もうちょっとネタがあった……気がした!
メロンに連れられて、キルクスタウンで過ごすようになったリンドウ。だが、メロン以外は他の人間と同じように、近くにいると不安になるようで、イエッサンとメロン以外に心を許す様子はない。
「……困ったわねぇ」
家の隅に居ることが多かったが、体が少し大きくなったら、人目の少ない場所を探して彷徨うことも多くなる。そうしていると、人間よりも先に、ジグザグマと仲良くなっていた。
「アウッ!」
ジグザグマに連れられるように、リンドウは歩く。どれぐらい歩いただろうか、リンドウは見たことのない場所に居た。どこか寂れたような雰囲気が、ただでさえ日差しがあまり入らない町並みを更に暗くしている。
「ん? 何処の子やと?」
リンドウよりも少し背の低い女の子が話しかけてくる。
「……リンドウ」
自分の名前を告げる。慣れない人間に喋ったのは、不安を感じることがなかったからだろうか。どうやら彼女はメロンと同じようだ。
「ふーん、こっち!」
少女がリンドウの手を掴み、崩れた壁面に案内する。
「ここ! 秘密の入り口たい、他の人には内緒やち!」
自分のお宝を紹介するような、穏やかな笑みにリンドウは直ぐに打ち解けた。もしかしたら、初めてリンドウから歩み寄った人間だったのかも知れない。
「……最近よくスパイクタウンにいってるみたいさね?」
メロンがリンドウに話しかける。腕組みをして居るところを見ると、あまり機嫌は良くなさそうだ。
「別に、駄目だとは言わないけどね。うちの子達よりも先にそっちと仲良くなるのは、なんでなんだろうね?」
腕を組んで疑問に思うメロン。だが、その答えはリンドウもよく分かっていなかった。
「……スパイクタウンの人達が……メロンさんみたいだから」
その言葉に、メロンは謎かけをされているのではないかと考えていたが、どうやら本当にそう思い込んで居るらしい。
「私みたい、ねぇ? 何か共通してるかしら?」
メロンはリンドウをつれてスパイクタウンに訪れている。
「……リンドウさんが、ですか?」
ネズがメロンと会話している。リンドウはマリィと戯れている。
「そう、スパイクタウンのことなら、アンタが詳しいかなって。ついでにリンドウとも年が近いしね」
ネズが困ったように溜息をつく。メロンもそれだけ行き詰まっているのだいうことだ。
「そりゃあ、僕もリンドウと遊ぶ事はあります。トレーナーとしての資質はないですが、不思議と彼とポケモンの絆は深い」
面白い人だ、そうネズは考えているようだ。
「……私とスパイクタウンの人に接点なんてあるかしら?」
リンドウの言葉の意味を知るために、色々と探し回っても答えは出ない。
「メロンさんとスパイクタウンの人々の接点は分かりませんが、キルクスタウンとスパイクタウンの違いなら分かりますよ」
その言葉に、メロンがはっとする。
「パワースポット!」
汽車に乗り、メロンとリンドウはハロンタウンに辿り着いた。
「ようこそ、研究所に。歓迎するわ」
マグノリア博士が二人を歓迎する。
「……驚きました」
ねがいの塊が入った箱を一つ、空箱を二つシャッフルして何処にねがいの塊が入っているのかをリンドウに選ばせた。
「十回中、十回正解。これは、間違いないかもね」
メロンもリンドウの能力に驚いている様だ。
「ねぇ、リンドウさん。どうしてねがいの塊が入っている箱が分かったの?」
マグノリアの問いにリンドウが答える。
「ドキドキしてるのが、箱から伝わってきたから」
その言葉にマグノリアが、首を傾げる。だが、メロンは思いつく。
「もしかして、私とマグノリア博士の感情をねがいの塊を通して感じてるの?」
キルクスタウンでも、メロン以外の人間の感情の機微に敏感だった。特に怒りや悲しみと言った感情は、視界に入っていなくても感じていたようだ。
「……ガラル粒子が、感情を伝えているというの?」
その後のマグノリア博士の実験で、どうやらあくまで怒りや悲しみ、期待等の大まかな感情のみを感じ取るだけで、その内容までは分からないようだ。
「成長して行くにつれて、この感覚にも慣れて行くでしょう。今でも日常生活が出来るのあれば、将来的には他の人と変わらない位に」
マグノリア博士はそう結論づけた。ただ、ガラル粒子を感じ取れる人間は初めてだったという。
「凄いわリンドウ!」
メロンは歓び、リンドウを抱き上げる。
「えっ!?」
リンドウが驚いていると、メロンはリンドウにゆっくりと優しく告げる。
「貴方はね、他の人の感情に気付いてあげられる優しい人なの。ううん、人だけじゃない、ポケモンの気持ちも、分かってあげられる。それは、他の人には難しい事なの、誇って良いことなのよ」
まるで自身の事のように喜ぶメロン。愛おしそうに抱きしめるメロンをくすぐったそうにしているリンドウは、初めて自分の事を認めて評価して貰ったのかも知れない。
「それじゃ、ワンリキー、あっちの壁を頼むぜ」
ワンリキーが少し不機嫌そうにすると、木の実を一つ渡す。そうすると、機嫌が直り仕事に取りかかる。
「驚いたなリンドウ君。君はポケモンの気持ちが分かるのかい?」
ポケジョブ先の電気会社の社長が目を丸くする。
「いいえ、気持ちなんて分かりませんよ。ただ、顔を見ていればなんとなく……人間相手でも一緒です」
他の人ではポケモンとコミュニケーションをとることだけでも一苦労だ。それが他人のポケモンであれば尚更難しい。だが、リンドウはポケモンの感情を感じ取る事で、他の人よりも少しだけ、ポケモンとコミュニケーションを取ることを得意としていた。
「良い仕事だ。また頼むよ」
初老の男性が、嬉しそうにリンドウの手を握る。それに、リンドウも少し恥ずかしそうに握り返す。
ネズが向き合ったリンドウに聞く。
「マリィの手助けを条件に、推薦状を準備しましょう。ただ、貴方の目的を聞いても良いですか?」
その言葉に、リンドウは迷う事なく答える。
「金の為です。俺のポケジョブ先は、全てメロンさんの知り合いです。これから先は、俺自身が取引先を探して行かないと……いずれ立ち居かなくなる」
その言葉に、嘘はない。ジムバッヂの数を確認する企業は少なくない。
「……なるほど」
ネズが納得した様な表情になる。
「全て集められるとは思っていません。ただ、三つバッヂを持っているのと、そうでないのでは、大きな違いがあるのは、知っていると思います。せめて三つ、可能なら四から五個手に入れたいですね」
リンドウの言葉に、ネズが少し考え込む。
「じゃあ、お金とマリィ、どちらが大切ですか?」
ネズの突然の質問に、驚くリンドウ。しばらく考え込んで、やっとのことで声を絞り出した。
「それは……今関係ありますか?」
答えにはなっていないが、ネズは満足したようだ。
「いえ、それで十分ですよ」
からかわれたのか、それとも冗談だったのか、その答えはリンドウには分からなかった。
読了ありがとうございました。
考えた時点で敗北してる質問(笑)
ジムバッヂ毎に増えていくポケジョブでこんな感じかなぁ、って