花言葉:「信頼」「互いをよく知る」など
自称ミジンコ魔女だの毒舌黒魔女だのに隠れてしまった感があるけど、個人的にはかなりお気に入りの子。登場したイベント的にクリスマス色が強いけど、他イベントでも活躍を見てみたい(別Ver.щ(゜▽゜щ))
緊急警報が鳴り響く中、とある花騎士の一団が懸命に街中への害虫の侵入を防いでいた。
「あと少しの辛抱です。もうすぐ救援が到着しますよ!」
吹く風に金色をした柔らかな髪を靡かせ、聖歌隊を思わせる赤を基調とした衣装を翻す1人の花騎士。この部隊のリーダーを任されたコーレアが新たに害虫を打ち倒しつつ、厳しい戦況にいる味方を勇気づけるように声を張り上げる。
いつ終わるとも知れない持久戦。害虫が次々と押し寄せる中、疲労と絶望に俯きかけていた面々の表情に希望の火が灯ったのを感じた。
「近隣住民の避難は完了しました。後はみんなで生き残るだけです!」
避難完了の報。それはつまり、誘導に割いていた戦力がこちらへ加わることを意味していた。出口の無い迷路をさ迷っていた面々にとって、一筋の光明が見えた瞬間だっただろう。
「害虫が集結する動きを見せているようです。私が先陣を切りますから、援護をお願いします!」
コーレアは優れた聴覚を活かして害虫の動きを先読みし、的確に指示を出していく。
戦力を集中し一点突破を狙っていたであろう害虫たちは、先手を打って展開していた花騎士たちによって逆に一網打尽にされていく。
最後の力を振り絞り、息を吹き返したこちらとは対照的に、あれほど攻勢だった害虫の群は徐々に後退を余儀なくされていくのだった。
「団長さま、お呼びですか?せっかくなので前回の任務の報告書をお持ちしました。」
ノックの音に返事を返すと、先日の防衛任務の功労者であるコーレアが書類の束を持って入室してくる。
提出された報告書の出来も申し分なく、改めて彼女の活躍に称賛を送る。
「いえ、部隊の皆が頑張ってくれた結果ですし。それに、団長さまの判断を信じて従っただけですから。」
謙遜するコーレアだが、彼女をわざわざ呼び出したのも上層部が今回の彼女の働きを高く評価しているからに他ならない。
彼女の働きによって浮いた街の補修費用程度なら望む褒賞を与えるようにとお達しが来ている。
「そんな、褒賞だなんて……。」
中々首を縦に振らないコーレアに対し、これは参加した花騎士の総意であることを伝える。
「みなさんの、ですか?」
そうなのである。本来、防衛線の維持に寄与した全員に分配されるはずだったのだが、口を揃えて彼女の功績だと主張するものだから、これを断られたらこちらも困ってしまう。
もちろん、通常よりいくらか上乗せした報酬は全員に支払われることになるが、今はリーダーとして頑張ったコーレアを労わせて欲しい。そう言って未だに恐縮しきりの彼女に頭を下げる。
それでも逡巡していたコーレアだったが、やがて遠慮がちに要望を伝えてきたのだった。
待ち合わせのため、ウィンターローズのとある教会までやって来ていた。一列に並んだ少女たちがハンドベルの練習に励んでいる。
視線を巡らせると目当ての人物が真剣な表情で指揮棒を振るっていた。
彼女に向けられる視線からは指揮に対する高い信頼が伺え、調和の取れた旋律は聞いていて心地好かった。
透き通った音色に暫し耳を傾ける。
「……はい、今日の練習はここまでにしましょう。想いの込もった良い演奏でしたよ。」
どれだけそうしていただろうか。演奏の終わりを残念に思っていると、帰り支度を整えたコーレアがこちらに駆け寄ってくる。
「お待たせしてしまって申し訳ありません、団長さま。つい練習に入れ込んでしまって……。約束の時間は大丈夫ですか?」
不安そうに問いかけられるが、時間ピッタリなので問題はない。むしろ、素晴らしい演奏をもっと聞いていたかったくらいだ。
「あっ……えへへ、ありがとうございます団長さま。あの子たちも喜びますよ。」
演奏を褒められたことを我がことのように喜ぶコーレア。そんな姿が愛らしく、彼女の頭に手を置きかけたところで、何やら複数の視線がこちらに集まっているのを感じた。
「ねぇねぇ、あれってコーレア先輩がいつも言ってる団長さま?」
「うん、何度か練習を見に来てたこともあるし間違いないよ。」
「合唱団の男の子たちにも知り合いは多いのにデートの誘いは全部断ってるって聞いてたけど……そういうことね。」
自分にも聞こえるほどなので、耳の良いコーレアには彼女たちのはしゃいだ声がしっかり届いていることだろう。
「…………。」
最初はお預けをくらった子猫のような視線で見上げていたのだが、今は耳まで真っ赤にして俯いている。
このまま頭を撫でた時の反応も見てみたいと悪戯心が芽生えたが、あまりいじめるのも可哀想なので場所の移動を提案するのだった。
復活したコーレアを引き連れ、予約していた店へと足を踏み入れた。
「フンフフーン♪団長さまとお食事なんて……ああ、幸せです~♪」
大衆食堂というわけではないが、特段高価な店というわけでもない。店には少々失礼かもしれないが、こんなもので良いのかと改めて問いかけてしまう。
問いかけられたコーレアはというと、陽気に鼻歌など口ずさみながら幸せそうに食べ物を口に運んでいた。
「もちろんです。大事なのは『誰と一緒にいるか』なんですから。」
堂々と言い切った彼女の言葉に今度はこちらが赤面する番だった。
適度に腹も膨れたところで、今回の事について改めて彼女に感謝の言葉を述べる。あの時、防衛線が突破されていたらと思うとゾッとする。
「だからそれは……って、団長さま!?」
謙遜されることは分かっていたので、有無を言わせず彼女の頭をポンポンと撫でていく。
恥ずかしそうに頬を染めるコーレアだがこちらの手を振りほどいたりする様子はない。
むしろ、撫でていくにつれてうっとりとした表情を浮かべていく。
普段はしっかり者でみんなから頼られている印象が強いだけに、これだけ弛緩しきった表情の彼女を見るのはたいへん珍しく、つい夢中になって撫で続けてしまう。
「あっ……んっ、団長さま、ああ……。もっと……。」
やがて、コーレアが艶のある声を上げ始め、周りの視線が気になり始めたところでやっと正気を取り戻すことができた。
頭を撫でているだけにも関わらず何かイケナイことをしているような錯覚に囚われる。
「はにゃ……、団長、さま?」
突然の中断されたことに疑問の声をあげるコーレア。まだ思考が追い付いていないのか、口には出さないものの、その瞳は続きをせがんでいるようだった。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません、団長さま。」
頭を下げる彼女に、気にすることはないと応じるが、正直どうやってここまでの道のりを歩いて来たのか記憶が曖昧だ。
完全にふにゃふにゃになってしまったコーレアを背負いつつ、彼女の私室まで送り届けることには成功したものの、主観的に見ても年頃の女の子を背負って人目を気にしながら移動する男の図はあまりに怪しく、憲兵隊まで通報が寄せられていても文句を言えない光景であった。
「団長さまに撫でてもらうと、ああなっちゃうんですよね、私……。人目もあるのに心の底から幸せな気持ちになってしまって……。」
落ち込んだように語るコーレアだが、男としては嬉しい限りである。常に周りに気を配り、周囲から頼りにされている彼女だが、自分と2人の時くらいは甘えて欲しいと思う。
そう素直な気持ちを伝えると、俯いたままだった彼女が一瞬ピクリと反応を見せ、やがて意を決したように顔を上げる。
「でしたら、その……さっきの続き、してもらえませんか?頑張ったご褒美に、たくさんたくさん甘やかしてください!」
そう言って抱きついてくる彼女をしっかりと受け止める。
その体勢のまま頭を撫でてやると、先ほどまでと違って人目がないためか、あっという間に表情を蕩けさせるコーレア。その妖艶な様に誘われるようにキスを落とすと、もっともっととより激しく求めてくる。
元々が彼女に対するご褒美でたるため、こちらに否やはなかったのだが、普段は真面目で控え目な彼女の艶姿に盛り上がってしまい、翌日が休暇であることを良いことに朝まで甘やかし続けたのだった。
もはや日常過ぎて団長が女の子抱えてるくらいじゃ誰も通報しない説。