Black "k"night   作:3148

39 / 47
バトルタワーでマリィと「」ウリがなんたらかんたらする話です。

マリィちゃんの闇堕ち見たい……見たくない?


ムゲン団編 第十話

 シュートシティ駅を降りて歩いているマリィが、大型テレビに映るユウリの姿が目に映る。

「……なんで、ダサT着とっと?」

マリィがそう呟くと、なおさら何故ユウリにマサルが敗北したのかが分からなくなる。実際に彼女がポケモンバトルをしているところを見たわけではないので、単純に実力が分からないと言うこともある。逆に言えば、研究されるマサルの方が不利という見方もあるのだが。

「それで負けるほど、チャンピオンは弱くないけん」

それでもなお、勝利するからこそチャンピオンだったはずだ。疑問を抱きながらも、自分の実力を試すためにバトルタワーまで訪れる。

 

 「あ、マリィさんですね。バトルタワーに参加されますか?」

受付に必要事項を書き込み、順番を待つ。かなりの数の挑戦者がいるのか、どのトレーナーと闘うことになるかは分からない。だが、タイミングが良ければダンデや他のジムリーダー、或いはまだ見ぬ強敵と闘えるチャンスでもある。

「きっちり鍛えんと、ね」

 

 バトルタワーは勝ち抜き形式でバトルが行われる。道具の使用は禁止、手持ちは三体まで、と公式バトルとは若干ルールが異なる。手持ちの数が統一されるので、育てるポケモンの質がより要求される。

「……負けた」

勿論、勝ち抜き戦なのでいつかは負ける。三体までしか準備出来ないので、がっつり相性の悪い相手だとフォロー出来ないままに敗北する可能性は考えていた。だがしかし、

「質が違いすぎる」

八戦目で敗北したマリィは、一階のロビーでおいしい水を飲みながら、負けた原因を振り返っていた。使ったポケモンは自分の最も強いポケモン達だったが、敗北した相手はトゲキッス、ドリュウズ、ギャラドスだった。

「育てやすさとか、そんなん全然考えてない組み合わせやったなぁ、ちょっとマサルと近いかも」

マサルや元チャンピオンのダンデも、異色のトレーナーだ。複数のタイプを同時に育てるというだけで、才能の一つと呼ばれているくらいなのだ。必要な環境が違うポケモンを育てることに安易な解決方法はなく、様々な知識と、ポケモンを従えるカリスマが必要だ。

「マリィちゃん?」

考え事をしていて俯いていたマリィに声を掛けたのは「」ウリだった。

「ん、ユウリさん? もしかして、バトルタワーに参加してたの?」

テレビに出たりと、中々忙しそうなユウリがバトルタワーに来てること自体が不思議だったのだろう。まぁ、バトルタワーは決して暇人が集う場所でもないが。

「ううん、バトルの方は参加してないよ。色々と用があってね……それより、悩んでるみたいだったけど、どうしたの?」

お姉さんが悩みを聞いてあげる、と胸をはる「」ウリだったが、自分と年齢に違いがないどころか、もしかすると年下かも知れない相手に話すのは、少し気が引けて遠慮する。

「いや、別に……」

口ごもるマリィに「」ウリは言葉をかける。

「もっと勝てると思ってた?」

ぞくり、と背筋に氷を入れられたかの様な悪寒を感じるマリィ。

「対戦結果はね、調べたら見れるんだよ。一応、閲覧禁止とかは出来るみたいだけど、殆どの人が公開してるし、隠す意味もあんまりないしね」

趣味の悪い覗きはしていない、と「」ウリが話す。だが、マリィは警戒している。

「仮にもジムリーダーだからね」

マリィは立場のある人間なのだ。チャンピオンほどではないが、周囲から期待を背負ってバトルをしているのだから、勝ちに貪欲にならなくてはならない。

「マリィちゃん、勘違いしてるよ。それは立派な心がけだけど、強くなるのに必要ないから」

手にしているカップのミックスオレを少し口に含むと、端末を操作している。イメージとかけ離れた発言に一瞬マリィは困惑したが、疑問をぶつける。

「うちはそれで強くなったけん。これまでも、これからも……」

そう言うが、「」ウリに見つめられると困惑する。本当にそれが正しいのか、自分が間違っているのではないか、そんな感情がこみ上げてくる。

「うん、マリィちゃん、それは間違ってないよ。ジムリーダーとしての強さは、それで充分」

そうして、マリィの抱えていた問題の核心にするどく切り込む。

「でも、チャンピオンの隣にたつには、役者不足だよね」

 

 これ以上彼女の話を聞き続けていたら、マリィはおかしくなっていたかも知れない。決して出任せではなく、マリィ自身も薄々感づいていたことだからだ。

「三対三、これでいいね」

ムゲンタワーの施設の一部を借りているから、ダイマックスを使う事も出来る。

「いけっ、モルペコ!」

「任せたよ、カビゴン」

「」ウリの初めて見せるポケモンに、警戒するマリィ。だが、鈍足のカビゴンではモルペコよりも早く動くことはまずないだろう。

「モルペコ、オーラぐるま!」

高速回転することによって、纏うエネルギーと共に突撃する、モルペコの専用技である。この技は、モルペコのフォルムによってタイプが切り替わる珍しい技で、尚且つその後のモルペコのスピードも強化されるので、訓練不足のポケモン相手であれば、この技だけで決着がつくことさえある。

「……えっ?」

確かに、カビゴンの体力はかなり高い。分厚い脂肪や巨体のおかげでタフな印象だが、物理攻撃に関していえば、そこまで高くない、はずなのだが。

「カビゴン、はらだいこ」

冷静なまま命令を下す「」ウリ。確実にオーラぐるまは当たったはずだ、だがそれほどダメージを受けている様にはみえない。寝転んだ姿勢のまま、カビゴンがその大きな腕を腹に叩き付ける。空気が振動し、地面が揺れたのではないかと錯覚する程の衝撃の後、カビゴンが異様な雰囲気を纏っている。「まずい……」

どこかに隠し持っていたのか、フィラのみを食べ出すカビゴンに対してモルペコに再度攻撃の指示をだす。マリィははらだいこを対戦で見たことはないが、異常なまでに攻撃力を上昇させる技だと言うことは知っている。

「体力と引き替えにしとるけん、誰も使いこなせんかったとよ」

再度当たるオーラぐるまに、まるで鬱陶しい虫がぶつかった程度の反応しかないカビゴン。

「カビゴン、からげんき」

カビゴンが震った腕が、モルペコを捉える。体格差が明確なモルペコはフィールドの端まで飛ばされてしまう。

「大丈夫、ちゃんと手加減する様に教えてあるから」

いつもと変わらない笑みで、ポケモンバトルをしているが、マリィはこの時初めて理解した。「」ウリはマサル達と同類だと。一般人が全力で追いかけても、影すら掴むことすらできない人種であるということ。

「物理のノーマルタイプなら……いって、ズルズキン!」

ズルズキンがフィールドに出た瞬間、特徴的な咆哮をカビゴンに向けてぶつける。特性いかくと呼ばれるもので、本来であれば天敵を目の前にしたかのように動きを鈍らせるのだが。

「効いてない? いや、そんなことないはず、かわらわり!」

かくとうタイプ かわらわり

手刀の形をとって、振り下ろす。例え当たる対象が堅い瓦であっても破壊するその技は、技術力とポケモンの攻撃力に応じて破壊力を増していく。

「ごぉぉぉおおお」

だが、それは裏を返せば、圧倒的な練度の差があれば、致命傷に至らないということだ。ノーマルタイプ からげんき

状態異常になっているとき、攻撃力が上昇するという希有な技だが、通常の状態であってもノーマルタイプであれば充分な威力となる。先ほどのモルペコよりも遙かに体格が良いはずのズルズキンが戦闘不能になる。

「ねぇマリィ。チャンピオンに勝てないのは、恥じることじゃないの。大丈夫、貴女は強いし、頑張ってるから。誰も、貴女のことを責めたりしないわ」

「」ウリの言葉は正しい。チャンピオンとの闘いで敗北したとしても、ジムリーダーとしてはおかしくはない。そんなことでスパイクタウンの人達はマリィを責めたりしないし、ネズがマリィのことを失望することはないだろう。

「オーロンゲ、キョダイマックス!」

マリィは、間違いなく認識している。マサルの横に立つには、それでは足りないのだ。ただのジムリーダーで収まってしまえば、彼とはライバルでいられなくなってしまう。ジムチャレンジの時に、互いに意識していた関係ではなくなってしまう。

「キョダイスイマ、カビゴンを吹き飛ばして!」

いや、最早マサルの視界に自分は入っていないのかも知れない。そんな疑念がずっとつきまとっている。その答えを聞くことが怖くて、マサルと話をする時も気付けばポケモンバトルのことを避けているのかも知れない。

「……う、そ」

三体がかり、それも一体はキョダイマックスポケモンの一撃を受けて、それでもなおその体躯は動きが衰えない。

「お疲れ様、マリィ」

カビゴンの一撃がオーロンゲを襲う。例えチャンピオンのリザードンであったとしても、キョダイマックス状態のオーロンゲを一撃で粉砕することは不可能だったはずだ。だが、その一撃が振り下ろされた後、オーロンゲのキョダイマックスは解け、戦闘不能になっていた。あまりにも圧倒的な力の差を目前にして、力なく座り込んでしまうマリィ。

「頑張ったね。友達と遊ぶ時間を我慢して、ポケモンと特訓した? お洒落な格好で街に遊びに出る時間で、バトルの勉強したのかな? お兄さんに甘えることせずに、自分で新しいポケモンを捕まえたんだろうね」

カビゴンをモンスターボールに戻し、マリィにゆっくりと歩み寄る「」ウリ。

「私達は、バトルしてないと呼吸が出来ないの。チャンピオンになりたい訳じゃない、ただポケモンと共に生きているだけなんだけど……どうしたら相手に勝てるかなんて考える暇なんてないよ。強くならないと死んでしまう生き物なの」

あまりにも自分と見ている世界が違う「」ウリを呆然と見つめることしか出来ないマリィ。

「これは警告。貴女がマサルと共に生きたいなら……トレーナーとしてライバルで居ることは諦めた方がいいわ。報われない努力はきっと、貴女を壊してしまうから」

 

 一部始終を見ていたセンジュがバトルタワーに戻ってきた「」ウリを出迎える。

「お疲れ様です、「」ウリ様」

傷ついたカビゴンを預けて、バトルタワーの施設で回復する手配をしていく。

「彼女の手持ちも、回復してあげて。手加減はしたけど、軽傷ではないと思う」

「」ウリ自身もおいしい水を飲み、一息を着く。

「……彼女は、こっちに来ると思う?」

「」ウリがセンジュに問いかけると、即座に返答する。

「必ず」

「」ウリは深く溜息をつく。あまりバトルに傾倒する生き方は褒められた物ではない。闘えないポケモンを切り捨てられるほど、非情な性格のトレーナーなどそう多くは居ない。冒険を共にした相棒であればなおさらだ。

「随分と、彼女のこと買ってるのね」

「」ウリの言葉に、センジュが首を横に振る。

「自分の居場所が、自分がそこに居たいと思うなら、それに対して努力を惜しむ人間ではありません……私がそうでしたから」

タオルで額の汗を拭き、センジュの言葉に頷く「」ウリ。

「意外とマリィは頑固だったもんね」

 




読了ありがとうございました。

「」ウリVSマリィのデータになりますので、特に気にしない方はスルー推奨です。

「」ウリ
カビゴン
ガラル図鑑 No.261
いねむりポケモン
特性:くいしんぼう
Lv:80
H:420 A:205 B:202 C:100 D:205 S:77
技:はらだいこ
  からげんき
  ????
  ????

1ターン目
はらだいこ 365→155
フィラのみ 155→295

2ターン目
からげんき 対モルペコ 535~631(確定一発)

3ターン目
からげんき 対ズルズキン 322~381(確定一発)

4ターン目
からげんき 対オーロンゲ(キョダイマックス) 513~604(確定一発)


マリィ
モルペコ ♀
ガラル図鑑 No.344
にめんポケモン
特性:はらぺこスイッチ
Lv:60
H:158 A:137 B:93 C:107 D:93 S:140
技:タネマシンガン
  いちゃもん
  スパーク
  オーラぐるま

1ターン目
オーラぐるま 対カビゴン 51~60 (乱数 7発)
        カビゴン 420→365

2ターン目
オーラぐるま 対カビゴン 51~60 (乱数 7発)
        カビゴン 295→240

ズルズキン ♀
ガラル図鑑 No.225
あくとうポケモン
特性:いかく
Lv:59
H:163 A:129 B:158 C:76 D:158 S:91
技:いばる
  こわいかお
  かわらわり
  かみくだく

3ターン目
かわらわり 対カビゴン 62~74
       カビゴン 240→170

オーロンゲ ♂ (キョダイマックス)
ガラル図鑑 No.240
ビルドアップポケモン
特性:いたずらごころ
Lv:60
H:202(ダイマックス時 404) A:167 B:101 C:137 D:113 S:93
技:ソウルクラッシュ(キョダイスイマ)
  DDラリアット
  ビルドアップ
  いちゃもん
 
4ターン目
キョダイスイマ(ソウルクラッシュ) 対カビゴン 69~82
                   カビゴン 170→90

ポケモンのデータは
ポケモン徹底攻略 様
アプリ SWSH 様
からお借り致しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。