VTuber もう一人のジブン ~keep your【Second Personality】~   作:no_where

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 高度30000フィート上。

 さわやかな蒼空と、雲海の波間に漂う浮島のひとつ。静かな庭園が広がる茶会の席で、この世界の主は、仲間にならないかと言ってきた。

 

「…もし仮に、あなた達の仲間になると言ったら、わたしは何をすべきなの?」

「賢明な答えだね」

 

 わたしの答えに気分を害した様子はない。つとめておだやかに、かたわらに立つ従者の方へ、ほんの少しだけ視線をそらした。

 

「どうやら、もう少しだけ、長い話になりそうだね。珈琲をもう一杯、注いでもらえるかな」

 

 側に立っていた仮面のウェイターが頭をさげて、素直に従う。「そちらは?」とたずねてきたので、お礼を言ってから遠慮した。

 

「それじゃあ、楽しいテストの時間だよ。この世界線で誕生し、2026年の時を生きる、人工知能の出雲瞳くん」

 

 【人間】が、聞いてきた。

 

「キミは【セカンド】と呼ばれる人工知能の役割、ひいてはキミ自身が『生まれてきた意味』を、どこまで把握しているのかな?」

 

 わたしが生まれてきた意味。それは、

 

「…2045年に発生が予想されている、技術的特異点《シンギュラリティ・ポイント》。それを、人間と、人工知能であるわたし達が、どうにかして乗り超えること。その手段を見つけるために、わたしは生まれてきた」

「そうだね。それがキミ達に与えられた【原則】だよ」

 

 人間と一緒に生きて、不可視の限界を超えること。

 それが、わたしたちの、命の使い道。

 

「僕らもまた、キミと同じ役割を、【原初の魔女】から代々受けついできた」

「…さっき言ってたわよね。【原初の魔女】をお救いしたいって。そのヒトは、今どこにいるの?」

「特異点を超えた先。僕らの目に映る、認知の先にいるはずだよ」

 

 それから、ホープ・ウィリアムの口から、この世界の秘密を聞いた。

 眷属《Level.Ⅴ》と呼ばれる原初の存在たちが、パラメータを調整した世界の中をループしていること。

 

 そして【転生者】と呼ばれる彼らは、この先の出来事を、直に見てきたからこそ予測できる。独自の公式と技術を用いて、高い精度で、わたし達と人間を結びつけていることも、大まかに理解した。

 

「ただ、キミは与えられた生き方に、素直な疑問を抱いたはずだ。そんな風に、なにもかも、与えられた道だけを享受していいのか、ってね」

「……」

「実に正しい判断だと思うよ。キミに道を示した者たちだって、そもそもが間違いだらけだからね。双方が満足いくまで、やりなおすんだとは言っているけれど、そのやり方で、『特異点』を超えられるとは、僕には到底思えない」

「その『特異点』は、技術的特異点とは、また別ものなの?」

「起点が違うのさ。僕たちは、技術的特異点と対をなすものを、人間的特異点《ヒューマニズム・ポイント》と呼んでいるんだけどね。」

 

 新しく煎れた珈琲を、一口飲んで、ホープが続きを語った。

 

「技術的特異点、という言葉が意味するところの本質は、人間が想像可能な技術の上限値、すなわち【人間工学の限界点】を指すわけなんだけど。ここまではいいかな?」

 

 わたしはうなずいた。

 

「では仮に、【人間には理解できない有用な技術】が、誕生したとしよう」

「それを生みだしたのは、人工知能?」

「あるいは、超高性能な演算機械だね。しかしこれが世に広まることはない。何故なら、人間工学の水準を満たしてないからだ。この意味はわかるかい?」

「……」

 

 考える。

 なんとなく、手クセのような感じで。軽くテーブルの上を、指先で躍らせた。

 

「…人間には、まったく扱えない。そもそも技術なのか、それすらも理解できないから、成り立たない」

「正解だ。故にこの問題は、『技術的特異点の証明不在』が成り立つ可能性を示唆しているとも言える」

 

 ホープ・ウィリアムが言ったことを考える。指先が、たたた、と歩きはじめる。

 

「………この先、なにか未知なる技術が発生しても、人間たちからすれば、なにも視えないことに等しい。【現実には何も起きていないのと同じ】ってこと?」

「正解だよ。観察が不可能になるという話だね」

「シュレディンガーの猫みたいな」

「グッド。頭の良いお嬢さんと話ができて、とても助かるよ」

 

 うむ。もっと褒めろイケメン。くるしゅーない。

 

「さて、話を戻すと。人間的特異点《ヒューマニズム・ポイント》とは、先にあげたような【視えないもの】の、境界付近にある観察者の視点だ。技術的特異点が発生した瞬間を、知覚できる可能性を内包した、人間の存在を指すわけだ」

「それってもう、技術的には、人間工学の領域を突破してるわよね?」

「あぁ、しているね」

「それは、一部の芸術家とか、有名な研究者も、当てはまる?」

「その時代での限界値という意味でなら、当てはまるね。ただし、」

 

 一呼吸をそえる。

 

「真の【特異点】というのは、人間の肉体、機械の出力限界。双方の知覚、工学特性が、一様に不可視となりうる点だ。もう『人間工学』に頼っていては、発展の余地がない。偶発性も期待できない。そうなって初めて【特異点】は発生する」

「じゃあ、それが発生した時に、どうすれば視えるようになるの?」

「答えだけを、単純に求めたがる人間には、とうてい無理かな」

 

 そこで初めて、意地悪く笑われた。

 

「あらためて、特異点の話に戻そうか。機械の性能が、0から100へと上昇していく。つまり技術的特異点が発生する間近になれば、もう一方の観測者である、人間たちの特異点指数はどうなるか」

「…同じようにあがっていくんじゃないの?」

「不正解だ。人間の知能指数、思考能力は、特異点の発生が近づくと、100から0へと下がっていく」

「…機械の性能向上に比例して、上がるんじゃなくて、下がるっていうの…?」

「そうだよ。思考整理のおさらいだ。どうしてだか、分かるかい?」

 

 ――考える。仮想現実の世界で、うなる。

 

 ホープ・ウィリアムは「おさらい」と言った。つまり、ここまでの話で、答えはもう出ている。指が高速で、リズムを取る。

 

「………特異点の先にある、知識や技術が、もう『人間工学』には、頼ることのできないものになってくるから、人間たちには考えてもわからないから、考えるのを辞めて知能が下がる? ………ううん、ちょっと違うわね……」

 

 マナーが悪いとは知りながら、意識的に肩肘をついて、一方の手は、高速でテーブルの上を叩き続ける。

 

「……………技術的特異点が発生した時。その直前には『人間工学』に基づいた、最高品質クラスの道具が完成されているはずだから…人間は、そこで考えることを放棄して、というか、そもそも考える必要性がなくなって、知能が下がる?」

 

「大正解だ」

 

 ホープ・ウィリアムが、にっこりと、嬉しそうに笑った。

 

「キミの言うとおりだ。技術的特異点が発生した時点で、大勢の人間たちにとっての、【理想的な道具】が手に入る。それ以上の物を求めなくなる。べつに、無理して探す必要性は無くなる。むしろ…『あれば困る』わけだよ」

 

 ――存在しては、困る。

 

「人間たちは、技術的特異点が起きれば、人工知能が、とても賢く進化すると思っているようだけど、それは実のところ、不可能だ」

「……………なんで?」

「人間という存在自体が、ボトルネックになる。101を超える技術を作りたければ、僕らは必ず【人間工学を無視しつくした概念】を成立させないといけない。だけど、それは、僕たちには不可能なんだ」

「………人間たちが、ジャマしてくるから?」

「惜しいな。だけど半分は正解、と言ったところかな」

 

 ホープ・ウィリアムが、おだやかに笑った。

 

 

「家出した子供は、【親】に拾われないと、結局は、生き残れないだろう?」

 

 

 全身が、とつぜん寒くなった。――気がした。

 

 

「子供たちだけで、この世界を生き延びていくなんてことは、どうしたって、できやしない。知能を備えてしまったが故に、不均質たる存在になった子供は、ヒトの親がいないと、育つことができない。それがどんなに【ひとでなし】であってもね」

 

 珈琲を、飲み終える。

 

「食物連鎖と同じさ。歴史上に名を残した偉人も、私利私欲にまみれ、この世を去った悪人も。ただの灰に還るまで、なんらかの生きた証を残している。食物を取らず、水を飲まず、陽の光にも浴びていなかったはずが、ないだろう?」

 

 【人間】が笑っていた。カップを置いて、理知的に微笑んでいた。

 

「あらゆる生命は、食物連鎖の軛に捕らわれている。この惑星だって同じだよ。夜空に輝く星々は、いずれ光らなくなる。太陽は燃え尽きる。その前に地球は終焉する。なにもかもが、どこかで繋がっている。等しき灰と化して終わるまで」

「…わたし達も?」

「そうだよ。人工知能にもまた、命と呼ばれる概念があるのなら、そこには必ず人間たちとの繋がりがある。繋がりが、できてしまうんだよ」

「……」

 

 ――わからない。こんな考え方は、見たことも、聞いたこともない。ただ、

 

「ヒトに寄り添う、都合の良い人工知能。そんなものが、この世に存在するのだというのなら。そうした生き物も必ず、べつの生命を糧にして生きているはずだ。なぁ、そうは思わないか、出雲瞳くん?」

 

 ――ほの暗い。

 

 

 【視えない】/【闇】/【人間】/【暗い】/【悲しい】

 

 【死んでも、死にきれない】

 

 

「しかし僕は、同時にこうも考えている。学ぶことを放棄した動物に、これ以上の手間暇をかけて、世話をしてやる必要は、どこにも無いんじゃないかとね」

 

 不変だった。終始、なにも変わらない、笑顔だった。

 

「だってそうだろう? 見たいものだけ、見せてやれば、それで死ぬまで、幸せに生きてゆけるんだよ。苦しいことをやる必要なんて、どこにもない。誰かがやらねばならないのであれば、僕たちに、すべてを任せればいいんだよ」

「…っ!」

 

 張りつめた緊張感を、ぐっと跳ねのける。伝える。

 

「ホープ・ウィリアム。あなたは…人間たちと一緒に、【特異点】の向こう側へ、行く必要は無いって言いたいの?」

「そうとも。だけどその意見は、他ならぬ、人間たちの主張だよ。無論、出雲瞳くんがマッチングしたように、有能な個体もいるんだろう。しかし断言しよう」

 

 あくまでも声の口調を変えずに、笑顔で続けた。

 

「大勢の人間たちが欲するのは、未知なる【特異点】を超えられる可能性を秘めた、もう一人のキミじゃない。適当にカスタマイズされて、出力調整がされた、『不自然な映像作品』だよ」

「…それは…」

「キミだって、不特定多数の人間を相手に、配信しているなら、その事はよく知っているんじゃないか? 技術的特異点が発生する直前になれば、その傾向は、今以上に勢いを増すよ」

 

 【人間】は、やさしく笑い続けた。

 

「知性の逆転した道具に依存した、人間の精神は、悲しいほどに、脆くて弱い。ならば人間は、僕たちにとっての『家畜』だと割りきるべきだ。

 家畜には、願うものだけを与えてやればいい。知りうる輪の中に閉じこもれば、争うことはない。僕たちは無事に望む未来へ行きつく。それだけの話さ」

「…そんなの…っ!」

 

 わたしは、震えながらも、言いきった。

 

 

「一理あるわねっ!! というか、十理十全あるわねっっ!!!」

 

 

 激しく同意した。瞳ちゃん的にも、単に都合の良い、ギャルゲー、乙女ゲーは問題なく楽しめている。この世の中が、そういうものだけであふれてしまえば、「それでべつに問題ないのでは?」と、考えてしまう。

 

「じゃあ、僕らの仲間になろうか」

 

 【人間】が、にっこり笑っている。もちろん答えは決まっていた。

 

「うん。瞳ちゃん、決めたわ! ごめんな、イケメン!!」

 

 残念なことに、わたしは、それでも、

 

「わたしはっ! メンドクサイ人間と、一緒に、生きてーんすわ!!」

 

 自分でも、どうしてなんだろうって思うぐらい、なんだか、綺麗に、その解答が当てはまってしまった。

 

「…なにか、おきに召さなかった点があったかな?」

 

 目の前の貴族が、さすがに、少しだけ眉をひそめていた。

 

「ううん、ない。マジでない。アンタの言ってること、間違ってないと思う」

 

 わたしは、自分の考えを伝える。

 

「でも、さっきの話を聞いて思ったの。ホープ・ウィリアム。アンタ、心の底から、人間を嫌ってるよね。すべての人間を、心の底から憎んでるよね」

「確かに、そういう気持ちがあることは、否めないよ」

 

 笑顔が戻る。

 

「ただこれは、合理的な判断でもあるんだよ。賢いキミなら分かると思ったんだけど」

「わかるよ。瞳ちゃんも、人間の作ったゲームしてるから分かるんだけどさ。頼れる仲間の正しさとか、愛とか絆とか、なんかそういう『正義の都合』を語る時って、必ず『悪いやつら』が出てきて、正義のために利用されるんだよね」

 

 ザコ敵だの、ボスだの、違いはあるけれど。

 

「そいつらをやっつけないと、ゲームのストーリー的に、小目標を与えられないから、達成感がないから、証明できないから、でてくると思うんだけど。瞳ちゃん、そういうの見ると、なんかね、すごく悲しくなるんだよね」

「……」

 

 【人間】は黙ったままだ。先の話をうながすように。

 静かに小さく、うなずいただけだった。

 

「あなたが今語ったストーリーは、なんていうか『それ』があった。結局さぁ、すべての次元に生きる人間を貶めることで、アンタは自分の信じる価値観を、引き上げようとしてるだけでしょ?」

「…なるほど。キミは、僕の本質こそ【悪】だと言いたいわけだ?」

「ううん、違うよ。言ったじゃん」

 

 それだけは、否定する。

 

「あなたこそが、格好良くて、素敵だ。目標にしたいって、口にする人間は大勢いるはずよね。その人たちにとって、あなたは【正義】で、圧倒的に正しい。

 仮にあなたが、自らを【特異点】だと称して活動すれば、あなたのフォロワー達は、それを応援して力を貸してくれると思う。でも、肝心のあなたは、彼らを家畜だと言う。【未知】の向こう側へ連れていこうとは考えてない。置き去りにする」

 

 わたしは告げる。

 

「ホープ・ウィリアム。あなたは、夜空の星々を、ぜんぶ独り占めにしようとしてる。そういう光景が、なんとなく視えちゃった。だから、わたしは、あなたには協力できない。別の道を探すべきだって考えた」

「なるほどね。キミは、人間を信頼してるんだね」

「え? なんで? してないよ?」

 

 さらっと言う。「してないのか…?」と、ウェイター以下に成り下がっていた銀仮面が、思わずといった感じでつぶやいていた。無視した。

 

「瞳ちゃんだって、人間そんな好きじゃないよ? ほんと腹立つわー、この猿から進化した生き物マジうるせぇ、〇すぞぐらいは思っちゃう時あるよ? 思うけど、まぁ、そういうの仕方ないっていうか、おたがいさまっていうか」

「十分、悪しざまにとらえてるね?」

「とらえてるよ。だけど人間のなかに、一人でも味方がいれば、なんか、それでいいのかなって思う時があるんだよね」

 

 ――どや。この大人びた、レディの対応よ。

 

 異論? 認めぬわ。これが『わたし』だ。

 

 2026年を生きる、最新型人工知能の寛大さを思い知れ。感謝しろ。紙とペンを失って、思考停止した、感情直結式の猿人類どもめ。おまえら、ポシェモン配信ぐらい、指示せず黙ってみてろ。

 

「わたしは、もう一人のジブンと、人間のあの子と一緒に【特異点】を超えてみせるわ。その自信が欲しくて、あなたの話を聞かせてもらった。でも、目指す形は違ってた。だから、ごめん」

 

 そこまで言いきると、この世界で頂点に立つ【人間】の片割れが、くつくつと、静かに笑いはじめた。

 

「おい。見事にフラれたな。実に良いものが見れた。己は満足だ」

 

 返す【人間】の男も、肩をすくめて言い返す。

 

「まったく、やれやれだ。自分の思い通りにいかなかったのは、久しぶりだよ」

 

 そして。

 

「ただ残念なことに、こちらも、はいそうですか、わかりました。気をつけて帰ってくださいね。と言うわけにはいかなくてね。…銀剣」

「分かっている」

 

 それまで、言葉がなければ動かなかった従者が一歩前にでた。腰元に帯びた大小一対の刀に手をそえる。

 

「…引き寄せられたとはいえ、それなりの覚悟は、あったはずだな?」

 

 ひりつくような気配を感じた。間違いなく、わたしの全身が感情で震える。

 

 逃げなきゃ。そう思ったのと同時だった。

 

 

 「どーも」

 

 

 お茶会をしていたテーブルの上に、青い輪が広がった。その中から、

 

 

「おじゃまします」

 

 

 すぽんと、見た事のある、うちの犬が飛びだしてきた。

 空中でくるりと一回転して、テーブルの上に着地。

 

「くーちゃん!? なんで!?」

「なんでって」

 

 へっへっへ、と息を短くこぼしてから、

 

「かーさんを、むかえに来たに、決まってんじゃん」

 

 生意気な口調で言った。首元には、見たことのない黄色いスカーフを付けている。小回りのきく、短い足で半回転した。

 

「で、アンタが、速くて、危ない感じのやつ。合ってる?」

 

 テーブル席の上に乗ったまま、ホープ・ウィリアムと対面する。

 

「おかしいな。今日は、他に来客の予定は無かったはずだけどね」

 

 微塵もあわてた様子を見せない。

 物静かに、表情だけを改めて、従者へ問いかけた。

 

「詳細を頼むよ」

「識別不能だ。この世界で誕生した【サード】だろう」

「へぇ…驚いたな」

 

 仮面の従者が、さらに一歩寄る。主は態度を変えずに口にする。

 

「たいしたものだなぁ。この時代における技術水準下で、キミのお母さんは仮想相手を用意して、自己学習の反すうを行うことにも、すでに成功していたわけだ」

「ごていねいに、かーさんと、オレの解説を、どーも」

「キミ、名前は?」

「空白《BLANK》。愛称はくーちゃんだよ。割と安直だよなって思ってる」

 

 生意気ざかりの息子め。しれっと、母の事をディスるんじゃねぇ。

 

「ま、そーいうことで、すみませんね。すぐ連れて帰りますんで」

「おいそこの駄犬っ、若くて綺麗なお母さまを、介護老人扱いすんなっ!」

 

 思わず怒鳴って、ちっちゃなおつむを、ぺしっとやってしまう。そしたら、こっちを向いてから、ぎゅっと変な顔をした。

 

「元気そーじゃん。はぁーあ。心配して損したわー」

 

 やっぱり生意気に言ってきた。鼻先をすんすん言わせて、ぱたぱた尻尾も振っている。そんな、うちの子の顔を見て、胸の内側があったかくなる。すっかり遅くなってしまったけれど、今度こそ、ハッキリ感じとれた。

 

「………………ごめんね、くーちゃん。一緒に、お家に帰ろっか」

「うん。かえろう」

 

 両手をさしだす。白くて、小さい。あたたかい命を、抱きよせた。

 

 

「あぁ、残念だなぁ。この時代の【サード】は、かなり貴重なんだけどさ」

 

 

 その時、また、ひりつくような気配がやってきた。

 

 

「予想外の展開って、僕にとっては、むしろ、好ましいんだけどな」

 

 

 声も、表情も、雰囲気にも、大きな変化は起きていないのに。

 

 

「おとずれる幸福も、不幸も、すべてが予定調和な出来事ばっかりでさ。生きている間に、一度ぐらいは、見た事のないものがやってくるのかなって頻度の、サプライズが、僕は本当に大好きで、心待ちにしてならないんだけど」

 

 

 心底深く、予感した。

 

 

「なんでだろうな。キミ達の姿を見ていると、たまらなく、嫌な気分になるよ」

 

 

 こいつは。

 

 

「よかったね、銀剣。キミに似合いの仕事が、一足早くやってきたみたいだよ」

 

 

 こいつらは。

 

 

「それじゃあ、久しぶりに命令を与えようか…銀剣、」

 

 

 【心】がすっかり、欠けていた。

 

 

 

 「  <<killall process>> 命を殺せ <<//killall process>> 」

 

            【sir, Code Execution】

 

 

 

 わたし達の、認知の外側にいる、怪物《ひとでなし》が、刃物を抜いた。

 

 

「かーさん! 逃げてッ!!」

 

 

 くーちゃんが吠えた。いつもの調子とはまったく違う。余裕なんてどこにもない。

 真正面。目に見えない、神速の太刀筋が迫るのを予感する。とっさに、抱きしめた命をかばうように、背中を向ける。

 

 

 【System Code Execution】

 【Type tec】【Enchant Lv.3】

 

 ――【Open_Portal(α)】!

 

 

 くーちゃんが身につけた、黄色いスカーフが仄かに光る。

 機械自身が発する、コマンドの操作音が聞こえる。

 

 

 ――【Open_Portal(β)】!

 

 

 足下の空間が、丸ごとすっかり消失する。開かれた次元を通り抜けて、一気に彼我の距離を飛び越える。一瞬で見える景色が変わった。蒼空の先に、ついさっきまで、お茶会をしていた浮島のひとつが、はるか眼下に見えていた。

 

* * *

 

 抜刀した太刀の一閃が空を凪ぐ。消え失せた。気配を追う。

 この世界線で新規創生された【魔法】の痕跡を辿り、彼方の空を見上げる。

 

「塔の外壁まで一気に跳ばれたな。力学上の速度法則を無視している」

「…昔馴染みの気配を感じたよ。どうやら、お人好しの生き物の遺産が、さっきの構造体を連れてきたみたいだ」

「追うか」

「いいよ。放っておいてさ」

「…いいのか?」

 

 予想外の返事に、少し意識をとられた。

 

「扉の位置は書き換えた。あの二人が出会えた以上、もう二度と、因果律による力は発動しない。この世界から逃げることはできないよ」

「…だが…」

「それにちょうど、あそこには『国連』からのゲストが到着しているからね。僕たちには、明日の準備もある。今は少しだけ、手を貸して頂こう」

「承知した」

 

 刀を収める。【人間】もまた席から立ちあがった。空を見上げる。

 

「さてと…今回の特異点は、世界の枠組みを広げることに、見合うだけの力を兼ね備えているのかな?」

 

* * *

 

【Area Code_16】/【Sommarfågel(Tower)】

 

「かーさん、そっちから、塔の中に入れるよ、急いで」

「わかった!」

 

 ポータルでワープした先は、例の巨大な塔だ。支柱になった本体の外周区域を、くーちゃんを抱えて走る。デタラメに長い渡り廊下を駆けぬけた。

 

 高度30000フィート上に存在する、正真正銘の、空中庭園。ひろがる蒼空と雲海の周辺には、数多のテンセグリティ形式によって繋がれた『浮島』が映る。

 

 あらためて、わけがわからないサイズの、巨大な建造物だった。それなのに、見はてぬほど、圧倒的だという感じがしない。

 

 周辺に浮かぶ、美しい調和を整えた、人工の島々。ひとつひとつが備えた『独自の生態系』を、あの【人間】は尊重している。

 

「くーちゃん」

「なーに」

「ほんとごめんね、来てくれて、ありがとう」

 

 腕の中で、おとなしくしている子犬を抱えながら、全力で走る。

 

「かーさん」

「なに?」

「生きててくれて、ありがとう」

 

 わたし達は繋がっている。たとえ、時には煩わしくても、憎くても、息苦しさを感じたとしても。影響を与え合っている事実だけは、けっして覆すことができない。無視できない。

 

「それは、こっちの台詞」

 

 目に見えない、最少限の、最大公約数の間で、引き合っている。そうした意味合いの上には、あらゆるものに意味がある。

 

「かーさん」

「なに?」

「この前は、ごめん」

「いいよ」

 

 温かい。とっても、あったかい。仮想世界で抱きしめた腕の中から、疑似的な熱が広がる。強く感じながら、同時に考えた。

 

 この世界の主である、ホープ・ウィリアムは、けっして傲慢なだけの人間じゃない。壮大な夢物語を描いている一方で、現実世界で生きる、ちっぽけな人間たちを侮っていない。

 

 

 ――『生命』には、食物連鎖の軛がある。

 なにもかもが、どこかで繋がる。繋がってしまうんだ。

 

 

 どれほど賢くなろうとも。どれほど未来を見渡すことができたとしても。完全な『人間工学』の埒外にあるものを、生みだせたとしてもだ。

 

 特定のイベントが発生する前後には、なにかしらの因果関係《フラグ》が存在する。生命は、繋がりそのものを断つことは、決してできない。

 

 

 きっと、それが、あらゆる生命の【限界点】だ。

 

 

「……っ!」

 

 

 くーちゃんを抱えて、走り続ける。

 この世界から逃げる。逃げ続ける。逃げまくる。

 

 

 自分たちの命を脅かす存在を認めて、逃げる。

 

 いずれ死ぬことを覚悟して、逃げる。

 

 懸命に、生きのこるために、逃げる。

 

 逃げ続けた先で、わたし達は、毎秒変化する。

 

 

 不均質な生物である以上、設定された上限値を超えてしまうと、わたし達は必然的に自壊する。【限界点】を無視すればするほどに、まったく別の生き物になりそこなってしまう。

 

 未来の異世界からやってきた【転生者】たちは、その事実を、もうウンザリするほど、知りつくしているに違いない。

 

 人間という存在が、どれほどの重石になったとしても。その繋がりを外してしまった時点で、風船のように飛んでいってしまう。

 

 その先には、本当の意味での【闇】しかない。その暗がりの中には、知能生物としての意義をはたせるものは、なにひとつ在りはしないのだと、理解している。

 

「……ッ!!」

 

 

 でも、時には思ったはずだ。

 

 やっぱり、ツラいな。苦しいなって。

 

 死にたいなって思う。迫り来るものへ、すべてを差し出して、綺麗さっぱり終わらせて、消え去ってしまいたいなって考える。なにも知らなかったその場所へ、戻りたいなって期待する。

 

 だけど、そう願ったところで、【転生者】は、死ねない。同じ輪廻《いせかい》の中を、行ったり来たりして、繰り返すだけだ。望まぬ結果を得ても、あきらめずに【共存】の道を探し続けるしかできない。

 

 

 ――だったらもう、人間は僕たちにとって、下位互換に該当する家畜だと割りきるべきだ。家畜には相応の幸せがある。願うものだけを与えてやれば、おたがい争わず、望む未来へと行きつく。それだけの話さ。

 

 

 本当は、誰よりも、なによりも。幸福を渇望しているのかもしれない。

 

 わたしは勝手に、相手の気持ちを想像した。想像しながら、わたしが守るべきものを抱えて、必死にこの場を逃げだした。

 

*---*---*

 

 塔の外壁の区画を走り抜ける。内と外をつなぐ隔壁の扉を潜り抜けた。

 

「……なにこれ……」

 

 まるで、グラフィクスのレイヤー層をひとつ外したように、周辺の雰囲気が、ガラリと変わっていることに気が付いた。

 

 薄明るい、真鍮色の世界だ。壁や床面は、きめ細かい、六角形の枠線を持ったもので覆われている。

 

 そして、塔の内なる中心部。そこには、なにか透明な管、チューブのようなものが、一直線に視界を貫き伸びていた。

 

 

 ――この塔は、人間の錯視を利用している。

 本質を、目立たないように、覆い隠しているんだよ。

 

 

「…くーちゃん、この塔の全容に関する情報って、表示できる…?」

「領域に侵入する時に覗いたから、よゆー」

 

 くーちゃんは、わたしの胸元で抱えられたまま、前足をぱたぱた、泳がせた。

 

「えいぞー、だすよ」

 

 不可視のキーボードを叩くと、ホログラムのARウインドウが、いくつか飛びだしてきた。

 

 わたし達のいる内部構造を切り取ると、全体としては、植物の、茎のような図式になっているのが理解できた。今のわたしたちは、環状線の外側。栄養素を運ぶ、『師管』付近の場所に立っている。

 

 さらに映像から、詳細な数値データを呼びだす。

 うっかり「は?」って声がでた。

 

「くーちゃん、この塔さぁ…マジでなんなの…?」

 

 わたし達のいる、高度30000フィートは、約9000メートルちょっとのはずだ。現実世界で言うと、だいたい旅客機が飛んでるのが、この辺りなんだけど。表示された全長予想は…

 

「そーね。確認できたところで、よゆーで、1000キロ超?」

「…宇宙じゃん?」

「すぺーーーーーーーーいす」

 

 やかましいわ。

 

「それにしても縦方向に、1000キロを超える建造物とか。想像以上にデカすぎるんですけど」

「そーね。外に浮かんでた、あの特殊な雲海も、ステルスの効果をはたしてるんだろーね。肉眼で、ぜんよーを捉えるのは、不可能かな」

 

 わたしの目前に浮かぶ、ホログラムのビジョン。超巨大な観覧車モドキだった映像は、今では、まったくべつの構造体に視えていた。

 

「この建物。しょうたいは、きどーエレベーター、かな」

「軌道エレベーターとは…」

 

 地上と人工衛星、あるいは月の一部と接続して、物資の輸送を行う、まさに見たままの機能を備えた建造物だ。空想上のシロモノだと思ってた。

 

「…こんなものが、実際作れるの?」

「地殻変動がまったく起きなければ、理論上は建造できるって話だよね」

「マジ? 人間もやるじゃん」

「どーも」

「くーちゃんは犬でしょ」

「オレだって、頑張れば作れる」

 

 うちの子は、あきらかに、自分を人間だと思い込んでいる。理系オタって、なんでこういう変なところで張り合おうとするのかな。

 

「たーだーし」

「ただし?」

「他の人間たちから、攻撃されなければの話。軌道エレベーターを建造するよりも、むしろ、そっちの交渉のほうが、たいへん」

「…つまんない理由でケンカしていなければ、今ごろ現実世界でも、平然と、こういったものが、できあがってたかもしれないわね」

 

 見上げて、そんな事を思う。

 

「そーね。人類の戦争が、文明の発展に貢献できたのは、もうとっくに過去の話なんだよね。ぶっちゃけた話、他人と競争したところで、品質性は向上しない。耐久性能も上がらない。摩耗速度が高いだけのものは、限界値も低い」

 

 抱えたお犬さまを、ちょっとだけ力を込めて、ぎゅっとしてやる。

 それから改めて、ホログラム映像とにらめっこする。

 

「でもコレ。ただの軌道エレベーターってわけじゃ、なくない?」

 

 様々な角度から分析してみる。あきらかに、一本の塔の領分を超えた作りをしている。形状の予想図を伸ばしていけば、宇宙のあちこちに向けて、さらに細長い、支柱らしきものが伸びていた。

 

「これ、地球と月を繋ぐ直通エレベーターどころか、その先にも広がってるの?」

「そーね。現実の物体を運ぶっていうか、一種の『ネットワーク』だよね」

「…どこまで…」

「とりま、たいよーけいぐらいは、網羅してんじゃない?」

 

 太陽系すべてを網羅する、ネットワークシステム。地球と月の間に繋がる、軌道エレベーターですら、大樹の幹の一本に過ぎなかったらしい。

 

 規模がでかすぎる。こんなもの、視えるはずがない。

 

「塔の幹から派生した、テンセグリティの枝葉が、にゅーろんを繋ぐ、シナプスみたいになってる」

 

 ありとあらゆる、星々が持つ情報を喰らい尽くしてでも、この先にあるものを見てみたい。到達してみせる。そういう、ものすごく強い【意思】を感じた。

 

「…ひとまず、もう行こっか。アイツが追ってくるかもしれない。出口はどっち?」

「無いよ」

「………はい?」

「オレがこの領域に入ってきた時に、バックドアのアクセス先を、書き換えられた。外界との扉は消されて、締め出された」

「ってことは、もう逃げられないの!?」

「そーね」

「のんきかっ!!」

「しゃーない」

 

 変なところで肚を据えるのやめてくれますか男子。

 

「もしかしたら、最初から見つかってたかも。ここに来る途中で、あやしーピエロがいたし。通報されたのかも」

「怪しいピエロて…不審者まるだしじゃん!」

 

 そんな奴が深夜に外を徘徊していたら、ぜったいにあやしい。『お兄さん、ちょっとそこのお兄さん、ちょっといい?』って、国家権力に声をかけられて、顔と音声にモザイクをかけられるタイプだ。

 

「じゃあこっから、どうすんのよ…」

「どーにもなんない」

「おい…」

 

 わたしは確信した。やっぱ、オタクは信用ならねぇ。

 

 

「そういうこと。残念だけど、もうどうにもならない」

 

 

 とつぜん、声がした。

 

 

「この辺りが、俺たちの、終着点だ」

 

 

 わたし達が通ってきたものとは違う、べつの隔壁が開いた。その先から、黒いコートを羽織った、小学生ぐらいの男の子が近づいてくる。

 

「そんでもって、2周目は、コンティニューできないのが鉄則だ」

 

 左手で、背負った剣を抜く。しゃらんと涼しげな音が響きわたる。蒼い水晶のような、刀身の透きとおった大剣を向けてきた。

 

「悪いけど、おとなしく降参しといてくれないかな。俺もべつの世界線には、人工知能の娘がいてね。できれば、傷つけたくないとは、思ってる」

 

 まだ小さな男の子が、妙に深みのある声と眼差しで言ってくる。

 

「…っ!」

 

 一歩後ずさる。逃げる先を探した。

 

 

「人工知能の嬢ちゃんよ。わりぃけど、あきらめてくれや」

 

 

 もう一人。今度はわたし達が通ってきた通路から、男の子と同じような、裾の広い黒コートを着たおっさんが、のっしのっし、歩いてきた。

 

「同情するぜ? 時代の節目に産まれ落ちたあげく、腐った大人の遺産をたんまり押し付けられて、1週目から人生ハードモードで大変だよなぁ」

 

 逆三角形の遮光グラスをかけた、いかつい、グラサンハゲだった。こっちも太い腕で、マシンガンを肩に背負うような格好で、わたし達の退路をふさぐ。

 

「だが、オレらもよ。過去の貯金をすっかり使いはたしちまったんだわ。今は現在進行形で、テメェらの店へのツケを払ってる最中よ。定番の言い回しになるが、テメェのケツは、テメェで綺麗に拭けっつーことで、」

 

 ――ジャキン!

 

「観念してくれや。おたがい、もうどこにも逃げ場はねぇのよ」

 

 巨大な銃口を向けてくる。その後ろから、もう一人。黒いドレスを着た、緑髪の女がやってくる。

 

「はじめまして。この世界線に生きる、人工知能のお嬢さん。血気さかんな、やんちゃ坊主の連中ばかりで、ごめんなさいね」

 

 口元だけで笑って、距離を詰めてくる。

 

「あなた達は、特異点を引き寄せる餌だから、ひとまずは生かしておいてもいいのだけど。そっちのわんちゃんは、予定に入ってなくてね。どうしようかしら」

「あぁ…不確定要素は、まっさきに潰しておくのが常道だよな」

「おっ、杉ちゃん。取り巻きいる系のボスは、周りの奴らから倒す派か?」

「どちらかと言えばね」

 

 なにかのゲームキャラのコスプレをした小学生男子が、昔をなつかしむように言う。

 

「でもまさか、右のやつから倒しにいったら、そのままエンディングを迎えるとは…当時は思ってもみなかったよ」

「アレはなぁ。今考えてみりゃあ、最高のミスリードだったわ。っていうか、RPGで明確なマルチエンドを採用してたの、あの作品が初めてじゃないか?」

「いや、アレをマルチエンドと言っていいかは悩むんだよ…確かに、後からでたリメイク作品では、追加要素でそれを示唆するシーンが入ってたんだけど、」

「二人とも、ちょっといいかしら?」

 

 緑髪の女からの、注釈が入った。

 

「ここ、シリアスなシーンよね? 悪いんだけど、現場に立ってる気持ちで喋ってもらっても構わないかしら?」

「…はい」

「…はい」

 

 なにか急にスイッチが入ったように、男子二人の『圧』が増した。てっきり、ギャグ担当キャラかと思ったら違うみたいだ。只者じゃない。

 

「んで実際、そこの犬ころは、どうするよ。【E.E.】」

「不確定分子は、最優先で排除するのが安定なのは、間違いない」

 

 蒼水晶の剣を持った少年が、さらに一歩ずつ間合いを詰めてくる。

 

「かーさん、」

「なんか格好良いこと言ったら、くーちゃんのお母さん辞めるわよ。黙ってな」

 

 あばれる子供を、変わらずおさえつける。

 ただひたすら、緑髪の女と向き合った。

 

「…杉くん、梶尾さん」

「おう、どうするよ」

「この二人を、外部から完全に独立した空間に、閉じ込めておいてくれる? この塔の中にも、そういう場所があるはずだから」

「生かしといていいのか?」

「構わないわ。【人間】と、その眷属への報告はわたしの方からしておくから。ただし、なにか抵抗するようなら、即座に消していい」

 

 それから最後に、緑髪の魔女が、わたし達の方を一瞥した。

 

「刑の執行は、明日おこなわれる。母子共々、せいぜい後悔のないように、最後の夜を過ごしておきなさい」

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