花言葉:「あなたを救う」「大事な人」等
先行公開された瞬間からお迎えするまで金沼覚悟してたのに最初の11連で来てくれた良い子。
嫁枠のオジギソウと同じ絵師さんってのもあるけど、何か似た雰囲気を感じる。
「はじめましてなのです、団長さん。アキは暑いのも寒いのも苦手だけど、大切な人を守るために頑張るのです。」
今日配属されたばかりの新人花騎士。アキメネスは最初の自己紹介でそう意気込んだ。
「大切な人?」
「そうなのです。痛くても辛くても大切な人のために戦う。そんな生き方に憧れて、アキは花騎士になったのです!」
ただの興味本位だったのだが、よくぞ聞いてくれましたとばかりに身振り手振りを加えて説明する様が可愛らしい。小柄な体を精一杯使うので、ツインテールに結わえられた若緑色の髪が元気に揺れている。つい悪戯心に駆られ、追加で質問をしてみることにした。その大切な人とは一体誰なのだろうか、と。
はぐらかされる、もしくは家族や友人といった答えを想定しての問い。
「あ、それはまだいないのです。」
思わずガクッとズッコケそうになったが何とか耐える。不思議そうに首を傾げる彼女の様子から、本心で放った言葉であることを伺い知ることができたのだった。
騎士団長たるもの、多くの花騎士の命を預かる立場上、彼女たちが実力を発揮できるように取り計らうべきだと考えている。アキメネスの場合、可能な限りブロッサムヒルやロータスレイクなど気候の安定した地域での任務に就かせるようにしていたのだが、限られた戦力の中では毎回理想通りとはいかないのもまた現実である。
「うぅ……さ、寒いのです。アキ、どんどん眠くなって……。ふわぁ~。」
任務地へと向かう馬車に揺られながら、隣に座るアキメネスが眠たげな瞳を擦っている。ウィンターローズとの国境辺りからずっとこんな調子なのだ。
寒いと眠気に襲われ、暑いとダラーッとしてしまう。誰でも心当たりがあることと言ってしまえばそれまでだが、アキメネスはその影響を受けやすい体質のようだった。本来なら任務の人選から外すべきだが、今回は頑張ってもらうしかない。
あまり辛いなら配置換えを進言することもできると提案してみたのだが、本人は「心配はいらないのです」とやる気はあるようだ。
「アキは花騎士なのですよ。眠くたって害虫くらい倒してみせるのです!」
そこまで言うなら任せてみようと正面を向いたところで、大きな揺れが荷台を襲う。同乗していた他の花騎士たちは問題なさそうだが、睡魔と闘うのに一生懸命だったアキメネスは前のめりに体勢を崩してしまった。
幸い、慌てて伸ばした手が彼女を捉えることには成功したものの、後ろから抱き締めるような格好になってしまった。
どうやら倒木に馬が驚いてしまったのが原因のようで、謝る御者に手を上げて返す。
「……おお?アキ、団長さんに抱っこされているのです?」
こちらはヒヤヒヤさせられたものだが、当の本人はマイペースなものである。
任務中は彼女から目を離すまい、そう誓うのだった。
発見された害虫の巣は報告から予測されていたほどの規模ではなく、現地の騎士団の協力もあって討伐は順調に進んでいた。
「キシャァァ!」
劣勢を悟ったのか、何体かの害虫が強引に包囲網の突破を図るが、後方に配置された部隊がそれを許すことはない。
「害虫には、負けないのです!」
心配していたアキメネスも、順調に戦果をあげているようだ。これなら心配は要らないだろう。
「キシャ……ァ……」
包囲網を徐々に狭め、最後の1体を仕留めたところで感知能力に優れた花騎士を中心に掃討戦へ移行。討ち漏らした害虫がいないことを確認し、共同で任務にあたった団長たちと健闘を讃え合う。
結果的に過剰と言えるほどの戦力投入だったこともあり、上がってくる報告も怪我人に関するものは少ないようだ。
一先ずは安心といったところで、目の前で一緒に報告を聞いていたアキメネスが突然パタリと倒れ込んだ。
慌てて横たわる彼女を抱き起こす。
攻撃を受けた様子はなかったはずだが、毒持ちの害虫の攻撃が掠りでもしていたのか!?
近くにいた者たちも何事かと集まってくる。何人かは医学の心得がある花騎士を呼びに行ってくれていた。
しかし、目で見える範囲に外傷はなく、体に触れて確かめてみてもケガはないようだ。毒に犯されたような顔色でもない。これはまさか……
「団長さん、えっちなのです……。」
倒れた時と同様、突然目をぱちりと開けたかと思うと第一声がこれである。どうやら任務完了の知らせで緊張の糸が切れてしまい、耐えていた眠気が限界を迎えたらしい。
先程までの緊迫した空気が一変、困惑と呆れが入り交じる中、心配と手間を掛けさせてしまったことを謝罪するのだった。
「やぁー!……てぃっ!」
任務の翌朝、威勢の良い声に起こされた。貸し出された宿舎の外を覗いて見るとアキメネスが訓練に励んでいるところだった。まだ早朝と言っても良い時間である。
体質のせいで誤解されることが多いのだが、彼女は決して怠け者というわけではない。この通り訓練は真面目にやるし、空いた時間は執務室の掃除等も引き受けてくれている。むしろ働き者なくらいなのだ。
二度寝をする気にはなれず、近くで見学することにした。彼女がこちらに気付く気配はない。
集中しているのか、それとも……
「ふわぁ……。はっ、まだまだなのです!アキは……今度こそ、団長さんのお役に……立つのです!」
気持ちは嬉しいが、少々根を詰めすぎではないだろうか?
「団長さん!?もしかして……、起こしてしまったのです?」
頃合いを見て声をかけると、アキメネスが慌てたように駆け寄ってきた。
額には大粒の汗を浮かべており、かなり長いこと訓練に励んでいたのが伺えた。
熱心なのは良いことだが、人の気配に気付かないほど根を詰めては本末転倒だ。
口を開きかける彼女に持ってきたタオルを被せて 多少強引に汗を拭き取る。
「団長さん!?痛いのです。暴力反対なのです。」
外でこんな格好のまま話していては風邪をひいてしまう。先ずは汗を流すのが先決。話はそれからだ。
部屋で待機していると、しばらくして扉を控え目にノックする音が響いた。
入室を許可すると普段着に着替え、いつもは結わえている髪をおろしたアキメネスがそこにいた。
「団長さん、アキは騎士団に要らないのです?」
入室と同時に発せられた予想外の問いに一瞬固まってしまう。その沈黙をどう受け取ったのか、みるみる表情を暗くしていく彼女に慌てて否定の言葉を返す。
訓練を途中で止めたことを悪い方に受け取ってしまったようだ。
立ったままだった彼女に椅子を勧め、頭を撫でてやると少しずつ落ち着いてきた。
「寒いのも暑いのも苦手なアキが花騎士に向いてないのはわかっているのです。だから騎士学校を出たときも、団長さんが迷惑に思うなら潔く辞めるつもりだったのです。」
冗談などでは無いのだろう。彼女の表情からはそれほどの真剣さが感じられた。だからこちらも嘘偽りない本心で返す。
得意不得意があるのは誰でも同じだ。むしろ、アキメネスは苦手な環境にかかわらず良く頑張ってくれた。騎士団を辞めさせることなど考えたこともない、と。
「はぁ~、良かったのです。団長さんに要らないって言われたら、アキはどうしようかと思ったのです。」
安心したのか、アキメネスが座っている椅子に体を預けるように座り直す。
そんな彼女へ、だから無理な訓練は控えて欲しい。今朝のことを指摘すると、決まり悪そうに頷くのだった。
アキメネスも落ち着いたので、ベッドに腰かけて彼女と共にゆったりとした時間を過ごしていた。
「団長さん、アキが自己紹介の時に言ってたこと、覚えているのです?」
すると再び、アキメネスが唐突な問いを投げかけてきた。
自己紹介の時というと、大切な人を守るために花騎士になったことをいっているのか?当時はそういう人はまだいないと答えていたはずだ。
「そうなのです。」
こちらの答えに満足したように彼女は続ける。
「最近になって、アキの大切な人は団長さんなんだって気付いたのです。だからアキは眠くても実力を出しきることができたのです!」
最後は寝ちゃったけど、と照れた笑みを浮かべるアキメネス。一方のこちらはというと、さらっと行われた告白劇に思考がついてきておらず、彼女の言葉が浸透してくるのに合わせて顔が熱くなるのを感じていた。
「弱いアキでも受け止めてくれて、優しくしてくれる。そんな団長さんを好きになるのは当たり前なのです。団長さんを守るためなら、アキはどんな場所でも勝ってみせるのです。」
言い終わるのが早いか、ベッドに座るこちらの隣へと移動し、身を寄せてくるアキメネス。
この宿舎を発つまでまだ余裕がある。私たちは時間ギリギリまで甘い時間を過ごすのだった。
ちなみに、時間ギリギリまで粘ったあげく、同時に集合場所に現れた私たちを他の花騎士たちが質問攻めにしたのは言うまでもない。
ちょくちょく秋桜挟んだけどどうなんだろうか?
ネタが浮かびすぎて1周回って原作に寄るというね……
開花を楽しみにしてる子の1人なので、実装されたらまた描きたい願望。