バエルを使って、アグニカンドリームを実現する為にガンプラバトルをする男   作:GT(EW版)

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 ネトゲ系小説のいいところは登場キャラのリアルでの性別を想像する余地があるところだとワイトは思います。アバターは筋肉マッチョマンだけどリアルはおしとやかな美少女って展開、テンプレだけどいいよね……
 だから仲良し四人組の中の人がみんな女の子だったら一気にハーレム物になるし、リーオーライザーのコクピットが百合百合んになる。まあそんなことはないのですが。


大人にはなりきれないものだな

 GBN──それはガンプラバトルの中で進化した世界。そこに命を懸けるアグニカ・カイエルの魂を持つ者たちを、人はアグニカンスピリッツと呼んだ。

 

 もちろん、呼んでいるのは私だ。

 無限の可能性を秘めたガンプラに限界が無いのと同じように、このGBNにも底知れない可能性が溢れていると私は感じていた。

 世界中の人々とガンプラバトルを執り行う対人戦もそうだが、この間我々が受注したガンダム作品のストーリーを追体験するシチュエーションツアーもその内の一つだ。そして襲い来る大軍を相手に一人で戦い抜く「無双ミッション」もまた、私向けに用意されたGBNのコンテンツだった。

 

「私が作り上げたガンダム・バエルが、新宿に溢れるデスアーミーを一人で葬る! その行為に、俺は加速する!」

 

 ミッション内容は「デスアーミー500体討伐」。挑戦者は私のガンダム・バエルのみ。

 機動武闘伝Gガンダムに出てきた「新宿」を再現したフィールドを縦横無尽に駆け巡りながら、黄金の剣を携えたガンダム・バエルが次々と湧き出る敵の包囲網を単独で崩していった。

 

 次から次へと、全く楽しいにも程がある! 

 

 アムロ・レイの操るνガンダムのように、ビームライフルやバルカンを連射し作業的に敵を蹴散らすのもイイ。

 キラ・ヤマトの操るフリーダムガンダムのように、全砲門を開いたフルバーストで一気に敵を蹴散らすのもイイ。

 

 しかし私にとって最も完璧な無双とは、時代劇の殺陣の如く己の剣のみで敵陣に飛び込み、たった一人で敵を斬り伏せていく光景だった。

 己の力で、己の腕で、己の技で──ダインスレイヴや核ミサイルのようにボタン一つで終わらせることのない純粋な力の解放こそが、私がガンダム・バエルに魅せられた魂の躍動だった。

 

 故に、斬る! 

 

 斬る。

 斬る。斬る。斬る──。

 

 新宿エリアを低空飛行で駆け回り、ただ修羅のように私のバエルは剣を振るい、デスアーミーの頭を、胴を、足を、緩慢なその動きを置き去りに舞いながら蹂躙していった。

 

 最高だ。

 最高にアグニカしている。今の私は世界で誰よりもバエている! 

 

 人形と戦うのは味気ないとはトレーズ・クシュリナーダの言葉だが、それも時と場合によると私は思う。

 確かにNPDが操るデスアーミー一体の質は対人戦と比べるまでもないが、塵も積もれば山となる。撃破数が300を超えた頃には既に私の高揚も昂ぶり続け、450を超えた頃にはバエルハイになっていた。

 私も今まで自分では量より質という考え方をしていたつもりだが、偶にはこうして一心不乱に量をこなすのも乙なものだと実感する。

 

 この私に無双ミッションという喜びを与えてくれた運営に、返礼として30アグニカポイントを進呈しよう。

 

 無双ミッションの敵ユニットとして湧き出てくるNPDのデスアーミーは、数が多い分一体一体の戦闘力はそう高くない。故にこちらが理想とする立ち回りを敵に妨害されることもなく、私は気持ち良くバエルの操縦に酔いしれていた。

 そうして振り回し続けた剣戟が、500を超えて程なく。

 右手に携えた剣先が一体の胸部を貫くと、最後のデスアーミーがもがくように一つ目を点滅させながら爆散していった。

 その瞬間、私のコクピットモニターに祝福のメッセージが広がっていく。

 

《MISSION CLEAR》

 

 ミッションクリアとなる最後の撃破を見届けた私は、両手のバエルソードを腰部のホルダーに収め、モニターに映るリザルト画面を眺めながらふっと鼻を鳴らした。

 このGBNでも単独で500体の討伐を達成したプレイヤーはそう多くないようであり、手に入れた報酬は通常のミッションより豪華なものだった。

 初回クリア特典として我々が欲していたビルドコインが万単位で手に入り、副賞としてガンプラの強化に使える貴重なビルドパーツも手に入った。尤も私は欲しいパーツは自分で作る主義の為無用の長物であったが……ビルドパーツはフォースの備品にするか、仲良し四人組にでも与えるとしよう。彼らなら私より有効に活用してくれる筈だ。

 他の戦利品は……ほう、称号「超級覇王」とな? これはこの無双ミッションを近接戦闘だけでクリアした者に与えられる称号のようだ。バエルで戦っている以上必然的に手に入る称号だが、この名は私向きではないな。

 超級覇王とは、やはり流派東方不敗にこそ相応しい称号だ。Gガンダム作中ではマスターアジアもドモン・カッシュも桁外れのアグニカポイントを稼いでいたものだが、彼らはアグニカではない。何故ならば彼らは、アグニカではなく流派東方不敗だからだ。嗚呼、王者の風よ。

 

 ……だがプレイを続けていれば、いつかは私もバエルに相応しい称号を手に入れることができるだろう。そう思いながら私はバエルのコクピットから出ると、非戦闘エリアに切り変わった新宿のフィールドに降り立った。

 そんな私の元へ集まり労いの言葉を贈ってくれたのは、戦闘中エリア外から私の戦いを見守っていたイッシ―たちアグニカンスピリッツのメンバーだった。

 

「お見事です、准将! Sランクダイバーさえ苦戦するこのミッションを、傷一つなくクリアするとは……!」

「正義!」

「魂っ!」

 

 ふ……このぐらいの芸当、バエルを持つ私なら当然のことだ。

 しかし、それはそれとして同志からの賞賛は心地良いので素直に受け取ることにする。

 

「私一人楽しんですまないな。次は複数人で挑むミッションにしよう」

「いえ、そんなことは……私はバエルの力を見ることができれば満足です」

「ふむ、満足か」

 

 流石のバエルも、500体もの敵を一体ずつ葬るにはそれなりに時間が掛かってしまった。バエルが元々対モビルアーマー戦を想定した機体であることもそうだが、やはり私自身の腕の問題もあるのだろう。そこは一層精進していくしかないようだ。

 イッシーたちはアグニカしているバエルを見て満足だと言ってくれたが、私自身はまだここで完全に満足するわけにはいかない。バエルを手に入れた私は、現状維持で立ち止まるわけにはいかないのだ。だからよ……

 

 思わず団長の名言を口走りそうになったその時、ふと遠方から、瓦礫の間を縫いながら疾走する影に私は気づいた。

 

「あれは……」

 

 土煙を上げながらこちらへ向かってくるそれは、モビルスーツではない。バイクだ。

 デザインは「ガンダムSEED DESTINY」の作中、主人公だった頃のシン・アスカがディオキアの崖でステラ・ルーシェと出会う回で乗り回していた赤いオートバイである。GBNにはああいった乗り物も実装されているのだなと感心して眺めていると、近づいてくるバイクは我々の目の前に停車した。

 運転手がフルフェイスのヘルメットを外し、その素顔を露わにする。

 

「実体剣二本だけで無双ミッションをクリアするとは、相変わらずのハリキリボーイだなァオイ」

「む……?」

 

 ヘルメットを外した途端、私に向かって真っ直ぐに視線を向けてきた男の顔は、私の知る人物の面影をそれとなく残したものだった。

 このGBNではアバターの容姿をあえて現実の自分と変えずに設定する者も珍しいが、現実の自分から外れすぎた容姿でダイブする者もあまり多くない。アバターにはリアルの自分から種族や姿を変えつつも、少々の面影を残した容姿で設定するのが一般的であり、今私の前に立つこのアバターも同様その傾向に当てはまる姿をしていた。

 

 青みがかった銀髪──と言うと、そうか……君か。

 私が思わず現実世界での名を呟こうとすると、エルフ耳をした銀髪の青年のアバターは自らのアバターネームを名乗った。

 

「フォース「チーム満足」のリーダー、サティス・F・シオン。久しぶりだな、マッキーさんよォ」

 

 挑発的な笑みを浮かべながら、青年──シオンが私に呼び掛ける。

 どこかガンダムマイスター風な名前になっているが、その名はかつて私が現実世界で会ったことのある人物のものだった。

 記憶に残るその人物と目の前の人物を比較しながら、彼の青みがかった銀髪に共通点を見て正体を理解する。

 

「シオン……そうか、君か。君もこのGBNにログインしていたとはな」

 

 少々、意外な人物であった。

 しかし、その子のガンプラに対する並々ならぬ拘りを思えば、こうしてディメンションで見掛けるのも必然だったのだろうと私は思う。

 一人納得している私を見て、彼と初対面であるイッシーたちが怪訝な目を寄せてくる。

 

「お知り合いですか?」

「高校時代、私と同じクラブに所属していた後輩だよ」

「なるほど、リアルでの知人でしたか。准将の後輩ということは……彼も?」

「そうだ」

 

 ああ、懐かしいな……高校時代、共に模型部に所属し技術を磨き合っていた頃を思い出す。

 あの頃は我が友が部室に持ち込んできたGPベースを使って、部員たちと共に日夜ガンプラバトルに明け暮れていたものだ。あの日々はもはや模型部と言うよりも、ガンプラバトル部と言った方が良かっただろう。あの頃は私も若かった。

 そしてこの者、シオンともまた何度となくガンプラバトル──GPデュエルでぶつかり合った関係である。

 

「彼もまた、凄腕のGPDプレイヤーだった」

「GPデュエリストだッ!」

「?」

 

 掛け値無しに凄腕のプレイヤーだったと……私が彼のことをイッシーたちに紹介しようとすると、遮るように彼が叫んだ。

 それは彼のポリシーから来る、「GPDプレイヤー」という名称に対する訂正の言葉だった。

 

「GPデュエルの為に生き、GPデュエルの為に死んでいく存在! GPデュエリストだぁ!」

 

 その叫びを耳にして、私は彼の人となりを思い出す。ああ、こういう子だった。

 シオンという後輩とは数年ぶりの再会になるが当時から非常に印象深い人物であった為、私も忘れていたわけではない。しかしあれから大人になって落ち着いたものかと思っていたが……この反応から察するに、どうやら私と同じであの頃となんら変わりないようだ。

 お互い、大人にはなりきれないものだな。

 

「相変わらずで何よりだ。会えて嬉しいよ、シオン」

「はん! 再会の挨拶なんざどうでもいいんだよ! マッキー、てめえ俺からのフォース戦申請無視しただろ!?」

「おやおや……」

 

 フォース戦申請と言うと、アレか。チーム満足。

 汚名挽会戦後に我々の元へ押し寄せてきたフォース戦申請の中に、彼のフォースである「チーム満足」の名があった。

 もちろん私も気に掛けてはいたのだが、今はバエル宮殿を手に入れる為にミッション攻略の方を優先していた為、返答を先延ばしにしていたのだ。それが彼の気に障ったのだろう。

 

「無視はしていないよ。私は美味しいものは後に残す主義でね」

「嘘つけ! 典型的な刹那主義者だろうが!」

「ふ……確かに私は、その時最もバエることができればそれでいい男だ」

 

 刹那主義と言われれば、確かにそうなのかもしれない。しかし私はこの生き方を何ら恥ずべきものだとは思っていないし、今後も省みる気もなかった。バエリストとは頑固なのだ。

 そんな私のことは、数年ぶりの再会とは言えあちらも良く知っている筈だろう。銀髪のアバターは呆れたように嘆息すると、含みを持った言葉で呟いた。

 

「ふん……まさか、お前までGBNに来ていたとはな。俺が認めた数少ないGPデュエリストであるお前が、こんな偽りの世界になんてよォ」

「不服かな?」

「……まあな。だが今は、都合が良いぜ!」

 

 意味深にそう言った後、彼は唇をニヤリと吊り上げる。

 そんな彼、サティス・F・シオンは命令口調で私に言い放った。

 

「マッキー、俺のフォースに入れ」

 

 それは私に対しての、引き抜きの打診だった。

 

「てめえのことだ。このGBNに来たのはその無駄に強い力を使って、アグニカンなんたらとかいうのを実現したいんだろ? それなら、俺のフォースに来い!」

 

 ほう……なるほどそれは、知らぬ仲ではない彼と私の関係を思えば、わからぬ話ではないだろう。

 私は再会早々に寄越されたスカウトの声から彼の意図を察し、さてどうしたものかと思考を巡らせる。

 そんな私に対し、シオンは拳を振り上げながら熱弁する。

 

「俺とお前で、このヌルい世界に浸っている連中に見せつけてやろうぜ! GPデュエルで戦い抜いたモンにだけ実現できる、本物のガンプラバトルって奴をよォ!」

 

 シオン──その人物について、私は過去の記憶を振り返りながら考える。

 その人物像を一言で示すなら、極まったガンプラバトル馬鹿である。おそらく私の知る誰よりもガンプラバトルを愛し、GPデュエルにのめり込んでいた。

 自らをGPデュエリストと称するほどその世界に深く浸り続けていたシオンは、類稀なビルド能力を全てガンプラバトルの為だけに注ぎ込んでいたものだ。故にその実力は高く、ことGPDへの拘りは誰よりも深い。

 

 そんな彼だからこそ、ガンプラバトルの世界がGPDからGBNへと移り変わったこの時代に対して何を思っているのかは凡そ察しがつく。

 

 元GPDプレイヤ──―もといGPデュエリストとして、この世界で行われているガンプラバトルがいかに手ぬるいものなのか世界に知らしめてやりたいのだろう。それはバエルの素晴らしさを知らしめる為にGBNに乗り込んだ、この私にも通じる思想だった。

 しかし。

 私は彼の要求に対し、首を横に振る。

 

「残念だが、それは出来ない。君の目指すそれは、私の目指すものとは違う力だからな」

「准将……」

「それに、私には既に同志諸君がいる。彼らと共に駆け上がると決めた以上、引き抜きには応じんよ」

「准将……!」

「そう、私はただ彼らの先頭に立ってアグニカしたいのだ」

「准将ぉおおおおおおおお!」

「ア、アグニカ・カイエルの魂!」

 

 私はただアグニカしたいのであって、元GPDプレイヤー云々については全く考えていない。

 確かに腕利きのビルドファイターである彼と共に戦えば、このメンバーで戦うより楽に上位ランカーになれるかもしれないが、それは私の主義に反する。

 アグニカ・カイエルとは時代を切り拓いたリーダー的存在だ。即ち、私自身がフォースのリーダーでなくなればそれはもはやアグニカン・ドリームを為したとは言えないのだ。

 尤も彼の方が私のフォースに入るのなら話は別だが、私としてはフォースのメンバーは私に近い思想を持った者たちで固めておきたかった。

 それが我々、アグニカンスピリッツなのだ。

 私がそう返すと、シオンは特に驚くことも無く予想通りと言った様子で口を開いた。

 

「類は友を呼ぶって奴か……けっ、ならGPデュエリスト同士、コイツで決めようじゃねぇか!」

 

 嬉々として言い放ち、彼は虚空にウインドウ画面を展開すると高速でタップしていく。

 その瞬間、彼の背後に全高18メートル以上に及ぶ機械の巨人──モビルスーツが姿を現した。

 

「! あの機体は……!?」

 

 出現したその白い機体を見て、イッシーたち一同が驚きの声を上げる。

 白を基調とした青とのツートンカラーに、鋭角的なフォルム。

 背面には二対のウイング型バインダーが折り畳まれており、その姿はパッと見では私の愛するガンダムによく似ていた。

 

「バ、バエルだ!」

「アグニカ・カイエルの魂……?」

「いや、あれはバエル(悪魔)ではない。あれは……そう、天使だ」

 

 酷似した姿から思わず誤認した仲良し四人組に対して、私はやんわりと訂正する。

 その機体の外見には幾つか似ているところは多かったが、バエルではない。

 寧ろそれはソロモン七十二柱の悪魔であるバエルとは対を為す、天使をモチーフにしたガンダムだった。

 イノベイド専用機であり、疑似太陽炉搭載型のモビルスーツ──登場作品は機動戦士ガンダム00外伝。機体名は──

 

1.5(アイズ)ガンダム……その改造機だな」

 

 00セカンドシーズンのラスボスであるリボーンズガンダムの、原型になった機体だ。

 尤もこちらはディティールがややバエルに似せられた上に基より武装の数も増えている改造機のようだが、熟練のバエリストである私には即座に1.5ガンダムと見抜くことができた。

 私の言葉に対して、上機嫌そうににやけながらシオンが語る。

 

「ああ! コイツこそ、今の俺が操る最強のガンプラ──101.5(ワンハンドレッド・アイズ)ガンダムだぁ!」

 

 なるほど……流石はシオン。高校時代よりも、さらにビルド技術を上げたらしい。

 高校時代、君がデュエルガンダムの改造機、ライディングデュエルガンダムを駆って私のグリムゲルデと激闘を繰り広げていた頃を思い出すよ。

 戦績は私の方がやや勝ち越していた気がするが、さてどうだったか。

 

「俺はコイツでてめえにガンプラバトルを挑む! 俺が勝ったら俺のフォースに入れ! てめえが勝ったら好きにしろ!」

 

 面白い。バエルに似た機体でバエルに挑む姿勢……それもまたアグニカだ。

 

「いいだろう。受けて立つ」

「准将!? よろしいのですか?」

「ああ、私はこのガンダム・バエルで迎え撃つ。今一度、どちらが上か示そうではないか」

「ふん、ようやく完成したようだからな。もう言い訳はさせねぇぞ!」

 

 彼の101.5ガンダムと向かい合うように立つ私のガンダム・バエルを見上げながら、シオンが闘志を剥き出しにする。

 それと同じように、仲良し四人組たちが腕を振り上げた。

 

「バエルだ!」

「アグニカ・カイエルの魂!」

「そうだ! 正義(バエル)は我々にあるぅ!」

 

 叩きつけられた挑戦状は受け取るのがアグニカンスピリッツの流儀だ。どちらにせよ彼のフォースとのフォース戦はその内受けるつもりだった私には、彼の申し出を断る理由はなかった。

 負けたら彼のフォースに入るという一方的な条件も付けられたわけだが、元より私に負ける気など無い。

 男は負けた時のことは考えないものだとはドモン・カッシュのセリフだが、私はその発言に対し全面的に同意していた。

 アグニカ・カイエルとは負けない者。よって、戦う前から負けた時のことを考えるべきではないのだ。

 

「我々も丁度、対人戦を再開しようとしていたところだ。申請もあったし、君とはフォース戦で戦った方がいいだろう。日時はいつがいい?」

「そっちで決めて構わねぇぜ? 俺はいつでも準備万端だ」

「そうか、なら明日のこの時間、場所はこの新宿エリアでいいだろう」

「ルールは2対2の掃討戦、いわゆるタッグマッチだ! ここは譲らねぇ!」

「わかった。それでいこう」

 

 フォース戦を受けると決めた瞬間、話はとんとん拍子に纏まっていく。

 しかしタッグマッチとはな。この場合、やはり選抜するダイバーは私とイッシーになるか。

 私が早速当日の予定を考えていると、いつの間にか彼のガンプラである「101.5ガンダム」に乗り込んでいたシオンが高らかに笑い、橙色のGN粒子を撒き散らしながら上昇していった。

 

「楽しいGPデュエルにしようじゃねぇか! ひゃーっはハハハハハ!」

 

 己の満足を求めてGBNにやってきたGPデュエリスト──サティス・F・シオン。

 これまで以上に激しい戦いになりそうだと、私は遠ざかっていく彼のガンプラの姿を見送った。

 そんな私の横に立ちながら、イッシーが彼に対する初対面の感想を口漏らした。

 

「准将に言うのもなんですが……濃い男でしたね」

「強がっているのさ。だが、実力は本物だ」

「そうですね……あの101.5ガンダムというガンプラ、並のビルダーでは出来ない凄まじい改造が施されています」

 

 製作者の意図は不明だが、元々似ていた外見をさらにバエルに寄せて改造した1.5ガンダム──101.5(ワンハンドレッド・アイズ)ガンダム。即ちそれは、「GNバエル」と呼んでも差し支えない機体だった。

 はたしてあれがどんな武装を積んでいるのか、どんな性能をしているのかは今夜プレイ動画でも調べておけばある程度わかるだろう。いずれにせよ、純粋なバエルを使う者として負けられない相手であることに違いはなかった。

 

「GPデュエルの亡霊か……」

 

 GBNの前身であり、古きものとして切り捨てられたガンプラバトル──GPデュエル。

 そのGPDに憑りつかれた亡霊とも言える彼とまた戦えることに、私は確かな悦びを感じていた。 

 シオンよ……思えば君と模型部で切磋琢磨していた頃、私は君の組み立てたガンプラの気高さに強く憧れていたものだ。あの頃の君は、まさに部室に舞い降りた天使のようだった。

 

 だが今の私もまた、あの頃の私より大きく成長した。

 ビルダーとしても。ファイターとしても。

 無論、バエルへの愛も! 

 

 故に、見せてやろう。

 純粋なバエルのみが成立させる……真実のガンプラバトルを。

 

 






「デュ↑エルだぁ!」vs「バ↑エルだぁ!」


 他にもブルー1.5ガンダムとかレッド1.5ガンダムとかオッド1.5ガンダムとかありそう(アークファイブ感)
 クロスレイズやってて思ったけど1.5ガンダムもバエルに似てて好き。
 どうにかしてバエルと戦わせたいなぁと思っていたら丁度前回ネタのつもりでチーム満足を出していたのでこんな感じで登場させることに……これがライブ感というものか
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