花言葉「自由な心」「奥深い愛情」など
普段気に入る子たちとはまったく別タイプの子で、自分でもびっくりしてる。初登場からずっとベスト3入りしてるのも納得の可愛さですね。
「遅かったですね、団長。エノテラは構ってもらえなくて寂しかったのですよ。」
無駄に長いだけの会議を終えて日の暮れた執務室に戻ると、花騎士の少女に出迎えられた。
花騎士としての衣装ではなくラフな格好に身を包んでおり、普段は胸元辺りで結わえている淡いピンク色の髪も今は下ろされている。
潤んだ瞳に赤く染まった頬、それに加えて先程の言葉である。あまりの愛らしさに会議の疲れも忘れて抱き締めかけたが、執務机の上の惨状で現実に引き戻された。転がっているのはワインの空き瓶。
「エノテラは団長がいなくて寂しかったのですよ。だから悪いのは早く帰ってこない団長の方です。」
無言で視線を彼女に戻すが、特に悪びれた様子もない。これ以上叱っても効果は薄い上、やるべき仕事も溜まっているのでそのまま執務机の片付けを始めるのだった。
「ムカムカ、ムカムカ、団長はエノテラを無視するつもりなのですか?せっかく帰って来たのですから団長はそんなの後回しにしてエノテラに構うべきです。」
彼女を無視して仕事を始めたのが気に入らないらしく、背中に覆い被さったエノテラがそんなことを言ってくる。薄い生地越しにアルコールで高まった彼女の体温が感じられ、背中に触れる柔らかな感触に集中が妨げられる。そのため、大量に積まれた書類へと視線を移すことで無理やり彼女からの誘惑をかわす必要があった。
しばらくの攻防の後、エノテラが急に静かになった。その視線は広げられた書類を恨めしそうに凝視しているようだ。こちらの意志が固いとみて諦めたのだろうか?
「団長、これが終わったらイチャイチャのフルコースを所望します。エノテラを雇うのは高いですよ。」
完全に黙りきってしまった彼女への埋め合わせをどうするか考えていると、不意にそんなことを呟くエノテラ。こちらが返事を返す間もなく、次の瞬間には空いている席に陣取り、恐ろしい速度で書類の束を処理し始めた。
普段は簡単な報告書ですら丸投げしてくる彼女の意外な姿に驚きを隠せない。
「手が止まってますよ?団長。エノテラの気が変わらない内に片付けてしまうことをオススメします。それとも…」
言い切る前に慌ててこちらも作業を再開する。彼女のことだ、そのまま言い切らせてしまえば本当に気分が変わってしまいかねない。
少し残念そうな雰囲気を感じたが、その後は文句を言うこともなく作業に集中することにしたようで、紙にペンを走らせる音だけが室内に響く。
騎士団に配属される前、エノテラはある傭兵団に所属していた。そこのリーダーがかなりの自由主義だったようで、その影響を受けた彼女の価値観もかなり独特だ。特に命令や規則に縛られることを好まず、上司や同僚の花騎士と揉め事を起こすのも珍しくない。「自由な心」の花言葉が示すように何ものにも捕らわれない。それがエノテラという花騎士だ。
(主に自分が)書いた始末書の数も数知れないが、それでも彼女も大切な騎士団の一員だ。傭兵仕込みの戦闘力は頼りになるし「テキトーにバックレる予定」と最初に語っていたものの、彼女なりにこの騎士団を気に入ってくれているようで、入団当初より仲間の花騎士たちと一緒に過ごしているところを見る機会も増えている。
「エノテラはたくさん頑張りました。まさか戦い以外のことでも頑張ることになるとは思いませんでしたが…。ふふっ、団長のためだと思えば不快ではありませんね。」
徹夜を覚悟していた仕事だったが、エノテラのおかげで大分余裕を持って終わらせることができた。そのエノテラはというと、今日は『とことん甘えたいエノテラ』とのことで、書類が片付いた瞬間には座るこちらの膝に腰掛けていた。
言外の要求通りに頭を撫でてやると満足そうに目を細めるエノテラ。
「団長とイチャイチャできる時間を削ってまで仕事を手伝ったんですから、対価はきっちり払ってくださいね。」
そう念押しすると、そのまま力を抜いて体を預けてくる。今日のところはこちらにすべてお任せということらしい。
当然、今日の仕事の対価なのでこちらに否やはない。普段よりも優しく丁寧に肌を合わせ、時折視線の求めに応じて口付けを落とす。ゆっくり時間をかけて身体中に火照りを広げたところで、より彼女を甘やかすべく寝室を目指すのだった。
十分に余裕を持って仕事を片付けたはずだったのだが、エノテラとの夜が燃え上がり過ぎたせいでほとんど寝ていない。それは彼女も同じはずなのだが、自分より一足早く起きたらしいエノテラはむしろいつも以上に溌剌とした表情をしている。
朝の挨拶を交わすと『甘えたいエノテラ』が継続中なのか無邪気な笑顔を浮かべて抱き付いてくる。
「団長、お仕事が終わったら今日もイチャイチャです。約束ですよ?エノテラは今から続きでも構いませんが。」
魅力的な提案ではあるが、そろそろ他の花騎士が執務室を訪れる頃なので遠慮しておく。エノテラも多少不満そうではあるが、朝から揉め事を起こすのも面倒という結論に至ったらしい。
手早く身支度を整えてそれぞれの持ち場に向かった。
余談だが、エノテラがくすねたワインが来客用の上物だったことが判明し、案の定バックレたエノテラに代わって始末書を提出するという雑務が増えたのは別の話だ。
やっと投稿復帰できた…
色々とモチベ下がることもあったし、そもそも待っててくれてる人なんてほとんどいないと思ったけど久しぶりに開いたらお気に入り登録してくれてる人増えてるし、UA伸びてるしでモチベを持ち直せた次第。
2ヵ月近くのブランクあるけど少しずつ前の投稿頻度に戻していきたい願望。