バエルを使って、アグニカンドリームを実現する為にガンプラバトルをする男   作:GT(EW版)

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一話に一回は「バエルだ!」を入れていくスタイル。


折れない剣

 エイハブ・リアクター。

 それは、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」に登場する動力炉である。

 稼働中は半永久的に莫大なエネルギーを生成することができ、作中でもそのエネルギー量はガンダム・フレームがガンダム・フレームたる力の源として扱われていた。

 厄祭戦中に作られた動力炉でありながら、300年過ぎた作中の世界でも問題なく稼働しており、物理的な破壊もほぼ不可能。

 特にガンダム・フレームで採用されている「ツインリアクターシステム」は二基のリアクターを載せた上に、リアクター出力を同調し、ポテンシャルを引き上げた仕様となっている。他作品で言えばガンダム00のツインドライヴシステムに似ているかもしれない。

 そのエイハブ・リアクターであるが、膨大な出力以外の特徴としては稼働に伴って生成される「エイハブ粒子」と「エイハブ・ウェーブ」の発生が挙げられる。

 エイハブ粒子とは機体の慣性制御効果を持つ特殊粒子であり、 エイハブ・ウェーブとはエイハブ粒子の粒子崩壊によって引き起こされる強烈な磁気嵐のことである。

 ウェーブの影響でリアクターの付近ではレーダーや無線通信などの電波や電気を用いた機材が一切使用できなくなり、作中でも軍艦やモビルスーツでの通信はミノフスキー粒子のようにレーザー通信や高度にシールドされた有線通信に限定されていた。

 技術的な応用の幅は広く、エイハブ・ウェーブの素粒子を用いたエイハブ・スラスターは高効率のスラスターとしてガンダム・バエルにも採用されている。

 

 それらが「鉄血のオルフェンズ」作中におけるエイハブ・リアクターの設定だが、このGBNでも変わらず反映されるかどうかはビルダーの腕に掛かっている。

 トランザムシステムやPS装甲同様、この機能はガンプラの作り込みが深いほど忠実に再現される仕組みになっているのだ。

 

 もちろん、私はそのことを最初から理解していた。

 理解していたからこそ、内部フレームに関しては特に念入りに作り込んでいたのだ。ツインリアクターシステムもまた設定に忠実に、機体内部にパーツを組み込んでいた。

 

 故に私のバエルを視界に収めた瞬間、対策を施さぬ限り敵の通信機能は完全に麻痺する。

 

「フォース戦とは群れるもの……しかし声を失った者は群れとしての力を失う」

 

 発進後、私のバエルはセイギのシュヴァルベ・ゲイツと二手に分かれ、地上から敵機の捜索に当たっていた。

 もちろん、我々アグニカンスピリッツの機体とは滞りなく通信できるよう処置を施している。バエルのモニターにルクセンブルク基地を滑走する二つの機影を確認したこの状況、敵の二体だけが仲間と連携することができなくなっていた。

 

「こちらに二体ということは空に二体、セイギが向かったところに一体……私が引いたのは当たりか」

 

 確認した敵機はマラサイとハイザック。どちらも外見は原作に忠実に作られており、汚名挽会の名の通り、彼らのガンプラはジェリド・メサ中尉が乗っていたものと同型だった。

 早速二対一とは私も運がいい……地上施設をホバーリングしながら敵機を見据えた私は、通信機器が効かないダイバーたちの動揺を読み取った。

 その動きから二人とも、若いダイバーと見受ける。

 

「今の私は機嫌が良くてな……ワルツに付き合ってもらうぞ」

 

 イオク・クジャンの特攻に付き合ってやった作中のマクギリス・ファリドとは、おそらく真逆の心境になりながら初めての接敵を行う。

 先手を打ったのはあちら側だ。ハイザックの腰部に搭載されたミサイルポッドから弾幕が広がり、ルクセンブルク基地の地に爆発の嵐が吹き乱れる。

 だが、このバエルの機動性を見くびってもらっては困る。その程度の弾幕では牽制にもならず、足を止めるまでもなく鋭角的な軌道でミサイルをかわしていった。

 そのまま進行し、ロングレンジから既に剣を握っているバエルを見てこちらに遠距離武器が無いと気づいたのか、マラサイが障害物を隠れ蓑にしながらビームライフルを連射してくる。それは一見有効な戦術だが、私から見れば愚策だった。

 距離を取ればやられはしないと、そう思った瞬間から負けているのだと教えてやろう。

 マラサイの数発目のビームが立ち退いた後の基地施設に着弾した瞬間、私はスラスター推力を一気に引き上げバエルを跳躍させる。

 頭上の太陽光に紛れながら上昇した一瞬、相手の目にはバエルの姿が突然消えたように映ったことだろう。マラサイは完全にこちらの動きを見失った様子であり、真上ががら空きになっていた。

 

 相方のハイザックがいち早く私の居場所に気づいたようだが、時すでに遅し。

 数百メートルの跳躍から着地したバエルは、足を着けたと同時にマラサイの頭部から胸部に掛けて剣を突き刺していた。

 

「バエルを手に入れた私は……」

 

 爆散していくマラサイを背に機体を滑らせる私に向かって、焦りを隠せない様子のハイザックがザク・マシンガン改を乱射してくる。接敵から一瞬で相方がやられた上に、エイハブ・ウェーブの影響で味方に連絡することもできないのだ。敵の焦りは至極当然なものだった。

 原作さながらのナノラミネートコーティングが完備されている私のバエルには、生半可なビーム兵器は通用しない。それを知ってか知らずか敵は実弾兵器を撃ってきたが、いずれにせよアグニカン・ドリームを求める私はここで被弾する気は無く、射撃の全てを避けながらハイザックをホバーリングで追い掛けていった。

 

「そのような粗末な攻撃に、断罪される身ではない」

 

 このハイザック、作り込みは悪くないが、まだダイバーの操縦経験が浅い。

 GBN歴は私の方が浅いが、私にはまだGPD時代の経験がある。敵が剣を握っているからと距離を取ることにばかり意識を傾けているハイザックはバエルの脅威になり得ず、間合いに入るなり右手から突き出した剣先がモノアイを潰した。

 急いでマシンガンからヒートホークに持ち替えようとしていたようだが、私のバエルはそこから先の動作を許さない。彼がグリップを握った頃には踏み込んだバエルがハイザックの右腕を切り飛ばし、交互に突き出した二本目のバエルソードが敵コクピットを貫いた。

 

 撃破判定が下ったハイザックは、ドットの残滓を残しながら爆発していく。敵機の撃破を何事もなく振る舞いながら、私のバエルは滑走を続けた。

 

「二機撃破。さて、状況はどうか……」

 

 エイハブ・リアクターを完全に再現したが故に、接敵した敵に仲間との通信もさせないままサイレント撃破に成功した。

 通信妨害能力が戦術的に有効なのは語るまでもないことだが、それ故に私には不満もある。

 これでは、あまり目立つことができないのだ。対人戦初のキルがバエる戦いではなかったことに少しだけ気を落としながら、私はモニターからイッシーたちの状況を観察した。

 私が接敵したマラサイ、ハイザックを立て続けに撃破したことで早速我々のフォースがリードを奪った……かと思いきや、戦況はそうでもないらしい。

 当初の作戦通り予定時刻まで彼らの様子を窺ってみれば、セイギのゲイツと仲良し四人組のオーライザー部分が破壊されており、リーオーも墜落し行動不能に陥っていた。

 それにより孤立したイッシー機が、三体の敵に囲まれている状況が私の画面に映っている。

 

 これで行動可能な機体は三対二と、我々の方が劣勢である。

 しかし、それでも問題は無い。寧ろ好都合だ。

 セイギが早々に落とされたのだけは少々想定外だが、私の予定に綻びはなかった。

 

 そんな我々、アグニカンスピリッツの作戦はただ一つ──「敵を一か所におびき寄せること」だけだ。

 視界の開けた場所に全機誘導し、敵のフォースから狙撃の可能性を潰すことができればそれで良かった。

 仲良し四人組とイッシーはまさに今、空中という障害物のない場所に敵の全機を引きずり出してくれたのだ。

 そこまでしてくれた時点で彼らの戦術目標は果たされており、後は私の出番だった。

 

 一人はバエルの為に、皆はバエルの為に。

 それこそがアグニカン・ドリームを目指すアグニカンスピリッツの行動理念であり、本懐だった。

 

 私は温存していたエネルギーを解放し、バエルを空へ飛翔させる。

 地上戦も嫌いではないが、私はどちらかと言えば空中戦の方が好みだ。

 ウイングの推力に任せ一気に上昇した私は、絶体絶命の窮地である副隊長の元へ乗り込んでいった。

 

《准将おおおおおおおおっっ!!》

 

 准将、後はお願いします──おそらく彼はこの時そう言いたかったのだろうが、聴こえてくる声は戦場特有の高揚に浮かされていた。

 だが、今日だけはその浮つきも致し方がないと許そう。

 彼の期待に応えるべくバエルを急迫させた私は、すれ違いざまにイッシーを狙うバイアランを両断した。

 

《准将!》

「よくやったイッシー、後は私がやる」

 

 三体のガンプラに囲まれながら、ここまで撃墜されなかったのは賞賛に値する。

 よって今回はイッシーの戦いにナイス・アグニカとして、50アグニカポイントを進呈しよう。

 登場と同時にバイアランを葬ったバエルに敵も動揺したのか、イッシーが隙を突きバウンド・ドックの拘束から逃れる。

 敵はここは一旦体勢を立て直そうと距離を取り、共にモビルアーマー形態に変形して散開していった。

 

「バウンド・ドックにガブスレイ。ティターンズの機体もまた機能美に溢れている。だが……」

 

 ジェリド・メサ中尉をリスペクトする汚名挽会と、アグニカ・カイエルをリスペクトする我々アグニカンスピリッツ。その信念に至る根幹は、おそらくどちらも似たようなものなのだろう。

 私もジェリド・メサ中尉は嫌いではないが、しかし彼はアグニカとは言い難いキャラクターだった。

 故に私はバウンド・ドックのダイバーに、ナイス・アグニカではなくバエルソードの閃きを進呈するとしよう。

 

「君達は今、私の間合いを恐れた……その時点で勝敗は決している」

 

 ガンダム・バエルが両翼を広げ、フルスロットルで疾走する。

 重力下で彗星のように空を泳ぎながら、私はモニターの視界にガブスレイの後ろ姿を収める。モビルアーマー形態となったことで飛行速度が増したその機体を──私のバエルが一瞬で追い越し、彼の向かう先に立ち塞がった。

 

「時代を切り拓いたこのバエルに、使い古されたセオリーは通じんよ」

 

 エイハブ粒子による慣性制御を効かせながら強引に方向転換したバエルが、空中で逆さになった姿勢から再び間合いを詰めてメガ粒子砲のキャノンを切り裂く。

 ガブスレイは主兵装を失ったことでモビルスーツ形態に戻り、慌ててビームサーベルを展開するが、私のバエルは剣同士で打ち合うまでもなく既に懐へ潜り込んでいた。

 

 ──さあ、これで四体目だ。

 

 下から振り上げた右手のバエルソードが滑り込み、ガブスレイの胴部を一振りで両断する。

 その爆発の勢いを利用しさらなる加速をつけたバエルは、超高速で蛇行しながら敵フォース最後の一体であるバウンド・ドックへと向かった。

 バエルの圧倒的な推進力の前では、ミドルレンジもクロスレンジも同じだ。どこからでも一瞬で距離を詰め、剣の間合いまで一気に飛び込める。

 バウンド・ドックのダイバーも今の動きからそのことを理解したのか、一般的にはミドルレンジと判断される距離にいながらも即座に抜刀し、左手にビームサーベル、右手にビームライフルを持った態勢でトリガーを引いてきた。

 

《貴様っ! 一体なんだってんだその性能は!》

「ほう、通信妨害は対策済みか」

《通信器の強化は隊長機の必須スキルだからな! それがまさか、こんなところで生きるとは!》

 

 敵の機体がエイハブ・ウェーブの影響を受けずに通信を入れてきたことに感心しながら、私のバエルは敵から連射されるビームを右へ左へとかわしていく。

 ガンダム作品の世界ではエイハブ・リアクターの他にもミノフスキー粒子やニュートロン・ジャマー、GNドライヴ等、通信妨害の効果を持つ機能はそう珍しく無い。

 それらがガンプラの作り込みとしてGBNに反映できるほどの完成度となれば希少ではあるが、戦うステージが上のレベルになれば見掛けないものではないということだろう。

 忠実に再現できれば厄介な機能だが、スキル次第では対策もできると。まだGBNの経験が浅い私には勉強になる話だった。

 そんな私に対して、バウンド・ドックのダイバーが吠える。

 

《ルーキーアカウントの癖に、そのとち狂ったガンプラの完成度! さてはお前もGPD難民だな!?》

「そういう君のバウンド・ドックも中々の出来だ。防御力と機動性を高めていると見受けられるが、君にもGPDの経験が?」

《ああそうだ! 貴様だけが特別なんじゃない! 俺だって元GPDプレイヤーだ!》

 

 胸部の傷を見るに、既にバウンド・ドックはイッシーのアヘッドから何撃か攻撃を喰らっている筈だがその機体出力は一切低下していない。

 一発や二発では落ちない高い防御力と常に敵と一定の距離を保つことができる俊敏性の両立は、修復不能なガンプラの破損を嫌うGPD上級者の多くに見られた改造傾向だった。

 

 なるほど……彼も元GPDプレイヤーか。ならばその力、私に示してみせるがいい! 

 

《GPDとGBNは似ているようで違う! GBNには、必殺技っていう逆転の切り札があるんだ!》

「……なに?」

 

 必殺技……だと? それは、爆熱ゴッド・フィンガーのようなものか。

 GPD時代には無かった新しい要素と、「必殺技」という言葉のわかりやすい響きに私の好奇心が突き動かされる。

 それは是非とも、見せてもらいたいものだな。

 

「ならば見せてみるがいい。君がこの世界で見つけた力を……君自身のアグニカを!」

《アグニカ? ああ見せてやる! これが俺を成り上がらせる、汚名挽回の一撃だ!》

 

 瞬間、バウンド・ドックの機体が突如として赤紫色の光に覆われた。

 トランザムシステムではない……この光は、サイコフィールド。機動戦士Zガンダムにおいてジェリド・メサの怨敵、カミーユ・ビダンが発動したバイオセンサーの暴走だ。

 奴はバウンド・ドックに積み込んだと言うのか、バイオセンサーを。確かにバウンド・ドックもまたニュータイプの搭乗を想定したサイコミュ搭載機だ。無理のある改造ではないだろう。

 作中におけるジェリド・メサ中尉は覚醒したと言えるほど目覚めてはいなかったが、ニュータイプ能力の兆候的なものは見受けられた。しかしそれを発動したこのダイバーは、よもや現実に生きる本物のニュータイプとでも言うのか? 

 

《俺のガンプラを通して出る力だ! 力を持った者が全てを制するんだ!》

 

 ……なるほど、だから「必殺技」か。

 

 言い得て妙だと私はその意味を理解した。

 何もこの男は、本当にニュータイプになったわけではない。

 実際にガンプラを動かしてぶつけ合う硬派なGPDではできなかったことだが、このGBNではニュータイプという非科学的な力さえある程度ガンプラを通して実現することができるのだ。

 人の革新という大層なものではなく、あくまでも「必殺技」という体でゲームシステムに落とし込めた形で。

 

 ──見事だ。フォース汚名挽会のリーダー、バウンド・ドックのジェリー。

 

《時代は変わったんだ! オールドタイプは失せろォ!》

 

 ジェリド・メサ中尉をリスペクトする彼が、まるで自分自身で理想のジェリド・メサ中尉を作り出したかのように新たな道を切り拓いた。

 前言を撤回しよう。君もまたアグニカだ。

 最初のフォース戦で君と戦えたことを、誇りに思う。

 

 だが、勝つのは(バエル)だ。

 

「いいだろう……受けて立つ」

 

 紫色の光を纏ったバウンド・ドックが、武装を投げ捨てるなりモビルアーマー形態に変形して突っ込んでくる。

 さながらその姿は、Zガンダム最終回でパプテマス・シロッコを葬った時のカミーユ・ビダンのようだった。

 その光景からジェリド・メサ中尉がライラ、マウアー、カクリコンの守護霊を背負いながら突っ込んでくる姿を幻視し、私はバエルのスラスター出力を最大にして迎え撃った。

 

 両手の剣を前方に突き出し、真っ正面から挑み掛かる。

 

 原作ではメガ粒子砲も無傷で弾き、後の時代ではZZガンダムのハイメガキャノンやコロニーレーザーさえ耐え抜いた奇跡のバリアー、サイコフィールド。

 それに対するはキマリスヴィダールとの戦いの果てに、マクギリス・ファリドの心と共にへし折れてしまったバエルソード。

 あちらは絶対的な強度を誇る鉄壁のバリアーを張った突進で、バエルを押し潰せる確信があるのだろう。

 だが私にも同じく、黄金の剣が彼を貫き通す確信があった。

 

 交錯の果てに自らの確信を証明したのは──私の方だった。

 

《な、なんだと!?》

 

 動揺するバウンド・ドック。

 私はその姿をモニターに見据えながら、ガンダム・バエルが突き出した二本の剣が彼の装甲を──イッシーが傷付けた部位をサイコフィールドごと刺し貫いている光景を認めた。

 馬鹿な、あり得ないと狼狽えるジェリーに、私は告げる。

 

「バエルに何故実体剣が装備されているかわかるな? ……サイコフィールドに対抗する為だ」

 

 今、私が考えた。

 

 私が鍛え上げたバエルソードは、付け焼刃の障壁で折れる代物ではなかったという話である。

 これが折れない剣だ。

 バエルが持つ力の証だ。

 

《ぐっ、おお……!? じ、GPD廃人! 貴様は俺の……っ》

 

 俺の──ライバルだ。

 

 その言葉を最後に汚名挽会の隊長機は爆発し、消滅していった。

 汚名挽会のジェリー……その名、確かに記憶した。

 このフォース戦の勝者の名がフィールドに告げられた瞬間、私は右手に携えた黄金の剣を、太陽の光にかざしながら高らかに告げた。

 

「作戦は成功した。我々の勝利だ」

《やはり准将こそ、アグニカ・カイエルの再来……》

 

 いつの間にかリーオーから脱出していた仲良し四人組をアヘッドの手に回収していたイッシーが、バエルの威光を見上げながら恍惚と呟く。

 敵の力は想定外だったが、当初の予定通り「バエルによる5キル」に成功した。

 いや、結果的には当初の予定以上の戦績である。何せガンダムシリーズの華である「ニュータイプ」に由来する必殺技を、この剣を以て正面から打ち破ることができたのだから。

 

 それに、彼との戦いでGBNの上位プレイヤーは皆、必殺技というものを持っていることがわかった。

 ならば、私も示そう。

 この機体に宿るアグニカ・カイエルの魂それこそが、必殺技をも捻じ伏せる純粋な力なのだと──。

 

「皆──バエルのもとへ集え!」

「バエルだ!」

「アグニカ・カイエルの魂!」

 

 我々のアグニカン・ドリームへの道のりは、こうして初白星を飾った。

 

 

 

 

 

 正々堂々たる戦いでバエルの力を示し、戦いが終わった後は両チームで握手を交わし合い、相手側からの寸評を快く受け取る。

 その時は私も汚名挽会隊長のジェリーと再戦の約束を交わし、さらにこんなことまで言われたものだ。

 

「あんたと戦っていたら、なんかもう一度鉄血を見返したくなったぜ。実はガンプラ作りながら流し見していたから、詳しく見ていないんだよな」

 

 彼にとっては何気ないつもりで放たれたのであろう、その一言。

 しかしそれはガンダム・バエルを愛する者としてと言うよりも、鉄血のオルフェンズの一ファンとして思わず高笑いしてしまうものだった。

 

「ふふふ……はははは、はははははははっ」

「な、なんだ? そんなに笑うことじゃないだろ」

 

 いや、すまない。そうか、私との戦いが原作を見直す機会になると……そういうのもあるか。アグニカン・ドリームとは関係ないが故に、それは盲点だった。

 戦いの中でバエった結果、思わぬところから発生したアグニカの相乗効果に爆笑する私を見て、仲良し四人組たちが裏声で「オルフェンズの涙」を歌い始める。無駄に美声だった。

 

 汚名挽会のメンバーは呆然としていたものだが、胸の内から込み上がってくるこの笑いは、しばらく止まりそうになかった。

 

 

 

 

 

 




マッキー語録の汎用性に対してあまりにも足りなすぎるガヤたちの素材よ。
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