「静かな喜び」「変わらぬ愛」等
立ち絵イラストでは素肌の露出がほぼ皆無という故郷どころか春庭全土でも稀有な子。
バナナ所属の花騎士は、ディプラちゃんに次いで2人目(嫁も出身はバナナですが)!……私はこの国だと“らしく”ない子から書く縛りでもやってるんだろうか(苦笑)
今度バナナの子をメインにする時はそれっぽい子を書きます! ……多分。
「はぁ……」
目的地である扉の前に辿り着くと、抑えていた緊張がまた顔を出しました。
初対面の人と会うのは、やっぱり恥ずかしい。
でも、そう言ってばかりもいられません。この扉の先にいるのは、これから任務で一緒に戦う仲間ですから。
普段は慣れた人と組めるように編成を工夫してくれる団長さんですが、緊急の支援要請ともなればそこまで気を回す余裕はなかったのでしょう。
不安はあります……でも、同じくらい楽しみでもありました。
仲良くなれる人がいると良いなぁ……そんなことを考えながら何度も確認した身だしなみをもう一度チェックしていると、後ろから「ねぇ?」と声をかけられました。
「ひゃっ!?」
突然のことで変な声が出てしまいます。考えてみれば、わたしが最後の1人だとも限らないのに扉の前に陣取っていては迷惑になるのは当然のことです。
慌てて振り返った先にいたのは、小柄と言われるわたしとそこまで背格好の変わらない女の子でした。
「えへへ、驚かせちゃったかな?ここにいるってことはあなたも同じ任務に参加する花騎士だよね?」
幸い怒ったりしてる様子はなく、人懐っこい笑顔で逆にいきなり声をかけたことを謝ってくれました。
「ゴ、ゴデチアって言います。よろしくお願いします」
「ゴデチアちゃんだね、よろしく~♪」
わたしのたどたどしい自己紹介に柔らかい笑みで応じてくれたオレンジ色の長髪にハンマーを背負った花騎士。でも、何より特徴的なのは衣装のいたるところにあしらわれたドクロでした。
直接お話したことはなかったのですが、その特徴的な容姿には心当たりがあります。
名前は確か……
「キンギョソウだよ。花言葉は清純な心!
あとは図々しいとか……騒々しいとか……でしゃばり……。
でも、そんなことはどうでも良くて、好きなものはドクロ!だって可愛いでしょ?可愛いよね?」
団長さんも到着したので、ほとんどの人が初対面ということもあって任務の説明を聞く前に軽く自己紹介をすることになったのですが、キンギョソウさんは身に付けたドクログッズを自慢気に披露しながら瞳をキラキラさせて語り始めました。
「どこが良いのかって?んー、全部?
だってドクロだよ?それだけで最高でしょ!こっちのはこの間手に入れたばかりの新作なんだけど……」
わたしには初対面の相手を前に自分の好きなものについて語るなんてとても真似できそうにありません。
これくらい積極的な女の子の方が団長さんも話してて楽しいのかな~なんて余計な思考を追い出していると、このまま放っておいたら永遠とドクロの魅力について話しかねないと思ったのでしょう。さすがに団長さんが待ったをかけました。
「あー、キンギョソウ。悪いんだがそろそろ任務の説明をしても良いか?」
「えー、仕方がないな……」
まだ語り足りない様子のキンギョソウさんでしたが、素直に聞く姿勢を取ってくれたので室内にホッとした空気が流れます。
自己紹介は彼女が最後だったので、団長さんはそのまま任務の説明を始めたのでした。
「すまない、ゴデチア」
他の花騎士さんが準備のために退室したのを確認して、団長さんが頭を下げてきました。
今回の任務先であるバナナオーシャンには、本来なら休暇を使って2人きりで出かける予定だったからです。
わたしの故郷でもあるバナナオーシャンは常夏の世界花とも称される程年中温かい気候が特徴で、寒い日が続くと体調を崩しがちなわたしに、寒さが本格化する前に温かいところでゆっくり身体を休めて欲しいという計らいからでした。
それなのにたまたま人員不足の状況で支援要請のあったところへ向かうことを理由に討伐任務を押し付けられてしまい、責任を感じているみたいです。
上層部からは見返りに休暇の延長が認められましたが、当然2人でゆっくりできる時間はあまり取れないでしょう。でも……
「何とか時間を調整して少しでも2人で過ごせる時間を……」
そう提案する団長さんに、私は首を横に振って答えます。
この任務に参加する他の花騎士さんは、突然の召集なのに嫌な顔1つしませんでした。
花騎士としての使命感もあると思いますが、1番の理由は団長さんが普段からみんなのことを考えてくれているのが伝わっているからでしょう。
そんな人気者の団長さんを、わたしだけで独占して良いわけがありません。
なんて……キンギョソウさんのように真っ直ぐ伝えられれば良かったのですが、わたしはうまく言葉にすることができません。
アワアワと立ち尽くしていると団長さんは優しく頭を撫でてくれたのでした。
『ゴデチアートランス!』
用意されていた魔方陣から出現した魔力の槍に貫かれ、断末魔の声をあげる害虫が塵となって消えていきます。
討伐対象の害虫は支援要請が出るだけあってかなりの数でしたが、群のボスと言われる強力な個体はいなかったので大きな怪我をすることもなく無事に任務を終えることができました。
「団長、無事に任務も片付いたんだし海行きましょう、海!」
「そうね、せっかくバナナオーシャンに来たんだし、行かなきゃ損よね」
団長さんは既にたくさんの花騎士からお誘いを受けているようでした。
「ゴデチアちゃんは行かないの?」
そんな誘いもありましたが、わたしは肌の露出が多い格好は得意ではありません。
常夏のバナナオーシャンだけあって普段より薄着になっているみなさんの衣装でも気になるくらいなので、水着となると想像するだけで……
「わ、わたしはちょっと……」
その言葉を口にした瞬間、力いっぱい引っ張られる感覚がしたので見てみると、瞳を輝かせたキンギョソウさんでした。
「じゃあ、ゴデチアちゃんは私の買い物に付き合ってくれない?地元ここだったよね?
ドクロのアクセサリーとか売ってそうなところ知ってたら教えて♪」
言うが早いか、そのまま移動を開始しようとするキンギョソウさんに苦笑しながらも、特にやりたいことも無かったので付いていくことにしたのでした。
「あー、やっぱりゴデチアちゃんに聞いて正解だったよ♪
私の直感だけじゃここまでの品物には出会えなかったと思うし、戦闘の時から思ってたけど今日は冴えてるなー!」
買い物を終えて入った喫茶店で、キンギョソウさんはさっそく戦利品を取り出してはうっとりとした表情を浮かべています。
「えっへへ♪ゴデチアちゃんはやっぱり優しい子だなー。
最初に会ったとき、私の直感にピーンと来たんだよね!」
「わ、わたしが優しい……ですか? あぅ……褒めてもらえるようなことじゃないですよ!」
突然の誉め言葉に恐縮してしまいますが、キンギョソウさんは首を振って周りを見るように促してきます。
疑問に思いながら店内を眺めて見ると、かなりの数の視線がわたしたちのテーブルへと集まっていました。
「私の趣味って、どうやら周りから見るとかなり変みたい。私は普通だと思うんだけどな~。
まぁ、私は可愛いって思ってるから全然良いんだけど、買い物に付き合ってくれる子はほとんどいないかな」
最初の自己紹介の時にも思ったことですが、ここまで明確に自分を表現できる彼女を羨ましいな~と思ってしまいます。
ドクロについて語るキンギョソウさんはとても魅力的で可愛いと思えるから。
「ふぇっ?可愛い?えっへへ……♪
もうっ、団長さんはこんな良い子放って何をしてるんだ!」
独り言のつもりで言ったのに聞こえていたみたいで、真っ赤になって照れるキンギョソウさん。
何やら1人でぶつぶつとしゃべっていたかと思うと、買い物に連れ出されたときと同じように、突然店を飛び出していってしまいました。
どうやら、キンギョソウさんは得意の直感で今回の任務がセッティングされた経緯をある程度理解していたようです。
その後、ビーチから団長さんを連れ出してきたキンギョソウさんが戻ってきたのですが、水着のままだったため、あまりの肌面積の多さに失神してしまい、さらに注目を集めることになってしまったのでした。
キンギョソウ
花言葉:「清純な心」「図々しい」「でしゃばり」「予知」等
タイトル二人分だったんですが、どれくらいの方が気付きましたかね?
何か最初はサブで書いてたはずのキンギョソウが思ったより目立ってきて、さすがはでしゃb……失礼しました。