とある花騎士団長の庭園   作:とある花騎士団長

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ディアスキア
花言葉:「無邪気」「私を信じて」「私を許して」等
副団長に置いてる嫁枠とはまた違うんだけど、幸せになってもらいたい。こういう娘見てると思う。



4.「私を信じて」ほしい「無邪気」な花騎士 ―イタズラの裏の本音―

「ボクが新しく団長さんの奥さんになった、ディアスキアだよ~。ボクのこと、末永く幸せにしてね?なーんて、まだ結婚してませんでした~。

あははっ♪奥さんじゃないけど、楽しくやっていけたらいいな! よろしくね。」

今日からお世話になる騎士団の団長さんに自己紹介を済ませると、一瞬驚いたような表情を浮かべていたけど、温かく迎え入れてくれた。

怒られることを想像していたんだけど、見た目の通り優しそうな人だな~。ボクが団長さんに抱いた第一印象は『頼り無さそうだけど優しい人』だった。

あれから随分経つけど、『優しい人』って評価は今でも変わらない。

「見て見て団長~。団長さんの服にお花の刺繍してみたの!結構上手にできてるでしょ?んー、やっぱダメ?ごめん、ごめんって、許して~。」

「団長さん、喉渇いたでしょ?お茶どうぞ!え!?やだな~、変なものは入ってないよ?団長さんが元気になる成分だけだから。信じて♪」

多少のイタズラなら許してね、とはお願いしたけど、ちょっと簡単に信じすぎじゃないかな…。

団長さんがボクたちのためにたくさん努力をしてくれているのは知ってる。訓練とはいえ、世界花の加護があるボクたちでも油断してると1本取られることもあるし、作戦に参加する花騎士が怪我をしないように夜遅くまで作戦の見直しは当たり前。だから、みんなも団長さんの指示に命を預けられる。

団長さんがみんなに優しいところも良いなって思うけど、自分を特別に見てほしいとも思ってしまう。大抵のイタズラなら笑って許してくれる。こんなボクのことを真面目だなんて言ってくれるし、信じてくれる。団長さんのことが好きなんだって時間するのに、そんなに時間はかからなかった。

死なせたくない。お父さんたちと同じにはさせたくないと強く思う。

 

 

 

「ここの防衛ラインはもうダメだ。動ける者は市民の避難を最優先に!」

切羽詰まったような男性の声が周囲に響く。害虫の猛攻に少しずつ押し込まれ、すぐ後ろには民家が迫っている。そんな中、遂に何匹かの害虫が防衛ラインを突破し始めていた。

慌てて武器を手に取ろうとして、自分の姿を見下ろしたところでそれが無駄なことに気付く。

花騎士として戦線に加わりたくても、相棒である双剣はここにはない。そもそも、今のボクは非力な『あの時』の姿なのだ。武器なんて持ったところで何もできはしない。

無力感に俯く視界の外では、先程声を上げた男性と1人の花騎士が群のボスらしい大型の害虫を相手取っている。身の丈の何倍もある大型害虫をたった2人で追い詰めていく。しかし、形勢不利を悟ったボス害虫は市街地を襲っていた部下の小型害虫を呼び戻した。

「お父さん!お母さん!」

これから起こることは何度も見たから知っている。無駄と分かっていても、精一杯の大声で両親に呼び掛ける。

ボクはこの光景を直接見ていたわけじゃない。当時のボクは両親の帰りを信じて待っているしかなかった。

2人がほとんどの害虫を引き付けてくれたおかげで戦力が手薄になった市街地の害虫を討伐。救援にきた部隊と挟み撃ちで残りの害虫も殲滅したそうだ。でも、両親の救助は間に合わなかった。

ボス害虫は散々手こずらされた腹いせに両親の亡骸に八つ当たりしたらしく、その状態は相当酷いものだったようで、まだ幼かったボクに見せれるものではないと判断された。

最後に見たのは、任務に出発させまいと抱きつき、泣きじゃくるボクを必死にあやす困り顔だ。

ボクは両親と親交のあった2人の花騎士に引き取られ、ボク自身もママたちやお母さんと同じ花騎士になった。

「嫌な夢見ちゃったな…」

パジャマが汗で貼り付いて気持ち悪い。まだ朝までかなり時間があるけど、このまま寝直す気分にはなれそうにない。

 

 

 

花騎士としての正装に身を包み、寝静まった城内を進む。目的地である訓練場には、もちろん人の姿はない。

双剣を片方ずつ抜いて納めてを繰り返したり、そのまま切りつける動作を加えたりと入念に身体を暖める。後は最後の仕上げだ。

完全に両手に馴染んだ双剣を抜き放ち、打ち込み練習用のカカシを前に軽く深呼吸。一息に距離を詰めてすれ違いざまに一閃。返す刀で回転を加えた切り上げ、更に両手の剣を交差させて落下の力を上乗せした止めの一撃。『セイントクロス』花騎士として磨き上げたボクの得意技。

「ふぅ……。」

八つ当たりの様なものかもしれないけど、こうして身体を動かしていれば多少はスッキリする。

後何発か打ち込めば……。

「ディアスキアか?こんな時間の訓練は危ないぞ?」

「えっ…団長、さん?」

次の一撃を繰り出そうとしたところに声をかけられ、危うくつんのめるところだった。

抗議の視線を送るけど、団長さんはすまなそうに頭を掻きながらも「危ないものは危ないぞ」と先程と同じ事を繰り返す。

見つかったのは計算外だったけど、見つかったのは団長さんだし、せっかくだから憂さ晴らしに協力してもらおう。

正直、普段はイタズラを仕掛ける側だから、不意を突かれたのがちょっと悔しい。

「もう、団長さん。いつから覗いてたのかな~?ボクの衣装のスカートってこんなだし、最後の捲れ方とか結構際どかったんじゃない?中見えたりしちゃった?」

こんな暗がりの中でスカートが捲れたところで、しかも花騎士の全力の動きの中で見えるはずない。そんなこと、ちょっと考えればわかるのに団長さんは面白いように慌て始めた。

「恥ずかしいけど、大好きな団長さんになら、良いよ?」

スカートの裾を持ち上げギリギリのところまで持ち上げる。先程とは違いさすがにこの距離からだとこれ以上持ち上げれば見えてしまう。

団長さんが手で顔を覆ったタイミングで、素早く懐に入り込み、そのまま抱きつく。

してやったりという顔で団長さんの顔を見上げる。困惑半分といった顔を見てこれで満足、と思ったんだけど…。

突然団長さんの表情が困惑から驚愕へと変わる。

「え!?」

気付くとボクの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。団長さんが心配そうに声をかけてくれるけど、ボク自身がなんでこんなことになってるのか分からない。

「どこにも、行かないで……。」

自然と口から出た言葉に、団長さんが先に状況を理解したみたいで、必死にしがみつくボクを優しく抱き締めてくれた。

気持ちが落ち着いて行くにつれて、 夢の中の自分と重なってしまったんだと気づく。状況なんてまったく違うはずなのに、抱きついて見上げた団長さんの顔が、任務に出発しようとするお父さんと重なって見えたんだとはっきり自覚する。

本当に恥ずかしいったらない。さっきからボク、ただの情緒不安定じゃないか!

これ以上晒すような恥も残ってないし、理性の限界を言外に訴える団長さんの反応を確認したところで、お礼も兼ねてボクを差し出すことにする。

 

 




正直、出来には納得してないけどこれ以上投稿ペースが開くとエタりそうだったので投稿。

書きかけも貯まってきてるし、できれば投稿ペース上げていきたいけど仕事が……。

両親のこととかまだ明かされてない部分も多く、大分秋桜で補ってるので出来にイマイチ納得がいかない。開花来たら絶対リベンジしたい娘。

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