Black "k"night   作:3148

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オリジナルストーリーです、騒ぎの原因は一体誰なんでしょうかねぇ?(適当

ミュウツーのレイドバトルは皆さんどうでしたか?(白目


第二十五話 ブラックナイト 黒い騎士

 余りの凄惨さに、一同は言葉を失う。

「やはり、中心近づくのは難しいのですね」

モニターのダンデが頷く。

「俺一人では、リザードンのみでの接触になりますね。離れた距離でもリザードンが反応しているところを見ると、静かに近づけるのは人間だけ、これ以上近づけば、強制的にキョダイマックスの姿になると見て、間違いなさそうです」

いかに元チャンピオンとはいえ、単身では勝算は低い。尚且つ、暴れているのはあくまで一般のポケモン、そして更に同士討ちなどお構いなしに技を放っているような状況だ。下手に手を出せば、再起不能にしてしまう可能性も考えられる。

「……一度戻ります、作戦を練ってからの行動の方が、良さそうです。それと、変電施設から逃げ出した職員から確認した情報です」

悪い方の予感ばかり当たる、とマグノリアが頭を抑える。

「ガラル粒子の巣窟になっているのは、現在その場に居合わせた青年、リンドウで間違いありません」

ソニアは視界がぐらつくのを感じる。

「ソニア、しっかりして!」

ルリナが支えに入り、なんとか立っていられるような状態だ。

「どう……して?」

普通の人間であれば、ガラル粒子が影響することはない。だが、例外はあった。

「リンドウはポケモンと同様に、ガラル粒子からエネルギーを得られる特異体質をもつ人間よ」

 

 脳内に怨嗟の声が響き渡る。壊せ、不幸になれ、許さない、恨み、辛み、憎しみが蠢いている。

「ああ、分かってるよ。俺は死ななきゃいけない」

むしろ、その声が自分に向けられていることに、リンドウは納得していた。

「……全部、台無しだけど。おかげで人間として死ねるんだな」

最早肉体を制御することも出来ない。ただ薄ぼんやりとした意識の中で、ただただ怨嗟の声に身を任せるしか無かった。

 

 各地の守りを固める必要も有り、スパイクタウン以外のジムリーダーは自分の街を守る事となった。

「どうして、ダンデがいるのに、俺様が外れるんだ……!?」

異常に悔しがるジムリーダーがいたが、背に腹は変えられない。マクワとメロンは別れて街の警護に当たるため、ラテラルタウンの二人とスパイクタウンのネズとマリィ、チャンピオンのマサルと元チャンピオンのダンデ、それと現地近くまで同行するソニアの七人での行動となる。

「おお、かなり豪華なメンバーだぞ!」

ホップが出発前に少し期待をしていたが、ネズが注意を促す。

「……恐らく近づいてしまえば、普段のポケモンバトルとは全く別物になります。キョダイマックス出来るポケモン以外の制御は不可能と考えた方が良いでしょう。くれぐれも無理はしないようにお願いします」

その言葉にマリィが首を傾げる。

「アニキは、キョダイマックスポケモン持ってなかったと思うけど、どうする?」

半分心配の目をメンバーに向けられるが、ネズは心配無用と言い切る。

「キョダイマックス出来なくても、サポートくらいは出来ますよ」

 

 ラテラルタウンの端、変電施設に向かう道の途中。明らかに異常気象が発生している場所が先に見えた。

「まるでワイルドエリアですね」

サイトウが淡々と言葉にする。同行していたソニアが、機器を設置して各員に伝える。

「私は此処で皆さんのサポートをします。互いの通信は出来るように調整はしますが、中に入ってしまえば、絶対ではありませんのでご注意を……それと今回の目的はあくまで騒動を止める事だと言うことを忘れないで下さい」

共に行動することさえ、足手まといにしかならない自分に拳を握りしめるソニア。ダンデは柔らかな笑みを浮かべて大丈夫だと答える。

「行って……きます」

オニオンが言葉にすると、全員が動きだす。

 

 近づくと、全く違うタイプのポケモンが傷つけあい、闘っている。闘う理由などないはずなのに、ただただ、自分のものでない感情に揺さぶられ、爪を立てるしか方法が分からないのだ。

「やれやれ、こうなってしまうと、ダイマックスも考え物ですね」

そういうと、ネズがハイパーボールとダークボールを放り投げる。

「……アニキ、それってまさか」

出てきたのは、バンギラスとナットレイだった。ダイマックスをすると他のポケモンを蹴散らしていく。制御は出来ない、というかネズ自身もするつもりはなさそうだが。

「さぁ、これで道が開けました。簡単に負けるとは思いませんが、いつまで持つか分かりません。先を急ぎましょう」

全員が変電所の入り口に急ぐ。

 

 変電所の入り口、所員が慌ててで逃げ出したからか、扉は開きっぱなしである。

「それじゃ、予定通り此処で二手に分かれますか」

中に入る面子と、外で入り口を守る人間を分ける。突入するのは、マサル、ホップ、サイトウ、オニオンの四人、入り口で守るのはダンデとマリィとネズだ。

「すみませんが、サイトウさんとオニオンさんは、ダイマックスポケモンだけ残しての侵入でお願いします」

変電所内でのダイマックスは恐らく不可能であるとの予測から入り口を守る為の策である。ポケモンだけを残して、指揮はネズがとることになる。急造のペアになるが、共に歴戦であるが故に、時間稼ぎ位はなんともないだろう。

「ゲンガー……よろしく、ね」

「カイリキー、キョダイマックス」

それと同時にマリィもオーロンゲをキョダイマックス化させる。周囲のポケモンがそれに気付いて、近づいてくるが、トレーニングをしていない有象無象の上に、この現象のおかげで半ば意識朦朧としているのだ。相手にすらならない。

「ここはダンデさんとアニキとうちに任せて!」

 

変電所の中に入っていくと、電気は生きているので暗くはない。事前に入手した地図通りに進めば、最奥にリンドウが居るはずだ。

「そこまで複雑な造りでは無いし、道中にポケモンが出るわけでもないし……つきましたね」

オニオンが躊躇うこと無く、変電所の中核であるガラル粒子を集める機械がある部屋の扉を開く。中は、だだっ広い空間が広がっており、機械の類の殆どが停止している。周囲はガラル粒子が漏れない様にしているのか、分厚い壁で覆われている。

「……あれ、が……リンドウ、さんですね」

オニオンが戸惑いながら、部屋の中心にぽつんと落ちる影を見つめる。光を吸収するそれは、一見すると立体感が無く、薄っぺらい虚像に見える。だが、そこには鎧を纏ったような人の姿がある。

「頼んだぞ、ザシアン!」

「行けっ、ザマゼンタ!」

ホップとマサルが同時にボールを投げると、二体のポケモンが現れる。ガラル粒子の濃さに一瞬不愉快な顔をするが、他のポケモンのように強制的にダイマックスする事も無い。

「ウウゥゥゥォオオオォォオオォオ」

獣とも人とも思えない雄叫びを上げる影は、その二体のポケモンを敵と認めた様だ。拳を振り下ろすその先に、ザマゼンタが割って入り、その盾で受け止める。

「オオォォォン」

はじき返すものの、体力は削られているようだ。何度も攻撃を受けると、幾らザマゼンタといえど力尽きてしまうだろう。

「巨獣斬だ!」

ザシアンが咥えている剣を振り抜いて、影を切る。だがしかし、ザシアンが違和感を覚えているようだ。

「……本体に、当たっていませんね」

サイトウが違和感の正体に気付く。どうやら、幾層にも重なるガラル粒子が、直接攻撃する前に壁になってしまうようだ。

「ザシアン! 大丈夫か!?」

高らかに吠えるザシアン。ザマゼンタと協力して、黒い鎧の影と闘い始める。

 

 闘いが始まって、どれ位が経っただろうか、ザシアンとザマゼンタの息が上がり始めている。それに比べて黒い影は、疲労もなく、動きが鈍くなることも無い。

「どうやら、エネルギーを蓄え続けているみたいですね」

蓄えているエネルギーが残っていると言うよりは、常に補充されているという感じだ。ザシアンとザマゼンタも戦闘は続けられるが、このままではどちらが先に力尽きるかの体力勝負になる。

「一度、引くしか無い」

マサルが冷静に戦況を見極める。勝つための手段が集めたエネルギーを吐き出させる事である以上、エネルギーが集まり続けている現状は良くない。だが、ホップは戸惑う。

「でも、どうするんだ!?」

考える時間を奪おうとするかのように、黒い影が突っ込んでくる。

「なっ!?」

サイトウがザシアンと黒い影の間に体を滑り込ませ、黒い影の腕を掴み、壁へと投げつける。

「やはり、攻撃の大部分をダイマックスエネルギーに頼っているみたいですね」

ダイマックスしたポケモンの攻撃はガラル粒子のエネルギーを用いている。基本的にガラル粒子の影響を受けない人体に関しては、かなり影響が少なくなる。対して、吸収する機能を持つポケモンには、ダメージ効率がかなり高いのだ。

「ググウウウウオオオオオオ」

壁に叩き付けられ、立ち上がってサイトウに走り出すと、ぶつかる直前で黒い影が止まる。よく見るとオニオンから伸びる影が、黒い影を捕まえている。

「……ポケモンと、同じ……影響も、受けやすい、ね」

解除と同時にサイトウのハイキックが命中し、仰け反る。ただし、サイトウの攻撃も明確なダメージは見られない。

「無理はしないで」

そう言うと、ホップに合図を送るマサル。

「……直ぐ、戻るぞ!」

ボールにザシアンとザマゼンタを戻すと、入り口に戻る二人。部屋にはオニオンとサイトウ、それと黒い影のみが残る。

「さて、相手は伝説のブラックナイトですか。相手にとって不足無しですね」

両手を前に構え、正面からの攻撃に最速で対応出来る体勢をつくるサイトウ。

「恨み、辛み、憎しみ……怨念なら、僕達の領分だから、ね」

まるで暗闇に溶け込んでいくように、その輪郭を曖昧にしていくオニオン。

「オオォオオォォオオオオ」

鎬を削る闘いが始まる。

 




読了ありがとうございました。

ブラックナイト(夜)と黒い騎士、どちらもあったということですね。

ダイマックスが実用化していくに当たって、過去の伝承「ダイマックスは危険」が失われた設定です。

ザシアン、ザマゼンダは犠牲になったのだ……長きに渡るガラルの歴史、その犠牲にな
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