Black "k"night   作:3148

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オリジナルストーリーです。

ブラックナイトの結末とは?

変電所で黒塗りの騎士となってしまったリンドウに持ちかけられた示談の内容とは一体……!?(違います


第二十七話 Black knight

 「これは、イエッサンのサイコフィールドか?」

周囲のポケモンや人々の思いが、感情が、伝わってくる。その心は決して、不安や恐怖ではなく、慈しみや愛情のようなものに感じる。リンドウが唐突に現れたサイコフィールドに戸惑っていると、目の前に居ない人間から声が響いてきた。

「リンドウー! 戻って、こーい!」

どこか気の抜けた声は、聞き間違えようのない、ソニアの声だ。

「……ははっ」

ずっと張っていた緊張の糸が、緩んだ。リンドウを支配していた、恐怖や不安といった感情は、最早彼を縛る鎖にはならなかった。

「……どう? その力、制御……出来る?」

オニオンの言葉で、リンドウは理解した。これがダイマックスを制御すると言うことなのだ。

「ガラルのこと、未来のこと、君一人で抱え込まなくても大丈夫だ! 俺もいる、皆いる……一人じゃ無いさ!」

ダンデの声は力強く、優しい。

「負けたり、失敗して、悔しい気持ち……凄い分かるぞ! でも、立ち直れるのはやっぱり、友達が助けてくれるからだ。だから、頑張れ!」

ホップの声が、寄り添う様に力をくれる。

「誰もが強さを持っています。貴方も、強さを持っている。立ち上がる力も、歩き出せる強さも」

サイトウが励ましの言葉をくれる。

「……折角ですし、普段言えない言葉でも言えば良いんじゃ無いですかね? この場は何言っても良さそうですよ?」

ネズが、意味ありげなことを言ってくる。それには、負の感情はないが……意地が悪い気がする。だが、それでも、リンドウは自身の頬を叩き、言葉を紡ぐ。

「マリィ! 俺は、始めてスパイクタウンに来た時から、ずっとお前のことが好きだ! 始めて、大切にしたいって思う人だったんだ! だから、まだ愛していたいんだー」

 

 変電所の外で顔を真っ赤にするマリィ。

「おやおやおや、ノッてくるとは思いませんでしたが……悪くないソウルです」

普段であれば、マリィに寄ってくる人間を警戒するのだが、雰囲気が彼を変えているのか、それともリンドウの言葉だからか。

「なななな、なにいっとーと!? そげんこといっちょう場合!?」

ソニアが少し不機嫌な様子で、答える。

「まぁ、ちょっとアレで、タイミングが微妙な気がするけどねー……でも、返事は出来そう?」

ニシシと悪戯っぽい笑みに、マリィは困惑しながらも、息を吸い込む。

「うちも、リンドウの事、いい人やとおもっとーと! やけん、兄貴とは違うけど、もう一人のお兄ちゃん……そんな感じやけん! 嬉しいけど、ごめん!」

マリィの本心が、響き渡る。

「それに、うちはマサルのことが好き! いつからか、自分でもわかっとらんけど、ばりすいとーと!」

マリィの言葉が、響き渡る。

「「「「「「  知  っ  て  た 」」」」」」

六人の声が、同時に響き渡った。

「っっ、しぇからしかーーーーー!」

 

 ブラックナイトの力を制御出来るようになったからか、意識がはっきりとしている。そして、次に何が起こるかも、分かっている。

「来いよ、二人の王と二匹の英雄!」

入り口の扉が開かれて、ザシアンとザマゼンタが現れる。ブラックナイトが手に槍状に黒い影を固めて、投擲する。

「ウォォン!」

マゼンタが前に立ち、自慢の防御力ではじき飛ばす。その影から得意のスピードでザシアンが剣を振るう。ブラックナイトも同様に黒い影を剣の形に固めて、交錯する。ブラックナイトの剣は砕けるが、ザシアンにもダメージが入っているようだ。

「まだまだぁ!」

ホップが投球モーションで短剣を投げる。それは、リンドウとダンデとキバナとカブで作り上げた、伝説の剣の模倣品だ。

「ちぃ!」

胸部に当たったそれを、リンドウは振り払う。鎧の一部が弾け、黒い影の面積が減っている。振り払うので精一杯だったリンドウは体勢を崩して、最早ガードをすることもままならない。

「俺達の、勝ちだ!」

盾を構えて、直進するマサル。直撃するタックルに、鎧が粉々に砕け散っていく。

「くそっ、冗談じゃねぇよ」

二人の王と二匹の英雄、それと相対するにはリンドウは役者不足だと呟く。色々な事が嫌になって、それでもなんとか守りたい者の為に、犠牲になる覚悟もしたというのに、それすらも否定される。

「まぁ、それでも」

幸せな結末かも知れない、そこまでは言葉にしなかったけれど。

 

 病院の庭でオニオンが子供達に囲まれている。車いすに座っているオニオンは、ジムリーダーに憧れる子供達のリーグカードにサインを書いているようだ。

「……頑張って、ね?」

最後の子供に手渡すと、子供達はよろこんで走り去って行った。

「オニオンもそんなことするんだなぁ」

リンドウは珍しいものを見たと言いたげな様子だ。それでも、抵抗なくオニオンの車いすを推して病室に連れて行く。

「悪いな、足怪我させちまった」

そういうと、オニオンは首を横に振る。

「リンドウ、お兄ちゃんの……せいじゃない」

その言葉に、嘘はなさそうだ。

「それに……お見舞いに来てくれるから、それで……いい、かも?」

リンドウとしても、然程落ち込んでいるように見えないので、少しは気が楽になっているのかも知れない。

「しっかし、サイトウはもっと酷い怪我をしてたはずなんだけどなぁ」

医者に止められながらも、腕の怪我くらいで鍛錬を止めるわけにはいかない、と無理矢理退院していったらしい。

「……サイトウ……らしい、ね」

オニオンは楽しそうに語る。病室まで戻ると、リンドウの端末がなる。

「っと、ソニアか?」

端末から、ソニアの元気な声が響いた。

「リンドウ! ワイルドエリアにブラックナイトの時代の発掘品が見つかったの! 研究するから、手伝って!」

リンドウは、いつものことになりつつある現状に懸念を抱きながらも準備を始める。

「……いってらっしゃい」

「悪い、またお土産持ってくるよ」

そういうと、心当たりのある知り合いに、手伝いが出来るポケモンが借りれるか電話を掛けていく。同時にアーマーガアタクシーを手配して、ソニアのもとへと文字通り飛びだって行く。

「さて、一仕事しますか」

 




読了ありがとうございました。

ブラックナイト、最終回です!

お疲れ様でした&ここまで読んで下さり誠にありがとうございました!

マリィのしぇからしか、これが書きたくてここまで来ました……長かった(笑)

続きの予定は、DLCの内容次第です!

細々とした話は無くはないですが、リンドウ君のパーティのその後とか、サイトウとの格闘王への道とか、ポケモンごっこ達のチャンピオンごっことか、色々あります……とはいえ、一区切りですので一度完結と言うことに(笑)

DLCでモチベーションが復活したら書きます、多分、恐らく、きっと……めいびぃ

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