍死は免れないだろう。
「……ちっ、仕方ない。スパイクタウンに行くしかないか」
着ていたコートを握りしめ、雪道を歩いて行く。
「ネズさん、俺にリーグの推薦状をください」
そう言って、頭を下げる青年が居た。その話を聞いているのは、スパイクタウンの主、ネズだった。パンクに身を包んだその姿と、少しけだるげな表情をしている。やる気のなさそうな表情のまま、ネズは答える。
「……メロンさんに頼めばいいんじゃないですか?」
頭を下げた青年は、今朝の出来事を思い出し、表情を曇らせる。
「お前には、十年早いって」
参加資格無くなる、と溜息と一緒に吐き出す。
「……まぁ、こちらも別に駄目だと言うつもりもないですが。とはいえ、メロンさんが断っているのを推薦するのも、ね」
やるきの無い目を青年に向けるネズ。それはどこか、面倒ごとを避けたいという意識が合ったのかも知れない。
「別に、前例が無いわけではないでしょう? あの人だって、そんなことで他人がどうこう言うこともないだろうし」
確かに、推薦する基準をきっちり設けている人も居れば、ジムチャレンジでの成長を見越して能力問わずで参加させる人も居る。多くはないが、そう言った例がないわけではなかった。
「それに、ネズさんにとっても、悪い話では無いと思うんですよ」
青年のその言葉に、ネズが首を傾げる。
「ほぅ、それは一体……?」
青年がネズの部屋から出ると、スパイクタウンの空気を吸い込む。
「はぁー、久しぶりのこの空気。帰ってきたって感じがするな」
それを見ていたのか、一人の少女が青年に話しかける。
「久しぶりってほど、離れてないでしょ」
ネズと似たようなファッションを身に纏い、黒髪ツインテールという、少女らしい髪型に一件では冷たい印象を受けてしまうかも知れない碧色の目をしている。
「マリィじゃないか。どうかしたのか?」
マリィと呼ばれた少女は、青年の横に並んで歩く。
「聞いたよ、ジムチャレンジ挑戦するんだって。うちも今年から参加するから……ライバルやね」
一瞬だけ青年に振り返り、笑みをみせる。
「ライバル、か。まぁ、そうなるな」
そう呟いた青年は満更でもなさそうだった。スパイクタウンの寂れた通りを歩いていると、マリィを応援するファン達、エール団と呼ばれている人達とすれ違う。
「……人気だねぇ、ジムチャレンジも期待されてるだろ?」
マリィの横を小さい歩幅で着いてきていたモルペコがジャンプしてマリィの胸元に飛び込む。慣れた様子でキャッチすると、そのまま抱えてマリィは歩き続ける。
「それは、アニキがジムリーダーやけん。うちはうちの実力で勝たんと……意味ないけん」
どこか物憂げな表情で呟くマリィ。誰も言葉にはしていないが、闘い方、使うポケモンの傾向もネズの影響は強い。スパイクタウンの人間には彼の印象を重ねるなと言う方が難しいのかも知れない。
「……マリィはマリィだろ。バトルの実力は皆認めてるよ。チャンピオンまではわからないけどな」
そういうと、マリィが頬を膨らませる。
「目標は変えん! アニキ越えんと意味ないっちゃ!」
意地を張っているのは間違いない。だが、それによってより高みを目指すことは、悪くないのかも知れない。
「うちはチャンピオン目指してるけど、そっちは?」
マリィの問いに、首を傾げる。
「いや、目標きいとるっちゃ」
その言葉で納得したのか、青年が短く答える。
「金」
一瞬マリィが足を止める。青年が歩くスピードを緩めないのを見ると、早足で追いつく。
「……それでええのん?」
「それ以外に、ないだろ」
そういうとマリィと別れる。青年はスパイクタウンの仮住まいへと戻っていく。別れた後に立ち止まるマリィは、不安げに青年を見送った。
「大丈夫かなぁ、リンドウ」
呟いた青年の名前は、彼に届くことはなかった。
読了ありがとうございました。
これからちょっとずつ更新していきます。
ポケモンが出るまで、もうちょっとかかるかな(汗