花言葉:「危険な恋」「固い友情」「情熱」など
“あの”団長が禁欲を指示するとかどの口がって感じですけど、開花キャラクエは「よくやった」の一言、これに尽きます(個人的には生温いとも思っていますが)。
通常衣装はイベ金なので気になった人は黙って再復刻を回りましょう。お迎えしたらキャラクエ→デート→寝室の順番を厳守すること!
「それじゃあ頼んだよ、ディプラデニア」
その日の彼はいつもと変わらなかった……と思います。
いつものように優しい笑顔、優しい声で私を見送ってくれました。
他に同行する花騎士はいない、1人だけの任務。
彼も「妻との記念日くらい祝ってやらないと面目が立たないだろ?」とすまなそうな口振り。
本音を言えば少し寂しかったけれど、この任務を成功させれば、また私を愛してくれる……そう約束してくれました。
恋をしている。その自覚はあった。
これが許されない恋であることも。それでも……
「信頼しているよ」
彼が必要としてくれている。私のすべてを捧げるのにそれ以上の理由は必要ありませんでした。
禁断の関係というスパイスが、どこまでも私を熱くしたのです。
ディプラデニアの花言葉は「危険な恋」。
なんて私にピッタリな言葉だろう。当時は無邪気にそんなことを考えていました。
彼の思惑も知らず、帰還した後の情事について語る……どれだけ滑稽に映っていたのだろう。
いざ対面した害虫は、明らかに私1人の手に負える相手ではありませんでした。
渾身の力を込めた攻撃はすべて弾かれ、助けを求めようにも孤立無援の状態。言葉も通じない相手に命乞いを繰り返す無様な姿を、もし彼が見ていたら想定通りだと笑ったでしょうか。
でも、幸か不幸か私は生き延びた。
命からがら逃げ帰り、医務室のベッドに横たわる私に向けられた彼の瞳。
僅かに残された希望を打ち砕くには、それだけで十分でした。
書いた記憶のない長期休暇の申請書。彼からの信頼の証と意気込んでいた単独任務は、私の独断専行ということになっていました。
元々人付き合いが上手い方ではなかったけど、身体の傷が癒えた頃には私と関わろうとする人などいません。
寂しさを埋めるように、私は訓練と討伐任務に明け暮れるようになりました。
戦いに身を置いている間はすべてを忘れることができる。
任務後のご褒美のために怪我を恐れて消極的になる必要もない。
無茶な戦いをしているのは分かっていた。
任務で一緒になった、事情を知らない花騎士に心配されたりもしたけど、 彼女たちのほとんどは次第に距離を置くようになっていった。
それでも、任務を重ねる内に実績を出していく私を誰かが疎ましく思ったのでしょう。
いつしか私室に男を連れ込んでいるという噂がまことしやかに語られるようになり、風紀を乱したという理由で私は騎士団を追われることになりました。
最初は途方に暮れましたが、勤め先に困ることはありませんでした。追い出される原因となった噂を聞き付けた男たちが、私を欲しがったから。
一度は彼にすべてを捧げると誓った身体ですが、その彼から裏切られたのだから貞節を守る価値もない。
ただ噂が真実になっただけのこと。
誰彼構わず男に付いていく私を蔑む視線。
それでも、どんな形であっても……誰かに必要とされる実感が嬉しかった。
ただ、もう間違えない。
身体を重ねるのは、お互いに都合が良いから。
相手にとって都合の良い女でいれば、愛を注いでもらえる。
それが空虚なものだと分かっていても、私から求めて裏切られるよりは……ずっと良い。
移籍初日。それは私にとって、多少の違いはあっても同じこと。
今回の移籍は距離が離れていたこともあって夜の到着予定。
挨拶なら割り当てられた部屋で休んで翌日に改めて来てくれれば良いとのことでした……表向きは、ということでしょう。
扉を開けたそばから求められることもあった。
好みも人それぞれな衣装を手に、私室で待機を命じられたことも。
今度の団長さんはどんな人でしょうか……
明かりが漏れる執務室の扉を叩き、返事を待ってから入室する。
私を出迎えたのは、書類の山でした。
戦略指南書に討伐任務の報告書、決済書類に……始末書?
執務机に座っているだろう団長さんの顔が見えない程に積まれた書類、書類、書類。
不覚にも呆けた声を上げてしまいました。
「君は?」
聞きなれない声に反応したのでしょう。
自己紹介をしようとする私に、彼の方が先に気付いたようでした。
「真面目だね、君は。長旅で疲れているだろう?
挨拶なんて後回しにしてゆっくり休ませるようにと言伝てを頼んだはずなんだが……」
困ったように肩を竦める団長さんに慌てて自分が勝手にしたことだと伝えると「真面目だね」と先程の言葉を繰り返される。
結局、なし崩しに割り当てられた部屋まで案内され、私が何か言う前に元来た道を戻って行ってしまいました。
あぁ、きっとそういったプレイの一環なのでしょう……既に爛れきった私の思考はそう結論付けました。
放置プレイとは珍しいですが、それならこの時間を焦らしとして楽しむことにしましょう。
今この瞬間にも、目の前の扉を開けて油断した私を暴れ馬のように……。
翌朝、改めて挨拶に訪れた私が余計に疲れた表情をしていたので、団長さんに心配されてしまうのでした。
ここの団長さんはとても優しい人です。
移籍して来て初の任務。無事に任務を終えた私を、彼はたくさん誉めてくれたけど、同時にたくさん叱られました。いつものように無茶な特攻を繰り返し、細かい擦り傷をたくさん作って帰還した結果でした。
世界花の加護を持たない一般人なら害虫の毒で致命傷になりかねない。でも、私たち花騎士にとっては本当にただの掠り傷なのに……
ただ、叱られた後にぎゅっと抱き締めてもらいました。こちらからも触れようとしたところで慌てて距離を取られましたが……思えば、誰かに優しく抱き締めてもらったのはいつ以来でしょうか。
私室に戻った後、団長さんの温もりを名残惜しく感じている自分に気付きました。
自分からは求めないと誓ったのに、触れようとすらしていた?
首を振って否定する。
未だに団長さんが私を誘ってくれる様子はありません。
奥手なのか、そもそも女性の身体に興味がないのか……という可能性は後日、執務室を掃除に訪れた花騎士にエッチな本が見つかってお説教をされている姿を見かけたので否定されました。
欲求不満なら私を抱けば良いのに……
悶々とした日々を過ごしてはいましたが、これまでのように街で適当な男を捕まえようとは思いませんでした。
いえ、そうしようとする度に誉めてもらった時の笑顔がちらつくようになったと言う方が正確でしょうか。
何度もこうして騎士団を転々として来たし、罪悪感はない。だけど、優しくしてくれた団長さんにまで迷惑をかけるのは避けたかった。
“あの人”の下にいた時と似た感情。
身体は重ねていなくても、不思議と満たされる感覚。
妻子はいないらしい。“あの人”の時とは違う。
でも、出会うのが遅すぎました。
近くにいれば嫌でも分かるほどに、彼は多くの花騎士に慕われている。
そうでなくても、いまさら私に誰かを求める資格なんてあるわけがない……
「ディプラデニアちゃん?」
私の名前を呼ぶ声がした。
今となっては心当たりなんて1人しかいない。
「やっぱりディプラデニアちゃんだ♪」
年上のはずの私をちゃん付けで呼ぶ、見た目だけならもっと年下にも見える同郷の花騎士。
「また何か悩んでる……良かったらまたプルメリアが膝枕してあげましょうか?」
今の私にも、変わらない態度で接してくれる。彼女の心意気はありがたい。ありがたいけれど!
周囲の漏らす忍び笑いに居たたまれなくなり、私は首を傾げる彼女の手を取ってこの場を離れるのだった。
「そっかー、ついにディプラデニアちゃんをお迎えできたんですね。これで私も安心できます。
一時はどうなるかと思いましたけど」
場所を変えてプルメリアと話に花を咲かせていると(膝枕はされてませんよ?一応)、聞き捨てならないことを言われた気がする。
「あれ、あの人まだ話してなかったんですか?
はぁ、奥手な人だとは思ってましたけど……」
不本意な始末書も書き終え、不在時に溜まっていた書類も大分片付いてきた。
片付ける度に新たな書類が追加されていくさまは、2度と経験したくはない。
急ぎの決裁が必要な書類は他に回るように調整してもらったのだが、謹慎前に行った討伐任務の報告書となればそうもいかない。
馬鹿なことをしたとは思うが、後悔はない。
「ディプラデニア?なんだよ、お前あいつのこと好きだったのか?
だったらもっと早く言えよ!そうすりゃ、こんな回りくどいことせずにくれてやったのに。
今頃どっかで害虫の餌になってるかも知れねぇけどな」
スカした顔を思い出す度に、今でも腸が煮えくり返るようだ。
奇跡的に生還した彼女を言葉通りこちらに転属させなかったのは、あの時殴ったことへの当て付けだろう。
結果、余計に彼女を傷付けてしまった。
そんな彼女をこれ以上傷付けてしまわぬようにと、こちらから想いを伝えるようなことは控えるつもりだったのだが、我が身を省みない姿に耐えられなかった。
とっさに抱き締めてしまった後、彼女はどんな表情をしていただろうか?
そんな事を考えていると扉を叩く音に思考を中断させられる。
書類の提出を急かしに来た文官の誰かだろう。
そう当たりを付け、 やれやれと重い腰を上げるのだった。
これ以上書くと寝室に突入しそうなのでギブアップです(苦笑)
文字数的にも目安越えてるのでこの辺で投稿。
個人的にはこの後、被害者とはいえ宿舎で暴力沙汰起こしたんだからクズが事情を徹底的に追求されれば良い。
消化不良感がヤバいのでいつか仲を深めたその後も書きたい願望