一夏ちゃんに狙われた俺は、どうしたらいい? 作:銭湯妖精 島風
今、起こっている事に全く頭がついて行かず、混乱しながら目の前の一夏を見る
千冬さんとよく似ている黒髪の美少女がモジモジとして少し俯き頬を染めて俺を伺っている、これが一夏・・・いや、元男の幼馴染でなければ、俺はきっとしのごの言わずに告白を受け入れていたかも知れない・・・いや、もともと女でも一夏との距離感だったら どちらにせよ戸惑ってたわ、多分
とか考え少し現実逃避をしていたが、そろそろ真剣に一夏からの告白について考えよう
ぶっちゃけ、見た目だけなら好みなんだよなぁ・・・見た目だけなら、かと言って中身は一夏だ、千冬さんに似ているとはいえ、男の一夏の面影が残っているし、喋り方だって男の時と変わってないし、俺は同性愛者ではないから一夏を恋愛対象として見てこなかった
と言うか今の今まで全く気付かなかった俺は、鈍感なのか? とか混乱したまま考えていると
「リク? 大丈夫か?」
一夏は不安、と言うよりは心配といった表情で俺を見ていた
「え? あぁ、大丈夫だ問題無い」
と答えたら、一夏が本当か? みたいな表情になったが、敢えてスルーする事にして
「一夏、あぁ言った手前で悪いけど、ちょっと色々と起こり過ぎててかなり混乱してる。お前相手に言葉は選ぶ必要は無いからハッキリと言うと、正直一夏を恋愛対象として見てなかったし、兄弟みたいな存在だ、だから 告白を受け入れる事は出来ない」
今、俺が一夏へ答えられる最大限の言葉で告白を断る、少しだけ罪悪感があるが仕方ない、今の俺には受け入れる覚悟がないのだから
「・・・そうか、だよな〜 やっぱりか〜」
一夏は少し残念そうにしてはいるが、まるで想定内と言った調子で言い
「でも、未来は分からない。俺は諦めないから、何回でもトライするまでだ」
ニッと笑み一夏は言う、中身が一夏とはいえガワは美少女だ、目が奪われてしまうが、気になる事があったので
「お前、フラれるのも想定してたのか? 」
首を傾げて尋ねると
「ああ、うん。当たり前だろ? 物心つく前からの付き合いだし、リクが同性愛者じゃ無いのは知ってたしな、いきなり女になったからって急に認識が変わる訳じゃないから想定してた、正直ダメもとだったぜ」
と一夏は肩を竦めて言う、その言葉に案外色々考えてたんだなぁ、と思ってアレ?と思い、一夏の言葉を振り返る
確か 諦めずに何度でもトライする、だっけ? アレ?
「なぁ一夏、まさか1回フラれたのに諦めないつもりか? 」
「当たり前だろ? 今は男だった俺の記憶が邪魔をしてるけど、これから先は女だからな気兼ねなく誰の目を気にせずにアプローチ出来るんだ、すぐに俺が女だって違和感も無くなる筈だからな!」
俺の言葉に一夏はニッと笑み力強く言う
そういえば一夏って一度決めたらやり通す負けん気が強いんだよなぁ、なんと言うか凝り性な所も有るし
「・・・そうか、とりあえず男に戻るつもりは無い、と?」
なんか色々とあって気持ちと頭の整理が追いつかない中、一夏に尋ねる
「全くない、もし俺が男に戻ったら、束さんに頼んで また俺が女になるかリクを女にしてもらう」
と、ニッコリ笑みを浮かべて一夏は言い切る、最後の辺り怖い事を言ってたけど聞かなかった事にしよう、マジで怖い
「そーかい、とりあえず お前に現状 女でいる事に不安とか不満が無いなら良い。 でも困った事が有れば言ってくれよ? 」
「おう、ありがとなリク」
見た目だけなら清楚なお嬢様みたいな一夏は、見た目から想像出来ないボーイッシュな笑みを浮かべ言う
ほんと、見た目だけなら好みなんだよなぁ、見た目だけなら
「ん?アレ? そーいや千冬さんは? モンドグロッソ終わったら少し休暇を取るって言ってなかったっけ? 」
ふと姉貴分が居ない事に気付き一夏へ尋ねると
「ん? 千冬姉なら、まだドイツにいる。つーかテレビ見てないのか? 」
「え? なんで? 」
俺の質問に一夏は答えて、そう言い 少し呆れた表情をするので首を傾げていると
「千冬姉は俺が誘拐された時にモンドグロッソ決勝を棄権して専用機を使って俺を救出したんだよ、で問題になったから日本代表を辞めた上で誘拐事件に協力したドイツ軍でISの訓練教官をしてるんだよ、今テレビを賑わせてるぞ?」
と一夏は呆れ顔のままで言う、いや俺 元々テレビとかあんま見ない方だしさ?
「あーマジか、知らなかったわ。 とりあえず千冬さん、弟が妹になってなんて言ってた? 」
千冬さん、自分に厳しく他人に厳しい人感じの人だけど優しいんだよなぁ不器用で勘違いされがちだけど、とか考えつつ一夏に尋ねると
「あー最初は弟が妹になって犯人に対してブチギレてたけど、俺的にはリクにアタック出来る様になったから悪くないって言ったら犯人半殺しにしてた千冬姉が、 そうか ならば女の子らしい格好をしないとな? って言われた。んで事情聴取やら色々終わった後に珍しくテンション高い千冬姉にドイツのデパートみたいな所に連れてかれて散々着せ替え人形させられた」
「えー・・・ウソだろ?」
一夏は少し思い出して疲れた表情をしているので嘘では無いのだろうが、昔から千冬さんを知ってる身としては、信じがたい事だった
「マジだよ、何処からか現れた束さんが止めてなければ・・・」
と一夏は虚な目をして変な笑みを浮かべる
束さん、ナイス。今度ウチに来たら、ご飯を振る舞ってあげよう、そうしよう
続きました〜w
ほんと見切り発車だったんでね、全くなんも考えずに書きましたw