面白い頭の奴らが出てきます。
原作沿いです……多分
ソニアが駆けつけると、丁度ホップとマサルのバトルが終わったところだった。
「無敵のアニキに勝ったマサルには敵わないか」
ホップの溜息に、ソニアが口をはさむ。
「あんたたち、ちょっと騒がしいんだけど? なんてね」
どうやら二人とも気付いていなかったようで、ホップが驚く。
「ソニアじゃん」
驚くホップを横目にソニアがマサルに語りかける。
「マサル! チャンピオンおめでとう」
ソニアの言葉に、マサルはありがとうと返事を返す。
「勝者の余裕って感じ!」
最初にあった時よりも随分たくましくなったマサルに、ちょっかいをかける。
「こんなとこで何してんだ? 助手の仕事は?」
ちょっかいを掛けているソニアに対してホップが話かける。
「ホップ、実はね。私もう助手じゃ無いの……」
そこで一度区切り、一瞬の間を開けて続ける。
「はれて……博士になったのよ」
二人ともが驚く。
「お、おぉー!?」
驚いた二人に目を配り、そうして一度頷いてあらためてソニアが言葉を紡ぐ。
「あんたちには、ほんっと感謝してる」
屈託の無い笑顔で、ソニアは感謝を言葉にする。
「一緒に冒険したから、ガラルの歴史をもっと知りたいって思えたし。ポケモンの事も、もーっと好きになれたしね!」
ソニアは思い出したかのように、鞄から本を一冊取り出す。
「これ、私が書いた本! サイン付き! レアものよ!」
マサルに手渡すと、ホップが自分は必要ないと言う。
「オレはもう買ったぞ! 発売日並んだぜー!」
研究所ということもあって、まだこの年代は興味が無いと思っていたが、意外な言葉にソニアは喜ぶ。
「あら、ありがと。あとでサイン書いたげる」
その言葉に、ホップは素直に喜ぶ。
「お祖母様にも認められたし! 本も出版できたし! ソニア博士の活躍にこれからも期待しててね!」
少なくとも、自分の事を見てくれる人間がいることを再確認し、自分の中からやる気が溢れてくるのを感じるソニア。
「うん……ソニアも、マサルもすげーよな! 尊敬するぞ」
言葉に裏はないものの、どこか表情に陰りがあるホップ。
「……んで? あんたたちは一体此処でなにしてんの?」
ソニアの言葉に、返事に詰まるホップ。
「え? あ、いや……」
ホップが考えている間にソニアが話し出す。
「……あっ、わかった! くちたけんとくちたたて、返しに来たんでしょ?」
一瞬二人がぽかんという顔をする。
「あんた達、ずっと借りていたもんね!」
「あ……あー! そういえば、そうだった!」
ホップが少し焦ったような表情になる。
「忘れてたんかい! てっきりザシアンとザマゼンタ絡みかと!」
ソニアが呆れた表情をすると、ホップがマサルを見る。
「マサルが森に呼ばれた気がする、ってのももしかしたら、その所為かもな! 助けてくれたお礼言って、剣と盾返そうぜ!」
そういって、持っていた剣をホップが確かめる。
「そしたら、またザシアンとザマゼンタと会える気もするしさ」
ホップが笑顔のまま、お墓の前まで走る。それの後を追いかけるようにマサルが足を進めようとしたが、止まってソニアに話しかけた。
「ソニアさんは、どうしてこの森に?」
その言葉に、ソニアは頬を指先で掻く。
「森には、良い思い出ないけど。ちょっと調査に来たのよ」
リンドウの会話を思い出し、ムゲンダイナを捕まえたマサルを見つめる。まだ十代前半だというのに、背負う物の大きさは自分よりも遙かに大きい。
「ザマゼンタ達の大切な物、さっさと返しちゃいな……写真も撮りたいし」
剣と盾を返すと、ソニアのパワースポット探しマシーンが反応する。
「おーや! おやおーや? なにやら騒がっしーと思えば!」
剣と盾の髪型をした男性がソニア達に近づいてくる。
「おーや! おやおーや? もしや貴女『ガラルの歴史』を書いた……ソニア博士では!?」
その言葉にソニアが一瞬考え込む。もしかしたら知人かとも思ったが、どう考えても奇っ怪な二人に知り合いは思い当たらない。
「え、あ、どうもー……本、買って下さった方です?」
とりあえず知り合いではなさそうだが、自分の本を買って貰ったのであれば、あまり無碍な言葉も使えない。
「えぇ、えぇ! 隅から隅まで、くまなく読みましたとも!」
「えぇ、えぇ! インターネットでレビューも書きましたとも!」
食い気味に答える二人に気圧されるソニア、その後の言葉は二人共が揃っていた。
「嘘だらけの不愉快な本……ゆえに星一つッ!!」
二人の言葉に、とっさにソニアが反応してしまう。
「ちょっと何よ!? 嘘なんか書いてないし!」
「おい、失礼だぞ!」
目の前の男達に警戒するホップとマサル。それにたいし、二人はソッドとシルディと名乗った。
「我々こそガラルの純粋なる血族!」
「うぅーん、セレブリティ!」
二人の言葉にホップは戸惑う。
「純粋? 血族? 何言ってんだ?」
それと同時にソニアはリンドウのノートのことを思い出していた。あるいはこの二人が彼が言っていた王族の末裔なのかも知れない、と。
「貴方達、一体何なのよ……」
突拍子のない二人の言動に、確信の持てないソニアだったが、二人が朽ちた剣と盾を見つけると表情が変わった。
「おやっおーや! こちらにあるのは件の剣と盾では!?」
「おーや! なんと小汚い! まさに偽りの剣と盾! 素手で触るのが憚られます」
そう言いながら、剣と盾を手に取る二人。泥棒呼ばわりするホップに対し、誰の物か証明する術はないと相手にするつもりはないようだ。しつこくホップが食い下がると、二人は呆れた様子でポケモン勝負を提案する。
「そこまで言うならば勝負致しましょう」
「我々、売られた喧嘩は二倍の値段で買うセレブ!」
そう言って自信満々にボールを構える二人を見て、少し距離を取るソニア。
「なんなのよ、それ……」
二人の勝負を見守るために、バトルの範囲外まで離れる。
マサルは朽ちた盾を取り戻したが、ホップはソッドに敗北してしまった。集中力を欠いた状態で勝てるほど甘い相手ではなかったようだ。
「ところで弟よ! もしやそやつ……ムゲンダイナを鎮めた者では?」
「……! よく見れば! 我らの手柄を横取りした、例の子供ではないですか」
横取り、その言葉にソニアは引っかかった。口ぶりは異常だが、リンドウから聞いていた話と一致することに焦りを感じている。
「調査ではその者……ご先祖様が描かれた偉大なる壁画が壊された現場にも居合わせたとか!」
「なななんたる罰当たりな! 一族が誇るあの壁画を!?」
ソニアは壁画がラテラルシティの物だと気付く。
「壁画って、ザマゼンタ達の遺跡を隠していたあの……? っていうか壊したのマサルじゃないし」
二人組は小さな声で相談をし、颯爽と逃げ出した。
「あ! 待てよー! 朽ちた剣返せー!」
それを追いかけるホップ。三人の姿は直ぐに見えなくなってしまった。
「ちょっと! ホップ!! あー、もう! 無鉄砲に追いかけちゃって……」
ソニアの制止も間に合わなかった為、追うことは諦める。
「マサルは……流石に落ち着いてるね」
ホップに流されず、動かないマサル。
「ホップがあんな奴に負けるなんてね。勝負を焦ってたように見えたけど、その所為……? ライバルのマサルがチャンピオンになったり、目指す目標が無くなったりで、あいつも悩んでるのかも……」
ホップの環境に理解を示しつつ、マサルを見て冷静である事を確認するソニア。
「それはそうと! ソッドとシルディだっけ? さっきのあいつらの行方、ちょっと分かるかも、何だけど……」
そう言うと、ソニアはブラッシータウンの研究所までマサルを招待する。
「ホップが心配、かな」
一瞬足を止めたマサルの言葉に、ソニアが驚き、頷く。
「そりゃ、一番の友達だもんね」
マサルがホップの為にもあの二人を探さないといけないと言葉にする。
「うん、ありがと!」
マサルの意思を確認すると、先に研究所に向かうソニア。
マサルが研究所の入り口をあけると、清潔な衣服でボブカットの女性が迎えてくれる。
「あら……? ソニア博士、お客様です」
その言葉に反応したのか、二階から足音が響きソニアが現れる。
「いらっしゃい、マサル!」
ソニアの顔を見た後、女性に対して気になるように視線を移していたので、ソニアが答える。
「その人は、私の助手さん! 研究が忙しくなって手伝って貰ってるの。ローズ委員長が集めていた大量の願い星。今この研究所で預かっているんだけど……」
ソニアは自慢げに胸を反らす。
「彼女がテキパキ整理してくれてね。すっごく出来る人で本当に助かってるのよ」
自信満々なソニアの横で、助手と呼ばれた女性は控えめに首を振る。
「いえ、そんな……」
そうして、助手はマサルの方を向き挨拶をする。
「チャンピオンのマサルさんですよね。お会いできて嬉しいです、よろしくお願いしますね」
マサルと助手が握手を交わすと、ソニアが研究所の機械が置いてある方へと手招きをする。マサルが近くまで来ると、ソニアが説明を始める。
「パワースポット探しマシーンって、覚えてる? ダイマックスできる場所……つまりはガラル粒子が多いところに反応する装置なんだけど……」
機械を操作していると、画面に変化が現れる。
「ビンゴだわ! あいつらの近くに居た時、何故か反応してたの!」
ソニアの言葉にマサルが反応する。
「もしかして……居場所が分かるかも?」
マサルの言葉に頷くソニア。
「その通り! パワースポット探しマシーンの反応を追えば、シーソーコンビがいるかもってこと!」
ソニアが勝手につけたシルディとソッドのあだ名についてはマサルも助手も苦笑いしていた。それに対して、ソニアは不満なのか頬を膨らませていたが、装置を動かす手は緩めない。装置を起動させてまもなくして反応が現れる。
「わっ、予想以上の反応! 場所は……ターフスタジアム!?」
元々、スタジアム自体がガラル粒子の多い場所、つまりはダイマックスが出来る場所に建設されているが、それ以上の数値が出ている。事例としてはムゲンダイナが覚醒した時に近いが、マサルの手持ちからムゲンダイナが暴れている様子は無い。
「もしや、シーソーコンビと何か関係があったり……? マサル! この騒ぎ……チャンピオンとしては見過ごせないよね!」
マサルの端末でも装置の観測結果をみれるように調整しながら、ソニアが話す。
「ターフスタジアムの調査、よろしくね。こっちはこっちで、あいつらのこと調べてみるよ」
短時間で調整を終えると、すぐさま二階へと向かっていった。マサルは研究所を出る前に、助手に話しかける。
「大変ですね」
マサルに声を掛けられると温和そうな笑みで返事をする。
「いえ、ソニア博士のもとで働けて嬉しいですわ。あの若さで博士号を取られた凄い御方ですもの」
ソニアが褒められることに、マサルも嬉しくなったのか笑顔を返して研究所を後にする。
読了ありがとうございました。
一応、この助手さんとは過去にリンドウが接触してる設定です。
あっ、(ポケモンバトルを書く予定は)ないです