バエルを使って、アグニカンドリームを実現する為にガンプラバトルをする男 作:GT(EW版)
それはそれとしてリライズが再開したので更新を再開するからよ……話のスケールが大きくなるほどシバさんがどんどんヤバい人になっていくぞ……
フラウロス──ソロモン72柱が64位。豹の悪魔の名が意味するのは、このバエルと同じ由緒正しきガンダム・フレームの一機である。
「鉄血のオルフェンズ」第二期の後半に登場し、ハーフメタル採掘場から厄祭戦の遺物としてハシュマルやプルーマと共に発掘されたものだ。
その発掘時にはプルーマを押さえ込むような格好で出土した姿から、厄祭戦での戦闘中に地下に埋没して以後、三百年の年月を過ごしたものと思われる。
周囲にはダインスレイヴの弾頭らしき杭が共に埋まっていたことから、当時はハシュマルとさぞ壮絶な激闘を繰り広げたのであろうと推察できる。そういったフラウロスの考察要素は、アグニカフリークとして何ともそそられるものがあった。
──そんなガンダム・フラウロスが今、私の前に姿を現したのである。
今は変形した砲撃形態の姿のまま高速の戦車のように氷河を駆け回っているが、あれはフラウロスで間違いないとバエルは言っており、私がガンダム・フレームを見間違える筈もない。
背部にはショートバレルキャノン、砲身の接続部分にはアサルトナイフがそれぞれ装着されている。カラーリングは四代目流星号としてノルバ・シノが乗り回していた頃とは異なり、バエルと同じ上品な「白」。その姿こそまさしく、厄災戦で活躍したとされるフラウロスの造形だった。
因みにその機体はガンプラでもプレバンで販売されていたこともあり、興味を持った者は当サイトの再販情報を要チェックだ!
しかしSDバルバトス(デフォルメ有)と言い、あのフラウロスと言い……あちらもガンダム・フレームには目が無いようだ。
ふっ……いいだろう。
アグニカンスピリッツと鉄火団。
バエリストとトマリスト。
似ているようで対極の存在である我々は、やはりどこまでいっても雌雄を決しなければならない間柄のようだな。
ならば是非もない。
悪魔の力
「バエルッ!」
SDバルバトスは先ほどの一撃により仕留め損ねたが、既にほぼ戦闘不能まで追い込んでいる。あちらはしびれを切らし、切り札を投入してきたというところか。
未だ双方共に撃墜報告のない状況において、シャトルを落とされれば終わりのルールでありながらも早々に半数以上の戦力を集中させてくるとは、私も中々過大評価されたものだ。
だが、その程度で俺を落とせると思っているのなら、お前はバエルの力を過小評価しているぞ団長。
その戦術計算の甘さ、試合の後で存分に後悔するといい。
低空を鋭角的な軌道で飛び回りながら、翼を広げた白い悪魔がフラウロスの射撃を右へ左へとかわしつつ強引に距離を詰めてくる。
ミカを奴の間合いに入れてはならないと間にレールキャノンを割り込ませながら、団長は懸命に弾幕を張り巡らせた。
しかし、その弾薬もいよいよ限界に近づいている。
元より完成度の高いナノラミネートアーマー機との戦闘を想定したこの獅電・サブナックの武装には、人気どころのガンプラよりも実弾兵器が多く積み込まれている。そんな当機だが、搭載する弾薬は無限ではないのだ。
団長は少しでも多く弾薬を積み込むことで近接戦闘主体の敵に圧力を掛けられればと思っていたが、あの男も伊達に剣二本で大立ち回りを演じているパイロットではない。それは他ならぬ団長自身がよくわかっていたことだった。
故に、それはいい。自分の射撃がほぼ通じないことは、遺憾ながら織り込み済みである。
それでも想定以上だったのが、自軍最強パイロットの射撃さえ掻い潜ろうとするガンダム・バエルの機動性だった。
「マッキーめ、なんて奴だ……ミカの射撃をああも避けるとは……!」
ミカの射撃とマッキーの回避。団長の目には、最強の矛と最強の盾がぶつかり合っているかのようだった。
フラウロスのショートバレルが放つ一射、二射を紙一重の位置でかわしながら、時に金色の剣で
団長が見込んだミカは、間違いなく天才だ。そして彼女と相対するマッキーもまた、同じ領域で戦う化け物。二人と比べれば、団長はニュータイプ同士の戦いに取り残された一般兵の気分である。
彼らの技量に唸る団長に向けて、獅電・サブナックのコクピットに通信の声が響く。
《速いね、君の友達。この間の戦いで見たチャンピオンのガンプラと同じくらい速い》
「すまねぇミカ、俺とタイゾーでもう少し奴の注意を引き付けたかったんだがな……」
《万事思い通りにいけばいいってものじゃない。それに……この状況も、団長の想定通りじゃないかい?》
「……まあな」
障害物を隠れ蓑に移動しながら、四つ脚のフラウロスは二門のショートバレルを空へと向け、砲撃を
一瞬先にその位置へと躍り出たバエルは、自らの翼が捕捉されたことに驚きながらもクロスさせた二本の剣を盾に構え、砲弾を弾き返した。
僅かによろめいたその隙を狙って団長もトリガーを引くが、虎の子の弾丸が到達するよりも敵が立て直す方が僅かに早く、渾身の砲撃はラスタルを襲う槍の如く虚空に消えていった。
弾薬の残数が0になったことを確認する間も惜しく、団長は友軍に指示を送った。
「タイゾーは動けるか?」
《悪い……さっきので両腕がイカれた。動くことはできるが、奴の動きにはこれ以上ついていけねぇ……》
「わかった。なら俺が命令するまでお前は下がれ! 前衛には俺が出るっ!」
《くっ……了解だ!》
先ほどまで前衛を担当していたカタイ・タイゾーのカンタンバルバトスは散々バエルにねじ伏せられたことで、既にこの戦いについていける状態ではなかった。
その状況において予定を前倒しにして呼び寄せたミカのガンダム・フラウロスは、ガンダム・フレームの中では珍しく中長距離戦闘に長けた機体であり、バエルの間合いで戦うには向いていない。
ならば、どうする?
決まっている……俺は鉄火団団長だぞ……! こんぐらいなんてことはねぇ!
先ほどの射撃でレールガンは弾切れ。バズーカもだ。
獅電・サブナックは空になった手持ちの大筒を乱暴に放り捨てると、緑色に光るセンサーを明滅させながらバエル目掛け、破れかぶれの勢いで跳躍していった。
「団員を守るのは俺たちの仕事だ! そうだろう? サブナックゥ!」
獅電・サブナック。それはカラミティガンダムに獅電と、プレバン限定オルガ専用獅電改のツノを組み合わせて改造した砲撃支援機である。
しかし獅電とは本来汎用性に長けた高性能量産機であり、鈍重そうに見えるカラミティガンダムもまた近接戦闘に長けた「ソードカラミティ」等機動性の高いバリエーション機が存在するように、イメージに反してその実カスタマイズ性の高い優等生な機体だった。
そんな二機の力を合わせ持った団長のミキシングガンプラ……獅電・サブナックだからこそ、ただの重武装機で終わる筈がなかった。
空に飛び上がった団長が魂を込めて愛機に呼び掛けると、その機体に隠された特殊機能が遂に解放される。
その変化が機体の外見に現れた瞬間、敵パイロットが思わずと言った様子で驚きの声を溢した。
《馬鹿な……ツノが開いた、だと……!?》
まるで、バナージ・リンクスが乗り込んだユニコーンガンダムがデストロイモードへと変身するように。
団長が乗る獅電・サブナックが、その姿を変貌させたのである。
獅電改の頭部に伸びる一本のツノがおもむろに動き出すと、縦に割れるなりV字のアンテナとなって金色に輝いたのである。
変化はそれだけではない。獅電・サブナックの機体からレールガンを含む全ての武装と脚部、背部の装甲が大胆にパージされると、各内部フレームと共にこれまで装甲に隠されていたスラスターユニットが姿を現したのである。
一本ヅノから変形した金色のアンテナは下に向かってスライドすると、展開したV字部分で中央部を覆うことでジム的な獅電のセンサーをツインアイの形に見えるよう絶妙な位置で調整していった。
そうして変貌を遂げた獅電・サブナックは、自らがパージした背部のレールガンをそれぞれの手で引っつかむと、それを連結させることで無骨な一本の棍棒として操り、両手で携えた。
真っ直ぐにバエルを見据えたセンサーが、緑色から鉄の血が通った「赤」へと変わる。その威容はまさしく、阿頼耶識システムのリミッターを解放した「ガンダム・フレーム」の姿だった。
「これが獅電・サブナックの近接戦フォーム……俺の切り札!」
剥き出しになった四肢のフレームから解放されたエイハブ・スラスターは、自制心を失った暴力的な推進力となって獅電の機体を空へと飛翔させていく。
これで団長の機体は、バエルと同条件での空中戦が可能となったのだ。
先までよりも揺れるようになったコクピットの中で、団長は変形成功を喜ぶ内心を悟られぬよう器用に安堵の息を吐く。
この姿を披露するのは、実戦ではこれが初めてだ。と言うよりも、実戦で変形に成功したのも初めてだった。
砲撃支援機である獅電・サブナックが、その役目を放棄し、自ら前衛を務める為の姿。
遂に、我々が待ち望んだ真の鉄火団団長が誕生した。その名は──
「ガンダム・サブナック!」
ソロモン72柱が43位。獅子の騎士の名を冠する団長オリジナルの捏造ガンダム・フレーム──ガンダム・サブナック。
オルガ・イツカを愛する団長は、無欲な馬鹿にはなりたくなかった。それ故に彼は人一倍強欲で……強欲な馬鹿だ。
故に、彼はオルガと強い方のオルガの要素を併せ持った獅子の悪魔の力を、その手で作り上げたのである。
大部分の装甲をパージした見た目通りの無理矢理な変形機構であるが故に、こうなった機体はもう元の獅電・サブナックには戻れない。
それは決して立ち止まらないオルガ・イツカの信念を、彼なりのやり方で表現した運用であった。
「やるぞミカ! この力は、俺たちだけが生み出しているものじゃねぇからよ……」
《その変形に意味があるとは思えない……けど、なすべきと思ったことはやらせてもらうよ》
この信念の結晶を前にしては、間違っても中国製ユニコーンガンダムだなどと言ってはならない。
獅電・サブナックの姿を捨てたことで、武装と装甲を犠牲に爆発的な機動力を手に入れたガンダム・サブナックは、その推力を持ってバエルへと躍りかかった。
思い切りの良すぎるリーダーに対して後ろのミカは相変わらず梯子を外したような物言いをするが、そんな彼女もなんだかんだガンダム的なノリがわかる付き合いのいいダイバーだった。
《二体の悪魔が揃って私に刃向かうと言うのか……アグニカ・カイエルの魂である、この
もちろん、この男はノリノリである。
「ヴァアアアアアッッ!」
殺人的な加速に悲鳴代わりの咆哮を上げながら、団長のガンダム・サブナックはエイハブ・スラスターの光と共に突っ込んでいく。
元は二門のレールガンだった原始的な鉄棍棒を振り回し、バエルソードとぶつけ合い、弾き合う。
砲撃支援を行っていた時には感じなかった純粋な力の手応えに高揚する団長に対して、それ以上に興奮していたのが相手のパイロットだった。
《いいぞ団長! ビルドもバトルも、これほどまで腕を上げたか!》
「ほんっと上から目線だよなぁ、おっさん!」
高校時代、何度となく戦ってきた勝手知ったるファイター、マッキー。
対戦成績は団長が圧倒的に負け越しており、タイマン形式のバトルでは遂に勝つことができなかった最強の敵だ。
当時から
それは、今も同じだ。彼に挑み、真っ正面から純粋な力の輝きをぶつけ合うにも何ら臆していなかった。
「俺はこの力で、今度こそお前を倒すぞ!」
《俺の行く手を阻むのなら、今度こそ殺してやろう!》
このガンダム・サブナックは今まで団長が作り上げてきたガンプラの中でも議論の余地無き最高傑作であり、今までの人生で積み重ね続けてきたありったけの技術と浪漫を詰め込んだ機体である。
そんな彼の想いに応え凄まじいスピードでバエルに詰め寄ったサブナックは擦れ違い様に棍棒を叩き付けると、金色の剣で固められた敵の防御を崩しに掛かる。
取り回しの良さでは劣るが、得物の質量ではこちらが上だ。
しかし操縦桿に掛かる反発の衝撃は予想以上に重く、逆に敵の膂力に弾かれることになった団長はすぐさま機体を翻らせ、遠心力をさらに加えた動きで再びバエルへと切りかかった。
「俺がこのまま引きつける! ミカは狙撃に専念しろミカァ!」
《そんなにミカミカ言う必要はないんじゃないかな》
まるで見えざる壁を足蹴にして反転していくように、団長は機体に掛かる負荷を承知の上でターンを描き、バエルとの高速戦闘に食らいついていく。
改めて思い知ったのがバエルのスピードだ。少しでも気を抜けば何をされたのかもわからずにバラバラにされてしまいそうであり、影を追い掛けるだけでも意識が磨り減っていく感覚が団長を襲っていた。
プラシーボ効果からか、全身を押しつける凄まじいGに骨を軋め、内臓が押し潰されているかのような錯覚さえ催している。だが、その感覚が団長の体中から大量のアドレナリンを分泌させ、彼の操縦をかつてないほど研ぎ澄ませていた。
ライバルが強いほど、自分が強くなっていくのがわかる。
だが、そこまでいっても未だ、団長の攻撃は彼の機体に傷を負わせることができずにいた。
ガンダム・サブナックはバエルと同等のスピードで空を駆け抜け、何度目になるかもわからない交錯からスパークが弾け飛ぶ。
その直後から、サブナックの肩部関節から黒い煙が噴き溢れてきた。
団長が要求する操縦負荷に対して、剥き出しのフレームはあまりに脆すぎたのだ。悲鳴のような火花が飛び散り、レッドゾーンを示すダメージ表記とコクピット内に響き渡るけたたましいアラートに向かって団長が吠える。
「ちっ……どうしたサブナック! 強い方の俺がこの程度か!?」
この機体がサブナックの名を冠している理由はもちろんソロモン72柱のサブナックが由来であるが、それに加えて改造元となったカラミティガンダムのパイロット、オルガ・サブナックも由来の一つである。
登場作品である「機動戦士ガンダムSEED」の作中では性能で大きく上回るフリーダム、ジャスティスと言った作中屈指の強豪モビルスーツを相手にしながら最終盤まで食い下がった男「オルガ・サブナック」。そんな彼に対して一部のガンダムファンたちは敬意を表し、専ら「強い方のオルガ」と差別化していた。
その強い方のオルガが扱っていたカラミティガンダムを、自らの改造でさらに強化したのがこの機体だ。
だからよ……もっと強い筈だ。強いオルガと、強く在ろうとし続けたオルガ・イツカの力が宿るこのガンダムなら!
ガンプラに込めた願いと、団長の叫びに呼応するように、疑似ツインアイから赤い帯を引かせたガンダム・サブナックがさらにスピードを上げていった。彗星となったガンダムはバエルと切り結び、雪雲を蹴散らしながら∞の字を描くように衝突し、加速していく。
「そうだ! 俺たちの上がりはここじゃねぇ! 俺たちはもっと、もっと上に行ける筈なんだ! だからこっから先は止まるな! 絶対に止まるんじゃねぇぞ!」
止まったら団長命令でもっかい殺す! そう叫びながら、団長は自分自身とガンプラを鼓舞していく。
そうだ。奴のバエルを前に、一瞬でも動きを止めるのは許されない。
人を超えた化け物と戦う為には、自分も限界を超えなければならないのだ。
それこそまさに、団長自身が空想に思い描いてきたオオカミの王の如き存在に。
そんな団長の気迫が込められた猛攻を息一つ乱さず捌きながら、時折視界の端から飛び込んでくる砲弾に金髪男が呟く。
《防御は薄くなったが、守りは堅い……見事な腕だな、お前が見つけたミカは!》
「へっ」
防御を一切考えない動きをしていながら、ここまで接近戦でバエルと渡り合えているのはサブナックのポテンシャルもあるが、さらに大きいのは後方から飛来してくる正確な援護射撃である。
サブナックの攻撃の合間に後ろから割り込んでくるフラウロスの砲弾は、隙あらばコクピットに迫ろうとするバエルの凶刃をことごとくセーブしていた。
団長の隙と機体の脆弱さを、フラウロスの狙撃が補っているのだ。
さしものマッキーと言えどサブナックの全力とフラウロスの狙撃を同時に相手取ることになっては、簡単に思い通りの攻撃は仕掛けられない様子だった。
無論、二機が超高速で接近戦を繰り広げているこの状況で狙撃するということは、ほんの少しでも射線を誤れば同士討ちしかねない危険性を孕んでいるのだが、フラウロスの狙撃は常にバエルだけを襲っており、団長もまた自分が撃たれる心配は一切していなかった。
それは彼が「ミカ」の腕に絶大な信頼を置いている証でもある。
《ッ……こちらを一方的に圧殺しかねない、並外れた命中精度……お前が自信に満ち溢れているわけだ》
「当たり前だ。俺が見つけたミカだぞ!」
三日月・オーガスとは乗っている機体も戦闘スタイルも違うが、彼女こそ団長が長年求め続けてきた「ミカ」である。
彼女が完璧な狙撃をしてくれるからこそ、団長は自らの守りを捨てて戦える。
フォース「鉄火団」は勝利へと近づいていく!
これまで地道に積み重ねてきた団長自身の努力と、天才的バトルセンスを持つミカの連携。それを武器にした今の団長は、かつてない手応えに酔いしれる。
しかし次の瞬間、勝利への確信を言葉にしたのは団長ではなかった。
《ふっ……だがお前たちは少々、私一人に力を注ぎすぎたようだ》
「なに!?」
つばぜり合いで飛び散っていく火花の向こうで、意味深に呟いたマッキーの言葉に団長が怪訝な顔をする。その言葉の意味に気づいたのは直後、この戦いの彼方から爆音が響き、噴き上がっていく黒煙を目にした瞬間だった。
それは、彼が恐れていた事態の一つが発生してしまったことを意味していた。
《おや? 団長、シャトルが撃たれているようだ》
「わかってるよそんなことは! ……クソッ、なんてザルな守りしてる……RIDE ON! タカキン!」
この鉄火団の戦力を持ってしても、単独でマッキーのバエルを止めるのは不可能だ。そう判断したからこそ、団長は自分とタイゾー、ミカという最大戦力を集結させることで応戦していた。そこまではいい。
しかし五人という限られた人数である以上、戦力の一極集中は防衛網に大きな穴を空けてしまうことを意味していた。
その穴を、アグニカンスピリッツは的確に突いてきたのである。
「ってことは、やっぱりあんたは陽動だったんだな! 本命をシャトルに近づける為の!」
《さて、何のことやら……》
いきなりバエルが単独で先行してきた時点で、団長の頭には既にその可能性が考えられていた。マッキーの性格上、単に目立ちたかったというのも理由の一つだろうが、それにしてもバエルの行動は派手すぎたのだ。
思えば彼がそのスピードを以て強引に突破しようとしてこなかったのも、最初からシャトルへの攻撃は伏兵に任せていたからなのだろう。
団長が舌打ちしながら遠い空の反応にモニターを拡大すると、そこには敵軍の伏兵──シャトルへのミサイル攻撃を敢行した戦闘機「オーライザー」らしき機体が上空を泳ぐように旋回しているのがわかった。
その機体はこれまで全く存在感を示していなかったアグニカンスピリッツ五人目のダイバー、ライザップが駆る「ライザライザー」。
彼は団長たちがこれまで観測しきれなかった地上遙か上空のルートから、虎視眈々とシャトルへと忍び寄っていたのである。
防衛側のモニターに表示されたシャトルの耐久値は、既に半分ほどにまで削り取られている。撃沈にこそ至らなかったようだが、次なる二発目を受ければ確実に破壊されるだろう。
《団長ー! こっちは動けねーです!》
《すみません! 誰かシャトルの救援に!》
《バエル!》
《正義!》
《魂!》
「ええいうっせぇ割り込むな! くっ……なら仕方ねぇ! タイゾー、「団員スレイヴ」だ!」
《やるのか!? 待っていたぜ団長! 来いミカァ!》
《……えっ、本当にアレをやるのかい?》
シャトルの護りを任せた二人の団員はそれぞれ他の相手で手がいっぱいであり、防衛目標の救援には駆けつけられない。
基本はマッキーのワンマンチームか厄介なのはアヘッドぐらいだとばかり思っていたが……どうやら他のメンバーも、集団戦というものを理解しているようだ。
──だが……やらせねぇよ?
端から見れば万事休すの状況で不敵な笑みを浮かべながら、団長は今動ける団員に命令を下す。
それはこの状況を覆す為に用意した、鉄火団とっておきの秘策だった。
氷山の裏に隠れていた半壊のカンタン・バルバトスが動き出し、砲撃形態のフラウロスが彼と合流していく。その光景を下に飛翔しながら、ガンダム・サブナックは一機でバエルとの戦いに臨んでいく。
勝利を確信したオーライザーのパイロットの声が全チャンネルに響いたのは、その後だった。
《やったぞみんな! 作戦は成功だ! 我々の勝利だ!》
彼がシャトルを完全に葬り去る二発目のミサイルを発射した次の瞬間──
──北極の空に、希望の花が咲いた。
リライズの最新話はガンプラらしさをここぞとばかりに出してきて楽しいからよ……イヴヒロいい……尺はもう2クールぐらい欲しいぞ……