花言葉:「情熱」「私はあなたを信じます」等
本人が自覚している通り、心の機微とかを察するのは下手なんだけど知識や経験から理解しようと頑張る真面目で努力家な子。
動物が好きで道端でじゃれあっていたり、季節ボイスでは素直に大好きって言ってくれたり……案外可愛らしい部分をたくさん見せてくれますよ!
『私はあなたを信じます』
花騎士としての私の名前、ブーゲンビリアが持つ花言葉の1つだ。
なんて似つかわしくない言葉だろう。そう思った。
私が信じるのは結果だけ。実績、戦績、功績、言葉は何でも良い。
私は曖昧なものを信じない。何かを察したり感じ取ったり、そういうのは苦手。
特に心の機微なんかがそう……本人にしか分からない過程とか頑張りとか、熱中なんかをどうやって察すれば良いのか分からない。
騎士学校にいたときは、それが原因で同級生とトラブルになることも多かった。何度も同じようなことがあって、私は周りと関わるのをやめた。
なぜみんなと同じようにできないのか悩むことはあったけど、特段困るようなこともなかったから。
でも、最近は少し考えが変わってきた。
一団から離れていた私に、彼女の方から話しかけてくれたのがきっかけ。
任務地への移動中、一匹の野良猫がすり寄ってきて、よほど機嫌が良かったのか無防備にお腹を晒してきた。
「猫がお好きなんですの?」
リリィウッド所属の花騎士。ブルーレースフラワーさんだ。
普段は話しかけてくる相手なんていなくて、盛大に撫で回していたところだったから気まずさもあって頷くだけの素っ気ない態度を取ってしまったと思う。
彼女はそんな対応に文句を言うでもなく、かと言ってぐいぐい来るでもない。
自然な距離感のまま、任務の後にはこんな私を“友達”だと言ってくれた。
言葉にしてくれる。ただそれだけのことがとても嬉しかった。
友達だと言ってくれる彼女の気持ちを分かりたい……そう思った。
曖昧なものは信じない。今でもその考えは変わってないけど、ちゃんと話をすれば明確な言葉が返ってくることもある。
そして、もう1人。
私に優しくしてくれる、ブルーレースフラワーさんと同じように少しでも気持ちを理解したい……そう思える人。
あの人に感謝を伝えたい。
「それでは、こんなのはいかがでしょう?」
どうやって伝えるべきかを相談したら、ブルーレースフラワーさんは少し考えてからある方法を提案してくれた。
正直、なぜそれで伝わるのか分からないけど。
でも、信頼している彼女が言うのならやってみようと思う。
◇◇◇
夕陽が差し込む執務室で残った書類を片付けていると、規則正しいノックの音が響き渡った。
文官が書類を急かしに来たのかと条件反射で身構えてしまったのだが、それにしては差し迫った雰囲気が感じられない。
特に来客の予定も入っておらず、不思議に思いながら入室を許可すると予想外の人物が顔を出した。
「団長。これからなんだけど……どうしたの? そんな信じられないものを見たような顔をして」
その人物、花騎士のブーゲンビリアが言いかけた言葉を中断して疑問を口にする。
相手の機微に鈍感であると自他ともに認める彼女が言葉を止めるほどなので、よほど分かりやすかったのだろう。
すぐに返事をせねばと思う一方、あまりのことに衝撃を隠せないでいた。
任務が終わればすぐにいなくなってしまう“あの”ブーゲンビリアが任務中でもないのに彼女の方からこちらを訪ねてくれているのだ。
最近はその傾向がさらに顕著であり、実は嫌われているのではないかと思っていたほどである。
「ああ、もしかして仕事が忙しかった?
迷惑なら日を改めるよ」
そんなこちらの困惑など露知らず、手元に広げていた資料を確認して退出しようとするブーゲンビリアを慌てて呼び止める。
あまりの嬉しさで驚いていただけだと説明すると、彼女はより疑問を強くしたようだ。
「……嬉しい? 団長は不思議なことを言うね」
何はともあれ足を止めてくれたのを確認してホッと胸を撫で下ろし、気を取り直して用件を尋ねてみると、既に振り切ったと思っていた衝撃を彼女は軽々と越えてきた。
「夕飯、まだだよね?
特に予定がないなら、1時間後に部屋まで来て」
再度のフリーズ。
食事に誘われている?
彼女の方から?
僅かに残った思考能力で特に予定がないことを確認し、壊れた機械のように不恰好な頷きを返したのを見届けると、用件は済んだとばかりにブーゲンビリアは淡々と執務室を去っていくのだった。
結局あの後の仕事は手に付かず、着替えを済ませて彼女の部屋の前にたどり着いたときには約束の時間ギリギリになってしまった。書き上げた(と思っている)書類の内容についても、後日しっかりと確認する必要があるだろう。
「いらっしゃい、団長」
気持ちを切り替えてドアをノックすると、直ぐにブーゲンビリアが出迎えてくれた。
まずは食事に誘ってもらったことに感謝を述べると、彼女は軽く頷いて応じた後、美味しそうに湯気を上げている料理が並ぶテーブルの方へとこちらを誘導する。質素で機能性を重視したようなデザインがいかにも彼女らしかった。
勧められるまま対面する形で席につき、 料理が冷めてしまってはいけないので食前の挨拶を済ませてからまず一口……うまい!
真面目な彼女のことなので味の心配はしていなかったのだが、正直もっと簡素な食事を想像していたため、素直に驚いたことを伝える。
「任務中なら素早く補給できる食事が推奨されるけど、今は違うから」
黙々と箸を進めていたブーゲンビリアが淡々と答えてくれた。そのまま食事に戻りかけて、一瞬言い淀んでから続ける。
「……それに、今日のは団長の好きなものを作ったから。勤務歴の長い花騎士さんたちに団長の好きな料理のレシピを聞いて」
言われて気付く。確かに好みに合うものばかり並んでいるとは思っていたのだが、どうやらリサーチ済みだったらしい。
こちらを食事でもてなすなら“確かな実績”のあるものをと考えるのがいかにも彼女らしい気遣いだった。
同時に、任務後の速すぎる帰還が嫌われてのことではないと分かり安堵する。
レシピを譲り受けた後も再現度を上げるべく努力を重ねていたのだろう。
「嫌うなんてあり得ない。
団長は優しくしてくれるし、任務中の指示も分かりやすいように工夫してくれてる。
でも、勘違いさせちゃったのは謝る……ごめんなさい」
俯くブーゲンビリアだが、謝る必要はない。
こちらに喜んでもらおうと思った結果なのだ。これほど喜ばしいこともない。
「うん。ありがとう」
こちらの返答に安堵したのか、微笑むブーゲンビリア。
では、食事の続きといこう。 そう言って他の料理に手を付けようとしたところで、でも……と彼女がさらに言い募る。
「でも、やっぱり思ってることはちゃんと口に出して伝えなきゃ。団長がいつもそうしてくれるみたいに」
最初は料理の練習のことを伝えていなかったことだと思った。それはもう謝ってもらったから気にしていないと伝えるも、首を振って否定されてしまった。
困惑するこちらに視線を合わせ、彼女は口を開く。
「いつもありがとう団長。大好きだよ」
最近やっと仕事が落ち着いてきたので、お迎えしたまま放置してた子のキャラクエもゆっくり見れるようになってきました。
こういうクールな子が不意に言ってくれる“大好き”って破壊力ヤバくないですか!?