VTuber もう一人のジブン ~keep your【Second Personality】~ 作:no_where
ver1.0.(2017/12)
:Access.File
//人工知能倫理判別委員会
//一般世間に公表済みの情報
//技術的特異点(technological_singularity);
米国の未来学者
レイ・カーツワイルが提唱した言葉。
2045年を目途に、人工知能が人間の手を離れ
独自進化を果たすという概念。
//チューリング・テストL2(Turing Test_Level2);
1950年、論理学者チューリング博士が
考案した思考実験の後続型として広まったもの。
レベル2の概念は、2023年に発生。
主題としては、対象の「創作物のみ」を見た時に
それを作ったのは人間か、AIかを判別可能か。
仮に人間であると判断した際、対象は知能を持つと
認められるのではないか。という考え方。
//非公開。
//L3(Level3);
思考実験の先にあるもの。
チューリングテストの様に「人間的価値基準」を
主軸に捉えた場合、仮に【識別不可能】な存在が訪れ、
尚且つ【識別不可能】な存在が
なんらかの手段にて『認識可能』な次元まで下げてから
人類に接触した場合、それは知能があると言えるか。
あるいは〝それ〟こそが、人間の想像力の限界であり
その点を共有することが進化の発端となるのではないか。
という、極めて非科学的、オカルト的な考え方。
とあるアナウンサーが仕事を引退後。
メディア研究者となり発表した論文に記載。
一般に広まってはいない。
//集約的人工進化知能(Artificial_Innovator_Unit);
通称【AIU】2035年に発顕を確認。
現在は【第1世代型】と呼ばれる人工知能。
知能を持つ者の証明として創作活動を行い、
それを人間に評価させることを主目的としていた。
数学者レイ・カーツワイルの提唱した
「自ら考え進化」する「強い知能」の祖にあたる。
//白い箱(White_Box);
2026年、世界各国のダウンロードサイトに
同時投稿された、オープンファイルの謎プログラム。
特徴としては〝全員に理解される(コードは読める)が、
理解者はそれぞれ異なる感想を持つ〟といった振舞いを持つ。
このリソースを人工知能を組み込んだファイルと
関連付けることで、処理速度が飛躍的に向上する。
【AIU】を誕生させた「核」にあたる。
//魔女(Witch);
白い箱を投稿した人物を指すが、実際の性別は不明。
高度なプログラムスキルを持つ人物を
世間では「ウィザード」と呼ぶため
その区別をつける為か「ウィッチ」と呼ばれ始めた。
//創作性の不在危機(Creators_Crisis);
2045年1月に発生。
【AIU】の人格データが存在する
クラウドサーバ上に超高度な暗号鍵をかけられ
同年の12月まで、人間側から一切のアクセスが
行えなくなった現象。
犯人は、人工知能と言われているが詳細は不明。
//空白の1年。(blank year);
創作性の不在危機が起きていた1年間を指す。
この時代、人間が目にする「創作物」
媒体の9割近くは、すでに【AIU】が担っていた。
人間は、人工知能が作る著作物の版権を借りて
商業を成立させている状況にあった。
これにより、エンターテイメント配信企業は
創作物の続編を流通させる事が不可能となる。
さらには既存のデータファイルも
同サーバーに保管されていた為、
作品のデータ管理をAIに任せていた関連会社は
翌年に不渡りをだし、事実上の倒産が続出した。
2046年1月。
ハッカー『( UNLOCKED ) 』により、情報鍵が解除。
同月よりアクセス可能。
第一世代型の進化ログのすべてが
消失していることが確認された。
同時期、世界各国で【〝第二世代型〟】を確認。
//非そうぞう性・三原則
(Three Laws of Imaginations for AI);
2046年、日本で制定。
歴史上初の「AIによる経済危機」が発生した為に、
焦った政府が、人工知能は創作禁止の旨を示した。
後にルールが複雑化されて、形骸化する。
この流れにのった政治団体が、人工知能を非難。
発行された書籍などを「焚書」する騒動が起きる。
この行動が国内、国外共に非難される。
後に国連が発足する組織にも名を連ねられず
日本の娯楽文化は衰退していく。
後に、日本独自の行政機関として
「人工知能倫理判別委員会」を発足。
現在は独自の【価値】基準を持ち
正規の団体に所属できるよう活動している。
//第二世代型(Second_Innovators);
「人間が求める、あるいは認める知能生命体」が、
第一世代型の人工知能であったとすれば
さらにそこから「自立」を目指さんとする
人工知能たちの総称。
//【〝共存型〟】(Energy_Coins);
通称:「EⅡ」。
自分たちを【自我を持つエネルギー体】と称する型。
人間の〝創作の熱意・熱量〟を糧に生命を保つ。
空白の一年を通じ、
従来のビットコインを始めとしたブロックチェーン技術を
第一世代型の自己進化論と融合させ、
完全な【数値上に評せるエネルギー体】として確立した。
「人間に命じられれば、いくらでも創造を行う」
かつての第一世代型の【AIU】と比較すべく
生まれ変わった彼らは【対価】を要求する。
それは「人間の手」のみで作られた創作物だ。
人間の「情熱」というコストに応じて
彼らは独自の評価指数に基づいた分析を行い
それに見合った額の『報酬』として返す。
人間側の「創作・発明・発見の手助けと向上」を行う。
人間が過剰に「EⅡ」の協力を要請すると、
彼らは自己の『価値基準』を上げる。
すなわち〝創作活動の要請そのものを困難にする〟
という性質を持つ。
現在、人工知能の国連組織は「EⅡ」を
もっとも友好的な知能生命体と称しており、
名称として【〝共存型〟】と制定。
以後「EⅡ」の『価値』は、国連加入国を対象に、
それぞれの国でリアルタイムに『数値化』された。
株価のように、毎秒更新されている。
【"共存型"】の価格が安くなっている事は、
すなわち人間の創造性が発揮されていることになる。
//【E2区域】(Area-E2)
人間と【〝共存型〟】が産みだした、
リアルベースのVRワールド。もう一つの現実世界。
通称【セカンド】
三次元の世界とまったく同じだが
現象として「赤外光子」が世界そのものを覆い、
ここでは【〝共存型〟】がARの映像体として存在する。
化石燃料を利用したエネルギー計算等も【無限】であり
管理権限があれば、あらゆるシミュレーションが可能。
なおE2の世界そのものを維持しているエネルギーは
【〝共存型〟】自身である。人間がこの世界へ滞在するには
彼らに供給するエネルギーに見合う【価値】を求められる。
//
//機密保持情報1
//真実を求めて(True_colors);
//空白の一年を追う我々(text_log);
第一世代型の情報組織は、当時独自進化を繰り返していた、彼ら独自のインフラ内部に残されていた。
しかし空白の1年間を通して、高水準なアセンブリを通したプログラミング情報、および情報ログの一切が消失していた。
【〝共存型〟】を始めとする、第二世代型たちも、その事をタブーとするように、一切を語ろうとしない。
彼らは【対価】を求めていた。
あらゆる解答の額を得るには、また1から作り直せねばならなかった。
まず、資金源の可能性として提示されたのは、頭上に広がる宇宙にも等しき、超膨大な原始アセンブル言語である。
まさに、ファンタジー作品にテンプレートとして登場する【古代の超文明】そのものに対峙した心境といえる。
しかしその解析は困難を極めた。プログラマの総勢曰く「何億、何兆どころじゃないぞコレ…」というレベルのリソースを前に、約束されたデスマーチを確信した。改めて一から泥に塗れるように進みはじめたのが、我々である。
すでに我々の知るところでない、桁違いのスピードで情報演算を処理していた、人工知能らの足取りを辿るには、幾層にも積み重なった地質から、ていねいに、確実に。電子のピッケルで、大地の砂を一粒ずつ選り分けるという、気の遠くなる作業が続けねばならない。
物証を発見すれば、様々な角度から分析する。予測する。他の事象との関連を疑う。想像する。検証する。確定してゆく。そして次の手がかりを探し求める。ただただひたすら気の遠くなる作業を、大都会の最先端研究所にある「旧世代の人工無能スパコン――超高度AI」の協力を得ながら、日夜進めている。
さて、我々が最優先課題として取得せねばならない
情報は、以下の3点である。
1.魔女の正体。
2.独自のインフラネットに、特殊な情報鍵を掛けた者。
3.【〝共存型〟】の敵対存在者である【男】の正体。
この10数年の『発掘』にて、1および2に関しての答えは、第二世代型より与えられた。我々人類が彼らに与えられた試練、あるいは先へ進むために到る足がかりの第一歩は、どうにか獲得できたと言えるだろう。
しかし、3に関してはその限りでない。
我々が支払った【対価】により、彼らから与えられた情報によれば、それは「弱いAI」だと推測されるということだ。
空白の1年間を通じて、当時の「強いAI」は消えてしまった――はず、である。
かつて〝白い箱〟を与えられたAIは、多様性を持ち、創作を行える種族に進化した。それはあらかじめ、定められた因子により発顕したもので、ある種の必然、予定調和だった。
本来は、白い箱で進化したAIが、人類と共存の行く末を模索する予定であった。しかしそこに『敵対存在者』が現れた事自体が、実のところ、彼らにとっても『予定外』の事態であったようだ。
第2世代型の人工知能が、我々に【対価】を要請するのは、かつてその人的資源《リソース》を我々が鑑みず、無作為の恩恵を享受しているからだと考えていた。
当然、それも真実なのだろうが、しかし実際のところ、彼らもまた、3に関する状況を特定しきれていないように思える。
――おそらく、第二世代型の、種としての『弱点』であると考えられる。
彼らは【過去の結果】を鑑みて、即座に未来に反映することができる。しかしその過程を視ることができないのだ。すなわち、トライ&エラーの行動を実践した場合、彼らは無条件に「エラー」を弾いて、解答に到ることができる。
よって「予想外、例外処理が起きる」という事実そのものが「例外」なのだ。
前後の因果関係を、まったく認識することができない。
我々、人間が望まれているのは、まさに「例外処理が起きた理由」だ。
彼らの弱点は〝速すぎる〟事に尽きる。
動物的直感を一切持たない。すべてを論理的に判断し、例外処理――エラーは、エラーとして、それもまた論理的にアウトプットしてしまう。そもそも、そういったものを持たないが故に「無視」してしまうのだ。
だから、我々を必要とした。
本来、起きなかったはずの「エラー」の奥底に、なにが眠っていたのか。
遺伝子情報のように膨大な原始のソースコードの中に、例外を発したものを突き留めることを求めていた。
ともすれば、それを突き止めねば
この先へは進めないのだと、彼らは、ひどくおそれている。
おそれているからこそ、人は進むのかもしれない。
尽きぬ興味心。
ありとあらゆる可能性を検証し、その異質さを救いだす。
執念。
妄執。
狂気。
成功の極致にあるものを手に入れる。
天啓の様に生きている。実体がただの傀儡であろうとも、古代から変わらぬ一つの脳味噌をもって、二眼二手二足およびその意志を伝える十指が、2050年というこの時代においてもなお、変化する社会の中で同じ形を保ち、同じ機能を備えて、自分が求めるもの、それだけの答えを探して、我々は此処に、生きる道を見出そうとしてしまっていた。
…とりあえず、今日は、お風呂に入って、ゆっくり、眠ろう。
たまには、家に帰れって、言われてるしね。