Black "k"night   作:3148

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ラテラルタウン突入です。

(ジム戦は)ないです……

ビートの過去話って、今のところなかったよね?

まぁ、間違ってたらオリジナルということで(適当


第七話 ジムチャレンジ ラテラルタウンにて

 エンジンシティを出て、ワイルドエリアを抜けて次の街へと向かう。

「取りあえず、腹ごしらえを……あ」

手近な定食屋さんに入ると、ソニアと出くわした。

「あー、ブラックナイトの子!?」

 

 ソニアとリンドウが向かい合って座る。

「へぇ、子守歌代わりに、ブラックナイトの話を?」

リンドウが頷くと、カレーを一口食べる。

「そうそう、孤児院に居た時に、絵本代わりに出資者の資料を読んでたよ。まぁ、子供に分かりやすいイラスト付きの伝承しか分からなかったけど。その中にブラックナイトの話があった」

そこで一度話を区切り、食事を続ける。

「出資者も気になるけど……そのブラックナイトがどんな話か、聞かせてくれる?」

「そんなに長くはならないけど。空を黒い雲が覆う時、巨大なポケモンが人々を苦しめ、助けを求める。人々の絶望の声に立ち上がった一人の若い英雄が一対の剣と盾を手にする。幾つかの巨大なポケモンと闘い、最後の原因を絶つ事で、ガラル地方に澄み渡る空を取り戻した、って感じ」

物語風だから、実際はもっと長いはずだけれどと呟く。

「詳細まではちょっと思い出せないかな。何しろ、文字もはっきりとは覚えてないくらい前のことだから」

そう答えたリンドウの前には、熱心にメモをとりぶつぶつと呟くソニアがいた。

「巨大な……恐らくダイマックスのことだけど、人々を苦しめるというのは分からないかな。それを悪用していたか、あるいは力が暴走していた? いや、ダイマックスの起源から遡った方が早いかも。それと黒い雲……これもダイマックスの時の雲かな、色は見方によっては黒に見えなくも無いけど」

あまり触れない方が良いと思ったのか、自らは喋り掛けないようにするリンドウ。カレーのスプーンが程よく進んだ辺りで、ソニアが顔を上げる。

「うん、とりあえずわかんないことばっかりだけど、一つ分かることは……若い英雄は、広場の銅像の事ね!」

ナックルシティの広場に飾られている銅像を思い浮かべる。

「うん、俺もそう思う。剣と盾、それとガラルを救った英雄。これで良かったかな、ソニアさん」

リンドウの言葉に素直に礼を伝えるソニア。

「うん、ありがとう! 今後の研究の方向性が決まったわ。ブラックナイトについてと、その物語を調べてみる」

その言葉と見たままの喜びように、リンドウは笑みを零す。

「ん、私何か変なこと言った?」

首を傾げるソニアにリンドウは答える。

「いや、正直に喜んで貰えたならよかった。ちょっと研究者に偏見持ってたみたいで、もっとこう……」

「根暗なイメージ?」

目の前に指で丸を二つ造り、眼鏡のポーズをするソニア。

「そうそう、ぼそぼそ喋ったりって感じ。まぁ、面白い言動してるのは研究者っぽいかな?」

リンドウがそうからかうと、ソニアも素直に答える。

「してないし! おかしくないし! 普通だし!」

感情的になっているソニアを見て、さらに笑うリンドウ。それから、話が合うのか色々と話した。

「へぇ、チャンピオンと一緒にジムチャレンジしたんだ?」

「そうそう、ダンデが極度の方向音痴だから、私が道案内してあげたんだから!」

「道案内だけして、バッヂはゼロ?」

ソニアが再び怒る。

「ゼロじゃないもん! ちゃんと幾つかもらったんだから」

その言葉に、リンドウは目を細める。

「全部じゃないんだ?」

その言葉に更に顔を赤らめるソニア。

「バッヂの数なんかどうでもいいでしょ! 全部集められる方が少数なんだし! あんたも、集められるか分からないでしょ」

その言葉に、リンドウは何も変わらないトーンで答えた。

「まぁ、全部は無理だろうね。良くてあと一つ、二つかな。ネズさんは……どうかな」

その言葉にソニアは疑問を抱いた。

「無理だろうね、って。チャンピオンを目指してるんじゃ無いの?」

恐らくはチャンピオンの背中を追う二人を想像したのだろう。半ば諦めているかのようなリンドウの言葉に違和感を覚えた。

「目指す先は人それぞれだよ、ソニアさんが研究者になりたいみたいに。別にチャンピオンを目指さなくても、バッヂを持っていることに意味がある人間だっている」

そう言うと、席を立ち、勘定を済ませる。

「そりゃあ、そうだろうけど」

未だに困惑しているソニアに手を振り、別れを告げるリンドウ。

「話せて楽しかった、また機会があれば一緒にお茶でもしよう」

 

 ラテラルタウンに辿り着くと、見覚えのあるピンクのロングコートのリンドウを見つける。

「……ひさしぶりビート」

リンドウが声を掛けると、目を細めてじっと見つめる。ビートと呼ばれた少年は、溜息を吐いて返事をする。

「てっきり、死んだものとばかり思っていましたよ。幽霊になって現れたのか、ってね」

 

 リンドウとビートは昔話に花を咲かせる。共に同じ孤児院の出身で、その頃の話や、互いの知らない時期の話をする。

「先生は未だに元気にしてるよ。本当さ、まだ孤児院の子供達を相手にしてる。死ぬまで変わらないって、本人も言ってるから」

ビートの言葉に、リンドウは笑みを零す。

「本当に変わらないんだな、あの人も、結構厳しいけどいい人だったな」

そう言って、リンドウは一呼吸置く。

「……別に、あそこが嫌になった訳じゃないんだ。あの時迷って、帰れなくなった、それだけなんだ」

その言葉に、ビートは少し険しい顔になった。

「……ルミナスメイズの森、でしたね」

遠くを見るように、深く息を吐く。

「覚えてないかもしれないけど、あの時言葉も文字も碌に覚えちゃ居なかったからさ。メロンさんに拾って貰った時も、どこから来たかとか、自分の名前も言えなかった」

「僕に言われても、仕方ないですよ。あの時の僕もまだエリートではなかったのです。大人達が騒いでいた理由も分からなかったし、あなたが戻ってこないなんて、露程も思いはしなかったのですから」

それいらい、ルミナスメイズの森に単独で行くことが出来なくなった位で、幼い子供心に人が居なくなる事を理解することは出来なかったのだ。

「……いつか、謝りに行かなきゃなぁ。今更何を、って言われるかもしれないけど」

そのリンドウの言葉にビートは笑って返す。

「しこたま怒られますね、多分。全然エリートでは無いですから。ただ、あの人達はどんな子供でも受け入れますよ……昔に一度居なくなったくらいで、そこまで変わらないでしょう」

ビートの優しさに、リンドウは顔を伏せる。その話を続けるのが苦しくなったのか、話題を変えた。

「そういえば、ビートもジムチャレンジしてるんだよな。他の目的もあるって聞いたけど?」

自慢げに胸を反らし、ビートが答える。

「ええ、ローズ委員長から願い星を集める任務を請けているのです! 勿論ジムチャレンジもこなしますが、同時に出来るのがエリートですからね!」

それなら、とリンドウはビートを誘い、掘り出し物市に連れ出す。

 

 「何故エリートの僕が、こんな荷物運びをしているのですか?」

そう愚痴を呟くビートの前を歩く大人が大声で話す。

「いやぁ、助かるよ。君たちみたいな若い子らが手伝ってくれるなんてね。何せ、万年人手不足だから」

はっはっはと笑い飛ばすとビートは苦々しい表情をする。リンドウは慣れた様子で荷物を運び然程苦しそうにはしていない。

「お疲れ様、それじゃあこれが約束の品だ」

そういうと、ねがいのかたまりを一つ、ビートに差し出す。

「じゃあまた、時間があったら手伝ってくれよ?」

そう言って掘り出し物市の大人は去って行く。

「……丸一日! エリートの僕が! 汗水垂らして働いてこれだけですか!?」

憤怒の表情をしているビートにリンドウが疑問を投げかける。

「そんなもんだろ。むしろ、どれくらい貰えると思ってたんだ?」

ビートがリンドウに思いつく限りの罵声をぶつける。喋りすぎたのか、肩で息をしながらリンドウが差し出した美味しい水を口に含む。

「てっきり地道に集めてるんだと思ってたんだけど、違うのか。それは悪かった」

そういうと、ビートは少し居心地を悪そうにした。

「まぁ、それなら仕方ないですね。エリートでは無いあなたは、ねがいぼしを集めたことがないのですから」

そういって、懐から機械を取り出す。何かを感知しているようで、光の点がぽつぽつと点っている。

「これは?」

「ねがいぼしの探知機です。手元で光っているのが、さっき手に入ったものですね」

手元で光っているものを指さす。弱々しく光っているのが一目で分かった。

「……じゃあ、こっちで大きく光っているのは?」

離れている場所で、大きく光っている場所があった。

「大量にねがいぼしがありますね!? こっちの方向に何がありますか!?」

ビートが興奮気味にリンドウに聞く。

「えーと、向こうは……ジムか遺跡じゃないか? いや、遺跡っぽいな」

そう言い終わるが先か、ビートはかけ出していた。

「えっ、疲れてたんじゃ無いのかよ!?」

走り出したビートの後を追って、リンドウも遺跡へと向かう。

 

 ラテラルタウンの遺跡には、先鋭芸術のような絵が壁面一杯に描かれている。

「何回見ても、これの良さは分からないなぁ……」

見上げるとまるで自分を圧迫してくるような存在感のあるそれは、ずっと見上げていると威圧感のようなものを感じて、リンドウは余り慣れないようだ。

「この奥ですね……入り口はありますか?」

ビートの言葉に、首を傾げる。

「いや、そんなものは無かったはずだぜ。遺跡っていっても、この絵画だけのはず。この裏がどうのこうのっていうのは、聞いたことがないなぁ」

リンドウがそう呟くと、ビートは他の観光客に話を聞きに行って、そのまま見えなくなってしまった。

「あんなに行動力のあるやつだっけ? まぁ、ローズさんに影響されたのかも、か」

 




読了ありがとうございました。

そろそろオリキャラの過去話を書かないと、と思ったけど重たすぎて疲れる……

胸糞とかの話は一応避けられる様にした方が良いのかな?
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