花言葉:「知識」「あなたは私を元気づける」
ヒナソウやメコちゃんみたいにグイグイくる感じでは無いけど、知識欲は非常に旺盛。
個人的にはキャラクエのオチの付け方が秀逸だと思うのでオススメです。
団長に頼られるのも甘えるのも大好きな可愛い子なので、ぜひ期間内に虹メダルでの交換を!
リリィウッドが誇る高位政治機関『元老院』。
上司からの遣いで書類を届けにきたは良いものの、その厳かな雰囲気にこちらは終始緊張しっぱなしだった。
同伴者でもいれば多少はマシだったかもしれないのだが、突然依頼されたことで予定の合う者がいなかったのだ。唯一、プミラが同行を名乗り出てくれてはいたのだが、最近体調が優れないらしく念のため留守番をしてもらっている。
何とか無事に書類も届け終わり、帰途につこうとしたところで良く響く声に呼び止められた。
「おっ!?まさかこんなところでお前に会えるとはな」
懐かしい声に振り返ると、共に騎士学校で研鑽を積んだ男がこちらに手を振っているではないか。
リリィウッドの所属になったことは聞いていたのだが、偶然訪れた先で再開することになるとは思わなかった。
近付いていくと、声の印象通りガタイの良い体格に爽やかな笑みを浮かべた男。そしてその横に小柄な花騎士が控えていることに気付く。
最初は副官の花騎士かと思ったのだが……いや、結果的にその認識は間違っていなかったのだが、とにかくその正体に気付いて驚きの声を上げてしまった。
「あなたが常々話に出てくる団長様か?
我輩の名はタラゴン。リリィウッド元老院では上院副議長を務めている」
そう、リリィウッドのトップに名前を連ね、花騎士でもあるという才女、タラゴンその人である。本日は不在と聞いていたのだが……
「おいおい、どうしたんだよ? タラゴンがお偉いさんと分かってビビったか?」
慌てて恐縮しだす様が面白かったのか、盛大に笑いながらあろうことか彼女の髪をわしゃわしゃとかき乱し始めた。
こちらはその光景に唖然とするばかりだったのだが、ふと抗議するタラゴンの左薬指にシンプルながらも高価な品と分かる指輪がはめられていることに気付く。そして、同様の品が彼の方にも……どうやらこの男、よろしくやっているようである。
「まぁ、そういうこった」
こちらの視線が行き着く先に気付いたのだろう。恥ずかしげもなく胸を張る旧友に苦笑しつつ、そろそろ解放してあげれば良いのに……少々涙目になり始めた上院副議長様を不憫に思うのだった。
2人とはいずれ食事でもと約束をして別れ(男の頬に真っ赤な手形が残されていたが、自業自得なので同情はしてやらない)、多くの露店が立ち並ぶ一画に足を運んでいた。
付近で害虫の目撃情報があり、彼らを含む討伐隊が巣を殲滅したばかりで安全が確認されるまで定期便がストップしているらしく、空いた時間を使って留守番を任せてしまったプミラにお土産でもと思ったのだ。
「らっしゃい兄ちゃん、本を売ってる店を探してるんだって? そんなものより女の子を喜ばせるならやっぱりスイーツでしょ!
うちのオススメは……」
が、先程から少々強引な客引きに何度か捕まっていた。
こちらが騎士団長と分かるとほとんどは手を引くのだが、自分のような他国の騎士団長は商売する側の人間からすればかなりの売上げを狙える上客でもあるのだろう。
こんなことなら別れる前にオススメの店でも聞いておくべきだったなと後悔する。
定期便の運行も再開の目処が立ったので、あまりゆっくりもしていられない。
今回は諦めて無難なお菓子にしようかと思い始めたところで、やっと一件の古本屋を見つけた。
老夫婦が営んでいるらしいその店は、目を引くような派手な装飾が施されている訳でもなければ本人たちも積極的に客引きをするつもりがないらしく、道行く人々は気にも留めていない。
時折顔を上げたかと思えば顔見知りらしい通行人と二言三言語らうのみで、騒がしい一画でそこだけ空間から切り取られているかのように穏やかな空気が流れていた。
「いらっしゃい」
立ち寄ってみると、穏やかな印象そのままの声音で老婆が語りかけてくる。
確認したところ、好きに手を触れて構わないとのことだったので目に付いたものから適当にページを捲っていく。
雑多に積み上げられた古本は誰もが1度は目にしたことのある有名な童話から郷土料理の教本、旅行ガイド雑誌とジャンルは様々で、目を通してみるとこれが案外面白い。
余裕があればもう少し長居したいところだが、あいにくそんな余裕もないのでプミラが好みそうな歴史書などをいくつか見繕って近くにいた店主に購入の意志を伝える。
しかし、本を受け取った老翁は差し出された書籍を一瞥してなぜかニヤリと訳知り顔を浮かべると、手を伸ばしていた老婆を遮り、自ら丁重に包装を施してくれた。
釈然としない思いはあったのだが、時間も迫っていたためお代を置いてその場を去るのだった。
馬車を乗り継ぎ、城門前にたどり着いたのは、すっかり夜の帳が下りた後だった。
衛兵に身分証を提示して帰投手続きを済ませると申請より遅れた理由を追及されたが、事情を説明すると納得してくれた。
執務室の明かりは……当然消えている。
土産話を期待して、プミラが待ってくれているかもしれないという淡い期待があったのだが、予定より到着が遅れていることだし致し方あるまい。
明日以降は通常業務に戻るため、いつ彼女が訪ねてきても良いように買ってきた古本を執務室に置いておこうと部屋の前まで来てみたのだが、鍵を差し込んだところで違和感に気付く。
執務室の鍵が開いているのだ。
スペアを預けてきたので、退室するときに施錠するようにお願いしてあったはずなのだが……。
プミラはこちらが世間話として語った内容すら完璧に覚えているほどの記憶力を誇る花騎士であり、頼んだ仕事を忘れているなど考えられない。
不思議に思いながら扉をくぐると、その理由はあっさりと判明した。
「すぅ……すぅ……」
聞こえてきたのは穏やかな寝息。
分厚い本を枕にして寝落ちしているプミラを発見したのである。
起こすのは忍びないが、風邪を引かせる訳にもいかない。体調が優れないならなおさらである。
「ふぁ~……あれ、私寝ちゃって?
お帰りなさいです、団長さま」
軽く揺すってやると、寝起きのプミラが突然抱きついてきた。どうやら寝ぼけているらしい。
金糸を編み込んだかのような綺麗な髪から香ってくる彼女の匂いにくらくらしつつ、実はお土産があると懐にしまっておいた紙袋を差し出すと、受け取ったプミラが体を反転させて体重を預けてきた。ちょうど後ろから抱き締めてやるような格好だ。
「えへへ~♪ ありがとうございます団長さま。
あっ……これ 、ずっと欲しいなって思ってたんです! どこで見つけたんですか!?」
どうやら彼女のお眼鏡に叶うものがあったらしい。こちらとしても中々興味深い品がいくつかあったので、機会があれば2人で再び訪ねてみるのも良いかもしれない。
「本当ですか!? ぜひお願いしたいです!」
途端にキラキラとした視線を向けてくる。体勢が体勢だけに距離が近い。
苦笑しつつ、体調が優れないと聞いて心配していたので元気そうな様子に安心する。
「あっ、はい!団長さまから1日お休みを頂いたおかげでもうすっかり……あれ?」
安堵したのも束の間、何やら胸の辺りをおさえる仕草をするプミラ。もしや……
「はい……まだ調子が悪いみたいです。
胸が強く締め付けられるような感じで……」
普通にしていれば元気そのものなので1日休めば治ると思っていたのだが……
「でも、不思議なんです」
早急に医者にかかるべきだと夜間診療に対応している病院をリストアップし始めたところで、プミラが語りかけてくる。
何が不思議なのだろうか?
「確かに動悸が激しくなって胸も苦しいんですけど、同時にとても元気になるんです!」
…………?
胸が苦しい時点でまったく元気ではないと思うのだが、いったいどういうことだろうか?
問いかけると、再び体を反転させたプミラが抱きついてきた。顔をこちらの胸に埋めるようにしてさらに言い募る。
「やっぱり……安心します。
お留守番してる時よりも嬉しくて、とても元気になれるんですけど、なぜか胸が苦しくなるという……団長さま?」
あまりに可愛らしいことを言うので、抱きつくプミラをこちらからも抱き締めてしまった。
何はともあれ、彼女の症状は体調不良などではないらしい。未だに疑問の声が聞こえてくるが、それは自身で気付くべきことだろう。
病気などではないから安心して欲しいと伝えると、目を丸くする彼女に時間も遅いので今日のところは部屋に戻って休むように促すのだった。
◇◇◇
うぅ、いつもは優しいのに今日の団長さまは少し意地悪です!
僅かに残る胸の疼きが病気の類いではないことは保証してくれるとのことでしたが、結局答えは教えてくれませんでした。
こんな時は本に没頭するに限ります!
団長さまにはすぐに休むように勧められたけど、こんなモヤモヤを抱えたままでは到底眠れそうにありません。
没頭し始めると朝まで読み進めてしまいそうなので、これくらいの薄い本ならちょうど良いでしょうか?
それは団長さまがお土産に買ってきてくれた本と本の間に挟まれる形で入っていたもの。
小説、でしょうか? 読み進めていくと、何やら団長さまと触れ合っている時と似たドキドキを感じます……
プミラちゃん、いったい何の本を読んだんでしょうね(棒)
書きたいこと書いてたら普段の文字数越えちゃってたので収拾付けれなくなる前に投稿。
あんまりプミラちゃんっぽいこと書いてあげられなかったので、またの機会にちゃんと活躍させてあげたい願望