取り消せよ! 今の言葉!
と言うわけで、シーソーコンビとわちゃわちゃやってる間、リンドウは何してんの? って感じの話だと思います(適当)
ソニアが一人になるとロトムフォンを取り出し、電話を掛ける。
「リンドウ! 王族を名乗る奴らがまどろみの森にきたんだけど!」
ソニアの声が大きかったのか、電話から耳を離すリンドウ。
「お、おう、そうか。それで英雄のポケモンでも出てきたのか?」
見当違いの言葉に苛立つソニア。
「朽ちた剣を持って行っちゃったのよ! ザシアンの大切な物かも知れないのに!」
事情を話すソニア、リンドウは一つ一つ状況を確認していく。
「……それに、あいつら私の事を嘘つき呼ばわりしたの」
「そいつは……言いたい奴らには言わせておけばいいさ」
少し考え込んだリンドウは、ソニアに慰めの言葉を掛ける。
「悔しい……皆が協力してくれて、本を作ることが出来たのに、なんであいつらなんかに否定されないといけないの?」
研究書をつくるまでの過程で、ソニア一人では作り上げることは出来なかった。マサルやホップ達の協力、マグノリア博士を始めとした知識人の手助け、大小は様々だが研究職の人々以外も多くの人間が携わっている。
「落ち着けソニア。そう言う奴は居るんだ、その価値を知らずに貶す人間なんて掃いて捨てるほどいる……今はその事よりも優先しないといけないことがあるんじゃないか?」
涙目になっていたソニアが袖で目元を拭い、前をむき直す。
「うん、今は異常について調べる。何か気になることがあったら、リンドウも教えてね」
そう言うと、電話が切れる。
「……まぁ、流石にオレも手伝わないとな」
チャンピオン戦を終えて、満身創痍の体も少し癒えた頃、ダンデはローズタワーの改修に立ち会っていた。
「ダンデさん、少し良いですか?」
ヘルメットを被って現場に来てはいるものの、殆どの作業に口出しはしない。元々初期構想にダンデ個人の要望を出しただけで有り、周囲の人間が期待してるほど、抑止力として動くつもりはなかったのだ。
「ああ、どうせ眺めているだけなのも性分じゃ無くてね。はじめまして……ではなかったかな?」
そう言うと屈託の無い笑みを向ける。
「いえいえ、開会式とジムリーグの時にすれ違った位です。話すのはこれが初めてになりますよ」
そう言って手を差し出すと、ダンデは力強く握り返す。
「リンドウと言います。これからのガラルに貴方の力をお借りしたいのです」
ダンデはリンドウに連れられてマクロコスモスの一部屋に案内される。
「随分と豪華な部屋だけど、オレが入っても良いのかな?」
周りを見渡せば、応接用にテーブルとソファが設けられては居るが、数々の表彰やトロフィーなどが飾られ、一目で高価と分かる調度品の数に、上席の人間の執務室ではないかと推測される。
「本来であれば、ダンデさんは兎も角、オレなんかが入って良い場所じゃないんですけど、生憎持ち主が不在でして」
その言葉に、ダンデが成る程と頷く。二人が会話をしていると入り口から赤い髪の女性が入ってくる。
「ようこそダンデさん。ローズ委員長の社長室へ」
整った佇まいのオリーブがダンデを歓迎する。
オリーブが紅茶を人数分用意すると三人が席に着く。
「それで、態々オリーブさんが俺を呼んだって事は……ムゲンダイナの事で間違いないかな?」
ダンデが鋭い目でオリーブを見つめる。常人であれば気圧されそうなオーラがあるが、それに怯むようなオリーブでは無かった。
「勿論、ローズ委員長が留守の間、マクロコスモスの新事業について、私が任されていますので」
その言葉の最後に、非情に不愉快ではあるが、その新事業にリンドウも携わっていると付け加えられる。
「まぁ、オリーブさんが動きづらかったり、力仕事を任せられる位です。マクロコスモス直属だと何かと動きづらい事もあるんでね」
そう言って、紅茶を一口含むリンドウ。味に関して賞賛をしても、オリーブは表情一つ変えることは無い。
「マクロコスモス、新事業……そしてムゲンダイナ、か。ローズ委員長が言っていた千年後のガラルを守る為、ってやつかな。とはいえ、チャンピオン戦が終われば協力すると約束しましたので、異論はないですよ」
そう言うと、ダンデが内容を教えて欲しいと言葉にする。リンドウが出してきた紙の束に、ダンデが目を通す。
「『百年後に枯渇する化石エネルギーに対する代替エネルギーの構想、及びガラル地方への浸透・周知・利用計画』ですか。これはまた、俺の得意分野ではなさそうですが?」
その言葉にオリーブが直ぐさま否定する。
「ダンデさんには、この計画における広報をお願いしたいと考えております。ムゲンダイナの暴走において、一番最初に解決の為に行動を起こし、最後まで尽力された貴方以外に適任はいないかと」
まるで、返答を原稿に起こしていたのでは無いかと思えるほど、返事までに間がなかった。更に言えば抑揚もなかったのだが。
「なるほど、それならば俺の出番だな!」
ダンデが了承すると、リンドウがまず目先の目標を説明する。
「本計画の中心となるムゲンダイナの覚醒、これは既に完了しています。ガラル地方の各地におけるガラル粒子の活性化、それに伴うワットエネルギーの総量も増大しているので、あとはそれを利用する基盤を造り、広げていきましょうってことで」
そこで一度区切り、計画書の一文に指を指す。
「ワットエネルギーを発電施設の動力源とするための開発事業における協力企業の交渉、ダンデさんにはこれに一緒に来て貰います」
マクロコスモスの入り口に初老の男性が尋ねてくる。それを迎えるのはリンドウだった。
「お久しぶりです社長。お元気そうでなによりです」
社長と呼ばれた男はリンドウの姿を見ると驚き、近寄る。
「おお、こんな所で君に会うとはね。前に会ったのは、事務所の改修の時だったかな? いやぁ、あれ以来社員がよく事務所に戻ってくるようになってね、礼を言わなくてはと思っていたところだ」
見た目の年齢とは思えないほど力強くリンドウの肩を叩く。現場から離れているとはいえ、職人からの叩き上げで今の立ち位置にいるのだ、体は充分に頑健だ。
「あはは、ありがとうございます。今日は色々とややこしい話にはなると思いますが、いい話なんで、よろしくお願いしますよ」
そう言うと、応接間に案内する。既にダンデとオリーブが中に入っていて、二人握手と挨拶を交わすとソファに腰を下ろす。
「いやぁ、マクロコスモスさんから中小企業の私達に声を掛けて貰えるとは、ありがたい話です。それもなにやら、新事業と伺いましたが、内容をお聞きしても?」
オリーブが計画書の一部を社長に渡す。それを読み進めていくと、社長の顔色が変わる。
「これは……本当ですか?」
その言葉にダンデが力強く頷く。
「はい、今後化石エネルギーの枯渇が近づくにつれて、隣接する他国は勿論、民衆からも新エネルギーへの転換を求められるでしょう。準備を進めるのであれば、今しか無いと考えています」
ダンデのその言葉に、嘘偽りはないと受け取ったのだろう。額に流れる汗をハンカチで拭くと、言葉を発する。
「しかし、御社としてもこれまで広げてきた蒸気機関における発電事業を手放すというのは……俄に信じがたい話ですね」
同じ業界に身を置いている者であれば、大小の差はあれど、耳にする話題だろう。現に多大な利益を生み出しているマクロコスモスがそれに見切りをつけると言うことは、言葉にされたからと言って容易に実感できるものではない。
「いずれ転換が必要とは考えていますが、蒸気機関が全て無くなる訳ではありません。現事業が縮小するまで、三十年は先と見積もっていますので、そちらに置いても今後の協力は続けて頂きたいと考えております」
オリーブが今後の展開について意見を並べる。要するに当分の間は現状と変わりは無いと言うこと、それに並行して新事業を進めると言うことだ。
「貴方達にはこれまで以上に一緒に事業に向き合って貰いたい、そういう話です」
ダンデの言葉には、強い意志がある。だがしかし、一電気会社の社長には、その決断は重い。
「これから先、下手をすれば何十年先まで利益の出ない事をする。そう言う話ですか」
化石エネルギーが利用され続ける限り、民衆が変化を受け入れるまで、周囲から認められる事は無い。
「勿論、利益が発生するまでの間、こちらからの出資は約束します。詳しい内容につきましては、今後の協議において決定していきますが……まず最初に、御社の意思をお聞き願えますか?」
いずれ変革は起こる時は来る、しかし、見誤れば抱えるリスクはとても大きい。
「……私一人で決められません。改めてお返事させて頂いても良いでしょうか?」
三人も、この場で返事が貰えるとは考えていない。丁重にもてなし、出て行く姿を見送る。
後日、返事を決める日がやってきた。初老の社長と若いもう一人の社員が同じように応接室に通される。
「紹介させて貰います、息子になります。まだ若いですが、いずれは会社を引っ張っていく人間にしていくつもりです」
二人が同時に頭を下げる。それに対し、オリーブが疑問をぶつける。
「それは分かりましたが、何故今同席を?」
その言葉に社長が答える。
「頂いている新事業の件、こいつを中心に進めさせて頂きたいと考えています。私も勿論サポートさせて頂きますが、若い人間が中心になるべき事業かと思いまして」
その言葉にオリーブは少し表情を濁らせる。しかし、ダンデは快活に返答する。
「いやぁ、その申し出は有り難いですね! 何せ全く新しいことに挑戦するのです。若い人材が必要だ。その中心が若い世代なのは、こちらとしても理想的です」
そう言って、社長の言葉を肯定する。
「それでは、新事業について幾つか質問させて頂いても良いですか?」
若い社員が言葉を紡ぐ。
「勿論、構いませんよ。答えられる範囲であれば、なんなりと」
オリーブのその言葉に、場が緊張する。幾つか、計画書の内容の確認が行われた後、若い社員が口に出す。
「ありがとうございます。新事業の開発、こちらも最大限努力させて貰います……ただ、この事業に当たっての収益について、確認させて下さい」
ダンデが頷き、オリーブも静かにその言葉の先を待つ。
「この事業の収益の一割を、弊社の取り分とする。これを新事業の協力の条件とさせて頂けないでしょうか」
その言葉にオリーブが僅かに体を震わせる。収益の一割は、今回に関してはかなり大きい額になる。決断はそう簡単では無いことだが、意外にもダンデは即決した。
「分かりました。収益の一割をお約束します」
その言葉に若い社員の表情は明るくなり、再びダンデと握手を交わす。
再び三人だけにあった社長室で、オリーブが大きな溜息をつく。
「全く、勝手にあんなことを約束してしまうなんて……幾らダンデさんでも、勝手が過ぎるのでは無いのですか?」
その言葉に、リンドウが首を横に振る。
「いや、あそこはあの方が良かったよ。多分、交渉も含めてあの金額だったはず。大体八~五%までは下げれたんじゃないかな」
その言葉に、オリーブは溜息をつく。
「ならば、五%で良かったのでは? 下手に交渉の余地を与えるよりも、こちらの指定で進める方が良いですのに」
ダンデが朗らかな笑みで答える。
「こちら主導で尚且つ、技術独占が出来ているのであれば問題ないだろうな。だけど、今回は全面的な協力が必要な計画だ。下手にごねられる理由を作るよりは、期待を膨らませておいた方が良い」
これから先に、無理難題が控えているのは目に見えているから、と付け加える。現状、インフラの整備はゼロに近い。原動力については確保しているものの、電気を変換する施設も出来ていないし、既存の通電インフラが使えるかどうかの試験もまだなのだから。
「……今後の為と言うことであれば、仕方ありませんか」
そう言うと、リンドウが入れたコーヒーを口に含む。
「オリーブさんは中々やらない、先の見えない計画だからね。まぁ、肩肘張らずにやっていこう」
苦みが強く、お世辞にも淹れるの上手いとはいえなかったが、精神的な疲労に温かい飲み物はリラックスするのに充分な効果があるようだ。
「さぁ、これからもよろしく頼むよ」
次の交渉の為の書類の準備と、変電設備の開発についての資料に目を通す。
読了ありがとうございました。
ここいる?
書きながらずっと考えていましたが、設定としては必要だけど、読んでて面白くないだろうしなぁ、と。
えっ、他と大差ないって? ハハッ、ワロス
ポケモンの絡みがいつもよりも少ないので、読み飛ばして貰っても大丈夫です。