Black "k"night   作:3148

5 / 47
ほのおタイプジムリーダー カブ戦です。

ビートとすれ違ったり、エール団とすれ違ったりします(ニッコリ

じゃくほバンギラスがいれば、トゲキッスもギャラドスもリザードンも大丈夫やな!

ヌッ……(ヒヒダルマのばかぢから


第五話 ジムチャレンジ エンジンシティにて

 バウタウンを出て、第二鉱山に向かう途中、ピンクのコートに身を包んだリンドウと出会う。

「あっ、ビートじゃん」

「……へ!?」

ビートと呼ばれた少年は、リンドウを見た瞬間冷や汗をかき、逃げるように去って行った。

「……あー、参ったな」

久しぶりの知人に会って少しテンションが上がっていたのか、自分がどんな立場の人間なのかうっかり忘れていた。

「まぁいいや、あいつもジムチャレンジしてるみたいだし、いつか会うだろう」

そう言って、少し名残惜しげに第二鉱山に足を踏み入れる。

 

 そこは、以前から鉱石や燃料を取れる鉱山の内部、採掘した石類を運ぶためのトロッコとレールが見つかるが。

「移動用には、使えないな」

当たり前だが、動力がないので手押しであり、安全装置などない。人とぶつかってしまっては大惨事だし、ポケモンとぶつかってもそれはそれで問題である。

「まぁ、歩くしか無いか」

そうやって歩いていると、エール団の人間を見つける。

「エール団、何してんだ?」

リンドウが尋ねると、エール団の二人組は元気よく答える。

「マリィさんがここに来るのを待って、スタンバってます」

「マリィさんを応援するために、スタンバってます」

その返答に、心底呆れた目でみるリンドウだったが、掛ける言葉を失ったのか、適当に返事をする。

「まぁ、頑張って」

頑張りますと勢いよく答える二人の横をすり抜けた後、ふと思い出したかのように声を掛ける。

「あぁ、ジムチャレンジのトレーナー、適当でいいから足止めして貰っても良いかな?」

その依頼に二人は首を傾げる。ふとマリィが自分より遅れていると言っていたことを思い出したのだ。

「マリィの為になるから、頼むよ」

そう言って手を振って離れていく。遅れているのがマリィだけでなくなれば、或いは遅れている人間が増えれば、焦ることもなくなるだろう。という打算的な考えかも知れない。

「マリィさんの為なら!」

 

 ビートとエール団にあったこと以外は特にこれといった事は無く、道すがらトレーナーにバトルを挑まれて負けたり、野生のポケモンと出会っては逃げたり、弱そうだったら闘ったりしながらエンジンシティへと辿り着く。

 

 エンジンシティのジムミッションは野生のポケモンを倒せば一点、捕獲すれば二点という条件で、野生のポケモンと対峙している間、ジムのトレーナーが邪魔をするというものである。

「ジムチャレンジ、開始!」

かけ声と共に、用意してある草むらに飛び込む。

 草むらから、ロコンが飛び出してきた。

「そう簡単に、クリア出来ると思わない事ね!」

そう言ってトレーナーがポケモンを繰り出した瞬間、リンドウはボールを投げていた。

「……は?」

リンドウが投げたボールはクイックボールと呼ばれるボールで遭遇した瞬間に投げれば捕まえやすいと言われているボールである。あっさりとロコンを捕まえると、次の草むらに向かい更に二匹ポケモンを捕まえてしまった。

「これで、ジムミッションクリアでいいかな?」

 

 「さぁて、異例の早さでジムミッションをクリアしたチャレンジャーのジムリーダーへの挑戦になります!」

実況の声が、スタジアムに響き渡る。

「今回、君のポケモンを見ていないからね。少し楽しみにしているんだ」

そう言ったカブは握手の後、手持ちのキュウコンを繰り出した。

「……まぁ、驚いては、貰えるんじゃ無いですかね」

どこか震えているような、怯えているような声でカブに答える。決意したような表情で放り投げたダークボールの中から、2メートルを超える巨体が現れる。

「……バン、ギラス」

カブが、息を呑む。

 

 「あーっと! チャレンジャー、とんでもない隠し球を準備していたぁー!」

そう実況が吠えると同時に、カメラが砂嵐に被われる。

「これは、バンギラスの特性、すなおこしですね。カメラを直ぐに対応させます」

そう解説役が話すと、防塵使用のカメラがフィールドを鮮明に写す。

「ジムリーダーのカブさんの炎タイプのポケモンに岩タイプは有利です、挑戦者も下準備は充分、といったところ……のはずですが」

バンギラスの様子がおかしく、カブのキュウコンの方向ではなく、リンドウの方を振り返って、値踏みをするように近づく。

「グゥオオオオオオ」

低く鈍い咆哮と共に、吐息がリンドウにふきかかる。生命体としての規模が違いすぎるのか、それだけの行為でも、踏ん張らなければ倒れてしまいそうになっている。

「これは、懐いていないというか……それ以前に」

どうみても、コントロール出来ていない。言うことを聞かないどころか、今にも襲いかかりそうだ。

「グォオオウ」

 

 やがて興味を無くしたのか、フィールドの中央へと振り返るバンギラス。

「っ!? あぶねぇ!」

全力で後ろに跳ぶリンドウだが、荒々しくとがった尻尾の一部が引っかかり背中を打ち付ける。

「いっ……てぇ。まぁ、いいか。あとはまともに相手にしてくれるかどうか、だけど」

こんなやりとりをしている間に、バンギラスを後ろから不意打つことが出来たはずなのに、カブはそれをしなかった。自滅を待っていたとも考えられる。

「……私の手持ちに、彼のバンギラスに対抗出来るポケモンはいない」

そう言って、キュウコンをボールへと戻す。静まりかえる観客席、前例のない発言に戸惑う人も少なくない。

「おーっと、これはどういうことでしょうか?」

解説も、上手く言葉に出来ていないが、カメラはカブを写し続けている。

「……だが、ジムリーダーとしてのつとめを果たさなければならない! 私のエースポケモンとの一騎打ちで勝負決めさせて貰いたい!」

そう言葉にして、ダイマックスのエネルギーをリストバンドへと集めていく。その輝きに一瞬声を忘れる観客席。キョダイ化したボールが天高く放り投げられると、現れたのはカブのエースポケモン、マルヤクデ。

「でたー! これはジムリーダーの全力! マルヤクデの キョ ダ イ マックスの姿だー!」

解説が大きくマイクに叫び、観客席は沸き立つ。

「本来、ダイマックスは姿が大きく、あくまで見えるだけですが、姿形はそのままの変化です。ですが、数少ない特殊な性質をもったポケモンは、姿形を変え、特異な力を持っています……未だ私も、ジムリーダーとチャンピオンのポケモンしか見たことはありませんが……一説には、ガラル粒子により適合した変異種とも言われています」

淡々と説明するが、その言葉には期待と驚きが混じり合っている。

「ジムリーダーはほのお、むし! チャレンジャーはいわ、あく! 互いが互いの弱点を突き合う形、勝負は……一瞬だ、見逃すなよ!」

本来のマルヤクデよりも、節の数倍以上に増え、その炎は更に激しくもえさかっている。遙か高くから相手を見下ろしているが、その姿に油断は見えない。むしろ、泰然としているのは、鎧を纏った挑戦者の方だ。

「ポケモンが近づき、動く度にフィールドが揺れています! その地響きは勿論、放送席にまで届いています! 皆様も、直にこのバトルの衝撃を感じていますか!?」

歓声で、フィールドも震える。その中心にいるカブは、額から流れる汗に、緊張を感じ取っていた。

「……生きた心地が、しねぇな」

すなあらしで視界が悪く、バンギラスの姿も一部しか見えない。だというのに、マルヤクデのキョダイマックスは、嫌と言うほど目に焼き付く。

「リンドウ! 君の闘い方は、正直に言うと褒められたものではない!」

カブの言葉を、ただ受け止める。邪道は承知の上、トレーナーとしての矜恃など、持ち合わせてはいない。

「だが! 強敵であることは間違いない! いざ、尋常に……マルヤクデ、やれ!」

虫タイプ ダイマックス技

 ダイワーム

とてつもないエネルギーがフィールドの一部を吹き飛ばしながら、バンギラスに直撃する。砂埃を巻き上げ、一時的にその姿を隠してしまう。

「……やったか?」

普通のポケモンでは、耐えきれずひんしに至るダメージだろう。だが、砂煙の中から響いてきたのは、その身を竦ませる咆哮だった。

「グォォオオオウ」

自慢の鎧を傷つけられたことに腹立てたのか、荒々しく響く雄叫びと共に、一歩踏み出す。その足が地面を揺らし、まるで地震が起きたと錯覚してしまう程だ。

「な、まさか!?」

地鳴りと共に隆起する岩盤を、長い尻尾を振り回し、巨大な岩を易々と砕きながら宙へと巻き上げる。

岩タイプ いわなだれ

数も大きさも、尋常じゃ無い岩が、フィールドの上空から、降り注ぐ。

 

 視界にもやがかかり、手足から力が抜けていく。どうやらバンギラスのいわなだれが当たったようだ。砂煙のせいか、まともに目を開けることもかなわないし、気付けば地面が上にあった。

「……く、そ」

 

 バンギラスのいわなだれはトレーナーサークルまでも巻き込んでいた。カブが居る場所も、範囲内だった、だが。

「すまない、マルヤクデ」

キョダイマックスした巨体を活かし、その体で落石からカブを守っていた。そのおかげでカブは傷一つ無いが、マルヤクデの体力は無くなり、体はどんどん小さくなっていく。マルヤクデをボールに戻し、一度こぶしを握りしめるとカブは前を向く。

「不味いな」

マルヤクデを倒したバンギラスは、既にカブなど目もくれない。そもそも、このフィールドのどこにも興味がある物はないのだ。なら、邪魔者を排除した後は、外に向かうのみ。

「えっ……バンギラス、こっちに来てない?」

観客の一人がぽつりと零した。砂埃で現状の把握が遅れていたが、不安は伝播していく。

「そ、そんなことないだろ。バトル中だぞ?」

「でも、チャレンジャー倒れちゃってるよ? カブさんのマルヤクデも倒れちゃったし」

「逃げた方が……良くない?」

放送席から、観客の恐怖を察知したのか声が響いた。

「安心してください! フィールドとの間には、エスパーポケモンによる見えない壁が設置されています。ポケモンの技が観客席に届くことは―――」

全てを言い切る前に、バンギラスが見えない壁に阻まれて弾かれるのが観客席から見える。

「グゥオ」

まるで、檻に閉じ込められた猛獣を見るような感覚。だが、しっかりと安全な事を知って、観客席は静まる。だが、その静寂は更なる混乱の幕間でしかなかった。見えない壁をバンギラスの牙が容易く破り去ってしまったからだ。

「グゥウウウウオオオオオ」

バンギラスの雄叫びが、観客を逃げ惑わせる。我先にと、出口へと向かう観客達だが、数が多く、まともに動くこともできない。逃げ遅れた最前席の少女が、腰を抜かして立ち上がることも出来ずにいると、バンギラスが更に近づいてくる。

「ひっ」

恐怖に支配され、悲鳴を上げる寸前で一人の女性が少女の手を握り、一先ずおさえる。

「大丈夫、見えない壁は一枚じゃないから。早々破られることはないわ」

再び面倒な壁に阻まれて、鬱陶しそうに壁に牙を突き立てようとするバンギラス。だが、その後頭部に何か軽い音が響いた。

「グォ?」

ポンという軽い音共に、バンギラスが光に包まれ、ダークボールへと収まっていく。

「ねっ、大丈夫でしょ?」

少女を抱きしめ安心させる。フィールドでは、頭部から血を流し、足を引きずりながらバンギラスの居た場所へと進むチャレンジャーがいる。

「……全く、何度驚かされるのか、分かった物じゃ無いな」

力尽きて倒れ込むリンドウを抱きかかえたのは、カブの腕だった。

 




読了ありがとうございました。

ワイルドエリアのポケモン二匹目です、ナットレイより数倍ヤバいです(愉悦)

暴走するバンギラスは金銀のころからの夢ですねぇ。

ゴ○ライメージだからかもしれません(笑)

ポケモンバトルはどこ……ここ?

バンギラスのデータ

バンギラス
Lv:60
よろいポケモン
性格:きまぐれ
特性:すなおこし
H:208 A:184 B:155 C:120 D:143 S:82
技:いわなだれ
ストーンエッジ
かみくだく
はかいこうせん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。