とある花騎士団長の庭園   作:とある花騎士団長

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ディモルフォセカ
花言葉:「誠実」「富」「元気」等
人気投票入賞者のアテンドという引き立て役に甘んじそうなポジションでの実装&同期が今では殿堂入りを果たした不動の人気キャラ2人+小物界の大物……
しかし、一旦落ち着いてキャラクエを覗いて見て欲しい……どうだい、とても魅力的なお姉さんだろう?
続いてボイスを聞いて欲しい……どうだい、とても魅りょ(ry


46.「誠実」と「変わらぬ愛」のお天気屋な花騎士―七夕の夢―

太陽が燦々と輝く蒸し暑いある日の昼下がり。

七夕のお祭りを今晩に控え、ベルガモットバレーから取り寄せた大きな笹を騎士団の花騎士たちが総出で街のあちこちに設置する作業が急ピッチで行われていた。

 

「みんな~、もうひと頑張りだよ~!

あっ、でも無理はダメだからね!」

「水分はちゃんと取ること!

おねえさんはまだまだ元気だから、休憩したい人は遠慮せずに声をかけてね!」

 

作業場には設営の指揮を任されたディモルフォセカの飛び切り明るい声が響き渡っている。

彼女の指示は非常に的確であり、進捗状況を確認する傍ら、自らも積極的に動き回って汗を流している。

そんな溌剌とした姿に感化されたのか、作業を見守っていた一般の市民まで協力を申し出てくるほどだ。

 

突然の協力者にも慌てることはなく、集めた情報を元に手の足りないポジションへ割り振りをしていくディモルフォセカ。

有り体に言って、頼もしい限りである。

正直、彼女がいなければ予定通りに開催することは不可能だっただろう。

 

予定していた輸送ルートが害虫同士の縄張り争いと重なってしまい、安全のためには大きく迂回する他なく、スケジュールに大きな遅れが生じてしまったのだ。

 

模造品で代用することも検討されたのだが、開催までに十分な数を用意する目処が立たず、結局は輸送部隊の到着を待つことになり、一時は開催中止も囁かれたのだが……

 

「わたしに考えがあります。

設営の指揮、任せてもらえませんか?」

 

会議に帯同していたディモルフォセカが自信満々に宣言したのである。

出来るわけがないと批判的な意見を述べていた者たちも、普段懇意にしている騎士団長たちに掛け合い、当日の作業人員も確保済だと述べられれば閉口する他ないだろう。

後は的確な指示を出せる人員がいれば良い。

まさにお誂え向き…… もはや反対意見を述べる者などいないのだった。

 

 

 

「あっ、お疲れ様です団長くん!」

 

休憩に入ったところを見計らって声をかけると、ディモルフォセカは 満面の笑みで迎えてくれた。

何だか元気を分けてもらったような気分になり、こちらが話す声のトーンもいくらか高くなっているのを自覚する。

こちらが懐から縦長の用紙を取り出すと、彼女はそれが何かを瞬時に察したらしい。

 

「笹に飾る短冊……かな?」

 

ご名答。

彼女の活躍で用意した笹もほとんど設置が完了し、手の空いた者から順次短冊を書いてもらっていた。

一緒に休憩を取っていた花騎士たちが先に短冊を受け取り、仲間たちとどんな願い事を書くかで盛り上がっている中、ディモルフォセカが口を開く。

 

「ふっふっふっ!おねえさんの願い事は、もう決まってるもんね~♪

ズバリ、みんなが幸せでいられますように!

あぁ、もちろん。みんなの中には団長さんも入ってるからね!」

 

それはいかにもディモルフォセカらしい願い事だった。

裕福な家庭に生まれた彼女は「いい思い」をたくさんしてきたと言って憚らない。

そうした「いい思い」を今度は皆に分け与えていきたい……彼女は常々そう語っている。

だからこそ、読めていた。

 

受け取ろうと手を伸ばす彼女を制し、予め書いておいたこちらの短冊を示す。

まさしく今彼女が願った内容が書かれた短冊。

 

キョトンとした表情を浮かべているディモルフォセカに、今年は団長の顔を立てると思ってこの願い事は譲って欲しいと頭を下げる。

 

「えー、団長くん、わたしの願い事を取らないでよー」

 

膨れっ面で子どものようなことを言うディモルフォセカに苦笑しつつ、そこを何とか……と頼み込む。こちらをからかっている……そう思ってのことだったのだが、どうやら違ったらしい。

 

「だってー、他のお願い事なんておねえさん考えられないー。

ねぇ……団長くんが他のお願い事にしてよー」

 

先ほどまでの底抜けの明るさはどこへやらだ。

まさかと思い空に視線を向けると、思った通り、どんよりとした雲がまさに太陽を覆い隠すところだった。

 

「うぇ……低気圧で頭がガンガンするー」

 

急激に元気を無くしたディモルフォセカの様子に、応援で駆け付けてくれた花騎士たちは心配そうな面持ちだが、想定内のことなので彼女の代わりに追加の指示をいくつか飛ばしつつ、心配ないと応じる。

 

事情を知る花騎士たちが作業を再開しながら説明をしてくれている様子だったので、そちらは任せることにする。

 

ディモルフォセカは日光の下だとこれ以上ないほどにハイスペックなのだが、少しでも雲ってしまうと思考がネガティブに傾いて元気をなくしてしまうのである。

 

「団長くん……わたし、まだ頑張れるよ?」

 

雨がポツポツと降ってきたので、すっかりネガティブモードに入ってフラフラとしているディモルフォセカを背負って移動しようとしたところ、背中から弱々しい声が届く。

 

確かに、この状態でも無理やり働かせることはできなくもないのだが、今はそんな必要もない。

事実、このタイミングで雨が降り始めることも彼女の想定に組み込まれており、笹と短冊を覆うための雨避けも各所に用意済みなのだ。

雲の様子から本降りになることもないだろうし、我々がこの場を離れたとしても滞りなく作業を完了させられるだろう。

 

「うぅ……大好きな団長くんの前では格好良いお姉さんでいたいのに……情けない姿なんて見せたくないでやんす……」

 

ネガティブモードのせいで思考力も低下しているのか、何やらディモルフォセカが興味深いことを言っている気がするのは聞かなかったことにしておこう。

 

「すぴー…すぴー……」

 

寝息を立て始めたディモルフォセカを背負いつつ副隊長たちを集めて残りの指示を任せると、彼女の体質をよく理解している面々は2つ返事で 了承してくれた。

 

去り際に何やら意味深な視線を送られている気配を感じたのだが、多分気のせいだろう。

 

◇◇◇

 

「お……さま…事業が……とかで……」

 

誰かがヒソヒソと囁いている。

最初はくぐもって聞き取り難かったそれは、次第にハッキリと届くようになってくる。

 

「成金の分際で……」

「お金持ちのところのお嬢さんは何もしなくて良いから……」

 

正直、嫌だな~って思うけど、耳を塞いだところで頭に直接響いてくるみたい。

きっとこれは夢なのだろう。

繰り返し繰り返し……負の感情が込められた言葉の数々。

 

妬みや嫉みをぶつけられることは慣れっこだと思ってたけど、気分が落ち込んでいるところにこられるとキツイものがある。

 

お祭りの準備は無事に終わったかな?

わたしがこうなることも想定して用意をしていたとはいえ、結局団長くんやみんなに迷惑かけちゃったな……

 

天気が悪かったり日が暮れるとダメダメになっちゃうからと言って、天気の良い日だけ活躍すれば良いってほど花騎士の仕事は簡単じゃない。

命令されれば眠くたって仕事はちゃんとこなすし、休憩中に害虫が出現したとあれば叩き起こされたって文句は言わない。

そう思っていたのに……

 

「ディモルフォセカはいつも誠実に任務をこなしてくれているのは知っている。

苦手なところは仲間に助けてもらえば良い」

 

団長くんは、わたしの弱いところも含めてそのまま受け入れてくれた。

情けないところは見せたくないけど、思いっきり甘えたいと思わせてくれる団長くんが、わたしは大好き!

 

「ディモルフォセカ?」

 

そんなことを考えていたから?

目の前には心配そうにわたしを見つめる団長くんの顔……外が暗くなってるのにわたしが起きていられるはずがないし、きっとまだ夢の続きなのだろう。

 

「……っ!?」

 

思わず抱きしめてしまったけど、夢の中なんだし、良いよね?

こんなに大胆なことをしたら、現実の団長くんもこんな顔をするのだろうか……お顔を真っ赤にしちゃって、ちょっと可愛い♪

そんなことを思っていると、団長くんが頭を撫でてくれる。

 

「悪い夢は覚めたのか?」

 

ゴツゴツした男の人の感触、随分リアルな夢だな……って、へ?

 

偶然見えた窓の外に、神秘的な光景が広がっていた。

知識としては知っていても、ちゃんと見たのは初めてかもしれない……雲1つない星空に、薄く幕を張るようにかかる天の川。

 

もしかしてこれは……現実?

気付いたところで、やっと今の体勢を客観的に見ることができた。

 

夜の寝室…団長くんと2人きり…抱きついている…しかもわたしの方から……

 

◇◇◇

 

「……うわああっ!?」

 

うなされているディモルフォセカを放っておけず、側に控えていたところに突然抱きつかれたと思ったら、今度は大声を上げて飛び退かれてしまった。

 

「ご、ごめんなさい団長くん……わたし、夢と現実が曖昧になってて。

うぅ……今日はおねえさん団長くんに情けないところ見せてばっかりだよ……」

 

何やら混乱しているようだが、元気そうな様子にひとまず安心する。

飛び退いた拍子に落としたらしい枕を拾い上げ、顔を隠して照れるディモルフォセカが可愛らしくて、ついついまた頭を撫でてしまう。

 

「うぅ……またそうやって甘やかす……」

 

言葉でこそ不満を述べるものの、こちらの手を振り払ったりする様子はない。

結局、この日はそのまま2人揃って眠ってしまい、作業場に戻らなかったことであらぬ誤解を与えてしまった面々に翌日説明して回るため四苦八苦することになるのだった。




ただいま7月7日の深夜52時前、なんとか七夕当日に間に合いましたね……嘘ですごめんなさい。
寝落ちしたクソ雑魚ナメクジは私です……

某所で普段から絡ませてもらってる方のお嫁さんでもあるので、(普段書いてる全員に言えることではあるのですが)ちゃんと魅力を伝えられてれば良いな……

そして、ここから月末まで私事でSSに時間が取れないと思うので、次回の投稿は8月になるかと……( ノ;_ _)ノ


せっかく依頼いただきましたし、次回はR-18リクエストに挑戦してみますかね……レート的にこちらでは無理なので、新規作品を立ち上げる形になるかと( ノ;_ _)ノ
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