Black "k"night   作:3148

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お待たせしました、チャンピオンタイムです!(お待たせしてないかも知れない)

オリジナルストーリーです、設定は多分ガバガバのガバですが、それでも良ければオナシャス!


第二十六話 チャンピオンタイム

 ホップが通信を取って、ソニアに現状を説明する。

「とにかく、ザシアンもザマゼンタの攻撃も通用しないんだ! 何か方法はないか!?」

二人を残して一度引いている為か、焦りを隠せないホップ。マサルは二匹のポケモンに傷薬や回復薬を与えて、再突撃の準備を整えている。

「方法は……あるの」

ソニアの言葉に、ホップはその答えを急ぐ。

「ムゲンダイナのダイマックス砲。あの威力なら、バリアごと打ち抜けるかも知れない。貫通さえしてしまえば、ダメージは与えられるはずだから」

苦虫を噛み締めるような顔をしているのは、それがどういうことか理解しているからだろう。

「それは駄目だ。リンドウさんも助ける為にきたんだから」

彼の命を顧みない方法など、最初から考えていない、そうマサルは言い放つ。

「その通りだぞ! 皆助ける方法を探そう!」

 

 黒い影の腕をかいくぐり、肘打ちを胴体にたたき込み、足を滑らせ首筋に手刀、振り返る動作に足を絡めて、バランスを崩させ肩からのタックルで吹き飛ばす。

「……流石、だね」

オニオンが驚いていると、サイトウが返事をする。

「所詮は人間の限界まで力を引き上げているだけですから、力比べでは勝てませんが、対処法はいくらでもあります」

ただ、一つ一つの攻撃を受け流す度に、神経をすり減らし、体力を摩耗していく。オニオンも所々で影を縛り、サポートしていく。

「……くっ」

圧倒的な力を持つ、ブラックナイトを押さえつけることは容易ではない。

「はぁっ!」

切れ味の鋭い跳び蹴りが炸裂する。だがしかし、ブラックナイトにダメージは見られない。

「っ、しまった!?」

踏み込みすぎた、そう気付いた時には足首を掴まれていた。

「サイトウ!?」

オニオンの補助が合ったおかげで、ギリギリ受け身を取ることは出来た。だが掴まれた足首と、叩き付けられた時に腕を負傷している。

「……まだ、まだぁ」

動きが一段と悪くなるが、それでもなお立ち向かう。オニオンも先のことは考えず、全力でブラックナイトへと立ち向かっている。

 

 ザシアンとザマゼンタの体力はほとんど回復出来た。だがしかし、ホップとマサルは未だ解決策を見いだせずにいた。

「中ではオニオンとサイトウが頑張ってるのに、急がないとだぞ!」

気が逸っているホップに、端末へ連絡が来る。

「……キバナさん?」

意外そうに端末をとると、快活に喋るキバナの姿が映し出された。

「派手に待たせたな! 今回はインスタどころの騒ぎじゃ無いから時間取っちまったぜ!」

そう話すキバナに、心当たりがない二人。

「おっと、二人には伝わってなかったのか。それじゃ、驚いて良いぜ! なんと、テレビ局に直で交渉済みだ、生放送でガラル全土に繋がって居るぞ!」

キバナの言葉に、二人は目を合わせる。驚きに言葉も出ない様だ。

 

 外にいるダンデがキバナの通信を耳にすると、にやりと笑う。

「なんとか、間に合ったか? マサル達だけに任せる訳にはいかないからな」

帽子をかぶり直し、ロトムフォンを調節し、生放送へと繋げる。

「さぁ―――チャンピオンタイムだ」

 

 ロトムフォンを経由して、ダンデの姿が映る。キョダイマックスしたリザードンが、野生のダイマックスポケモンをなぎ倒す姿も映る。

「……ガラルの皆、この声が届いているだろうか」

戦闘中なので、ロトムフォンに顔を向ける事は無い。

「今、ガラル全土が不安に満ちあふれている。野生のポケモンも、昨日まで共に過ごしていた友人も、同様に暴れ出すかも知れない恐怖が、皆を縛り付けているのかも知れない」

ダイマックスポケモン同士が技を放つ衝撃が、ダンデを襲う。砂煙が舞い上がり、その姿は生傷が多く、頬に赤い線が走っている。

「俺は、チャンピオンだった時、ガラルに住む人々に強くなって欲しいと言い続けてきた。勿論、俺が強いトレーナーと競い合いたかったのは否定しない。だが、一番大切な事は……恐怖や不安に満ちている時なんだ」

キョダイマックスリザードンが、片膝をつく。幾ら強いポケモンでも連戦が続けば体力は削られていく。それでも尚、闘う意思は僅かも薄れない。

「立ち向かう力が無くても、友を信じる心を持っていて欲しい。恐れる心に負けずに、友に過ごした家族が帰ってくることを、信じて欲しい!」

これまで、何度ダンデはこのポーズを取っただろうか。今はチャンピオンの座を退いた。だが、その背中にその時と違いは見られない。ガラル全土が、それを目指して、その姿は間違いでは無いと信じた。そして、彼自身もその信頼を置いた生涯の相棒の名を冠するポーズを決める。

「力ならある! 俺達が! ジムリーダー達が、皆を守る! 信じて欲しい! 祈って欲しい! 諦めずに、俯かずに、前を向いて……俺達と共に立ち向かってくれ!」

マリィのキョダイオーロンゲが、オニオンのキョダイゲンガーとサイトウのキョダイカイリキーが、傷つきながらそれでも尚、戦い続ける。

 

 テレビを見ていた少女が、瞳の端に溜めていた涙を袖で拭い、母親に向き合う。

「ねぇ! 私のイーブイ、帰ってくる!?」

それまで、ダイマックスをして暴れるポケモンに怯えて、震えているだけの少女が、立ち上がった。母親は少女を抱きしめ、囁く。

「ええ、必ず。信じましょう、家族を」

怯えていないわけでは無い、恐怖が無いわけではないが、それ以上に信じていたいのだ。共に過ごした時間に、意味はあったのだと。

 

 マリィが、時間差で訪れた異変に気付く。

「野生のダイマックスポケモンが、襲ってこない?」

先ほどまで、何かを恐れているかのように暴力を振るっていたポケモン達が、落ち着いている。

「……先ほどの演説の効果でしょうか。一時的なものでしょうが、このチャンスを無駄にしたくはありませんね」

ネズが片腕をおさえながら喋る。ポケモンバトルの余波を受ける場所で指示を出し続けていれば、無傷では居られない。それはマリィも同じだ。

「中の様子は……ソニアさん!」

マリィが端末を取り出し、ソニアと連絡を取ろうとする。

「マリィちゃん? そっちの様子はどう?」

ソニアが慌ただしくしている様子が声だけで分かる。現状を簡単に説明すると、ソニアがダンデを褒める。

「さっすがチャンピオン! って、元だけどね。こっちは準備出来たよ!」

バイクに乗って颯爽と変電所まで現れて、荒々しくマリィ達の近くに停める。

「ソニア! 今なら、あの馬鹿にも聞こえるだろ!」

ダンデが意地悪そうに笑みをソニアに向ける。ソニアが腕を高らかに持ち上げると腕に巻いたダイマックスバンドにガラル粒子を取り込む。ダイマックスエネルギーに変換されたそれを手に持つモンスターボールに注ぎ込み、擬似的にキョダイ化させたボールを放り投げる。

「いっけー! イエッサン!」

ダイマックス化して現れたのは、リンドウと旅を共にしていたポケモンだ。イエッサンが全力のダイサイコを発動させて、辺り一面に紫の光があふれ出す。

「これは、サイコフィールド?」

マリィが見覚えのある技に首を傾げる。そうして、違和感に気付く。

「ああ、イエッサンの特性……でしたね」

イエッサンの特性は、周囲の生き物の感情を読み取り、或いは共有することによって共生するポケモンだ。それをサイコフィールドによって範囲を無理矢理広げる。

「リンドウー! 戻って、こーい!」

変電所の中心もすっぽりと包み込むほどに。

 

 ダイマックスポケモンが落ち着いた時、ブラックナイトの動きも止まる。

「……どうやら、ダンデさんは上手くやったみたいですね」

握られ、赤く腫れたた腕を庇う様に立つサイトウ。肩で息をしているのはオニオンも同様だ。ブラックナイトが急に動き出し、口元の黒い鎧を引き剥がす。

「……オニオン、サイトウ、逃げろ」

どうやらリンドウの自我が戻ったようだ。

「分からない、が、今は……怨嗟の声が治まっている……今のうちなら」

サイトウが大きく溜息をつく。

「答えはノーです。私達は、貴方を助けるために来ましたので」

その言葉にオニオンが頷く。

「らしく……ない、よ? 諦めが悪いのは……リンドウ兄ちゃ、んの方……じゃない?」

仮面の下で、微笑んでいる、のかもしれない。そう感じるほど、普段では感じられないほど柔らかい声色だった。

「……だが、これは一時のもの……だろう?」

ブラックナイトが躊躇っていると、変電所内にも変化が訪れた。

「なん……だ?」

オニオンがリンドウに言い放つ。

「サイコ……フィールド。年貢の、納め時?」

紫の光が、変電所内をも包み込んでいく。

 




読了ありがとうございました。

リザードンのポーズ、最初はダサいと思ってました(正直

んまぁ、でも……(チャンピオンが続けてれば)多少はね?

人の心を動かせるんじゃ、ないですかね?(適当
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